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イラク戦争と我が国の外交に関する質問主意書

衆議院 第156回 第89号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2003年5月29日
内閣転送 2003年6月2日
答弁書受領日
2003年8月5日
提出から68日
答弁の項目数
5
質問 1,825字/答弁 1,948字

質問本文

イラク戦争は米国等による圧倒的な軍事力の行使により、事実上終了した。軍事的には米国等の勝利であるが、このことはこの戦争の正当性を何ら裏付けるものではない。

そこで今回の戦争とこれにかかわる我が国の外交の在り方に関して政府の見解を明らかにするために以下質問する。

一 今回のイラク戦争において、我が国政府は米国等のイラクに対する武力行使を支持したところである。そこでこの武力行使の根拠となる国連憲章、安保理決議(その具体的な条項についても)並びに国際法について政府の見解を明らかにされたい。

二 我が国政府が、内閣(内閣法(昭和二十二年一月十六日法律第五号)でいうところのもの。以下同じ。)として米国等によるイラクへの武力行使の支持を決定したのは何時か明らかにされたい。

三 小泉総理は第一五六回国会国家基本政策委員会合同審査会(平成十五年三月十九日)において、イラク戦争に対する日本の態度について「日本の国家利益を考えて」表明すると発言した。

現行憲法制定後において、我が国の外交に関して総理が公の場で国家利益(すなわち「国益」)についてあからさまに言及したことはおそらく初めてのことと思われる。

また過去において我が国のあからさまな国益追求の結果が、先の大戦の惨禍であったことを鑑みると、この言葉の持つ意味は決して小さくない。

そこで以下の点に関する政府の見解を明らかにされたい。

1 総理がこの時発言した「国家利益」の具体的内容。

2 この「国家利益」の具体的内容を内閣として決定した時期。

四 イラク問題に対する我が国の公式見解を国連において表明した「イラク情勢に関する安保理公開会合における原口国連代表部大使演説」(平成十五年二月十八日)は、外務省ホームページ「国連の場における演説」において「仮訳・英語版」と表記されている。

これは同演説の正文が英文のみしか存在しないことを意味するものと思われる。しかしそれでは最高レベルでの日本国の国家意思の表明について日本文が存在しないことになり、極めて奇異である。

例えば、「起案の手引」(防衛庁長官官房法規課)によれば、「外国の機関にあてる文書であっても、案文は日本語で書く。必要な場合には、相手国語に翻訳した訳文を付ける。ただし、この場合においても、正文書は飽くまでも日本語文の文書である」としている。日本国政府の意思表示について、まずは日本語で作成されることは、常識以前のことと思われる。

そこで以下の点について政府の見解を明らかにされたい。

1 同演説の正文は英文のみなのか。

2 同演説に日本語の正文が存在しない理由を明らかにされたい。

3 同演説の起案・合議・決裁の経緯をつまびらかに明らかにされたい。

4 同演説は内閣に対して事前に報告ないし承認をされているのか。その時期と場所を含め明らかにされたい。またその対象となった演説が英文であったのか、日本文であったのかも明らかにされたい。

5 同演説は総理に対して事前に報告ないし承認をされているのか。その時期と場所を含め明らかにされたい。またその対象となった演説が英文であったのか、日本文であったのかも明らかにされたい。

五 政府がイラク戦争の正当性を根拠付けるものと主張する安保理諸決議の有権的解釈について、以下の点について政府の見解を明らかにされたい。

1 安保理決議の有権的解釈が示される経緯が不明であるので、その手続と具体的にそれが示された事例について主なものを明らかにされたい。

2 「今回のイラク共和国(以下「イラク」という。)に対する武力行使が安保理の決議第六百七十八号、決議第六百八十七号及び決議第千四百四十一号に照らし正当化されることについては、安保理の理事国であるアメリカ合衆国(以下「米国」という。)、グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国、スペイン、ブルガリア共和国がこのように判断をしている」(内閣衆質一五六第四五号 平成十五年四月八日)と政府は主張している。

そこで、これらの国が「このように判断をしている」していることが、安保理の有権的解釈となり得るのか、その根拠と共に明らかにされたい。

3 「我が国を含む多くの国もかかる判断を正当なものとしてイラクに対する武力行使を支持している」(同右)とのことであるが、具体的な国名とその支持が表明された時期と場所についてそれぞれ明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

今般のアメリカ合衆国(以下「米国」という。)等によるイラク共和国(以下「イラク」という。)に対する武力行使は、国際の平和及び安全を回復するという目的のために武力行使を認める国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第七章の下で採択された国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)の決議第六百七十八号、第六百八十七号及び第千四百四十一号を含む関連する決議に合致し、国連憲章にのっとったものであるので、国際法上認められたものであると考える。

二及び三について

内閣としては、平成十五年三月二十日に内閣総理大臣談話を閣議決定し、米国等によるイラクに対する武力行使への支持を表明した。お尋ねの「国家利益」の具体的内容については、この閣議決定において言及されているとおり、大量破壊兵器の拡散の防止による平和と安全の維持等である。

四について

御指摘の演説については、平成十五年二月十七日に外務省本省において和文原稿を起案し、同月十八日に外務大臣の決裁を得た。同日に、外務大臣から内閣総理大臣に同演説の内容について説明を行い、了承を得た。なお、お尋ねの「同演説は内閣に対して事前に報告ないし承認をされているのか」の意味が必ずしも明らかでないが、同演説が閣議報告、閣議了解等の手続を経たか否かを意味するとすれば、同演説についてそのような手続は経ていない。

同日、外務大臣から国際連合日本政府代表部(以下「国連代表部」という。)特命全権大使あてに、同和文原稿のとおり演説を行うよう訓令を発出し、同和文原稿に基づき国連代表部において英文原稿が作成された。同日の実際の演説は同英文原稿に基づいて英語で行われたことから、外務省のホームページにおいては、同和文原稿を「仮訳」とし、同英文原稿を「英語版」として掲載したところである。

お尋ねの同演説の正文について、条約その他の国際約束であれば、当該国際約束を解釈する上で権威を有する正文を確定することが通常であるが、そもそも、国際連合における演説にはそのような意味での正文は存在しない。

五の1及び2について

安保理決議の有権的解釈を行うのは安保理である。安保理が安保理決議の有権的解釈を提示するために特に定められた手続というものが存在するとは承知していないが、安保理決議の解釈に疑義が生じた場合は、必要に応じ、安保理で討議を行い、新たな決議の採択又は安保理議長声明の発表によって処理することもあると承知している。具体的には、イラクに対する経済制裁を決定した安保理の決議第六百六十一号の解釈をめぐり、イラクに食料又は医療品を送ることが可能な具体的な場合について疑義が生じた際、安保理の決議第六百六十六号の採択によって処理された事例があると承知している。他方、今回のイラクに対する武力行使に関する米国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(以下「英国」という。)等による安保理決議の解釈については、多くの国がその解釈を正当なものとして判断し、また、これまで異なる内容の新たな決議の採択又は安保理議長声明の発表がなされてもいないことから、我が国としても、米国、英国等の解釈は正当なものと考える。

五の3について

お尋ねの「我が国を含む多くの国もかかる判断を正当なものとしてイラクに対する武力行使を支持している」との記述は、米国大統領府が、アフガニスタン、アルバニア共和国、アンゴラ共和国、オーストラリア連邦、アゼルバイジャン共和国、ブルガリア共和国、コロンビア共和国、コスタリカ共和国、チェコ共和国、デンマーク王国、ドミニカ共和国、エルサルバドル共和国、エリトリア国、エストニア共和国、エチオピア連邦民主共和国、グルジア、ホンジュラス共和国、ハンガリー共和国、アイスランド共和国、イタリア共和国、日本国、クウェート国、ラトビア共和国、リトアニア共和国、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、モンゴル国、オランダ王国、ニカラグア共和国、パラオ共和国、パナマ共和国、フィリピン共和国、ポーランド共和国、ポルトガル共和国、ルーマニア、ルワンダ共和国、シンガポール共和国、スロバキア共和国、ソロモン諸島、大韓民国、スペイン、トンガ王国、トルコ共和国、ウガンダ共和国、ウクライナ、英国、米国及びウズベキスタン共和国の計四十九か国を安保理の関連する決議に基づきイラクの大量破壊兵器を武装解除するための連合に参加する国として発表していること等を踏まえたものである。

なお、お尋ねの「支持が表明された時期と場所」に関しては、各国の支持の形態が多種多様にわたり、当事者間でないと知り得ない要素を含むことから、お答えすることは困難である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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