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日本・フィリピン経済連携協定等に関する質問主意書
衆議院 第166回 第453号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1承知していない ×2
質問本文
日本とアジア諸国の間では、二国間の経済連携協定あるいは自由貿易協定の締結が次々と進められている。日本・フィリピン経済連携協定は、二〇〇六年九月九日に署名され、日本では一二月六日に国会承認された。
経済連携協定は、関税引き下げで貿易拡大を図る自由貿易協定を軸に、投資拡大、行政手続きの簡略化など包括的な取り決めであるが、日本・フィリピン経済連携協定が貿易の自由化対象としている物品リストには、医療廃棄物や都市ごみ焼却灰など有害廃棄物や放射性廃棄物も掲載されている。有害廃棄物の越境移動により主として途上国で甚大なる環境破壊や健康被害が引き起こされてきた経験から、国際社会が一九八九年に採択したバーゼル条約に我が国も加盟している。それにもかかわらず、同経済連携協定ではバーゼル条約の対象となる有害廃棄物や放射性廃棄物の貿易の自由化対象としていることで、途上国への有害廃棄物の新たな押しつけに道を開く危険性が高いと懸念される。一方、医療廃棄物や焼却灰などの有害廃棄物や放射性廃棄物については日本の輸入自由化項目にも含まれているが、日本は現在でさえ国内で廃棄物の不法投棄や処分場残余年数低下の問題を抱え、また国内で発生する放射性廃棄物は長期的な処理の見通しの不確かなまま毎年増加しているため、これらを敢えて輸入自由化項目に入れることは国内の現状と著しい不整合を来している。ついては、内閣としての答弁を求める。
一 有害廃棄物ならびに放射性廃棄物は、フィリピン側の輸入イニシャルオファーのリストに掲載されていたのか。イニシャルオファーのリストにはどのような項目があるのか明らかにした上で、個々の品目について説明されたい。
二 イニシャルオファーのリスト、修正オファーのリスト等交渉経過を示す資料に関する、市民団体による情報公開請求を却下した理由を、政府は情報公開法第五条第三号に該当するとしているが、日本・タイ経済連携協定においてはタイ側の公聴会で交渉中のリストが公開されている。このことによって、今までに、我が国が行っている他国もしくは国際機関との同種の交渉において、日本が交渉上の不利益を被ったといえる事実はあるか。
三 経済連携協定においてどのような物品が貿易自由化されるかは、きわめて近い将来の市場のあり方、ひいては国民の生活や企業活動をも大きく左右する問題であるにもかかわらず、自由化リストが、交渉開始に先立って、国会で説明されなかったのはなぜか。
四 有害廃棄物や放射性廃棄物が自由化リストに掲載された理由について、外務省は、“経済連携協定締結のためには両国の貿易する物品の「九〇%以上の自由化」が必要との考えから、他の自由化を回避したい品目を守るために、廃棄物も自由化品目に入れた”とこれまで説明している。しかし、経済産業省によれば「九〇%」を計算する際は、通常「最新の一年分の実績」を用いることになっており、最新の一年分の総貿易額を分母にして、自由化品目を積み上げ、過去実績額が九〇%以上の数値に達することを目安とすると説明されている。しかし、自由化品目リストに掲げられている有害廃棄物については貿易実績の無い(〇円)ものがほとんどであり、分子にあたる過去実績額にこれらを加算する意味はない。すなわち、九〇%を達成する為に有害廃棄物を自由化リストに入れたという政府の説明は、理由として成立していない。よって改めて論理的説明を求める。
五 北米自由貿易協定(NAFTA)では、バーゼル条約対象の有害廃棄物は自由化リストには掲載されていないというのは事実か。事実であれば、なぜ日本・フィリピン経済連携協定では有害廃棄物が外せないのか。
六 経済連携協定以前より、ほとんどの有害廃棄物には関税が課されていないが、今回自由化品目とされたことによって、貿易手続き上どのような簡略化が可能になるか、全て説明されたい。
七 日本・フィリピン経済連携協定の発効後には、バーゼル条約の対象となる廃棄物の定義や輸出入の手続きについて変更が生じるか、あるとしたらそれはどのようなことか。
八 医療廃棄物や焼却灰などの有害廃棄物や放射性廃棄物を日本の輸入自由化項目にも含めた理由を説明されたい。
九 自由化リストの見直しが行われる際には、そのプロセスは国民あるいは国会に公開するか。
十 フィリピンは、ここ数年日本からの中古のテレビについて香港に次いで第二の輸出市場であることが経済産業省資料等から示されている。が、再使用可能な中古品であって廃棄物ではないことを確認するために一台一台について性能テストは行っているか。
十一 行っていないとすれば、再使用可能性をどのような方法で担保しているのか。
十二 使用不可能であることが現地で確認された場合には、引き取り(日本への再輸入)を行うか。
十三 テレビを解体してブラウン管や部品などの使える部品を取り出して組み立て直す等がフィリピンで行われている場合はバーゼル条約の対象となる廃棄物であると政府は認識しているか。
十四 使用済みテレビの現地での使用寿命はおよそ何年か。
十五 十から十四に関して、使用済みパソコンについてはどうか。
十六 経済産業省は、平成一八年度「循環資源の輸出入のための二国間・多数国間協定等の現状及び課題に関する調査委託事業」に係る委託先を公募し、二〇〇六年九月二九日付けで神鋼リサーチ株式会社が受注した。
その公募要領の中で、調査事業の目的として、下記のように述べている。
・・・これらの廃棄物の多くは、バーゼル条約の対象の有害廃棄物等に該当すると考えられるが、バーゼル条約締約国間での移動については、それぞれ各国の国内法で廃棄物の範囲が必ずしも同じでないこと、政府間での通告・回答に一定の時間を要することなどから、円滑に進まない場合がある。また、そもそもバーゼル条約締約国と非締約国との間では有害廃棄物の移動が禁止されている。このような問題の解決策として、他の国ではバーゼル条約第一一条に規定する二国間、多数国間若しくは地域的な協定又は取決めの締結を活用している・・・
調査事業目的に関する上記の記述は、二国間協定による有害廃棄物貿易の推進とバーゼル条約崩しが国の意図であることを明確に示している。このことについて説明願いたい。
十七 国会での日本・フィリピン経済連携協定承認審議のためには、最終合意文書をもって国会で審議することが当然の手続きであるが、提示された一連の日本語文書にフィリピン側の輸入自由化リストが含められていなかったのはなぜか。
十八 日本が、バーゼル条約の改定条項を批准しない理由は何か。
右質問する。
政府答弁書
一について
第百六十五回国会において承認された経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(以下「日フィリピン経済連携協定」という。)の交渉においてフィリピン側が当初提示した譲許表案の内容を明らかにすることは、フィリピンとの信頼関係を損ない、また、他国との今後の交渉上不利益をもたらすおそれがあると認められることから、困難である。
二について
今国会において承認された経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定については、タイ側の公聴会で交渉中のリストが公開されたとは承知していないが、一般論として申し上げれば、仮に経済連携協定の交渉中に提示した譲許表案が公開された場合において、これにより我が国が交渉上の不利益を被ったか否かについて述べることは、他国との今後の交渉上不利益をもたらすおそれがあるため、困難である。
三について
経済連携協定の交渉開始に先立って譲許表案を説明しなかったのは、これが明らかになることにより、相手国との信頼関係が損なわれ、他国との交渉上不利益を被るおそれが生ずると認められたことによるものである。
四及び八について
日フィリピン経済連携協定の交渉の結果、譲許表に記載する関税譲許の対象に廃棄物が含まれることとなったのは、日本及びフィリピンの双方が、可能な限り多くの品目について関税を撤廃し、又は削減するとの観点から関税の譲許に努めたことによるものである。
なお、日フィリピン経済連携協定に基づき関税が撤廃又は削減される品目に属する物品であっても、日本及びフィリピンが締結している有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(平成五年条約第七号。以下「バーゼル条約」という。)上の有害廃棄物に該当するものであれば、当該物品の輸出入はバーゼル条約に基づき規制されることとなる。
五について
御指摘の北米自由貿易協定(以下「NAFTA」という。)は、我が国が締結しているものではなく、政府としては、NAFTAの譲許表とバーゼル条約の関係についてお答えする立場にはない。
六について
日フィリピン経済連携協定に基づく関税上の特恵待遇を受けて貨物を輸入するためには、輸入申告の際に当該貨物が日フィリピン経済連携協定に規定する原産品であることを証明する原産地証明書の提出が必要となるが、日フィリピン経済連携協定においては、関税譲許の対象とされることによって貿易手続が簡素化されるといった措置は規定されていない。
七について
日フィリピン経済連携協定の発効は、バーゼル条約における有害廃棄物の定義やバーゼル条約が規定する輸出入の手続に変更を及ぼすものではない。
九について
政府としては、経済連携協定の見直しのための交渉を行うに当たっては、相手国との信頼関係が損なわれ、他国との交渉上不利益を被ることとならないよう留意しつつ、適切な情報提供に努めてまいる所存である。
十及び十一について
中古テレビについては、フィリピンからバーゼル条約第三条1の規定に基づく自国の法令により有害廃棄物であるとの通報がなされておらず、また、バーゼル条約附属書�\のB一一一〇において、直接再利用(修理、更新又は改良を含み、主要な再組立を含まない。以下同じ。)を目的として再生利用又は最終処分を目的としない電気部品及び電子部品は、バーゼル条約第一条1(a)に規定する廃棄物に該当しないとされていることから、フィリピンに輸出される中古テレビについては、直接再利用に適するか否かを調べることとしている。その際には、書類審査、貨物の確認等の方法により、税関、環境省及び経済産業省が緊密に連携しつつ、直接再利用に適するか否かを判断することとしており、御指摘のような性能テストを行うこととはしていない。
十二について
我が国から輸出される中古テレビは、直接再利用に適すると判断された場合にのみフィリピンに輸出されているが、バーゼル条約第九条2の規定によれば、仮に、廃棄物の国境を越える移動が「輸出者又は発生者の行為の結果として」不法取引となる場合には、輸出者、発生者又は我が国が引き取ること又はこれが実際的でないときは、バーゼル条約の規定に従って処分を行うことを確保することとなる。
十三について
主要な再組立は直接再利用に含まれないことから、主要な再組立が行われることを目的として中古テレビが輸出される場合には、当該中古テレビは、バーゼル条約における有害廃棄物に該当することとなり、その規制対象となるものと考えられる。
十四について
使用済みテレビのフィリピンでの使用寿命については、承知していない。
十五について
十及び十一について、十二について、十三について並びに十四についてお答えした趣旨は、使用済みパソコンについても同様である。
十六について
御指摘の「バーゼル条約崩し」の趣旨は必ずしも明らかではないが、バーゼル条約第十一条では、「二国間の、多数国間の又は地域的な協定又は取決めを締結することができる。」と規定されており、また、仮に、当該協定又は取決めを締結する場合には、「当該協定又は取決めは、特に開発途上国の利益を考慮して、この条約の定める規定以上に環境上適正な規定を定めるものとする。」と規定されている。
御指摘の調査事業は、アジア域内における資源の有効利用及び環境汚染の防止を図るために、バーゼル条約の規定に基づいてこのような協定又は取決めが満たすべき条件等について明らかにすることを目的として行ったものであり、当該調査事業が「二国間協定による有害廃棄物貿易の推進とバーゼル条約崩しが国の意図であることを明確に示している」との御指摘は当たらないものと考えている。
十七について
日フィリピン経済連携協定の国会における審議に当たっては、フィリピンの譲許表を含む正文である英語による文書はすべて国会に提出の上、審議されたところである。フィリピンの譲許表等については、技術的かつ専門的な内容であること、相手国独自の商品説明や国内法に基づく表記が見られ、日本語にするとかえって分かりにくくなる場合があること等の理由により、我が国とフィリピンとの間の交渉過程において折衝の対象となった品目及び分野並びに相手国との間の貿易投資関係の実態がある品目及び分野について日本語の抄訳を作成し、参考資料としてすべての国会議員に配布することとしたものである。
十八について
バーゼル条約の改正については、千九百九十五年九月の採択の後、現在に至るまで発効していない。また、有害廃棄物の再生利用については、環境保全の観点から適切に行われるものであれば、環境面でも経済面でも有効なものであることから、締約国の間で現在引き続き国際的な議論が行われている。我が国が千九百九十五年のバーゼル条約の改正を締結することは、環境保全の観点から適切な再生利用のための輸出を行うことが制限される結果、今後資源需要が増大する国々における再生利用の可能性を減少させるおそれがあるため、国際的な議論の進展を勘案しつつ、慎重に検討していく考えである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1承知していない ×2
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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