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農地法改正に伴う農地賃貸借の緩和に関する質問主意書
衆議院 第171回 第567号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
本月十七日、農地を貸借する際の規制を大幅に緩和する改正農地法が成立し、本改正によって、同法の目的が、所有者保護から農地の有効利用に転換され、借地期間の制限を二十年から五十年に延長するなどして企業の参入が促されることとなった。
改正法では昭和二十七年の制定以降、戦前の地主制度が復活しないように明記してきた「耕作者による農地の所有が最も適当」との文言が初めて削除され、企業が貸借可能な農地を、市町村が指定した放棄地などに限定する現行規制が撤廃され、優良農地も企業が利用できることとされた。
一 企業型農業によると、市場競争により必然的に採算が合わない農地での生産は放棄される事態が生じうる。
右のような市場原理による弊害を防止・是正するための措置について、本改正の他に、政府として具体的に検討している事項はあるか。
二 「耕作放棄地の増大に歯止めをかけ、国内農業の活性化」のために、耕作放棄の可能性の高い農地などにおいて、国または地方公共団体が賃貸者となり管理することを前向きに検討すべきと考えるが、政府の見解如何。
三 研究者によると、近時の農地転用の収入が農業生産額の八割にも達するとの指摘もあるが、本改正では、最大一億円の罰金を科すなど農地の違反転用の厳罰化もなされている。
思うに、罰則は、抑止的意味はあるものの、あくまで事後的措置である。
この点、一九七〇年代にニューヨーク州で考案された、農地転用によって見込まれる収入に相当する金額を補償する「Purchase of agricultural conservation easement(開発権の購入)」といったシステムによって、転用収入を主たる目的とする農地転用への誘因を事前に減じることも有効と考えるが、このようなシステムに関する政府の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
耕作放棄は必ずしも企業によってのみ行われるものではないが、農業生産法人以外の法人等による耕作放棄を防止・是正するための措置として、農地法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第五十七号)による改正後の農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)に基づくもの以外に、同法第三条第三項の規定に基づき農業生産法人以外の法人等が農地の使用貸借による権利又は賃借権を取得するため農業委員会等の許可を受ける場合に、貸借契約終了時の原状回復、原状回復がなされないときの損害賠償及び中途の契約終了時における違約金の支払等について当該契約において明記することを農業委員会等が指導すべき旨を周知することとしている。
二について
御指摘の「国または地方公共団体が賃貸者となり管理する」の意味が必ずしも明らかではないが、耕作放棄の可能性が高い等の理由で国や地方公共団体が農地の権利を取得して管理を行うことについては、国又は地方公共団体が民間の主体と競合して経済活動を行うこととなるため、慎重な検討が必要であると考えている。
他方、既に、都道府県が基本財産の拠出者となっている一般財団法人でその拠出した基本財産の額が基本財産の総額の過半を占めるもの等が、農地保有合理化法人として、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化を促進するため、離農や経営縮小をする農家等からの農地の買入れ又は借入れを行い、その農地の担い手に対する売渡し又は貸付け等を行う農地保有合理化事業の仕組みがある。また、農地保有合理化法人に対して、農地の貸付け等の相手方が確保されるまでの間、その農地を管理することを支援するための予算措置を講じるなど、農地保有合理化事業の推進を図っているところである。
三について
御指摘の「開発権の購入」という仕組みは、農地を転用する権利を行政機関が農地所有者から購入することにより、農地転用によって見込まれる収入に相当する額を補償し、農地転用を恒久的に防止しようとするものであると思われるが、このような仕組みは、権利を購入する主体、対象とする農地の範囲、権利の購入額の設定方法、権利の購入に必要となる財源の確保等に関する課題があると考えられることから、慎重な検討が必要であると考えている。
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