Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第153回

食糧増産援助(2KR)のあり方に関する質問主意書

衆議院 第153回 第42号検討してまいりたい ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年12月6日
内閣転送 2001年12月7日
答弁書受領日
2002年3月1日
提出から85日
答弁の項目数
8
質問 3,043字/答弁 4,539字

質問本文

一九九四年五月三一日、逸見謙三氏を委員長とする「食糧増産援助(2KR)技術検討委員会」が国際協力事業団(以下JICA)への答申として提出した提言書において、カンボジアに対する食糧増産援助(以下2KR)に農薬を含めたことは誤りであったとの認識が示された。これを受けて、外務省は、カンボジアへの食糧増産援助の項目から農薬を削除した(「食糧増産援助(2KR)技術検討委員会」報告書、1994.5.31)。逸見謙三氏は、「たまたまカンボジアが目についたが、農業の専門家が育っていないアフリカの方こそ農薬援助は慎重であるべきだ」と述べている(毎日新聞、1994.8.3)。

にもかかわらず、一九九四年以降もアフリカ地域に対する農薬援助は中止されることなく続けられ、2KR供与額の三〇〜五〇%を農薬が占めてきた。アフリカ諸国では、援助で送られた農薬の多くが未使用のまま十分に管理されておらず、環境及び健康に悪影響を及ぼす恐れがあると、国連食糧農業機関(以下FAO)が指摘している(FAO Pesticide Disposal Series5 ”Prevention and disposal of obsolete and unwanted pesticide stocks in Africa and the Near East”, Second consultingmeeting Report, 1997)。

モザンビークの事例では、一九九七年度供与(一九九九年五月現地到着)の2KR資機材の内、二〇〇一年一一月時点で四〇%(二〇〇〇年二月の時点で大半)の農薬・化学肥料が未配布のまま在庫として残っており、食糧増産の役に立っていないばかりか、一部の農薬については使用期限を過ぎて環境汚染が懸念される状況にある。また、長期間保管されていた港倉庫の雨漏りにより、一部の化学肥料は水浸しになっていた事実も判明している。同様の問題はエチオピアにおいても確認されており、FAOは「日本の食料増産援助によって、エチオピアに大量の農薬が運ばれ、遠隔地の農村に届く前に有効期限が切れたケースも多かった」と日本の2KRを名指しで批判している(FAO Pesticide Disposal Series9 ”Baselinestudy on the problem of obsolete pesticide stocks”, 2001)。

これらの事実に鑑み、以下質問する。

1 カンボジアで2KRによって供与された農薬は、農民による適正使用が確保されていないことが判明したため一九九四年に援助項目から削除された。一方、アフリカ諸国においては九四年以降も農薬の供与が継続されている。これは、日本政府が、アフリカ諸国においては農民による適正使用が確保されていると判断し、供与したものと解されるが如何か。特に、生態系及び使用者に危険を及ぼしかねない農薬といった危険物を供与する側の責任という観点から、日本政府が、いかなる手段によって現地農民による適正使用の確保を確認したのかを明らかにされたい。

2 モザンビークの事例では、北部地域向けに供与された資機材のうち八割が綿花プランテーションに配布されており、食糧増産の目的では使用されてこなかった事実が外務省及びJICAの調査団によって二〇〇一年に確認されている。日本政府は、日本が2KRで援助した資機材が相手国において、本来の目的である「食糧増産」に使用されたかどうかを、どのような制度をもって、どのように確認した上で過去の供与を行ってきたのか説明されたい。

3 FAOは途上国へ援助として供与された農薬が使われないまま放置されている問題に関して「必要以上の量の農薬が一カ所に送られるなど、援助国と被援助国間の連絡の悪さ」を主要因としてあげている。その中でFAOは、支援要請を出す途上国側政府のみでなく、「必要とされる量がいくらかという情報を求めなかったり、被援助国から受けた要請を評価しなかったりという支援国・機関側にも責任がある」とし、「特に日本の2KRでは、過剰な量の農薬が援助され、使用期限が切れた物や期限切れ直前の物も多かった」と指摘している(FAO 2001)。日本政府はこの指摘をどう受け止めているか。

4 事実、前述のモザンビークやエチオピアで農薬放置の事例が確認されている。2KRによってアフリカ諸国に供与された資機材(農薬、化学肥料、農業機械)の中で、使用されずに残っているものは何(種類・量・調達時期)であり、どこに、どれだけ、どのような状態となっているのか示されたい。また日本政府として、それらの資機材が使用されずに残っているのは何が原因と把握・理解しているのか。加えて、日本政府及び先方政府がこれにいかに対応したのかを明らかにされたい。

5 日本政府は2KRに関し「要請主義」を掲げているが、九四年の時点で見直し機運があったにもかかわらず、アフリカ諸国への2KRを現地の状況を考慮せず、九六年以降毎年七〇〜一二〇億円の国費を用いて継続させたことについてどのように説明するのか。

6 また、2KRではこれら資機材を販売して得た収益を見返り資金として積み立てる制度となっているが、被供与国政府役人がこの一部を私的に着服することもあり、この制度に対しては国際的にも疑問が投げかけられている(Richard Tobin, ”Bilateral Donor Agencies and the Environment;Pest and Pest Management”, December, 1996)。日本政府は、このような事態を防止するためにどのような手だてを講じてきたか。援助国のチェック責任をどうとらえているかも含めてお答えいただきたい。

7 2KRの枠組み内での企業との癒着も指摘されている。一例として、2KRのうち肥料を納める商社を選ぶ競争入札で、三菱商事、三井物産、住友商事、日商岩井、丸紅の大手総合商社五社が中心となって被供与ごとに「幹事権」を持つ社が落札できるように話し合いが行われていたとの報道が九八年にあった(朝日新聞、1998.12.31)。例えば八五年度対モザンビーク2KR肥料支援では、一般競争入札でなく随意契約が行われ、外務省が当時モザンビークを兼轄していた在ジンバブエ日本大使館宛に三井物産を指名した電信(1986.1.6)を送っている。ちなみに三井物産は、朝日新聞の報道によれば、モザンビークにおいて幹事権を持つ社とされている。2KR援助の枠組みの中で競争入札ではなく随意契約を行う意義及び国内の特定商社を外務省が被援助国に斡旋する正当な理由とは何か。

8 行政能力や実施体制が十分ではない被援助国、とりわけ重債務貧困国や内戦を行っている国に対し、自助努力を必要とし大量の農業関連資機材の投入を行う2KRのような援助は、適正使用及び維持管理の観点から期待する成果を得ることは困難であり適切でないと考える。今後、このような種々の問題を抱えた地域への2KRは廃止し、十分な事前調査、事後の評価調査を伴った国別援助計画に基づき、資機材の供与に留まらない技術協力も含む持続的食糧生産のための農業協力を、他のドナーやNGOとの調整・連携を念頭におきつつ実施すべきと考えるが、この点についての日本政府の見解を求める。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

1について

平成六年度から平成十二年度までの間に我が国が食糧増産援助を実施したアフリカ諸国三十一か国のうち、二十七か国が供与された資金で農薬を調達している。この二十七か国による農薬の調達については、これらの被援助国が農薬の調達を希望したことを受け、我が国政府において、当該被援助国における農薬の使用状況、農薬関係法令の整備状況等を調査し、農薬が適切に使用される体制が整っていると判断した上で、これを認めたものである。

食糧増産援助として供与された資金で被援助国政府が調達した農薬(以下「援助農薬」という。)は、当該被援助国政府の責任でその適切な使用が図られるべきものであり、我が国政府としては、被援助国において適切に使用されていることにつき、国際協力事業団(以下「JICA」という。)による被援助国政府及び関係機関からの事情の聴取、当該被援助国に派遣され現地を視察したJICAの調査団の報告等を通じて、可能な範囲内で把握・確認している。さらに、平成十二年度からは、被援助国政府との間で政府間協議会を開催し、食糧増産援助に係る問題について幅広く意見交換をしており、その際、被援助国政府に対し、援助農薬が適切に使用されたかどうか等について説明を求めている。

なお、我が国は、技術協力としてアフリカ諸国から研修員を受け入れて農薬の使用に関する研修を実施し、被援助国における農薬の適切な使用の環境整備に努めているところであり、調達に係る農薬についても、食糧増産援助における農薬調達のガイドラインに基づき、誤使用を防止するため、容器の表示は適切な言語によることとしている。

2について

食糧増産援助として供与された資金で被援助国政府が調達した農機、農薬、肥料等(以下「援助資機材」という。)が実際に食糧増産のために使用されたかどうかについては、食糧増産援助の実施を決定するに先立ち、食糧増産援助を希望する被援助国政府に対し、前年度以前に実施した食糧増産援助に係る援助資機材の配布・使用状況等を記載した要請書の提出を求め、JICAにおいて、当該要請書の内容に基づき、必要に応じて当該被援助国政府又は関係機関から事情を聴取するとともに、被援助国に派遣する調査団等を通じて実情を可能な範囲内で把握・確認している。さらに、平成十二年度からは、被援助国政府との間で政府間協議会を開催し、食糧増産援助に係る問題について幅広く意見交換をしており、その際、被援助国政府に対し、援助資機材が実際に食糧増産のために使用されたかどうかについて説明を求めている。

なお、平成十三年十一月にモザンビーク共和国に派遣された外務省の職員及びJICAの調査団は、援助資機材について、その一部は綿花栽培にも使用されたものの、基本的には食糧生産に使用されたことを同国政府の関係者から確認しており、同国について御指摘のような事実はないと承知している。

3について

御指摘の記述がいずれも国際連合食糧農業機関の農薬処理シリーズ第九巻として公表された「オブソリート農薬問題に関する基礎研究」と題する文書に基づくものとすれば、同文書の内容が正確に引用されていないが、いずれにせよ、一部の被援助国については、我が国政府及びJICAと当該被援助国政府及び関係機関との間の連絡が必ずしも十分でなかった点もあると考えており、今後こうした連絡を緊密にすることも含め、被援助国政府による農薬の調達に関して一層慎重かつ厳格に対応する考えである。

なお、同文書には「エティオピアにおいては、日本国の食糧増産援助によって供与された農薬が、その品質保証期限を経過した後又はその間際になって遠隔地に到着することが時々ある」との指摘があるが、この点についての我が国政府の照会に対し、エティオピア連邦民主共和国政府は、援助農薬はその品質保証期限内に可能な限り速やかに末端の使用者に届くようにしているが、移動性害虫が数年間発生しない場合に限ってはその品質保証期限が経過することがある旨説明している。政府としては、念のため、エティオピア連邦民主共和国における農薬の使用状況等について改めて調査することが適切であると考えており、調査団の派遣を含む対応を検討しているところである。

4について

モザンビーク共和国に関し、特に平成八年度及び平成九年度の援助資機材の配布については、同国における社会、経済及び政治的変化によって従来のように国営企業に行わせることができなくなり、不慣れな政府機関等が自ら担当したことが主たる要因となって、両年度の援助資機材については金額ベースで約二十三パーセント相当のものが配布されずに残っているが、残存する農薬、肥料等は、一部を除き倉庫等の中に良好な状態で保管されていると承知している。政府としては、この問題を解決するために同国政府、国際機関等と対応策を協議しているところである。

エティオピア連邦民主共和国については、同国政府から、平成四年度から平成六年度までの間の援助資機材のうち耕耘機に装着し使用する施肥播種機数台(研究所で良好な状態で保管されている。)を除き、数年間配布されずに残っている援助資機材(以下「在庫資機材」という。)は無いとの説明を受けている。

他のアフリカ諸国における在庫資機材の現状については、各国から公表を前提として説明を受けておらず、その内容を公表すると当該国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、個々の国についての答弁は差し控えたいが、平成三年度以降食糧増産援助を実施したことのあるアフリカ諸国三十五か国における在庫資機材の概要を申し上げると、�@三十五か国のうち在庫資機材があると認められた国は半数以下であり、�Aこれらの国のうちモザンビーク共和国等一部の国を除いては、在庫資機材の数量はわずかであり、�B在庫資機材の保管状況は、一部自然災害等による被害を受けたものを除き、良好であると承知している。

このように在庫資機材が発生した原因としては、�@被援助国の配布等に係る実施体制の不備、�A発注時から納入時までの間における被援助国での資機材の需要の変化、�B被援助国の最終需要者の購買力不足、�C病害虫が発生しなかったことによる備蓄農薬の残存等があると考えている。在庫資機材については、被援助国政府及び関係機関に対してその使用を促進するよう働き掛け、必要に応じこれらとの間で解決策を協議しているところであり、被援助国においては、例えば、当初の対象地域とは異なる地域における在庫資機材の使用、在庫資機材の販売価格の引下げ等様々な対応策を採っていると承知している。また、在庫資機材のうち農薬については、開発途上国に残存する未使用農薬に係る問題に対する国際的な取組の中でどのような協力が可能かについて、国際機関及び他の援助国と協議を行っているところである。

5について

アフリカ諸国に対しては、平成六年度に約百二十二億円、平成七年度に約百二十四億円、平成八年度に約百二十一億円、平成九年度に約百四億円、平成十年度及び平成十一年度にそれぞれ約八十一億円、平成十二年度に約六十四億円(いずれも輸送費及び保険料を含む。)の食糧増産援助を実施しているが、これらは、アフリカ諸国からの要請を受け、食糧増産に資することによりアフリカ諸国における深刻な食糧不足を改善するため、平成六年に食糧増産援助技術検討委員会がJICAに提出した食糧増産援助を一層効果的かつ効率的に実施するための「食糧増産援助(2KR)にかかる提言」を踏まえた上で実施したものであり、御指摘のように「現地の状況を考慮せず」これらを実施したものではない。

なお、同提言において「カンボディアに対する食糧増産援助に農薬を含めたことは誤りであったとの認識が示された」事実はないと承知している。

6について

御指摘のような事態については、被援助国政府が国内法令等に基づき対処すべきものであり、政府として、被援助国政府との間であらかじめそのような事態を想定して防止策を取り決めているわけではないが、御指摘の見返資金については、被援助国政府との間の国際約束に基づき、被援助国政府が、我が国政府に対し積立状況を報告し、使途を協議することとされている。我が国政府としても、被援助国政府に対し、必要に応じ、御指摘のような事態を防止する措置を含め、見返資金を確実に積み立てて活用するための措置を講ずるよう働き掛けてまいりたい。

7について

食糧増産援助は昭和五十二年度に開始されたが、当時は、国内関係法令に基づき我が国の化学肥料製造業は不況業種に指定され合理化を推進していたことにかんがみ、食糧増産援助として供与された資金で被援助国政府が化学肥料を調達する場合には、被援助国政府との国際約束により我が国産品を購入するものとしていた。また、当時は、肥料価格安定臨時措置法(昭和三十九年法律第百三十八号)により特定の肥料の価格について生産業者及び販売業者は取決めを締結することが認められていたことから、当該肥料につき我が国の業者を対象として競争入札をしても、一定価格を下回ることが事実上期待できないとの事情があったことにかんがみ、被援助国政府が正当な理由を付して随意契約を希望した場合にはこれを認めており、当該随意契約の締結に際しては、援助の円滑な実施の観点から、一定の基準を満たす我が国の商社を、取扱業者として被援助国政府に推薦していたものである。

その後、総務庁(当時)が「経済協力(政府開発援助)に関する行政監察(第一次)結果に基づく勧告」(昭和六十三年七月)において、「外務省及び大蔵省は、援助の適正かつ効果的・効率的実施の確保を図る観点から、化学肥料製造業の合理化の進捗状況を踏まえ、肥料援助のアンタイド化等効果的・効率的援助方策について関係省庁と協議する必要がある」との勧告を行ったことから、我が国の化学肥料製造業の構造改善状況も踏まえつつ、被援助国政府との合意により平成元年度から段階的に調達先のアンタイド化を進めて平成四年度に全面的にアンタイド化するとともに、平成二年度からは原則として随意契約を認めず一般競争入札を行っているものである。

なお、御指摘の商社による話合いに関する報道に係る事実については、当時、外務省において関係者から事情を聴取したが、その存在を確認するには至らなかったものである。

8について

食糧増産援助の在り方については、資機材を購入する資金を被援助国政府に供与するという形態でこれまで実施してきたところであるが、被援助国の様々な援助要請に柔軟に対応できるよう、例えば、食糧増産に関連する農業技術指導を目的とした専門家の雇用にも供与した資金を使用することができるようにするといった改善を図っており、今後とも、被援助国の持続的食糧生産に一層効果的に寄与する適切な形態の援助が実施できるよう、御指摘の援助資機材の配布等食糧増産援助の実施に係る体制が十分でない被援助国に対する食糧増産援助の停止といったことも含め適切に対応してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2003年2月20日 原口 一博(民主党・無所属クラブ) 答弁 2003年3月28日
衆議院 第156回 第25号
提出 2020年5月7日 宮川 伸(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム) 答弁 2020年5月19日
衆議院 第201回 第188号趣旨が明らかではない ×3
提出 1978年1月21日 寺田 熊雄 答弁 1978年1月31日
参議院 第84回 第7号
提出 2000年9月26日 中川智子(社会民主党・市民連合) 答弁 2000年11月14日
衆議院 第150回 第3号
提出 1985年2月12日 田中美智子 答弁 1985年2月26日
衆議院 第102回 第14号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる