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「テロとの闘い」に関する質問主意書

衆議院 第168回 第113号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2007年10月12日
内閣転送 2007年10月17日
答弁書受領日
2007年10月23日
提出から11日
答弁の項目数
3
質問 1,051字/答弁 1,713字

質問本文

「〇一.九.一一に米国で発生した同時多発テロ」(以下、「同時多発テロ」と言う。)に対し、現在、国際社会は「テロとの闘い」を続けている。そこで、「テロとの闘い」に関して、次の通り質問する。

1 米国の自衛権発動について

(1) 米国は、タリバン政権下のアフガニスタンに対し武力攻撃をすることについて、「自衛権の発動である」としているが、米国が武力攻撃の対象としたタリバン政権下のアフガニスタンからは米国に対する武力攻撃はなかったのではないか。国際司法裁判所の判例では、米国のアフガニスタンへの武力攻撃は、「自衛権の発動」としての正当性に欠けるものではないか。

(2) 「自衛権の発動」については、国際司法裁判所の判例でも、必要性要件(急迫不正の侵害があること、他に採るべき手段がないこと等)と均衡性要件(自衛の方法や目的において必要性を超えてはならないこと等)が必要であるとされている。米国のアフガニスタンへの武力攻撃は、同時多発テロ発生数ヵ月後に行われたものであり必要性要件を欠いているし、民間人を含む六〇〇〇人を超えるアフガニスタン人の死者を出しており、タリバン政権を打倒するなど、均衡性要件を欠いている。その観点からは、米国のアフガニスタンへの武力攻撃は、「自衛権の発動」としての正当性に欠けるものではないか。

2 国際的に発生しているテロとアフガニスタン人等との関係について

(1) 同時多発テロ発生以後、英国、フィリピン、インドネシアなどで、テロ事件の発生が報道されている。政府は、これらのテロ事件については、アフガニスタン人は関与していると考えているのか。もし、そうだとしたら、その根拠は何か。

(2) 前記(1)のテロ事件については、政府は、アフガニスタンはどのように関係していると考えているのか。また、その根拠は何か。

3 カルザイ政権による「同意」の効果について

(1) OEF(不朽の自由作戦)で活動している外国の軍隊は、アフガニスタンで武力行使をしているが、その武力行使の法的根拠として、政府は、アフガニスタンのカルザイ政権の「同意」があることを挙げている。しかしながら、国連憲章第五十一条など国連憲章は、�@自衛権の行使の場合と�A安保理の決議がある場合以外には武力行使を認めていないと解されているが、カルザイ政権の「同意」と国連憲章との関係はどうなるのか。

(2) 「特定の国の「同意」があれば、その「同意」を得た国が武力行使ができる」とする国際法上の根拠は何か。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

1について

アメリカ合衆国(以下「米国」という。)は、平成十三年九月十一日に米国において発生したテロリストによる攻撃(以下「平成十三年のテロ攻撃」という。)並びにそれによりもたらされる米国及びその国民に対する脅威の継続を受けて、アフガニスタンのタリバーンに支援されたアル・カーイダが平成十三年のテロ攻撃の中心的役割を果たしたという情報に基づき、同年十月七日、アル・カーイダ及びそれを支援しているタリバーンに対して、米国に対する更なる攻撃を防止し又は阻止するために、アフガニスタンのタリバーンの軍事施設への攻撃等の行動(以下「米国の行動」という。)を開始したものと承知しているが、平成十三年のテロ攻撃は、同時に複数の航空機を不法に奪取した上で複数の標的を攻撃する等高度の組織性及び計画性が認められること等から、国際連合憲章(以下「国連憲章」という。)第五十一条にいう「武力攻撃」に当たるものと考えられる。

平成十三年のテロ攻撃に関し平成十三年九月十二日に採択された国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)決議第千三百六十八号及び同月二十八日に採択された安保理決議第千三百七十三号は、個別的又は集団的自衛の固有の権利について言及している。また、同年十月二日、北大西洋条約機構事務総長は、北大西洋理事会において、平成十三年のテロ攻撃が、北大西洋条約の一又は二以上の締約国に対する攻撃を全締約国に対する武力攻撃とみなすことに同意する旨を規定した同条約第五条の適用対象と認められることが決定された旨の声明を発出した。さらに、米国は、国連憲章第五十一条に従って、安保理の議長に対して提出した同月七日付けの書簡により、平成十三年のテロ攻撃を受けて個別的又は集団的自衛の固有の権利を行使した旨を安保理に報告しているところ、米国等がその内容を安保理理事国に対して説明した後も、安保理理事国から、米国等による自衛権の行使に対して異議は唱えられなかったと承知している。

その後も、米国は、累次にわたり、アル・カーイダによる米国に対する更なる攻撃があり得る旨の警告を発しているところであり、政府としても、アル・カーイダ及びタリバーンの構成員がアフガニスタンとパキスタンとの間の国境近辺等に潜伏するなどして、米国等に対して更なるテロリズムの行為を引き起こす可能性が存在する等の種々の情報に接してきている。

政府としては、これらを含む諸般の事情に照らし、米国の行動は適法な自衛権の行使であると考えている。なお、一般市民の被害を最小限に回避すべきことは当然であり、米国もこの点を最大限考慮しているものと認識している。

2について

平成十三年のテロ攻撃が発生した後も、世界各地において、アル・カーイダ又はその関連組織の関与が疑われるテロ事件が発生していると承知している。また、現在に至るまで、アル・カーイダの構成員が、アフガニスタンとパキスタンとの間の国境近辺等に潜伏し、タリバーンとの協力関係を有しているとの情報や、アル・カーイダが世界各地のテロ組織との連携を強めており、アフガニスタン以外の国においても更なるテロリズムの行為を引き起こす可能性が存在するとの情報に接してきているところである。

3について

平成十三年のテロ攻撃を受けて行われている「不朽の自由」作戦下の米国等の活動は、国連憲章第五十一条の個別的又は集団的自衛権を行使するものとして開始されたものと考えている。

平成十三年十二月五日のボン合意を受けて同月二十二日にアフガニスタンに暫定政府が成立した後に同国の領域内で行われている「不朽の自由」作戦下の米国等の活動は、国際法上は、基本的には、領域国であるアフガニスタンの同意に基づいて、同国の警察当局等の機関がその任務の一環として行うべき治安の回復及び維持のための活動の一部を補完的に行っているものと観念される。このように観念される活動は、国際法上は、国連憲章第二条第四項で禁止されている「武力の行使」には当たらず、したがって、自衛権の行使に当たること又は安保理の決定に基づくことを理由とする違法性の阻却を論ずる必要はないと考えている。

衆議院の原文

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