ことばで探す › 衆議院 第165回
安倍首相の日本国憲法についての認識に関する質問主意書
衆議院 第165回 第27号
質問本文
安倍新政権が成立したことを受けて、安倍内閣総理大臣の憲法についての見解や政治姿勢を明らかにすることは、多くの国民の要求するところである。
従って、以下、質問する。
一 安倍首相の「憲法を逐条的に変えるのではなく白地から書いて、国のあり方を考えることが大切なんです。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)「基本的に全文脈です。すべてを見直し、書き起こしていく作業が必要だと考えております。」(「正論」二〇〇四年七月号)という発言について
1 ここで安倍首相がいう「白地から書いて」「すべてを見直し、書き起こしていく」とは、日本国憲法を廃止して新しい憲法を制定するということか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
2 日本国憲法は、第九六条第二項の改正に関する規定で「この憲法と一体を成す」としており、廃止改正することは日本国憲法自体が想定していないと考えるが、安倍首相の見解を明らかにされたい。
3 日本国憲法第九六条第二項のもとで、どのような範囲の改正なら可能と考えるのか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
二 安倍首相の自著の「《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した》(略)憲法前文は、敗戦国としての連合国に対する“詫び証文”のような宣言がもうひとつある。《われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい》という箇所だ。」(『美しい国へ』一二二頁)という記述について。また「白地から新しい前文を書きます。現憲法の前文は何回読んでも、敗戦国としての連合国に対する詫び証文でしかない。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)という発言について
1 なぜ、日本国憲法前文が「詫び証文でしかない」と安倍首相は主張するのか。その理由を示されたい。
2 日本国憲法前文が「詫び証文」でしかないという安倍首相の認識が、今後の日本政府としての公式見解と理解してよいか。
三 安倍首相の「憲法には国民の権利を保障するために、国家権力の手足を縛る側面もありえますが、他方、日本国民の生命、財産を守るために必要な規定も並置されているわけで、その実行力を奪うようなことをしてしまっては本末転倒です。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)という発言について
1 「日本国民の生命、財産を守るために必要な規定」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
2 「その実行力を奪うようなこと」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
四 安倍首相の自著の「ふたつの保守党が合併したもうひとつの理由は、日本が本当の意味での独立を取り戻すことにあった。(略)まさに憲法の改正こそが、『独立の回復』の象徴であり、具体的な手だてだったのである。(略)第二の目標は、後回しにされてしまった。(略)その結果、弊害もあらわれることになった。(略)損得を超える価値、たとえば家族の絆や、生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまったのである。」(『美しい国へ』二九頁)という記述について
1 安倍首相が「生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまった」理由が憲法改正が後回しにされたことにある、と考える根拠を示されたい。
2 「生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまった」責任は誰にあると安倍首相は考えるのか。
3 長年与党の地位にあった自民党に責任はあると安倍首相は考えるのか。
五 安倍首相の「日本の国は、戦後半世紀以上にわたって、自由と民主主義、そして基本的人権を守り、国際平和に貢献してきた。(略)日本人自身がつくりあげたこの国のかたちに、わたしたちは堂々と胸を張るべきであろう。わたしたちは、こういう国のありかたを、けっして変えるつもりはないのだから。」(『美しい国へ』六九頁)という記述と「戦後六〇年間の我々の『平和に対する貢献』という実績にもっと誇りを持って良いでしょう。」(「諸君!」二〇〇五年八月)という発言について
1 「こういう国のありかたを、けっして変えるつもりはない」といいながら、なぜ日本国憲法を改正する必要があるのか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
2 安倍首相は、「戦後六〇年間の我々の『平和に対する貢献』という実績」は、日本国憲法第九条のもとで実現されてきたとの見解か。
六 安倍首相の「現行憲法の制定過程に問題があった。」(「論座」二〇〇四年二月号)という発言について
1 ここで安倍首相がいう「現行憲法の制定過程」の「問題」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
2 「現行憲法の制定過程に問題があった」という安倍首相の見解が、日本政府の公式見解としてよいか。
七 安倍首相の日本国憲法についての「時代にそぐわない条文、その典型的なものが九条だと思いますが、それ以外にも新しい価値観が生まれている中で見直していかなければいけない条文、あるいは改定しなければいけない条文がある」(「論座」二〇〇四年二月号)という発言について
1 「時代にそぐわない」というのは具体的にはどの条文をさすのか。安倍首相の見解を示されたい。
2 その条文があることによって、具体的にどのような国益を減じさせるのか。安倍首相の見解を示されたい。
八 安倍首相の自著の「国の骨格は、日本国民自らの手で、白地からつくりださなければならない。そうしてこそ、真の独立が回復できる。」(『美しい国へ』二九頁)「憲法第九条の規定は、いっぽうで独立国としての要件を欠くことになった。」(『美しい国へ』一二三頁)という記述について
1 安倍首相の論理でいえば、日本国憲法第九条がある限り、日本は独立国ではないということになるが、今の日本は日本国憲法第九条がある以上、独立国ではないと考えるのか。安倍首相の見解を示されたい。
2 「独立国の要件」とは何か。安倍首相の見解を示されたい。
九 日本国憲法第九九条の憲法尊重擁護義務により、安倍首相は日本国憲法を尊重し擁護する義務があると考えるが、安倍首相の見解はどうか。
一〇 過去の歴史に対しての認識を明らかにせず、憲法について議論することはできないと考えるが、安倍首相の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一、三、五の1及び七について
お尋ねは、憲法改正を前提とするものであると考えられるところ、政府においては、現在のところ、憲法改正を現実の課題としていないため、お答えすることは差し控えたい。
なお、安倍内閣総理大臣は、平成十八年九月二十九日の所信表明演説において、「現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、既に六十年近くが経ちました。新しい時代にふさわしい憲法の在り方についての議論が、積極的に行われています。与野党において議論が深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。」と述べている。
二について
政府としては、御指摘の憲法前文第二段の文理は、我が国が平和主義及び国際協調主義の立場に立つことを宣明したものであると考えている。
四について
お尋ねは、安倍晋三衆議院議員の政治家個人としての著作に係るものであり、政府としてお答えする立場にない。
五の2について
政府としては、我が国は、憲法の平和主義及び国際協調主義の立場に立ちつつ、国際社会の平和に積極的に貢献してきたと考えている。
六について
政府としては、現行憲法は、最終的には帝国議会において、十分に審議され、有効に議決されたものであるが、連合軍の占領中に占領軍当局の強い影響の下に制定されたものであると考えている。
八について
御指摘の「独立国」の意味は、文脈によって異なり得るが、一般に、少なくとも一定の領域においてその領域に在る住民を統治するための実効的政治権力が確立していることが、独立した国家の要件であると考える。今日の我が国は、独立した国家である。
九について
政府としては、憲法第九十九条は、日本国憲法が最高法規であることにかんがみ、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えている。
一〇について
政府としての認識については、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等において示されてきているとおりである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。