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軽油引取税の暫定税率等に関する質問主意書
衆議院 第169回 第207号承知していない ×1
質問本文
租税特別措置は、中立・公平であるべき税制の例外として、特定の政策目的の達成のために設けられる、税制の特則であると承知している。従って、その措置の実現しようとする政策目的や、必要とされる背景、及び効果の検証・納税者の理解がきわめて重要であると考えるところである。
以上を踏まえ、次の事項について質問する。
一 租税の税率一般の改廃について
1 一般論として、一般財源、特定財源を問わず、一時的な財政欠損・不足の穴埋めや、財政需要に充てる目的で暫定的に導入された増税は、原則として、その目的とした需要が満たされ又は不要となった場合、速やかに撤廃されるべきものではないか。
2 増税の根拠として説明した財政需要が満たされ、又はその必要が失われたと判明したにもかかわらず、税率を増税前に戻さず、新たな別の財政需要を理由にこれを維持する場合には、財政民主主義等の観点に鑑み、課税目的の変更等について、国会に明示的に報告すると共に、国民ないし納税者に対しても明確な説明と周知徹底を図る必要はないか。法的・政治的な説明責任が政府に生じると考えるが、見解を問う。
二 平成五年度の軽油引取税の税率引き上げについて
1 平成五年度の税制改正に伴い、軽油引取税の暫定税率がリッターあたり七円八十銭引き上げられている。この軽油引取税の税率引き上げの根拠について、当時の政府税調の答申の中では「地方道の整備水準及び地方道に係る特定財源比率が依然として低い現状等にかんがみ」などと説明され、また国会答弁等では、軽油の持つ窒素酸化物等の環境負荷や、ガソリンの税率との格差是正を理由として挙げている。
しかし一方で、政府は国会において「第十一次道路整備五ヵ年計画の七十六兆円の予算を確保する必要があるが、一般財源を増やすことは非常に困難」との趣旨の答弁も行っており(平成五年三月二十二日参議院予算委員会など)、一般財源が不足するなかで、軽油引取税について、引き上げ余地が大きいことが増税の理由となっていると理解される。また、この増税が、運送事業者等、特定の者に大きな負担を強いるものであることについての懸念が、当時国会においても議論がなされている。
そこで伺うが、軽油引取税の納税者の間では、巷間広く、この時の暫定税率の引き上げは、湾岸戦争当時の多国籍軍への財政支援によって生じた財政需要に充てるためのものとの理解がされている。この点、政府の公式の説明がどうあれ、世間や事業者の間では、湾岸戦争の協力金の穴埋めのための増税と受け止められていることを承知しているか。
2 このような受け止め方をされていることについて、政府の当時及び現在の説明責任をいかに考えるか。道路特定財源について、受益者負担の考え方に立つならば、納税者が負担と受益の関係をどう考えているかを調査することは必須と考えるべきであるが、この調査を怠り、あるいは結果として受益者負担と受け止められていないことに対し、政府のこれまでの情報公開・説明の怠慢・過誤を認めるか。
3 第十一次道路整備五ヵ年計画は、当初七十六兆円の事業規模とされていたが、実際には七十二兆円弱の支出にとどまり、当初見込んだ需要額を下回った。この点、軽油引取税の暫定税率引き上げは結果的に必要がなかったものであり、少なくともその計画期間の終了と共にこれを撤廃すべきであったのではないか。平成五年法改正当時の政府の説明の当否、及びその後この暫定税率を維持していることの当否について、政府の見解を求める。
三 必要とする財源額の根拠について
そもそも当時、暫定税率設定の基礎となる必要な事業量や財源の根拠とされる道路整備計画等において、全体の事業量と必要な事業費(第十一次では七十六兆円)の算定に際して、必要とする個々の事業の積み重ねなど、十分な証拠・根拠に基づいて、総事業費及び財源となる税率を設定したものではないと考えられるが、この点を認めるか。
四 湾岸戦争の多国籍軍支援の財源について
1 政府は、他党特に野党第一党が対案を提示するに際し、その財源を克明に明示する必要があると考えるか否か。必要なら、それはどの程度仔細なものが必要と考えるか。
2 政府は、自らの提案する政策、及び実施した政策について、その財源を明示する必要があると考えるか否か。
3 湾岸戦争の多国籍軍への支援金の財源について、その内容を明示されたい。具体的には、�@支援金の総支出額はいくらか、�A平成三年度の法人臨時特別税及び石油臨時特別税の暫定増税によって確保した財源額はいくらか、それぞれ明示した上で、�B増税で不足する財源は歳出削減によって捻出することとしていたが、最終的にどこの経費をいくら削って捻出したものか、その「財源」の細目を明示していただきたい。
4 軽油引取税の暫定税率引き上げによる地方道路特定財源の増収が完全に反映された平成六年度では、国からの道路整備への一般財源が、対前年・前々年比ともに大きく削減され、結果として国の一般財源の負担は軽減された。このことも踏まえ、政府は、湾岸戦争に関し支出した支援金の財源を後年度に確保するために、平成五年当時、軽油引取税を増税したのではないかとの疑問にどう答えるか。見解を問う。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び2について
一般論として、御指摘の「暫定的に導入された増税」の取扱いについては、御指摘の「目的とした需要が満たされ又は不要となった場合」も含め、導入後の経済・財政状況の変化等を踏まえて検討されることとなる。
いずれにせよ、政府は、各年度における税制改正の内容について、国会や国民に対し、必要な説明や広報を行うことにより、その説明責任を果たすよう努めているところである。
二の1について
御指摘のように「受け止められていること」については承知していない。
二の2及び3並びに四の4について
平成五年度の軽油引取税の税率の引上げは、地方道路財源の確保の観点から行われたものであり、「第十一次道路整備五箇年計画」(平成五年五月二十八日閣議決定)における地方単独事業、直轄事業負担金等を合計した地方の道路整備費の計画額三十七兆八千億円に対する実績額は約三十七兆千億円であること、計画期間中の軽油引取税を含む地方の道路特定財源は約十二兆千億円であることから、地方の道路整備費に占める地方の道路特定財源の割合は低いため、地方道路財源の確保という説明は適当であったと考える。現在に至るまでこのような状況に変わりはないことから、税率を維持していることは適当であると考える。
また、政府として御指摘のような情報公開及び説明の怠慢及び過誤があったとは認識していない。
三について
第十一次道路整備五箇年計画の策定に際しては、「公共投資基本計画」(平成二年六月二十八日閣議了解)策定後における他の公共事業の事業費の伸び率や、「第十次道路整備五箇年計画」(昭和六十三年五月二十七日閣議決定)の計画期間中における道路事業の進ちょく率等に基づいて、事業量七十六兆円及び道路特定財源に係る税率を決定したものであり、御指摘は当たらないと考える。
四の1について
政府としては、政党による政策提案の在り方について、お答えする立場にはない。
四の2について
政府として予算措置を伴う法律案を提出し、施策を実施する場合には、一般に、その財源について予算等の形で明示しているところである。
四の3について
湾岸地域における平和回復活動を支援するための湾岸平和基金に対する平成二年及び平成三年の拠出金の総額は、一兆四千九百二十八億八千万円である。このうち、平成二年度補正予算(第二号及び特第二号)において拠出した一兆千七百億円の財源については、既定経費の節減百十六億三千六百七十八万五千円、予備費の減額二百五十億円、雑収入の増千六百四十四億九千六百六十八万五千円及び湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律(平成三年法律第二号)に基づき発行する臨時特別公債に係る公債金収入九千六百八十八億六千六百五十三万円により措置することとし、臨時特別公債の償還財源については、新たに措置した法人臨時特別税及び石油臨時特別税の税収六千二百十六億三千五百二十七万九百三十三円、平成三年度予算の修正による防衛関係費の減額十億四百八十六万五千円、公務員宿舎施設費の減額七億円、予備費の減額二千億円及び防衛関係費に係る国庫債務負担行為の減額九百九十一億六千百六十六万五千円を財源とした一般会計から国債整理基金特別会計への繰入れ並びに国債整理基金における運用収入四百六十三億六千四百七十二万九千六十七円を充てたところである。
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