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国立ハンセン病療養所「邑久光明園」に関する質問主意書

衆議院 第151回 第18号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2001年2月8日
内閣転送 2001年2月14日
答弁書受領日
2001年3月27日
提出から47日
答弁の項目数
4
質問 829字/答弁 1,243字

質問本文

岡山県にある、国立ハンセン病療養所「邑久光明園」において、老朽化した解剖霊安棟を建て替えるのに先立ち、岡山地裁が昨年十月に現地検証した際、解剖室わきの小部屋の棚に、内臓など数百個の検体とともに、十数体の胎児のホルマリン漬けの標本が見つかったとのことである。このことは、療養所に収容された患者たちが、いかに非人間的な扱いを受けているかを示す極めて重要な事実であると考える。

従って、次の事項について質問する。

一 どのような経緯・目的で、このような残忍なことが行われるようになったのか。また、国はこの事実を把握していたのか。

二 標本が、普段は人目につかないような小部屋に置かれていたということは、解剖等が行われている事実を意図的に隠そうとしたとしか思えないところであるが、これについてどのように考えるか。また、発見されたこれらの標本は、現在、どこに保管されているのかを明らかにせよ。

三 胎児のホルマリン漬けの存在は、ハンセン病患者の子供であるというだけで、新しく生まれるはずであった尊い生命を強制的に奪ったという、殺人にも匹敵するような非人道的な行為があったこと、あるいは現に生まれてきた、生後間もない乳児の生命を奪った、文字通り殺人罪として処罰されるべき非人道的な行為があったことを示すものと考えるが、これについての見解を明らかにせよ。

四 折しも、ハンセン病国家賠償訴訟が提起され、来る五月には、西日本訴訟についての判決が出される予定だが、右の事実に象徴されるように、誤った強制隔離政策により、患者の人権を無視した非人間的な扱いを受け、筆舌に尽くし難い苦しみの末に亡くなった、多くの患者の方々へ思いを致す時、深い悲しみと強い憤りを感じるところである。

そこで、この際、国はこれまでの強制隔離政策の誤りを認め、これを全面撤廃するとともに、患者・遺族に対して全面的に謝罪するとともに、完全な補償を早急に行うべきと考えるが、見解を明らかにせよ。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

国立療養所邑久光明園(以下「光明園」という。)においては、ハンセン病患者の死因等を究明し、ハンセン病の医学に関する研究に資するため、亡くなった患者の解剖が行われてきたところである。御指摘の内臓などの検体は、このような解剖によって得られた標本の一部が、ハンセン病の病態を分析し、治療方法の向上等に関する研究に使用するため、保管されていたものと考えている。

また、かつてハンセン病は妊娠又は分娩により病状が悪化する一方、乳幼児期に感染しやすく、いったん発病すると完治させる方法がないと考えられていたことから、光明園においては、このような当時の医学的知見を踏まえ、らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号)による改正前の母体保護法(昭和二十三年法律第百五十六号。以下「旧優生保護法」という。)の規定等に基づき、人工妊娠中絶が行われていたものと考えている。御指摘の胎児の標本については、このような人工妊娠中絶によって母体外に排出された胎児の標本が、ハンセン病の医学に関する研究に使用するため、保管されていたものと考えている。

政府として、光明園においてこのような解剖及び人工妊娠中絶が行われていたことは承知していたところである。

二について

御指摘の標本については、昭和六十年三月までは旧研究室において保管していたが、同室が手狭になったことに伴い、同年四月から平成十二年十一月までの間は旧解剖霊安棟臓器室において保管していたところである。現在は旧解剖霊安棟が建て替え中であるため、一時的に旧事務本館において保管しているが、新棟完成後はその中の資料室において保管する予定である。

また、当該標本を使用して行った研究の成果は学術論文等として発表されており、解剖及び人工妊娠中絶が行われていた事実を隠そうとしたことはない。

三について

一についてで述べたように、かつて光明園においては、その当時の医学的知見を踏まえ、旧優生保護法の規定等に基づき、人工妊娠中絶が行われていたものと考えている。

四について

ハンセン病対策はその時々の医学的知見に基づき適正に行ってきており、らい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)の制定当初からその慎重な運用に努め、遅くとも昭和五十年以降は入所患者の外出及び退所に関する制限を全く行っておらず、また、平成七年の医学的にらい予防法は立法根拠を失ったとする日本らい学会の見解を受けて、平成八年にはらい予防法を廃止したところである。現在係属中のハンセン病療養所入所者等による国に対する損害賠償請求訴訟においても、このような点を詳細に主張しているところであり、今後当該訴訟を通じて主張の当否が明らかになるものと考えている。

また、らい予防法の廃止に関する法律等に基づき、ハンセン病療養所入所者に対する医療、福祉等の措置を講ずるとともに、退所希望者に対する社会復帰準備支援事業等を行っているところであり、引き続き同法の趣旨に沿った措置を講じてまいりたい。

衆議院の原文

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