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社会福祉士試験の「漏洩疑惑」に関する質問主意書
衆議院 第167回 第11号お答えすることは困難 ×1承知していない ×2
質問本文
「前国会における答弁書」(内閣衆質一六六第四七六号)(以下「答弁書」という)において、厚生労働省が「漏洩疑惑」について知ったのは、「漏洩疑惑」が指摘され、日本社会事業大学内外で大きな問題となっていた昨年十二月の時点ではなく、第十九回社会福祉士試験実施(本年一月二十八日)後であったとしていること、また、本件についての厚労省などによる事情聴取が電話等で済まされていたことが明らかになった。本件は、相談援助等を業務とする社会福祉専門職である社会福祉士の国家試験の権威と信頼を揺るがす大きな問題であり、疑惑については究明し、二度とそうした事件を起こさせないことが必要である。そうした点からすれば厚労省の対応は適切なものと言えない。そこで再度質問する。
1 第十九回社会福祉士試験に向けて、昨年十二月に日本社会事業大学の「D教授」が、心理学の出題者名と人数を「学内模擬試験解説講座」資料集(以下「資料集」という)に掲載したこと等が「漏洩疑惑」とされている。答弁書では、本件について厚労省が知ったのは、本年二月五日の匿名の電子メールによるものとされているが、本年七月十二日の日本社会事業大学における学生向けの学長説明会で、大橋謙策学長が本件について「大学は昨年十二月二十六日、試験センターに知らせた」と説明している。この情報はインターネットの「社会福祉士国家試験改善」でも明らかにされている。
(1) 財団法人社会福祉振興・試験センター(以下「試験センター」という)は、本件について同大学から報告を受けていたのは間違いないか。
(2) 報告を受けていたとすれば、いつどのような形で報告があったのか。
(3) 厚労省は試験センターから本件について報告を受けたか。報告を受けたとすれば、いつどのような形で報告があったのか。
(4) 本件のようなケースは、公益法人である試験センターには所管官庁の厚労省に報告する義務があると考えるが、いかがか。
2
(1) 「D教授」は事情聴取に対して「推測した」と返答したとしているが、厚労省は「D教授」が出題者名と人数を「資料集」に掲載したこと自体について適切なことと考えているのか。適切でないとすれば理由を示されたい。
(2) 第十五回から第十九回まで社会福祉士試験の心理学の出題者名と人数を記載したことについて、厚労省は「D教授」の「推測」という返答で了解しているのか。しているとすれば、その理由を示されたい。疑問があるから事情聴取したにもかかわらず『推測』の一言で了解するとすれば、それは事情聴取と言えないのではないか。
(3) 第十五回及び第十六回社会福祉士試験は、「D教授」自身が心理学の出題者の一人であり、その「D教授」が自ら「資料集」に自分を含めて出題者三人の実名を公表したことは明らかに守秘義務違反でないのか。当人を含まない他人であれば「推測」という返答もあり得ようが、当人を含むのであれば、「推測」とは言えないと考えるがいかがか。「D教授」が第十五回及び第十六回の出題者であることを公表できないとしても守秘義務違反についての検証は可能なはずである。
(4) 答弁書では「一般的に明らかな試験委員の学術的な専門領域から容易に担当分野を推測することが可能である」としている。試験委員は毎年ほぼ五十一人いるが、十三分野あるので単純に考えれば四人と考えるはずである。しかも、第十五回から第十九回まで五年間のそれぞれの人数と出題者を当てることは、「容易」なことではないと考えるがいかがか。
3 厚労省による「D教授」に対する直接的な事情聴取は、本年四月五日及び同月十四日に日本社会事業大学で行ったとされているが、厚労省は、両日、それぞれ「D教授」に日本社会事業大学のどの部屋でどのような形で事情聴取を行ったのか。その場に大学関係者はいたのか、明らかにされたい。四月五日は日本社会事業大学の入学式であり、当日は厚労省成田裕紀室長が出席している。このような状況の中で事情聴取は可能なのか、はなはだ疑問である。本件について六月十八日に阿部知子事務所が厚労省からヒヤリングを行った際に、「D教授」に対して質したのか聞いたところ、成田室長は「三月末に私が日本社会事業大学のある会合で会ったので立ち話で確認した」と語ったが、これは四月五日の入学式のことではないのか。
4 三月二十九日に、試験センターの理事長が国際電話で「C教授」に事情聴取を行ったとされているが、事情聴取の内容を明らかにされたい。また、「C教授」に事情聴取しながら、なぜ、「A教授」、「B教授」には事情聴取を行わなかったのか。
5 「D先生は『出題者はA、B、Cが五問ずつ持ち寄って、どれを出すかはリーダーのC先生が決める』ということも教えてくれました」という学生の証言を六月十二日発売の「サンデー毎日」が紹介しているが、この件について、答弁書では「D教授」に対して電話で事情聴取を行い、「学生の証言のような発言をしたか否かについては記憶が定かでない」との返答を得たとしている。
(1) 「D教授」が「記憶が定かでない」と返答したのであれば、学生に事情聴取すべきと考える。学生に対する事情聴取を行ったとすればいつ、どこで、どのような形で行ったのか。また、学生はどのような証言をしたのか。行わなかったとすればなぜしなかったのか。今後、学生に対する事情聴取を行う考えはあるのか。
(2) このような大きな問題について事情聴取を電話だけで済ませるのは事情聴取として不十分と考えるがいかがか。再度、「D教授」に対する事情聴取を行う考えはあるのか。
(3) この件についてA、B、Cの三教授に対して事情聴取を行ったのか。行ったとすれば、いつ、どこで、どのような形で行ったのか。また、三教授はどのような返答をしたのか。その返答をどのように評価するのか。もし、事情聴取を行っていないとすればなぜ行わなかったのか。今後、三教授に対する事情聴取を行う考えはあるのか。
6 答弁書では、厚労省は、試験センターから第十九回社会福祉士試験の問題と解説講座の問題を比較して漏洩はないとの報告を受けているとしている。両問題を比較すると試験問題の心理学十問中二問がきわめて類似しているが、厚労省として「漏洩はない」と判断しているのか。判断しているとすればその根拠を示されたい。
7 「D教授」が、第十九回社会福祉士試験の心理学の出題者として記載したA、B、Cの三教授は、「D教授」と同じ日本社会事業大学に関係しているか、あるいは「D教授」と同じ九州大学大学院教育学研究科の同じ教授の門下生である。「C教授」についてはその両方の要素があてはまる。
(1) こうした経歴等については調査をしたのか。したとすれば適切な選出と言えるか。
(2) このような試験委員の選定は、漏洩防止と、出題の偏りの防止の観点からすると、きわめて問題が大きいと思うがいかがか。
8 「D教授」は介護福祉士試験委員の副委員長を務めている。社会福祉士国家試験で「漏洩疑惑」を起こす人が、別の試験とはいえ国家試験の副委員長を務めることは不適任と考えるがいかがか。
9 社会福祉士試験委員全員に対して類似行為の自己申告を求める考えはあるのか、また試験委員全員に対するヒヤリングを行う考えはあるのか。
10 社会福祉士の養成校は全国に二百六十四校あるが、試験委員を出している大学については、本件のような問題を起こしていないか調査する必要があると考えるがいかがか。
右質問する。
政府答弁書
1について
日本社会事業大学において昨年十二月十九日から同月二十二日まで実施された学内模擬試験解説講座(以下「解説講座」という。)のテキストにおいて、本来公表されない社会福祉士試験委員(以下「試験委員」という。)が担当する出題分野(以下「担当分野」という。)の一部が当該試験委員の氏名とともに記載されていること等については、同大学の学長が、同月二十六日に社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号。以下「法」という。)第十条第一項に規定する指定試験機関である財団法人社会福祉振興・試験センター(以下「試験センター」という。)の事務所において、試験センターの理事長及び常務理事一名に対し、関係資料を手交し、口頭で説明を行ったところであり、この結果について試験センターの常務理事一名が、本年二月七日に厚生労働省に対し、電話で報告したところである。
一般に、試験センターは、社会福祉士試験の実施に関し、具体的な不正が疑われる情報を入手した場合等には、厚生労働省に対し、速やかに報告をすることが適当であると考えられる。しかしながら、試験センターにおいては、担当分野については、公表されている試験委員の氏名と一般的に広く知られている試験委員の学術的な専門領域を照らし合わせることにより、容易に推測することが可能であることから、本件については、法第十六条第一項に規定する秘密保持義務に違反しないものと判断したため、昨年十二月二十六日の時点では厚生労働省への報告を行わなかったと承知している。
2の(1)について
一般に、社会福祉士試験の受験対策として、公表されている試験委員の氏名と一般的に広く知られている試験委員の学術的な専門領域を照らし合わせることにより、社会福祉士試験の受験対策として、担当分野について推測することが行われていたとしても、これについては、厚生労働省が関知するところではない。
2の(2)から(4)までについて
御指摘の「D教授」に対しては、試験センターの理事長が本年三月十六日に試験センターの事務所において事情聴取を行っており、厚生労働省は、同月二十六日に当該事情聴取の結果について報告を受け、社会福祉士試験を担当する部局の職員(以下「担当職員」という。)各一名が、同年四月五日及び同月十四日に日本社会事業大学において、さらに、同年六月七日に電話で、それぞれ事情聴取を行ったところである。
これらの事情聴取において、担当分野については、試験委員の氏名等の公表された情報及び一般的に明らかな試験委員の学術的な専門領域に基づき推測したものとの回答を得ており、第十五回社会福祉士試験及び第十六回社会福祉士試験を除き、当該回答が虚偽のものであると証するに足る事実は把握していない。
また、御指摘の「D教授」が試験委員を務めていた第十五回社会福祉士試験及び第十六回社会福祉士試験において、心理学を担当する試験委員が自分を含めた三人であったと記載している点については、確かに「推測」ということは困難であるが、厚生労働省としては、担当分野については、公表されている試験委員の氏名と一般的に広く知られている試験委員の学術的な専門領域を照らし合わせることにより、容易に推測することが可能であると考えていることから、解説講座のテキストにおいて、第十五回社会福祉士試験及び第十六回社会福祉士試験の担当分野の一部が記載されていることについては、法第十六条第一項に規定する秘密保持義務に違反するものと断定することまではできないものと考えている。
3について
お尋ねの事情聴取のうち、本年四月五日に行ったものについては、日本社会事業大学の入学式の終了後、同大学構内の管理棟付近において、担当職員一名が口頭で行ったものであり、同月十四日に行ったものについては、同大学構内の御指摘の「D教授」の研究室において、別の担当職員一名が口頭で行ったものである。また、お尋ねの事情聴取の場に、御指摘の「D教授」以外に日本社会事業大学の関係者は立ち会っていない。
お尋ねの発言については、御指摘の職員に確認をしたところ、御指摘のような発言をしたか否かについては定かでないとの回答を得ているが、御指摘の職員が御指摘の「D教授」に対して行った事情聴取は、本年四月五日のものである。
4について
厚生労働省としては、試験センターの理事長が本年三月二十九日に御指摘の「C教授」に対し、第十九回社会福祉士試験の問題を漏洩した事実があるか否かについて事情聴取を行い、漏洩の事実はないとの回答を得たとの報告を受けている。
また、同日時点においては、第十九回社会福祉士試験の問題が漏洩していた可能性があること等が指摘された具体的な情報の中では、御指摘の「C教授」及び「D教授」についてのみ指摘がなされていたことから、厚生労働省又は試験センターが、両者に対する事情聴取のみを行ったものである。
なお、その後、新たな情報に接する中で、御指摘の「A教授」及び「B教授」についても指摘がなされたことから、厚生労働省としては、試験センターに対し、御指摘の「A教授」及び「B教授」への事情聴取を行うよう指示し、試験センターの理事長が本年七月十日に御指摘の「A教授」及び「B教授」に対し、第十九回社会福祉士試験の問題を漏洩した事実があるか否かについて事情聴取を行い、漏洩の事実はないとの回答を得たとの報告を試験センターから受けている。
5について
御指摘の学生の証言の内容については、担当職員一名が本年六月七日に御指摘の「D教授」に対して電話で事情聴取を行い、御指摘の学生の証言のような発言をしたか否かについては記憶が定かでないが、試験問題の作成過程については、御指摘の「A教授」、「B教授」及び「C教授」から情報提供を受けたことはないとの回答を得ている。また、試験センターの理事長が、同年七月十日に、御指摘の「A教授」に対しては電話で、御指摘の「B教授」及び「C教授」に対しては試験センターの事務所において口頭で、それぞれ事情聴取を行い、試験問題の作成過程について、試験委員以外の者へ情報提供をしたことはないとの回答を得たとの報告を受けている。
厚生労働省としては、これらの事情聴取は適切に行われたものと考えており、これらの回答が虚偽のものであると証するに足る事実は把握していないことから、現時点において、御指摘の「A教授」、「B教授」、「C教授」及び「D教授」並びに日本社会事業大学の学生に対し、更なる事情聴取を行うことは考えていない。
6について
極めて類似しているとの御指摘のあった二問が何を指すのか定かでないが、試験センターからは、第十九回社会福祉士試験の心理学の問題と解説講座の心理学の問題との比較を行ったところ、解説講座の内容は国家試験の出題基準の範囲内のものとして公表されている内容であること、主要な社会福祉士の養成のためのテキストにも一般に記述されている内容であること、過去の国家試験においても出題されている内容であること等を踏まえ、漏洩はなかったものと考えられる旨の報告を受けており、これを踏まえ、厚生労働省としても、漏洩はなかったものと判断している。
7について
試験委員については、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく指定試験機関及び指定登録機関に関する省令(昭和六十二年厚生省令第五十一号)第七条第一号及び第二号に規定する要件を満たす者の中から、その者の専門分野における研究実績等を考慮し、適切に選任しており、試験委員の選任に当たっては、必要に応じて、その者の研究業績等について調査を行っているが、その者が所属している大学、出身大学、出身大学における指導教授等については、考慮に入れていない。
8について
厚生労働省としては、御指摘の「D教授」については、一身上の都合により、既に介護福祉士試験委員を辞任したとの報告を試験センターから受けている。
9及び10について
厚生労働省としては、この答弁書でこれまでに述べたとおり、第十九回社会福祉士試験の問題が漏洩していた可能性があること等の情報の中で具体的な指摘がなされた関係者全員に対する事情聴取を行い、漏洩の事実はないとの回答を得ていることから、更なる具体的な指摘がない限り、現時点において、お尋ねのような調査等を行うことは考えていない。
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