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在沖米海兵隊の「抑止力」に関する質問主意書

衆議院 第174回 第518号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2010年5月28日
内閣転送 2010年6月2日
答弁書受領日
2010年6月8日
提出から11日
答弁の項目数
6
質問 1,332字/答弁 1,286字

質問本文

去る五月四日、鳩山由紀夫首相は沖縄県庁で仲井眞弘多知事と会談し、米軍普天間飛行場の移設について次のように伝えたと報道されている。「例えば海外(移設)という話もなかったわけではないが、現実に日米の同盟関係、近隣諸国との関係を考えたとき、抑止力の観点から難しいという思いになった」。鳩山首相のこの言葉は、「抑止力」を維持するために普天間飛行場の全面的な県外移設は難しいとの認識を示したものと考える。

鳩山首相は、昨夏の衆議院選挙公示日前日の記者会見でも「普天間飛行場は最低でも県外」と県外移設への強い決意を語った。戦後六十五年間も過重な基地の負担に苦しんできた沖縄県民は、鳩山首相の言葉に大変な希望を見出し、そして期待した。しかし、政権発足から一年も経過しない今、普天間飛行場の県外移設を早くも断念し、旧自公政権が米国政府と合意したキャンプ・シュワブ沿岸部への現行計画を修正したくい打ち桟橋(QIP)方式による移設を検討しているようである。

以下、質問する。

一 鳩山首相が言う「抑止力」とは、具体的に何を意味するのか。政府における「抑止力」及び「海兵隊による抑止力」の定義を明示されたい。

二 「抑止力」とは、攻撃する能力と意思がある相手国(いわゆる仮想敵国)の存在を前提にしていると考える。日本政府が想定する相手国を明らかにされたい。

三 在沖米海兵隊は、長崎県の佐世保港に配備された米海軍揚陸艦部隊とともに行動するため、必ずしも沖縄に駐留する必要はないと考える。仮に「抑止力」が必要として、そのために沖縄に普天間飛行場が必要不可欠とする理由は何か、政府の見解を示されたい。

四 米海兵隊の沖縄配備の必要性が説かれる根拠として、地理的優位性が挙げられる。すなわち、台湾有事や東南アジアのテロ及び災害時の救援、北朝鮮有事を想定した場合、沖縄がその三地域と近距離にあることを海兵隊駐留の根拠とするものだ。しかしながら、上記の場合も在沖米海兵隊は佐世保の揚陸艦部隊とともに行動するはずで、必ずしも沖縄に駐留する必要はないと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 前項四の事態が発生した場合、在沖米海兵隊のヘリコプター部隊だけが単独で行動することもあるかもしれない。その際の出動目的は、ヘリコプター部隊の規模や作戦能力から考えて、当該紛争地の米国人の保護救出にあると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 米国人の保護救出は、我が国の安全を守るための「抑止力」とは何ら関係ないと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 政府は、佐世保港の揚陸艦部隊が沖縄に配備されない現状において「抑止力」が維持されていると考えるのか、見解を示されたい。

八 米海兵隊の能力からして、歩兵や砲兵の地上部隊と当該部隊を輸送するヘリコプター部隊の一体的な運用(空地一体の運用)が不可欠であると言われている。そうであるなら、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンの地上部隊の県外・国外への移転も含めて、普天間飛行場の移設先を模索すべきだが、政府内で検討し、米国との協議に提示したことがあるのか明らかにされたい。検討したことがない、あるいは米国に拒否されたのであれば理由を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている。

国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)を引き続き堅持し、その抑止力の下で我が国の安全を確保することが必要であると考えている。

日米安全保障体制の下でのアメリカ合衆国の軍隊の抑止力については、我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊のみならず、来援するアメリカ合衆国の軍隊の運用等も併せて総合的に考える必要があるものと認識しており、幅広い任務に対応可能で機動性と即応性に優れた海兵隊は、その重要な要素の一つであると考えている。

二について

抑止力については、一についてで述べたような機能を果たすことが基本であるが、地域における不透明・不確実な要素に起因する不測の事態の発生等の抑止にも寄与するものであり、想定される対象は、必ずしも特定の国に限られるものではない。

三及び四について

沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能なアメリカ合衆国の海兵隊が駐留することにより、種々の事態への迅速な対応が可能となっており、沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊(以下「在沖縄海兵隊」という。)は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。

また、このような在沖縄海兵隊の位置付け及び機能を踏まえれば、御指摘の「佐世保の揚陸艦部隊」と共に行動することのみをもって、御指摘のように「在沖米海兵隊」が「沖縄に駐留する必要はない」とすることは適当ではないと考える。

五及び六について

在沖縄海兵隊のヘリコプター部隊は、御指摘の「米国人の保護救出」の任務に当たることはあり得るが、それのみならず、種々の事態において人員及び物資の輸送等を行うものであり、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。

七について

抑止力については、一についてで述べたとおり総合的に考える必要があるものと認識しており、御指摘の「佐世保港の揚陸艦部隊」を含め、日米安保条約第六条の規定に基づき我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊は、その抑止力を通じて我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与していると認識している。

八について

普天間飛行場の移設問題については、日米間で様々なやり取りを行ってきているところであるが、アメリカ合衆国との関係等もあり、その詳細についてはお答えを差し控えたい。

衆議院の原文

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