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経済成長を加速する具体的な方法に関する再質問主意書

衆議院 第168回 第259号

提出者
無所属
提出日
2007年11月22日
内閣転送 2007年11月26日
答弁書受領日
2007年11月30日
提出から8日
答弁の項目数
6
質問 3,619字/答弁 2,169字

質問本文

前回の質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一六八第一七七号、以下「答弁書」という)は、質問に対する答えになっていない。前回の質問主意書は、我が国の極めて厳しい財政状態を改善するための具体的な方法を示したのであり、その方法に対する政府の見解を求めているのに答弁書にはそれが書かれていない。したがって再度質問する。

一 答弁書の「一について」で述べられたことは、過去の景気対策は、効果はあったことは認めるが、債務残高を増加させたという欠点があったということである。債務残高は、GDPの拡大に伴い増加するのは当然のことである。企業であっても、規模が拡大すれば、債務残高も増大するが、債務残高の増大が必ずしも悪いわけではない。これは国家でも同様である。橋本内閣、森内閣、小泉内閣、安倍内閣など、どの内閣でも債務残高を増大させた。債務残高を増やす経済政策が悪いとするなら、橋本、森、小泉、安倍の四内閣の経済政策も同様に悪かったということになる。福田内閣でも債務残高そのものを減少させるという公約をしていない。平成十九年一月十八日経済財政諮問会議発表の『日本経済の進路と戦略』を見ても、債務残高は常に増大し続けるとなっており、基礎的財政収支の黒字化は目標としていても、債務残高そのものを減らすという目標は聞いたことがない。したがって答弁書の「一について」で、小渕内閣の積極財政は債務残高を増やしたから良くなかったという主張は間違いではないか。

二 前回の質問を、もう一度読んでいただければ、お分かりになることだが、債務残高の増減について問題にしているわけでない。問題にしているのは、債務残高のGDP比であり、それは積極財政により減らすことができると主張しているのである。債務残高のGDP比ではなく、債務残高を減らすのが政府の目的であれば、単にデノミをやればよいだけである。百円を一円とすれば八百兆円は八兆円に減る。それではGDPも減ってしまうので何の意味もないと誰もが知っている。

この例から分かるように、債務残高そのものを減らすということには何の意味もない。実際に政府が減らしたいと思っているのは、債務残高そのものではなく、債務残高のGDP比ではないのか。

なお、参考までに書いておくと、平成十八年三月八日の参議院予算委員会で秋元司議員の質問に答えて谷垣財務大臣が債務そのものでなく、債務のGDP比を圧縮していくという意味の発言をされている。

三 答弁書の「二について」では「我が国の極めて厳しい財政状況」「財政の持続可能性に対する疑念」が指摘されている。これは何を意味するのか。新規国債の発行はもう限界に近く、財政は持続可能ではないということか。そうであれば、あと何兆円か発行すると、それ以上国債は発行できなくなり、国自体が「財政再建団体」になるという意味か。具体的にあと何兆円かを示していただきたい。

あるいは、将来既発国債の償還に応じられなくなる可能性があるというのか。そうであれば、国債を売るときに、「この金融商品の元本は保証できません」と国民に納得してもらってから売らなければならないのではないか。

そうではなく、国債発行は際限なくでき、国債は百%安全というのであれば、我が国の財政状態が厳しいことを強調せず、財政は持続可能であると宣言すべきではないか。

四 財務省のホームページによれば、現在の財政状態を一ヶ月分の家計に例えた場合、収入が四十万円、ローン利払い十五万円、家計費三十三万円、田舎への仕送り十万円、不足分(借金)十八万円、ローン残高四千六百万円とある。

そのような例示をするならば、この家庭は、あとどれだけ借金ができるというのか。あるいは、あと何年でこの家庭は自己破産に追い込まれる見込みであるというのか。近く破産する見込みであれば、借金の返済が危ないということを表示すべきである。

全く危なくないというのであれば、『この家庭は金持ちのスポンサーがいて際限なくローンができる家庭です』という注釈をこのホームページに書いておかないと、国の財政を家計に例えることはできず、国民を騙すことになる。

この家庭が金持ちのスポンサーはいない一般の家庭なのであれば、自己破産寸前であり、債権が危なくなっていますよ(国債は危ないですよ)と国の内外にアピールしなければならないはずだ。

要するに、国債を国民に売りつけるときは、この国債は絶対安全ですと言い、一方、増税・歳出削減を国民に押しつけようとするときは、財政が危ないから国債が危ないと言う。これを二枚舌というのではないか。「我が国の極めて厳しい財政状況」という意味を、国民誰もが分かるように説明していただきたい。

五 答弁書の「二について」では、質問した事に対する答弁を全く行っていない。引用された基本方針二〇〇七においては、歳出削減と増税のことが書かれているだけで、そのようなデフレ下での緊縮財政では債務のGDP比は増加せざるを得ないから、決して財政健全化はできない。しかし、もし積極財政に転じれば、GDPが増加し債務のGDP比が減少し、財政が改善するのではないかということを前回の質問主意書でお訊ねした。この質問に対する明確な答弁を頂きたい。

六 答弁書の「四及び五について」で、日本銀行の長期国債保有のあり方は、日本銀行がその資産及び負債の状況等を踏まえて決定すべき事柄であるとあるが、平成十九年二月二十三日の答弁書(内閣衆質一六六第六二号)で述べられたように、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第三条第一項において、自主性は尊重されなければならない旨が規定されているとともに、同法第四条において、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」と規定されている。したがって、政府と日銀が一体となって、デフレを克服するために協力するのは当然である。

日銀が長期国債保有を増やすべきだというのは、バーナンキ氏、サミュエルソン氏、クライン氏等の世界を代表する経済学者の意見であり、そうすることなしに財政健全化はあり得ない。

景気がよくなれば、長期金利は五%程度まで上昇するし、その程度上昇しないと本格的な景気回復とは言えない。単純計算では八百兆円の国の債務に対する五%の利払いは四十兆円になり国税の大半は利払いで消えることになる。そういう事態を避けるという目的で、長期金利を上げないようにするため景気を悪くしたままにしておくのであれば、それは本末転倒である。そういう事態を避けるためには、前述海外の識者のアドバイスに従って、日銀の国債保有を増やすしかない。昭和恐慌の際に、それで成功したように、政府は日銀の国債保有増加の方向に舵を取るべきではないのか。

七 十一月三日に額賀財務大臣が早大で消費税増税を訴えたとのことである。質疑応答では、社会保障水準を維持するには消費税換算で最大十七%へ引き上げる必要があると述べたように報道されている。額賀大臣の発言が事実としたら、大臣は内閣府の試算を誤解しておられるのではないか。

平成十九年十月十七日に経済財政諮問会議に提出された「有識者議員提出資料」には、試算�Uの十一.四兆円削減、給付維持・負担上昇、制約ケースの場合の増税必要額三十一.〇兆円を示しているので、消費税一%を二.五兆円と仮定し単純計算して十七%の消費税だとしたものと推測される。しかし、二〇二五年度には、名目GDPは二〇〇六年度の一.五倍近くになっており、消費税一%は三.七兆円程度になっているはずである。この値を使って計算すると十三%となり、財務大臣の発言した数字は間違いではないのか。

また「有識者議員提出資料」には、増税必要額は最大で三十一.〇兆円、最小で八.二兆円となっているが、この増税必要額の算出には到底受け入れ難い仮定がなされている。例えば、後記�@�A�Bで述べるような仮定のもとに計算するのが自然であるが、これによれば増税必要額の符合がマイナスとなり、逆に減税が可能となるのではないか。

�@ 短期金利を若干低めに誘導する

�A 不自然に低い乗数を、過去のデータが再現できるようなものに置き換える(内閣府の現在のモデルで使われるような乗数では小渕内閣の積極財政による結果が説明できない)

�B 日銀の国債保有残高を増やし、利払いを国庫に還流させる

さらに、三十一兆円もの大増税をすれば、日本経済は致命的な大打撃を受け、企業倒産が相次ぎ、国は貧乏になってしまうのは明らかであり、敢えてこのような数字を示すことは政府の統治能力が失われていることを宣言するに等しく適切ではないのではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

衆議院議員滝実君提出経済成長を加速する具体的な方法に関する質問に対する答弁書(平成十九年十一月九日内閣衆質一六八第一七七号。以下「前回答弁書」という。)一についてにおいては、財政赤字が拡大した結果として国と地方を合わせた債務残高が増加した旨を答弁したところである。なお、その間、国と地方の債務残高の増加率が名目GDP成長率を上回ったことから、債務残高のGDP比は上昇した。

二について

政府としては、衆議院議員滝実君提出平成二十年度予算の四十七兆三〇〇〇億円という上限目標に関する再質問に対する答弁書(平成十九年十月十六日内閣衆質一六八第七四号)三から五まで及び八についてでお答えしたように、二〇一〇年代半ばに向け、国と地方を合わせた債務残高のGDP比を安定的に引き下げることを目指すこととしている。

三及び四について

我が国の財政については、「日本経済の進路と戦略」(平成十九年一月二十五日閣議決定)において、「政府債務残高GDP比は二〇〇七年度(平成十九年度)百四十一・一パーセント程度と見込まれ、主要先進国の中でひときわ厳しい状況となっている」とされており、また、金利は経済情勢や市場における期待にも大きく左右され、正確にその動向を見通すことは困難ではあるものの、金利上昇により国債費が増加するなど財政負担が拡大するおそれがあることから、金利変動に対し脆弱な状況にある。

政府としては、我が国の国債について、市場からの信認を維持し、将来の発行に支障を来すことのないよう、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」(平成十八年七月七日閣議決定)及び「経済財政改革の基本方針二〇〇七」(平成十九年六月十九日閣議決定。以下「基本方針二〇〇七」という。)で示された歳出・歳入一体改革の実現に向け、正面から取り組むことが必要であると考えている。

五について

御指摘の基本方針二〇〇七においては、「経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出改革に取り組む。(中略)こうした取組を進め、二〇一一年度における基礎的財政収支の黒字化や、二〇一〇年代半ばに向けての債務残高GDP比の安定的な引下げなど、「進路と戦略」に定められた中期的な財政健全化の目標を確実に達成する」こととしている。政府としては、このような方針の趣旨について、前回答弁書二についてにおいて「我が国の極めて厳しい財政状況を放置すれば、財政の持続可能性に対する疑念の高まりが経済成長自体を阻害するおそれがあり、財政再建がなければ持続的な経済成長も実現しないとの考え方に基づき、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」(平成十八年七月七日閣議決定)及び「経済財政改革の基本方針二〇〇七」(平成十九年六月十九日閣議決定。以下「基本方針二〇〇七」という。)において、歳出・歳入一体改革を実行することとしたところであり、その実現に向け、正面から取り組む必要があると考えている」と答弁したところである。

六について

日本銀行の長期国債保有の在り方は、日本銀行がその資産及び負債の状況等を踏まえて決定すべき事柄である。

なお、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四条においては、日本銀行は「常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」と規定しているところ、日本銀行総裁が政府の経済財政諮問会議において意見を述べ、政府の代表者が日本銀行の金融政策決定会合において意見を述べるなど、政府と日本銀行との間では十分な意思疎通が行われているものと考えている。政府としては、基本方針二〇〇七に沿って「再びデフレに戻ることのないよう、民間需要主導の持続的な成長と両立する安定的な物価上昇率を定着させる必要がある。」こととしており、また、政府及び日本銀行は、物価安定の下での民間主導の持続的な成長のため、一体となった取組を行うこととしている。

七について

平成十九年十一月三日の早稲田大学における額賀財務大臣の講演の際には、聴衆から消費税率を十七パーセントに引き上げることについての意見が表明され、その旨が報道されたと承知しているが、財務大臣が消費税率の十七パーセントへの引上げの必要性を述べたとの事実はない。

御指摘の資料は、給付と負担の選択肢についての議論に資するために、経済財政諮問会議の有識者議員が同会議に提出したものであり、御指摘の資料における増税必要額は、二〇二五年度における増税必要額を、名目GDPの伸びを用いて、二〇〇七年度の水準で評価したものである。試算に当たっては、経済理論を踏まえ、過去における変数相互の関係を精査して作成された「経済財政モデル(第二次改定版)」(平成十九年三月内閣府公表。以下「経済財政モデル」という。)が用いられている。

御指摘の短期金利の「誘導」及び日本銀行の国債保有残高については、日本銀行が決定すべき事項であるが、経済財政モデルにおいては、金融政策に関しては、過去の統計的な関係に基づき、一定の機械的な想定の下で内生的に決定される関係を設定している。また、経済財政モデルにおける乗数表は、試算の前提として設定されたものではなく、このようにして作成された計量経済モデルによる計算結果を示すものである。

衆議院の原文

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