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イラク戦争の正当性に関する質問主意書
参議院 第161回 第2号
質問本文
先般のイラク戦争は、「大量破壊兵器が存在し、それが周辺国に脅威を与えるから」ということを根拠に米国がイラクを攻撃し、日本もそれを支持した。ところが、本年十月六日、米国のイラク監視グループ(調査団)のチャールズ・デュエルファー団長は、イラク戦争開戦時にはイラク国内に大量破壊兵器は存在せず、開発計画も無かったとする最終報告書を米国議会に提出した。これによりイラク戦争を支持する大義は無くなった。
そこで、以下質問する。
一 政府は、「イラクでの大量破壊兵器の存在が国際社会の平和と安全を脅かしている」として、イラク戦争を開始する米国を支持したが、イラクに大量破壊兵器が存在する旨の情報をどこから入手したのか。また、この情報を受けたことを一つの根拠として政府は米国支持の判断を下したが、この誤った情報についてどのように考えるのか。さらに、結果的に政府は判断ミスを犯したことになるが、この情報源に対し抗議を行わないのか。
二 英国のブレア首相は、イラクを攻撃した正当性を未だに主張している。しかし、イラクに大量破壊兵器があるという情報が結果として誤っていたことを認めて、謝罪を行った(本年十月十三日英国下院における質疑に対する答弁)。同じように、日本政府はイラクに大量破壊兵器が無かったことを認めるのか。また、政府は、戦争開始時の自らの判断が誤っていたことについて謝罪を行わないのか。
三 現在、世界では、米国、英国、フランス、ロシア、中国の五か国だけが大量破壊兵器である核兵器を保有している。核兵器保有国の一つである米国が、大量破壊兵器の疑惑があるという理由だけでイラクを攻撃したこと自体許すことはできないのではないかと考えられるが、政府の見解を示されたい。
四 イラク以外にも、非核保有国の中に、核の保有・開発が疑われている国が存在するが、なぜか米国はイラクだけに攻撃を行い、こうした疑惑国に攻撃を行わない。このような米国の姿勢を政府はどう考えるのか。
五 大量破壊兵器を持ち、自国の勝手な判断で他国に大義なき戦争を仕掛ける米国の姿勢は大変問題が多いのではないか。日本政府としても、同盟国として盲目的に支持するのではなく、このように誤った判断を下している国に対して、適切な意見を述べていくことが必要ではないか。これらについて政府の見解を示されたい。
六 政府は、国連決議六七八、同六八七、同一四四一のいずれかが、米国によるイラク攻撃の正当性の根拠の一部となりうると考えているのか。考えていないのであれば、何を根拠にしたと考えているのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
イラクについて、かつて実際に大量破壊兵器を使用していた事実があるほか、多くの大量破壊兵器に関する疑惑が存在したことは、国際連合監視検証査察委員会(以下「UNMOVIC」という。)等の査察報告等でも明らかになっているとおりである。
イラクは、査察への非協力を始め関連する国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)の決議につき重大な違反を継続的に犯してきたものであり、米国等によるイラクに対する武力の行使は、累次の関連する安保理の決議に合致し、国際連合憲章にのっとったものであって、我が国がこれを支持したことは正しかったと考える。
したがって、お尋ねのような抗議を行う考えは無い。
二について
二千四年十月七日に発表されたイラクの大量破壊兵器に関する米国中央情報局長官特別顧問による包括的報告、いわゆるイラク監視グループ(以下「ISG」という。)の報告によれば、イラクに大量破壊兵器が存在しないことは、ほぼ確実となったと判断される。
しかし、ブレア英国首相が謝罪したのは、イラクの大量破壊兵器に関する英国政府自らの情報が結果として誤っていたことについてであったと承知しており、我が国政府についてはそのような事情がなく、また、我が国の米国等によるイラクに対する武力の行使への支持は、飽くまで累次の関連する安保理の決議及びUNMOVIC等の査察報告等に基づいて自主的に判断したものであり、その判断は正しかったと考える。
また、仮に米国等によるイラクに対する武力の行使が行われなかったならば、今回のようなISGによる徹底した調査の実施は困難であり、大量破壊兵器の疑惑から生ずるイラクの脅威は現在も続いていたと考える。かつて大量破壊兵器を使用したことのあるイラクが安保理の決議に従わず、UNMOVIC等の査察団が大量破壊兵器をめぐる疑惑を否定し得ないという極めて異常な状況の下では、国際の平和と安全を回復するために安保理の決議に基づきとられた行動を支持することは、当然のことであったと考える。
したがって、我が国政府が謝罪すべきであるとの御指摘は当たらないと考える。
三について
UNMOVIC等の査察報告等でも明らかになっているとおり、イラクについては、かつて実際に大量破壊兵器を使用していた事実があるほか、多くの大量破壊兵器に関する疑惑が存在したところである。イラクは、査察への非協力を始め関連する安保理の決議につき重大な違反を継続的に犯してきたものであり、米国等によるイラクに対する武力の行使は、累次の関連する安保理の決議に合致し、国際連合憲章にのっとったものである。したがって、大量破壊兵器の疑惑があるという理由だけで米国がイラクを攻撃したわけではないと考える。
四及び五について
一についてで述べたとおり、米国等によるイラクに対する武力の行使は、累次の関連する安保理の決議に合致し、国際連合憲章にのっとったものであり、我が国は自主的な判断に基づきこれを支持している。大量破壊兵器の保有や開発が疑われているその他の国については、イラクに対してなされたような安保理の決議は存在していないこと等から、こうした国に対する対応とイラクに対する対応とは、同様のものとはならないと考える。
また、我が国の外交政策については、従来から、日米同盟と国際協調の双方を重視しつつ、我が国の国益を踏まえ自主的に判断してきている。米国との間では、これまで同様、日米双方が言うべきことを言い、行うべきことを行っていく必要があり、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協議を行っていく必要があると考えている。
六について
イラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するという目的のために武力行使を認める国際連合憲章第七章の下で採択された決議第六百七十八号(以下「決議六七八」という。)、決議第六百八十七号(以下「決議六八七」という。)及び決議第千四百四十一号(以下「決議一四四一」という。)を含む関連する安保理の決議により正当化されると考えている。
すなわち、決議一四四一において、安保理は、イラクが決議六八七を含む関連する安保理の決議の義務の重大な違反を継続的に犯していることを決定し、イラクに対して関連する安保理の決議の下での武装解除の義務を遵守する最後の機会を与えた。しかし、武力行使開始の時点までの、UNMOVIC等の安保理への累次の査察報告等においても明らかなとおり、決議一四四一で履行を求められている関連する安保理の決議の義務がイラクによって完全に履行されていなかったことから、決議一四四一が採択された後もこれらの義務の更なる重大な違反が生じていると言わざるを得ない状況にあった。決議一四四一によって与えられた最後の機会をイラクがいかそうとせず、いわゆる湾岸戦争の停戦条件を定めた決議六八七を含む関連する安保理の決議の重大な違反が武力行使開始の時点まで継続的に生じていたことから、決議六八七に基づくいわゆる湾岸戦争の停戦の基礎が損なわれていたため、国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段をとることを容認した決議六七八に基づき、武力行使が正当化されると考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。