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財政金融に関する質問主意書
衆議院 第136回 第5号お答えすることは困難 ×1
質問本文
政治改革の名のもとに、弱者切り捨ての小選挙区比例代表並立制が成立するのと並行して、わが国の主要な政党の政策は次第に均質化してきた。その最も特徴的なものが「市場原理」の賛美である。いま国会で論議されている「住専処理」にかかわる問題は、いわばこの「市場原理」の財政金融版とも言うべきものと解する。ついては、弱者の権利を守るという視点から、次の諸点について伺いたい。
一 現行の公定歩合は〇・五%という異常な低水準にあるが、欧米先進資本主義諸国の公定歩合の現状を知りたい。さしずめ、米・英・仏・伊・独・蘭、加えて北欧三国について回答を期待するが、これらの諸国の公定歩合がそれぞれの国の経済・財政方針とどのような照応関係を示すものか、そのポイントについて、わが国政府の認識を聞きたい。
二 公定歩合と市中銀行、その他の金融機関の利率はどのように連動するのか。一般国民の金融機関に対する預貯金の利子、金融機関から中小企業者などへ貸し出すときの金利はどのくらいの期間と手順を踏んで調整して行くものかを知らせていただきたい。
三 経済学者、経済評論家などの指摘するいわゆる「所得移転」というのは、年金生活者などの金利の目減りと、その分だけ金融機関の利子支払いの軽減を意味するものと思うが、低金利政策をとりはじめて以来の状況をどのように分析されているか。
さしずめは定期預金の金利五%の頃から、今日のような水準となった状況との「所得移転」の実態を知らせていただきたい。
四 わが国財政は、世界の先進資本主義国と比べて、ついに公債依存度が最悪の状況となっているように思われる。この際、その国際比較をお示しいただきたい。さらにそれぞれの国における国債償還の実状、それには、その国債に対する支払利息(利率)の現状もあわせてお願いしたい。
五 わが国における赤字国債は、ついに一九九六年度末には二百四十兆円を超えるものとなるが、この国債に対する支払利息はどうなっているのか。特に知りたいことは、利率を毎会計年度において、どのようにコントロールされているのか。公定歩合が〇・五%となった現時点においても、以前の高い金利を払っているものはないかとの危惧からお尋ねするわけだから、それに対応する回答をいただきたい。
六 やがて消費税率の見直しの時期が到来するが、来年度以降の財政見通しによって、五%となっている税率が一度も実施されることなく、さらに高い税率になることを国民は恐れている。率直なところ橋本内閣は、さらなる税率の引き上げを考えているのか、行財政の一層のリストラによって切り抜ける方針なのか、現時点の方針を伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御質問の欧米先進資本主義諸国における公定歩合又はこれに代わるべき政策金利(以下「公定歩合等」という。)は、平成八年三月八日現在、それぞれ次のとおりである。
米国
五・〇パーセント
英国
六・〇パーセント
フランス
三・八パーセント
イタリア
九・〇パーセント
ドイツ
三・〇パーセント
オランダ
二・七五パーセント
スウェーデン
六・〇パーセント
ノールウェー
六・五パーセント
フィンランド
四・五パーセント
公定歩合等は、一般には、各国が物価の安定の確保等それぞれの経済運営方針を踏まえつつ、その時々の景気や物価動向といった経済情勢を勘案して決定しているものと理解している。
二について
公定歩合は日本銀行が景気の動向や金融市場の状況など、内外の経済情勢を注視しつつ決定している。
他方、金融機関の預貯金の利子及び貸出金利については、個々の金融機関が公定歩合の変更を含め金融市場の動向等を勘案しつつ、それぞれの経営判断により、その水準及び変更の時期を自主的に決定している。
三について
国民経済計算における純受取財産所得について、定期預金の金利がほぼ五パーセント台であった平成二年度と直近の年度(平成六年度)とを比較すると、家計において約七・七兆円の減少、非金融法人企業において約六・一兆円の増加、金融機関において約〇・七兆円の増加となっている。
こうした変化は、主として金利低下の影響を反映したものと考えられる。すなわち、金利低下は、家計部門に対して、債務の利払負担を低下させる一方、それ以上に利子収入を減少させ、その純受取財産所得を減少させたものと考えられる。
なお、平成二年度から平成六年度にかけて、雇用者所得等の増加が純受取財産所得の減少を上回ったため、家計の可処分所得全体は、約四十三・三兆円の増加となっている。これは、金利低下が、設備投資、住宅投資等に好影響を与え、公共投資の増加とあいまって、景気を下支えしたことなどによるものと考えられる。
四について
各国で公表されている資料によれば、各国の公債依存度は、それぞれ次のとおりである。
日本
二十八・〇パーセント(平成八年度)
米国
十・三パーセント(千九百九十六年度)
英国
十七・九パーセント(千九百九十四年度)
フランス
十七・八パーセント(千九百九十六年度)
イタリア
二十二・七パーセント(千九百九十四年度)
ドイツ
十三・三パーセント(千九百九十六年度)
スウェーデン
二十七・〇パーセント(千九百九十四/千九百九十五年度)
フィンランド
二十・〇パーセント(千九百九十六年度)
なお、オランダ(千九百九十四年度)及びノールウェー(千九百九十六年度)については、財政収支は黒字となっている。
また、これらの国における国債の償還額及び利払費は、それぞれ次のとおりである。
なお、国債の利払いは、過去において発行した国債のそれぞれの利率に応じて行われるものであり、我が国については、平成六年度において償還される国債の利率は、一・八パーセントから七・九パーセントまでであるが、欧米各国については、資料の制約により、当該利率の範囲を正確にお示しすることは困難である。
五について
平成八年度末の国債発行残高は、建設公債につき約百六十三兆円、特例公債につき約七十七兆円、合わせて約二百四十一兆円となる見込みである。
国債の利払い等は、国債証券に表示された利率等に応じて行われており、平成八年度予算において国債利子等の支払に必要な経費として約十兆七千億円を計上している。
六について
平成六年十一月に成立した所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成六年法律第百九号)及び地方税法等の一部を改正する法律(平成六年法律第百十一号)(以下「税制改革関連法」という。)においては、消費税と地方消費税とを合わせた税率(以下「消費税率」という。)について、既に先行実施している個人所得課税の負担軽減とおおむね見合う形で、平成九年四月一日から五パーセントとする旨定められている。
この税制改革関連法は、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、社会の構成員が広く負担を分かち合い、かつ、歳出面の諸措置の安定的な維持に資するような所得、消費、資産等の間における均衡がとれた税体系を構築する観点から、個人所得課税の負担軽減及び消費課税の充実を図ることを目的とするものである。その一部である消費税率の引上げは、既に経済活動を行う上での前提となっており、これを確実に実施していくことが、我が国経済運営の信頼と安定につながるものと考えている。
他方、税制改革関連法においては、消費税率について、社会保障等に要する費用の財源を確保する観点、行政及び財政の改革の推進状況、租税特別措置等及び消費税に係る課税の適正化の状況、財政状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずるものとするとのいわゆる検討条項が設けられている。
これらの勘案事項に関しては、これまで平成七年度及び平成八年度の各予算編成等を通じて、それぞれの場で真剣な取組がなされてきており、税制調査会等において、この消費税率についての検討のための議論がなされてきている。
五パーセントと法定されている消費税率を更に引き上げるという新たな法改正を要するかどうかについては、このような取組や国民各層の議論を踏まえながら、平成八年九月三十日という法律上の期限を勘案して、慎重に判断することとしたい。
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