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年金福祉事業団の解散および承継業務に関する質問主意書

衆議院 第146回 第24号

提出者
衆議院
提出日
1999年12月15日
内閣転送 1999年12月15日
答弁書受領日
2000年1月28日
提出から44日
答弁の項目数
18
質問 2,769字/答弁 3,182字

質問本文

厚生省所管の特殊法人・年金福祉事業団は、「年金積立金を活用して厚生年金、国民年金等の加入者や需給者の福祉の増進を図る」と称して各種事業を行っている。しかし、それら事業の中には、無責任かつ放漫経営に終始し、なんら「厚生年金、国民年金等の加入者や需給者の福祉の増進」には寄与していないものが少なくない。「大規模年金保養基地事業」「融資事業」、「資金運用事業」など、いずれの事業をとってみても、年金加入者の貴重な積立金を湯水のごとく浪費し、さらには運用の失敗等で年金制度そのものに深刻なダメージを与え続けている。

そればかりか、厚生省および年金福祉事業団では、その責任を誰一人として取ろうとしてこなかったのである。その不誠実かつ非常識な責任逃れの姿勢と弁解は、今国会の審議でも明らかなように見苦しいだけでなく、とうてい看過できないものがある。

国民にとって不可欠な年金制度を守るという観点から、法改正の案を中心に、以下質問する。

一 「年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案」について

(一) 同法律案の第二条三項に、「除却、取壊し、滅失その他の事由」とあるが、この「事由」の意味には、引き継ぎ資産の評価損が含まれているのか。あるいは含まれないのか、答弁されたい。

(二) 第二条三項に、「政府の出資はなかったものとする」とある。その場合政府側の減額手続きはどのようにして行われるのか。また、政令委任条項が、この法律案には書かれていないのは、どのような理由からか。あわせて答弁されたい。

(三) 第十五条に書かれている「保養基地施設の運営及び保養基地資産の管理」を行う法人とは、どのような性格の法人か。また、この法人だけが、他の業務を引き継ぐ法人(「政令で定める法人」)と性格を異にしている理由はなにか。合理的な理由を答弁されたい。

(四) 第十八条二項には、「監査報告書の事務所への備置き及び一般への縦覧は要しない」と書かれている。しかし、この「縦覧は要しない」との文言は、昨年十月に出された年金審議会の「国民年金・厚生年金保険制度改正に関する意見」と矛盾するのではないか。つまり同意見には、「年金制度に関する情報公開を進め、制度の透明性を高めていくことが、昨今の年金制度に対する国民の不安感を払拭する上でも重要である」とあるからだ。

(五) また、この条文(同法律案の第十八条二項)は、「年金資金運用基金法案」第三十五条三項に書かれている条文との連続性・一体性を欠いている。なぜなら、前者では「縦覧は要しない」と書き、後者では「一般の閲覧に供しなければならない」と書かれているからだ。新しく発足する基金の経理内容が公開されるのは当然としても、その基金に承継された一般業務の財務諸表等についても公表されなければならないはずだ。なぜ、このような連続性に欠け、矛盾した条文としたのか。

その理由は何か。答弁されたい。

(六) 同法律案の第二十条一項には、「債券を発行する」とあるが、この債券とは証取法の定めるどのような性格の債券を指しているのか。また、むやみに債券を発行できないような歯止め的処置は講じられているのか。答弁されたい。

(七) 同法律案の第二十条三項には、「債券の債権者は、基金の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」と書かれている。何故、何のために「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」のか。答弁されたい。

(八) 同法律案の第二十条七項には、「債券に関し必要な事項は、政令で定める」と書かれている。この「政令」とは、どのような内容を予定しているのか。その詳細について答弁されたい。

(九) 同法律案の第二十五条一項には「保養基地資産の価額」との文言がある。この場合の価額とは、どのような算出方法によって割り出されたものをいうのか。算出方法の詳細について答弁されたい。

二「年金資金運用基金法案」について

(一) 同法案第二十七条一項の一において、「年金資金の管理及び運用の目標に関する事項」との文言があるが、ここで言う「管理の目標」とは何か。同様に、同条文一項の二にある「管理の構成」、一の三にある「管理の評価」とは何か。具体的かつ詳細に答弁されたい。

(二) 先にも触れた同法案第三十五条三項について追加質問する。この条文にある「一般の閲覧に供しなければならない」とある「一般」とは、誰を指しているのか。出先庁での開示やインターネットを介しての開示まで含まれるのか。具体的かつ詳細に答弁されたい。

三 年金福祉事業団の大規模年金保養基地について

(一) 大規模年金保養基地の建設資金の償還として、充当された出資金(厚生年金特別会計、船員保険特別会計及び国民年金特別会計からの出資金)の総額はいくらか。事業団発足以来今日までの同出資金額を年度別にし、その出資目的とともに明らかにされたい。

(二) 同出資金の利息に関しては、同特別会計からの交付金で充当されているか。充当されているのであれば、これら交付金額を事業団発足以来今日まで、年度別に明らかにされたい。

(三) 年金福祉事業団から年金保養協会及び各大規模保養施設に出されている委託費はあるか。あれば、それら各施設ごとの委託費を、事業団発足以来今日までの年度別に明らかにされたい。

(四) 年金福祉事業団から年金保養協会及び各大規模保養施設に出されている補助金もしくは補助金に類する資金はあるか。あれば、それら各施設に対する資金の額を、事業団発足以来今日までの年度別に明らかにされたい。

四 年金福祉事業団の資金運用事業について

(一) 資金運用部からの借入金である資金運用資金の利息は、別途交付金という形で政府から充当されているのか。充当されているとすれば、その交付金額を、事業団発足以来今日まで、年度別に明らかにされたい。

(二) 資金運用部から借り入れている資金運用資金の償還財源は何か。その償還額の年度別の金額とともに明らかにされたい。

五 「日本老人福祉事業団」について

(一) 年金福祉事業団が融資している「日本老人福祉財団」について、その経営破綻が新聞、雑誌等でしきりに報じられているが、厚生省としてはこのような事態をどう考えるのか。とりわけ経営再建の必要性の有無について、答弁されたい。

(二) 再建が必要と考えているなら、その具体的な再建計画の詳細を、また再建の必要がないと考えているならその詳細な理由を答弁されたい。

(三) 「日本老人福祉財団」は、平成十年度に債務超過に陥っている。このような事態にいたるまで放置してきた厚生省及び年金福祉事業団の責任について答弁されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(一)について

年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案(以下「法案」という。)第二条第三項の「除却、取壊し、滅失その他の事由」には、資産の評価損は含まれない。

一の(二)について

法案第二条第三項の規定により政府の出資金を減ずる額については、法案第一条第一項及び第三項の規定に基づき、年金資金運用基金(以下「基金」という。)が年金福祉事業団(以下「事業団」という。)の解散の日の前日を含む事業年度に係る事業団の決算において除却損等の金額を確定し、欠損金として計上することを予定しており、政令で出資金を減ずる手続に係る規定を設ける必要はないものと考えている。なお、基金において、当該決算に係る財務諸表等を一般の閲覧に供するとともに、政府においては、基金が成立する会計年度の国有財産増減及び現在額総計算書で厚生省の所管に係る出資金の減額等を示し、国会に報告することとしている。

一の(三)について

法案第十一条第一項に規定する保養基地施設(以下「保養基地施設」という。)の運営及び法案第二条第二項に規定する保養基地資産(以下「保養基地資産」という。)の管理については、現在事業団がこれらの業務を委託している財団法人等に引き続き委託することとしており、年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号)第十八条第一項を参考として「他の法人(金融…機関を除く。)」と規定したものである。

一の(四)及び(五)について

法案第二条第一項に規定する承継一般業務(以下「承継一般業務」という。)に係る財務諸表及び附属明細書並びに業務報告書、決算報告書及び監事の意見書については、年金資金運用基金法案(以下「基金法案」という。)第三十五条第三項の規定により、基金による事務所への備置き及び一般への縦覧を要するものとしている。法案第十八条は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に基づき厚生大臣から寄託された資金(以下「年金資金」という。)の運用業務について、透明性をより一層確保する観点から義務付けられている公認会計士又は監査法人の監査を受けること並びに監査報告書の事務所への備置き及び一般への縦覧を、承継一般業務についてはこれまでどおり不要とする趣旨の規定である。したがって、平成十年十月九日付けの年金審議会意見書に反するものではないと考えている。

一の(六)について

法案第二十条第一項に規定する債券(以下「承継一般業務債券」という。)は、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項第三号に規定する特別の法律により法人の発行する債券に当たる。また、基金が承継一般業務債券を発行するに当たっては、厚生大臣の認可を受けることを要することとしている。

一の(七)について

基金における承継一般業務に係る資金調達を容易にするためである。

一の(八)について

現時点では承継一般業務債券の発行を具体的には予定していないところであるが、将来において承継一般業務債券を発行する場合には、法案第二十条第七項の規定に基づく政令において、承継一般業務債券の形式、発行方法等を定めることが考えられる。

一の(九)について

法案第二十五条第一項に規定する保養基地資産の価額とは、各保養基地資産が実際に譲渡される価額をいう。

二の(一)について

基金法案第二十七条第一項第一号に規定する年金資金の管理及び運用の目標に関する事項については、基金の短期の収益率が、厚生大臣が定める基本方針(以下「基本方針」という。)において定められる長期的な観点からの資産構成割合に基づき各運用資産の短期の市場平均収益率を加重平均した値(複合ベンチマーク収益率)を超過することなどを定めることとしている。

基本法案第二十七条第一項第二号に規定する年金資金の管理及び運用における資産の構成に関する事項については、基本方針において積立金の運用に係る長期的な観点からの資産構成が定められることを前提に、基金が年金資金に係る比較的短期の資産構成割合を定めることとしている。

基金法案第二十七条第一項第三号に規定する年金資金の管理及び運用の評価に関する事項については、基金が年金資金の管理及び運用を委託した信託会社等を評価する基準を定めることとしている。

なお、基金は、厚生大臣から寄託された年金資金の管理及び運用を行う法人として設立されるものであり、厚生大臣から寄託された年金資金を他の財産形態に変え、資産の増加を図るという年金資金の運用を行いつつ、当該資産が悪化しないよう処置するという年金資金の管理を行う。したがって、基金法案においては、年金資金の管理と運用を一体のものとして扱っており、年金資金の管理のみに係る目標、資産の構成又は評価に関する事項を定めることは考えていない。

二の(二)について

御質問の「一般」とは、基金の事務所において基金の財務諸表若しくは附属明細書又は業務報告書、決算報告書、監事の意見書若しくは公認会計士若しくは監査法人の監査報告書の閲覧を希望する者を指している。

仮に、基金に従たる事務所が設置される場合には、当該事務所においても財務諸表等を一般の閲覧に供することとなる。また、財務諸表等のインターネットを活用した公表も、現在事業団において実施していることを踏まえ、実施することを考えている。

三の(一)について

事業団が保養基地施設の整備のために資金運用部から借り入れた長期借入金(以下「長期借入金」という。)の償還等の費用に充てるため、事業団に対し厚生保険特別会計等から出資してきており、出資金の額は別表第一のとおりである。

三の(二)について

長期借入金の利息の支払については、事業団に対し厚生保険特別会計等から交付した交付金を充当しており、その額は別表第二のとおりである。

三の(三)及び(四)について

事業団においては、保養基地施設の整備に係る計画の策定、各保養基地施設内の遊歩道や花壇などの維持管理等を財団法人年金保養協会その他の保養基地施設を運営する財団法人に委託してきており、委託費の額は別表第三のとおりである。

なお、当該委託費以外には、保養基地施設に関し、事業団から財団法人年金保養協会その他の保養基地施設を運営する財団法人に対して補助金等を支出していない。

四の(一)について

事業団が資金運用事業を行うために資金運用部から借り入れている資金(以下「運用資金」という。)の利息については、運用資金及びその運用収益の一部が充当されており、政府からの交付金はない。

四の(二)について

事業団の運用資金の償還財源については、運用資金及びその運用収益の一部が充当されており、年度別償還額は別表第四のとおりである。

五の(一)について

厚生省においては、財団法人日本老人福祉財団(以下「財団」という。)の現状は厳しいものであると認識しており、財団が運営する施設の入居者が不安を来すことがないよう、財団の経営再建について必要な助言及び指導を行い、適切に対応してまいりたい。

五の(二)について

財団の経営再建については、現在その再建策が策定されつつあると承知している。

五の(三)について

厚生省においては、これまで、財団に対して、株式投資の解消及びアメリカ合衆国における事業に対する支援の解消を指導し、立入検査を実施するとともに、経営再建に向けて助言及び指導を行ってきているが、今後とも、入居者が不安を来すことがないよう、必要な助言及び指導を行い、適切に対応してまいりたい。また、事業団においては、財団に対する融資の決定に際し、十分な審査が行われてきたと承知している。

別表第一

別表第二

別表第三

別表第四

衆議院の原文

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