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台湾向け原子力発電設備の輸出許可に関する質問主意書

衆議院 第154回 第172号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2002年7月30日
内閣転送 2002年7月31日
答弁書受領日
2002年8月27日
提出から28日
答弁の項目数
7
質問 1,778字/答弁 2,136字

質問本文

わが国から台湾に原子力発電が輸出されようとしているが、政府は輸出される品目を明らかにしようとはせず、国民はその安全性すら確認できない状況にある。しかも、台湾での原子力発電設置地域の周辺では海底火山が活動中であり、原子力発電の危険性が識者からも指摘されているところである。

この件について、以下質問する。

一 経済産業省は原発に関する資機材の輸出許可申請品目は企業秘密という理由で原子炉容器、関連部品などについて一切公開しない。核拡散防止条約に基づき、国際的に定められた核関連品目の許可である以上、品目を隠すことは許されないはずである。しかも、条約履行についてはその情報が開示されてこそ確認できるものである。

従って、台湾向けに輸出が計画されている原子力発電資機材に関する輸出許可申請の品目内容を明らかにされたい。

二 台湾に輸出される予定の原子炉と同型の柏崎原発の6号炉、7号炉は重大な事故を発生させている。政府は安全確保を前提に輸出を許可するとしているが、事故発生の原因が輸出国にある場合、責任を負わなければならないが、政府はどのようにして安全を確保するのか、明らかにされたい。

三 さらに、原子力委員会の原子力研究開発長期計画でも、総合資源エネルギー調査会の政策文書でも安全確保のワンセットと述べているが経済産業省貿易局の輸出審査事項は核拡散の危険性だけで安全性の確保については審査対象とさえしておらず、政策方針と現実の実施状況に乖離が見られる。政府は、いかにして安全のワンセット供給を実現するのか、その方策と具体的な措置を明らかにされたい。

四 近年、台湾第四原発に近接した地点に多数の海底火山があり、活発に活動中であることが明らかになった。建設予定地域でも大地震が頻発しており、海底火山との関連で今後も火山性地震と大地震の発生が予測されているところである。原子力開発利用長期計画が指摘する通り、原子力災害は国境を越えて重大な被害をもたらすため、近隣諸国は運命共同体的位置にあり、災害防止の第一の責任は運転国にあるとしても、災害発生の原因によっては輸出国が相当の責任を負わなければならない。

よって政府は、地震災害の知見にたってこの点をどう考えるのか、安全確保の面から、現計画の中止あるいは立地地点の変更など考慮すべきと考えるが、いかがか。

五 日本の原子力安全委員会では二〇〇一年七月、原子炉施設の耐震設計審査指針の見直しを始めたが、日本と同様に大地震の発生が予測される台湾向け原子炉施設は細心の知見に基づき耐震設計の審査が行われなければならないと考えるが、この点について政府の見解を明らかにされたい。

六 原子炉の輸出にあたっては、輸出国は受け入れ国から核爆発用に転用しないとの確約を取り付けることを核拡散防止条約は定めている。

平成一〇年七月政府は、「台湾は核兵器を製造しない」との李登輝氏の発言を受けて、核拡散防止条約に違反しないとしているが、それは米国務省から在米日本大使館宛の口上書に示されているだけで、台湾政府の公式の約束であることを示すものではない。台湾は核拡散防止条約を批准しておらず、従って核爆発用に転用しないという確約はない。

政府が、アメリカ政府が台湾の核施設の保障措置確保に責任をもち、核拡散防止条約の規定が満たされていると認識されるのは何故か、その根拠を明らかにされたい。

七 日本国内の原子力施設でも、世界的にも原子力発電施設の安全性が確保されていないことが明らかになり、経済的にもコスト面で他の発電方式に劣ることが判明しつつある現在、世界は原子力発電施設から撤退の方向に向かっている。そうした中で、日本は近隣諸国に対して工業化に伴う電力需要の増加を賄う手段として原子力発電を推奨し、日本からの原子力発電の設備の輸出を推進しようとしている。これは原子力委員会、総合資源エネルギー調査会の政策文書が示しているだけでなく、政府が主催するアジア原子力協力ネットワークなどの活動に表れている。このような動きはアジア地域に原子力災害を広げ、取り返しのつかない被害をもたらす危険を伴うことと考えられる。こうした原発輸出推進政策を中止し、自然と共存する将来も安全な発電設備の輸出に転換する用意はないか、明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

台湾電力龍門原子力発電所(以下「台湾第四原発」という。)向けには、原子炉一次冷却水循環ポンプ電源装置、原子炉一次冷却水循環ポンプ、原子炉制御棒駆動装置及び原子炉圧力容器の四件の輸出許可申請に対し、輸出許可を行ったが、これら四件の輸出許可に係る原子力設備の詳細については、私企業の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

なお、我が国の事業者による台湾第四原発向けの原子力設備の輸出については、六についてで述べるとおり、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「核兵器不拡散条約」という。)における要件は満たされている。

二について

原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解している。このような認識については、民生用原子力発電所の安全確保を目的とした原子力の安全に関する条約(平成八年条約第十一号)の前文においても言及されている。

なお、我が国からの原子力設備の輸出に当たっては、輸出相手先における原子力発電施設の安全性は、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づく輸出許可の審査要件とされていない。

三について

平成七年六月十二日に総合エネルギー調査会原子力部会が取りまとめた中間報告書は、我が国から原子力設備を輸出するに際しての考え方として「安全のワンセット供給」について述べているところ、これは、「資機材の輸出にあわせて運転管理技術、定期検査制度等の安全関連システム等のソフトウエアの移転も行っていく」というもので、「長期間にわたって運転、保守補修等に協力していくこととすれば、こうしたソフトウエア面での技術移転が進み、相手国・地域の原子力発電の安全水準を向上させる効果」が期待されることから、輸出者及び製造者が原子力設備を輸出する際に考慮することが必要であるとしており、政府としては、その考え方の普及に努めている。

なお、台湾における「安全のワンセット供給」に係る取組としては、社団法人原子力産業会議が、原子力安全に係る情報・意見交換を行うため、昭和六十一年から日台原子力安全セミナーを毎年開催しており、また、東京電力株式会社が、平成十二年に、台湾第四原発において採用されている原子炉と同じ炉型である原子炉保修訓練施設を使用し、台湾電力公司の技術者に訓練を実施している。

四について

二についてで述べたとおり、原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解している。

台湾第四原発については、台湾当局が、耐震安全性も含めた安全審査を行った上で、平成十一年三月十六日付けで建設を許可しているものと承知しており、「現計画の中止あるいは立地地点の変更など」については、台湾当局又は建設許可申請者である台湾電力公司において判断すべきものと考える。

五について

二についてで述べたとおり、原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解しており、台湾における耐震設計審査の在り方についても台湾当局が、判断すべきものと考えている。

なお、台湾当局から我が国の有する原子力安全に関する知見の提供等を求められた場合には、民間団体を通じて、その求めに応じていきたいと考えている。

六について

アメリカ合衆国(以下「米国」という。)政府は、平成十年一月二十六日に米国国務省から在アメリカ合衆国日本国大使館に発出された口上書において、米国政府として台湾当局が管理する地域にあるすべての核物質に対して国際原子力機関による保障措置が適用されることを確認する等の意図を我が国政府に対して公式に表明している。右意図表明は、我が国政府との協議を経てされたものであり、これが行われるに際しては、当該保障措置等は米国政府が台湾当局から得ている保証に基づいてされるものであるとの説明を米国政府から受けている。

核兵器不拡散条約第三条2においては、核兵器不拡散条約の各締約国が特殊核分裂性物質の使用等のために特に設計され又は作成された設備等を非核兵器国に供給するに当たっては、当該特殊核分裂性物質に保障措置が適用されることを条件としているが、右口上書に述べられているとおり、台湾当局が管理する地域にあるすべての核物質(特殊核分裂性物質を含む。)は、国際原子力機関による保障措置の適用を受けるので、本件原子力設備の台湾への輸出は核兵器不拡散条約に違反するものではない。

七について

原子力を含むエネルギー政策については、基本的には、各国又は地域がそのエネルギー事情や環境問題への対応等の観点から、自らの責任において判断していくべきものと認識している。

我が国政府としては、各国又は地域が自らの判断において原子力発電施設の導入を決定した場合、先方の要請に応じて、より安全な原子力発電が行われるよう、高品質の原子力設備を輸出するとともに、優れた運転管理技術等を併せて提供していくことが、輸出相手先の原子力に関する安全性の向上に資するものと考える。

衆議院の原文

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