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震災復興における企業の投資環境整備と雇用創出に関する質問主意書
衆議院 第177回 第426号
質問本文
政府が今月十五日に発表した平成二十三年四月〜六月期のGDP速報値によると、実質GDPについて前期比マイナス〇・三パーセント、年率換算でマイナス一・三パーセント。一方名目GDPについては、マイナス一・四パーセント、年率換算でマイナス五・七パーセントと大きく低下し、三期連続のマイナス成長となった。東日本大震災を受けてサプライチェーンの寸断など生産において大打撃を受け、輸出が大幅に落ち込んだことが原因としているが、欧州の財政不安の拡大や米国の国債格下げショックと景気失速に対する懸念、更に戦後最高値に迫る超円高は、輸出や景気回復に大きく影響を及ぼし、加えて電力不足の長期化に至っては企業にとって益々打撃となることは明白である。
震災前、日本企業は、法人課税、円高、製造業派遣の原則禁止などの労働規制、温暖化対策などの政策に苦しみ耐えてきたが、震災後においては、追い討ちを掛けるような菅総理の功利的、一過的な発言により、新たに電力不足が加わって幾重もの経営環境の負荷が重なった挙句、その生産拠点を海外に移転する動きが益々加速している。
岩手、宮城、福島の被災三県だけ取り上げても、全就業者のうち、第一次産業就業者は六〜十三パーセントに留まり、残る雇用は圧倒的に企業が支えているのが現状である。まさに企業の奮起なくして、被災地の復興はあり得ない。現政権による産業空洞化政策を即刻撤回し、地域の発展に大きく寄与している中小企業の生産性を伸ばし競争力を凌駕できるよう全力で我が国経済と地域経済を立て直すことが急務と考える。
従って、次の事項について質問する。
一 政府が発表した平成二十三年四月〜六月期のGDP速報値を受けて、欧州の財政不安の拡大や米国の国債格下げショックと景気失速に対する懸念、更に戦後最高値に迫る超円高は、輸出や景気回復に大きく影響を及ぼし、加えて電力不足の長期化に至っては企業にとって益々打撃となることについて、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
二 震災前、日本企業は、法人課税、円高、製造業派遣の原則禁止などの労働規制、温暖化対策などの政策に苦しみ耐えてきたが、震災後においては、追い討ちを掛けるような菅総理の功利的、一過的な発言により、新たに電力不足が加わって幾重もの経営環境の負荷が重なった挙句、その生産拠点を海外に移転する動きが益々加速しているが、どのように次期政権に引き継いでいこうとしているのか、菅内閣の具体的な見解如何。
三 二に関連し、政府は二千二十年までに温室効果ガスを千九百九十年比二十五パーセント削減するとの目標を未だに変えていないが、当面、電力不足を補う石油・石炭などによる火力発電に依存せざるを得ない状況である。菅総理の言う「脱原発」と京都議定書との整合性をどのように説明するのか。また代替する火力発電で使用する燃料費の増加による電気料金の値上げは必至と考えられ、企業を益々追い込んでいくことになるが、どのように対応するのか、菅内閣の明確な見解如何。
四 一〜三に関連し、韓国は、法人税の実効税率が二十パーセント台と我が国に比べ著しく低いことを利して国を挙げて海外企業の誘致策を企図している。韓国企業はその大半が五大財閥のため、国と一体となって政策に取り組み易いとは言うものの、このまま日本企業による技術移転などが加速する恐れは否定できないと考えるが、国としてどのような対策を講じていくのか、菅内閣の見解如何。
五 被災地では産業基盤が壊滅し、雇用の確保が急務である。厚生労働省の調査によると、被災三県だけでも、三月からの四ヶ月間において新規求職者数が十六万三千二百四十二人と、阪神淡路大震災時での、三県とほぼ人口を同じくする兵庫県の約二倍となっており、失業者が多くなったことを表しているが、雇用確保についてどのように対策を講じていくのか、菅内閣の見解如何。
六 EPAにおいては、欧州連合と協定を結んだ韓国に我が国は先を越され、特に被災地に集積する輸出産業などが、円高が大きく影響し、価格競争で熾烈な戦いをしているが、国としてどのように取り組んでいくのか、菅内閣の見解如何。
七 空洞化対策として期待される「総合特区」により、外資を含む成長産業を集積し、地域の発展に大きく寄与している中小企業の生産性を伸ばし競争力を凌駕できるよう全力で我が国経済と地域経済を立て直すことが急務と考えるが、菅内閣の見解如何。
八 七月、菅総理の「脱原発」発言に続き、原発輸出について、成長戦略から外す可能性に言及したが、その後政府は、継続中の輸出交渉は進めると軌道修正した。我が国が脱原発を行ったとしても、米国やインド、中国が原発から撤退するとは到底考えられない。寧ろ海外においては、大震災後も原発の需要が拡大していることを鑑み、世界最高の技術と国際基準を満たした我が国の原発輸出については、周辺諸国で技術が残存することの重要性を踏まえつつ、継続の方向性を明示すべきと考えるが、菅内閣の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
我が国の景気の現状は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しており、先行きについても、持ち直し傾向が続くことと期待されるが、電力供給の制約や原子力災害の影響、海外景気の下振れ懸念に加え、為替レートの変動等によっても、景気が下振れするリスクが存在すると認識している。
二から四までについて
「日本再生のための戦略に向けて」(平成二十三年八月五日閣議決定)においては、かつてない空洞化の危機を克服するため、当面は、電力制約や原子力発電所事故という二つの不安要因の払拭に全力を尽くすとともに、今後、立地競争力の強化のため、成長分野における生産・研究開発拠点等に対する国内立地補助及び国税と地方税を合わせた法人実効税率の五パーセント引下げ等に取り組むこととしている。
また、温室効果ガスを平成二年比で六パーセント削減するという京都議定書に基づく目標については、平成二十年から平成二十四年までの五年間の温室効果ガスの排出量及び吸収量に基づき評価されるものであり、電源構成のみならず、経済活動の状況等様々な要因に左右されるものであるが、当該目標の達成に向けて取り組んでいるところである。
なお、全体の発電電力量に占める原子力による発電量の比率が低下し、火力発電によって代替された場合、燃料費が増加し、発電コストが上昇するが、電気料金を値上げするかどうかは、総体的な原価の動向を踏まえ、一般電気事業者が判断することとなる。なお、一般電気事業者が一般の需要に応ずる電気の供給に係る料金を値上げする場合には、経済産業大臣の認可が必要であり、認可申請がなされた場合には、経済産業省において、料金が能率的な経営の下における適正な原価を踏まえたものになっているか等の観点から審査を行っていくこととなる。
五について
政府としては、被災者等就労支援・雇用創出推進会議が取りまとめた「「日本はひとつ」しごとプロジェクト」に基づき、復旧事業の推進、雇用創出基金事業の拡充、ハローワークによる就職支援の強化、雇用保険の延長給付の拡充、未払賃金の立替払の迅速な実施等に取り組み、被災者の雇用の維持・確保や生活の安定の確保に努めているところであり、今後、「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成二十三年七月二十九日東日本大震災復興対策本部決定)を踏まえ、更なる雇用対策に取り組んでまいりたい。
六について
経済連携の推進については、「政策推進の全体像」(平成二十三年八月十五日閣議決定)において、「国と国の絆の強化に向けては、「包括的経済連携に関する基本方針」(平成二十二年十一月九日閣議決定)に基づく高いレベルの経済連携推進や経済安全保障の確立等、国と国との絆の強化に関する基本的考え方及び進め方を、震災や原子力災害によって大きな被害を受けている農業者・漁業者の心情、国際交渉の進捗、産業空洞化の懸念等に配慮しつつ、検討する」としていることを踏まえ、取り組んでいく方針である。
七について
平成二十三年八月一日に施行された総合特別区域法(平成二十三年法律第八十一号)は産業の国際競争力の強化に関する施策及び、地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に推進することにより、国民経済の発展等に寄与することを目的としており、今後、同法を適切に運用してまいりたい。
八について
我が国の原子力技術に対する期待は、引き続き、幾つかの国から表明されており、諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、我が国としては、相手国の意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有するものを提供していくべきであると考えている。
国際的な原子力協力の在り方については、東京電力株式会社福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が行っている事故原因の調査や国際原子力機関(IAEA)における原子力安全への取組強化の検討の状況を踏まえつつ、できるだけ早い時期に、我が国としての考え方を取りまとめることとしている。
こうしたことを念頭に置きつつ、これまで進められてきた各国との原子力協力については、外交交渉の積み重ねや培ってきた国家間の信頼を損なうことのないよう留意し、進めていく考えである。
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