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我が国の資金循環の現状を踏まえた「社会保障・税一体改革成案」の遂行に関する質問主意書
衆議院 第177回 第380号
質問本文
日本銀行の資金循環統計に依れば、平成二十三年三月末の家計の金融資産は千四百七十六兆円で、そのうち七百六十四兆円が預金である。一方、国を中心とする一般政府の負債は千四十五兆円で、国債・地方債等証券による負債が八百六十三兆円である。いわば、家計から金融機関を通じて一般政府への太い資金の流れが形成されており、その一方、経済成長の原動力である民間企業への資金の流れは不十分なものとなっていて、デフレからなかなか脱却できない現状にある。「社会保障・税一体改革成案」(平成二十三年七月一日閣議報告。以下、「改革成案」という。)においては、「政府は日本銀行と一体となってデフレ脱却と経済活性化に向けた取組みを行い、これを通じて経済状況を好転させることを条件として」改革を実施することとされており、我が国の資金循環の現状を踏まえた政策遂行が不可欠と考える。ついては、以下八項目にわたり質問する。
一 直近の我が国の家計の金融資産、国及び地方の負債、国内銀行の法人向け貸出金及び保有公債の残高をそれぞれ伺う。
二 直近の我が国の国内銀行の預貸率及び前年度比を、都市銀行、地方銀行、その他の三区分で伺う。
三 預貸率が低下傾向にあることについて、内閣として中長期的な経済成長を実現していく上での見解を伺う。
四 日本銀行においては、昨年来、「成長基盤強化を支援するための資金供給」に取り組んでいるところだが、その成果について内閣の把握されているところを伺う。
五 改革成案では、「資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点」を掲げている。改革成案の観点に賛成するものであるが、内閣において、資産再分配機能の回復が必要と認識する理由を確認する。
六 改革成案では、「高齢者が保有する資産の現役世代への早期移転を促し、その有効活用を通じた経済社会の活性化を図るとの観点」から贈与税の軽減を掲げている。内閣において、有効活用の具体策を伺う。
七 五及び六の観点を確実に実現するためには、資産課税や金融証券税制を強化する取組みが必要ではないかと考えるが、内閣の見解及び具体的な取組みを伺う。
八 改革成案には、国際的に比較しても突出している我が国の「家計〜金融機関〜一般政府」の資金循環の流れを縮小していく考えは含まれていないのか、また、このような問題意識に対する内閣の見解を伺う。
右質問する。
政府答弁書
一について
日本銀行の「資金循環統計」によると、平成二十三年三月末時点の家計の金融資産残高は、約千四百七十六兆円である。財務省の「財政関係基礎データ」によると、同月末時点の国及び地方の長期債務残高(実績見込み)は、約八百六十二兆円である。日本銀行の「預金・貸出関連統計」によると、同年六月末時点の国内銀行の法人向け貸出金残高は、約二百六十五兆円である。日本銀行の「民間金融機関の資産・負債統計」によると、同月末時点の国内銀行の保有公債(国債及び地方債)の残高は、約百六十七兆円である。
二について
日本銀行の「民間金融機関の資産・負債統計」によると、平成二十三年六月末時点の国内銀行の預貸率(預金残高に対する貸出金残高の割合をいう。以下同じ。)は、都市銀行は六十六・〇パーセント(前年同月末比三・四パーセントポイント低下)、地方銀行は七十二・六パーセント(前年同月末比一・一パーセントポイント低下)、その他は七十八・一パーセント(前年同月末比一・三パーセントポイント低下)である。
三について
政府としては、預貸率が低下傾向にあることについても考慮しつつ、「新成長戦略」(平成二十二年六月十八日閣議決定)、「日本再生のための戦略に向けて」(平成二十三年八月五日閣議決定)等に掲げる施策を実行していくことにより、我が国経済及び企業の成長を促すとともに、資金循環面から成長が制約されることのないよう最大限の努力を行うこととしている。
四について
日本銀行は、平成二十二年六月十五日の政策委員会・金融政策決定会合において、成長基盤強化に向けた民間金融機関の自主的な取組を金融面から支援するため「成長基盤強化を支援するための資金供給の枠組み」を導入することを決定し、これに基づき金融機関等に対する貸付けを実施してきているものと承知しており、平成二十三年六月八日現在、当該措置による貸付残高が約二兆九千四百二十四億円となっているものと承知している。
五について
資産再分配機能を有する税として相続税が挙げられるが、相続税については、バブル崩壊後の地価の下落にもかかわらずその基礎控除の水準が据え置かれてきたため死亡者数に対する相続税の課税件数の割合は四パーセント程度となっており、また、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、その資産再分配機能は低下していると考えられる。このような状況を踏まえ、基礎控除の引下げ等による課税ベースの拡大や最高税率の引上げ等の税率構造の見直しを行うことにより、相続税の資産再分配機能を回復させていく必要があると考えている。
六について
近年、高齢者の保有する資産の割合が高まっているが、限界消費性向については、高齢者層よりも現役世代の方が基本的には高いものと考えられている。このため、贈与税の軽減を通じて高齢者層の保有する資産をより早期に現役世代に移転することにより、現役世代の消費が拡大し、経済社会の活性化が図られるものと考えている。
七について
「平成二十三年度税制改正大綱」(平成二十二年十二月十六日閣議決定)は、その基本的な考え方において、「格差の拡大とその固定化を食い止めることが重要な課題であり、そのために、社会保障制度と併せて、税制における再分配機能の回復を図る必要があります」としている。資産課税については、平成二十三年度税制改正において、相続税の課税ベースの拡大や税率構造の見直しを行うこととしており、今国会に提出している経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案にこれらの措置を盛り込んでいるところである。また、金融証券税制については、公平性や金融商品間の中立性の観点からは、上場株式等の配当・譲渡所得等に係る税率を二十パーセントの本則税率とすべきであるが、景気回復に万全を期すため、十パーセントの軽減税率を二年延長したところであり、同本則税率とする措置等は、経済金融情勢が急変しない限り、平成二十六年一月から確実に実施することとしている。
八について
「社会保障・税一体改革成案」(平成二十三年六月三十日政府・与党社会保障改革検討本部決定)は、社会保障の安定・強化のための制度改革、その必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成することを目指すものであり、この改革を進め、国民が未来に対し希望を持てる社会を築くことにより、家計の金融資産が広く循環する経済構造を実現してまいりたい。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。