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労災保険制度における脊髄損傷者の遺族補償給付に関する質問主意書

衆議院 第146回 第2号個別の事案 ×1

提出者
衆議院
提出日
1999年10月29日
内閣転送 1999年11月1日
答弁書受領日
1999年12月3日
提出から35日
答弁の項目数
5
質問 1,510字/答弁 1,813字

質問本文

労災事故により不幸にして脊髄損傷者となった場合、多くは車椅子生活をおくることとなるが、その症状により傷病補償年金・傷病年金(以下「傷病(補償)年金」という。)あるいは障害補償年金・障害年金(以下「障害(補償)年金」という。)を受給しながら労働能力の喪失の補償を受けることとなる。

こうした脊髄損傷者が長期療養の末死亡した場合は、死亡の原因となった疾病等と原疾患である脊髄損傷との因果関係が認められる場合は、遺族補償が行われることとされている。

この因果関係の認定に当たっては、一義的には主治医の意見を聴くこととされているが、脊髄損傷者の場合、じん肺等の他の労災患者に比べて、遺族補償につながるケースが極めて少ないとの指摘がなされている。

政府においても、こうした実態に鑑み、脊髄損傷者の併発する疾病について、その医学的な因果関係の視点から検討の上、報告書も出されているところである。

しかしながら、なお、医療機関や労働基準監督署等の現場において、区区とした対応が見られる実態を聞いているところである。

従って、次の事項について質問する。

一 遺族補償の実態について

1 脊髄損傷者について、傷病(補償)年金、障害(補償)年金の受給者の中でどの程度の割合で遺族補償が行われているか。

2 特に障害(補償)年金受給者の場合、認定現場において遺族補償はその対象にならないとの認識も見られるが、傷病(補償)年金受給者に比べて具体的な取扱いに差異があるのかどうか。

二 平成五年十月二十八日付け基発第六一六号労働基準局長通達の運用について

1 この局長通達は、脊髄損傷者の併発疾病について労災の適用上の取扱いについて通達したものであるが、脊髄損傷者の死亡に際し、関わった医師がこの通達の趣旨を十分に理解していない場合があることも指摘されている。医療分野のすべてにわたりこの通知の趣旨を徹底することは相当の困難性が想定される。

従って、当該通達の趣旨を活かす観点から、因果関係を判断するための脊髄損傷者用の死亡診断書を用意する、あるいは脊髄損傷者が労災制度により定期的な医療健康管理を受けていることから死亡に際しても当該主治医の意見を聴取する等の取扱いが必要と考えられるが、こうした運用面の改善を行うべきである。

2 こうした事由は、基発第六一六号通達が、脊髄損傷者の併発疾病に関する検討会報告を受けて併発疾病に係る医学的な整理を行っているものの、労働基準監督署や労災病院等の労災認定に直接関わる事務処理について触れられていないことに起因すると考えられる。

加えて、遺族(補償)給付の請求者にとって、所定の申請様式もなく申請権が侵されているのではないかとの指摘もあり、請求を行う側の手続きも含め、運用面での改善方策について、再度検討を行うべきである。

三 脊髄損傷者に対する遺族補償の在り方について

例えば一級から三級までの障害年金を受給している脊髄損傷者は、労働能力を百パーセント喪失しているものとして労災保険制度上の補償が行われていることから、こうした人が亡くなった場合も、被災時に即死した場合と同様に取り扱ってもらいたい。死亡時に、再度因果関係を審査することは不合理であるとの声が強い。

脊髄損傷者が下肢麻痺、四肢麻痺、神経因性膀胱、直腸神経麻痺等々の多くの障害を抱え、なおかつ慢性期には二十五以上の併発疾病を有する可能性がある被災労働者であること、また、長期にわたり看護、介護に当たる家族の苦労等々を勘案すると、脊髄損傷者に係る遺族補償の在り方についても抜本的に改革を検討すべきであるが、政府の所見を伺いたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

業務上の事由又は通勤によるせき髄損傷(以下「せき髄損傷」という。)を受けた者(以下「せき髄損傷者」という。)であって傷病補償年金又は傷病年金(以下「傷病(補償)年金」という。)を受給している者のうち、平成十年度中に死亡した者は百五十三人である。このうち、遺族補償給付又は遺族給付(以下「遺族(補償)給付」という。)が支給された者は四十六人であり、死亡した当該年金受給者に対する遺族(補償)給付受給者の割合は、約三十パーセントである。

また、平成十年度中に死亡した障害補償年金又は障害年金(以下「障害(補償)年金」という。)受給者のうち、特に集計して、せき髄損傷者であったと把握できた者は百三人であり、このうち、遺族(補償)給付が支給された者は十二人であり、死亡した当該年金受給者に対する遺族(補償)給付受給者の割合は、約十二パーセントである。

一の2について

せき髄損傷者であって障害(補償)年金を受給していた者が死亡した場合に、その遺族に対し、遺族(補償)給付の支給が認められるか否かは、当該障害(補償)年金受給者の死亡が、せき髄損傷と因果関係を有するか否かにより判断しており、この取扱いは、傷病(補償)年金の受給者が死亡した場合の遺族(補償)給付についても同様である。

二の1について

せき髄損傷者が死亡し、遺族(補償)給付の請求がなされた場合には、せき髄損傷という重篤な障害が長期間にわたって継続すること、その間に様々な疾病を併発することが少なくないこと等にかんがみ、当該せき髄損傷者の死亡がせき髄損傷と因果関係を有するか否かの判断に当たっては、「せき髄損傷に併発した疾病の取扱いについて」(平成五年十月二十八日付け基発第六百十六号。以下「通達」という。)を踏まえ、当該せき髄損傷者の主治医、必要に応じてせき髄損傷とその併発疾病に関し専門的知見を有する医師に対して医学的意見を求めること等により、当該せき髄損傷者の死亡、せき髄損傷及び併発疾病の因果関係について綿密な調査を行い、遺族(補償)給付に関する決定を適正に行っているところである。

二の2について

せき髄損傷者が併発疾病を起こしたことにより死亡したとして遺族(補償)給付の請求がなされた場合の労働基準監督署長による遺族(補償)給付に関する決定については、当該請求の個々の事案に応じて、通達別表において併発疾病ごとに示されたせき髄損傷部位、発生機序及び特徴を確認の上、二の1についてで述べたとおり、当該せき髄損傷者の主治医等の意見を基に、当該せき髄損傷者の死亡がせき髄損傷と因果関係を有するか否かにより判断を行っているところである。

また、御指摘の遺族(補償)給付に係る請求書については、労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める告示(昭和三十五年労働省告示第十号)により様式が定められており、せき髄損傷者が死亡した場合の遺族(補償)給付の請求は、当該請求書により行うこととされている。

なお、労働者災害補償保険における遺族(補償)給付等の請求手続については、請求から給付に至るまでの手続の流れや請求書の記載方法等を平易に解説したリーフレットを活用する等により、引き続き周知に努めてまいりたい。

三について

労働者災害補償保険は、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づき、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡に関して保険給付を行うものであり、当該保険給付の一つである遺族(補償)給付についても、労働者の死亡と業務又は通勤との間に因果関係が認められることが必要とされているところである。御指摘の障害(補償)年金を受給しているせき髄損傷者が死亡した場合にあっても、当該せき髄損傷者に係る遺族(補償)給付を行うためには、せき髄損傷者の死亡とせき髄損傷との間に因果関係が認められることが必要である。

当該せき髄損傷者が死亡した場合であって遺族(補償)給付の対象とならないときには、御指摘のように介護による家族の負担が相当なものであること、当該遺族の生活の安定の確保の必要性等の観点から、長期間にわたり重篤な障害を有するせき髄損傷者の介護に当たってきた家族に対し、労働者災害補償保険法に基づく労働福祉事業として、平成七年度から、一定の要件の下で「長期家族介護者援護金」を支給しているところである。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

個別の事案 ×1

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