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ソマリア沿岸への自衛隊派遣とソマリアについての国連決議に関する質問主意書
衆議院 第171回 第356号お答えすることは困難 ×3検討してまいりたい ×1
質問本文
ソマリア沿岸での海賊問題に対処し、日本国民の生命と財産を守るという目的で海上自衛隊の海外派遣が海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案(以下、海賊新法案)の国会での審議を待たずに行われている。ソマリア沿岸の海賊に対処することは国際社会の要請でもあるという。しかしながら、国会の議論を待たずして海外へ自衛隊を安易に派遣することは、多くの疑念を持たざるを得ないものである。
従って、次の事項について質問する。
一 自衛隊のソマリア沿岸派遣と国連決議について
1 海賊新法案が成立する以前に自衛隊法第八二条の「海上警備行動」規定によって自衛隊のソマリア沿岸派遣は根拠付けられている。一方、ソマリア沿岸での海賊の対処については、国連安保理決議一八一六、一八三八、一八四六、一八五一が採択されている。上記の国連安保理決議それぞれに対する政府の見解を示されたい。
2 海賊新法案、第一条(目的)では、国民生活への重要性と国連海洋法条約の規定が根拠とされている。同条項では「公海その他いずれの管轄にも属さない場所」における海賊行為を当該場所において取り締まることが規定されている。他方、国連安保理決議一八一六、一八四六、一八五一は、ソマリア暫定連邦政府(以下、TFG)の「能力の欠如」を理由に、ソマリア領域内での海賊対処を容認している。これら安保理決議は、海洋法条約と乖離しているが、安保理決議が海洋法条約の限度を越えていることをどのように認識しているか示されたい。
3 国連安保理決議一八一六、一八四六、一八五一は、TFGの承認を前提としているが、日本政府は、このTFGを未承認である。日本政府がこれらの安保理決議を承認するにあたってなんら問題を生じないのか示されたい。また、これまでに、当該国の政府を認めないまま安保理決議を承認した例はないのか示されたい。
4 国連安保理決議一八一六、一八四六は海賊の制圧のためにソマリアの領海内で、また、決議一八五一は、ソマリア領土内であらゆる必要な措置をとることができるとしている。日本政府は、ソマリアの領海内や領土内であらゆる必要な措置をとることに賛同しているのか。また、その場合に、自衛隊がそのような措置をとる可能性があると考えるか。
5 金子一義国土交通大臣は、衆議院における海賊新法案の審議で沿岸国の同意を得た場合、あるいは要請を受けた場合、当該国の領海内に立ち入ることは可能であると答弁している。その場合の国内法上の根拠を示されたい。
6 同様にこれらの決議は、国連憲章第七章に基づく武力行使を含む「必要なあらゆる措置」を認めているが、それについての政府の見解を示されたい。
7 ソマリアの「海賊」は、かつてプントランド自治政府が創設した沿岸警備隊が中核になっているとの有力な情報がある。海賊行為に従事している集団とTFGないし、プントランド自治政府(政府高官や軍幹部)との関係はいかなるものか説明されたい。
8 仮に、「海賊」がTFGないし、プントランド自治政府関係者と密接な関係があった場合、その組織は「国家に準ずる組織」になり得るのではないか、見解を示されたい。
二 ジブチ共和国との地位協定について
1 ジブチ共和国との地位協定締結の手続きはどのような経緯で行われたのか示されたい。
2 ジブチ共和国に派遣する自衛隊の人数と部署、装備、役割を海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊それぞれ詳細に示されたい。
3 海上自衛隊の哨戒機二機が派遣されることが報道されているが、この哨戒機の活動する領域を示されたい。
三 ソマリア国への国際協力活動について
1 ソマリア国に関する国連決議一八三一、一八四四、一八五三、一八六三について、政府の見解をそれぞれ示されたい。
2 ソマリア国領土内での国連の活動について、自衛隊派遣の検討をしているか、しているとすれば、どのような役割での派遣と考えているか示されたい。そのための準備活動を実施している場合は、それについて内容を示されたい。
3 前項以外のソマリア国への国際協力活動も検討状況について示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)は、御指摘の安保理決議において、具体的な規定振りに一定の差異はあるものの、海賊行為(海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「国連海洋法条約」という。)第百一条に規定する海賊行為をいう。)等に対するソマリア沖海域で活動している軍艦等による警戒、当該海域への軍艦等の派遣等の要請等を行っているものと承知している。
一の2について
安保理は、御指摘の安保理決議において、同決議に基づくソマリア領海における措置は、国連海洋法条約を含む各国の国際法上の権利及び義務に影響を与えるものではないことを確認している。
一の3について
御指摘の「安保理決議を承認する」との意味が必ずしも明らかでなく、お答えすることは困難である。
一の4について
御指摘の安保理決議において言及されているソマリア領域内での措置については、これが必要であるということが安保理の意思であると考えている。また、自衛隊がソマリア領域内で活動を実施することは、想定していない。
一の5について
お尋ねの国内法上の根拠は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条であるが、今国会に提出した海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案が成立して施行されれば、その第七条である。
一の6について
安保理は、安保理決議第千八百十六号、第千八百四十六号及び第千八百五十一号において、国際連合憲章第七章の下で行動しつつ、ソマリア暫定連邦「政府」(以下「TFG」という。)と協力し、かつTFGが同意する国等が、関連する国際法の下で海賊に関し公海上で許容される行為に合致する方法であること等の一定の条件の下で、ソマリアの領海内等において、武装強盗行為等を抑止するためにあらゆる必要な措置を用いることを認めているものと承知している。
一の7及び8について
ソマリア沖において頻発している船舶の強取等は、その発生の背景や動機のほか、行為の態様等に照らして、私的目的による私人の犯罪行為であると考えている。
二の1について
ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の取極は、本年四月三日に中曽根弘文外務大臣とユスフ・ジブチ共和国外務・国際協力大臣との間で書簡の交換が行われ、同日に効力を生じたものである。
二の2について
お尋ねの「自衛隊の人数と部署、装備、役割」の詳細については、現在検討中であり、お答えすることは困難である。
二の3について
お尋ねの「哨戒機の活動する領域」については、現在検討中であり、お答えすることは困難である。
三の1について
御指摘の安保理決議は、アフリカ連合ソマリア・ミッション(以下「AMISOM」という。)の展開の維持の承認、国際連合によるAMISOMへの支援の強化、渡航禁止及び資産凍結等の制裁措置の強化、同制裁に関する監視団の任務の延長等の種々の措置を含んでいるものと承知している。
三の2について
御指摘の「ソマリア国領土内での国連の活動」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないが、ソマリアにおいては、安保理等が行う決議に基づき設立された国際連合平和維持活動は実施されておらず、当該活動への自衛隊の派遣も検討していない。
三の3について
政府としては、ソマリア情勢の安定化のため、人道面における支援や治安向上のための支援を行っており、AMISOMの強化、人道支援、若者の雇用創出等の支援についても鋭意検討中である。
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