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野田内閣の内政及び重要外交課題に対する基本姿勢に関する質問主意書
衆議院 第178回 第4号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
本年九月二日に、野田内閣が発足した。被災地出身の議員として、野田内閣には、菅前内閣では滞った東日本大震災の復旧・復興を速やかに進め、被災者の生活再建に全力で取り組んでもらいたい。
しかし、これまでの民主党の政権運営をみても、国家に対する基本的認識の欠如、政策合意システムがないゆえの政策決定過程の不透明性、深刻な党内対立を避けるための懸案先送り傾向など、民主党には、そもそも政権担当能力がないことが明らかになってきている。結果、山積する内外の課題を処理できずにいることは国家国民にとって大きな不幸である。
野田内閣は民主党政権としては三代目であり、もはや後の無い内閣であるが、課題を少しでも前に進めるためには、これまでの民主党政権とどこが違い、どこが同じなのか、内政及び外交の基本姿勢を確認する必要がある。
このことを踏まえ、以下の通り質問する。
一 野田総理は、雑誌Voice十月号への寄稿「わが政治哲学」の中で、「民主党政権になって以降の政治のあり方について、とりわけ東日本大震災後の混迷についてお叱りを受けることも多い。」と記しているが、野田内閣として、「東日本大震災後の混迷」は存在したと考えるか。存在したとすれば、どのような事象を指し、その原因は何であったと考えるか。また「民主党政権になって以降の政治のあり方」の問題点は何であったと考えているか。これらに対し新内閣としてどのような改善を図るつもりなのか。
二 現在政府は、ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムとの原子力協定の承認を国会に求めている。これら協定の扱いに関し、菅内閣は質問主意書の答弁書において「これまで進められてきた各国との原子力協力については、外交交渉の積み重ねや培ってきた国家間の信頼を損なうことのないよう留意し、進めていく。」とし、引き続き諸協定の承認を求めていた。野田内閣は、これを踏襲するのか。
三 九月一日の野田総理とオバマ米国大統領との電話会談において、普天間飛行場の移設に関する昨年五月の日米合意の履行を最優先課題として挙げたと報道されているが、野田内閣においてはこの日米合意を忠実に履行する方針か。その際、沖縄に対しどのような働きかけを行うつもりか。これまでの民主党内閣では、外務・防衛・沖縄北方の各大臣及び内閣官房長官がそれぞれ持論を披露しつつ沖縄と交渉し、沖縄側を混乱させてきたが、野田内閣として普天間問題に関する沖縄への窓口となる担当閣僚を設置する方針はあるか。
四 普天間移設問題に関し、米国議会におけるグアム移転費削減の動きについて野田内閣としてどのようにとらえているか。またこれらの動きに対し、日本政府として米国側に何か働きかけを行うつもりはあるか。
五 米国では、今年中に普天間移設が具体的に動かなければ、グアム移転の予算もつかず、結果として普天間飛行場が固定化されるとの見方も出ているが、野田内閣として、移設に向けた地元沖縄との合意に関する期限を設定する考えはあるのか。また移設が進まなければ、普天間飛行場が固定化されるという認識を持っているか。
六 野田内閣として、普天間移設問題が依然解決していない理由は何であると考えるか。この問題の解決のために、一番に努力すべき主体は日本国政府、地元沖縄、米国政府のどこであると考えるか。
七 九月一日に、防衛省の中江事務次官が、沖縄県知事に対し、辺野古への移設計画に基づく環境影響評価(アセスメント)評価書を年内にも提出する方針を伝えていたことが報道された。しかし、この手続きの再開方針に関して、沖縄では反発も広がっている。野田内閣として地元の合意の成算がなくても、手続きを進める意図はあるのか。
八 民主党は、マニフェストでも日米地位協定の改定提起を謳っているが、野田内閣として改定に向けた具体的行動を起こすつもりはあるか。その場合、改定すべき点はどのようなものになるか。
九 野田総理は、前述の、雑誌Voice十月号の寄稿の中で、「東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」と記しているが、これは野田内閣として「東アジア共同体」の構築に向けた具体的行動は起こさないということか。この場合「東アジア共同体」の構想そのものに問題があるという認識なのか。問題があるとすれば具体的に何か。現状は「東アジア共同体」を打ち出すべき国際環境にないということか。
十 野田内閣の一川防衛大臣が、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と述べたと報道された。野田内閣として、この発言は問題の無いものと考えるか。「文民統制」とは、野田内閣としてどのように説明されるべきものと考えるか。また、素人感覚が「文民統制」に良い影響を与えるものと考えるか。
十一 野田総理は、前述の、雑誌Voice十月号の寄稿の中で、「「自分の国は自分で守る」という覚悟を、あらためてしっかりと固める」ことが必要と記しているが、これは、野田内閣として、近年の自衛隊の人員と予算の縮減傾向に歯止めをかけるという意味か。また、前述の「覚悟」を固めるためには、具体的にどのような政策を進めるつもりか。
右質問する。
政府答弁書
一について
東日本大震災は、被害が甚大で広範囲にわたるだけでなく、地震・津波・原発事故が複合した未曽有の大災害である。
政府は、東日本大震災による被害を受けた地域の地方公共団体とも協力して、復旧作業に全力を挙げてきたが、迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないという指摘もあると認識している。
政府としては、このような指摘に真摯に耳を傾け、「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成二十三年七月二十九日東日本大震災復興対策本部決定)に基づき一つ一つの具体策を着実に実行するなど、野田内閣として平成二十三年九月二日に閣議決定した「基本方針」に基づき内外の政策課題にしっかりと取り組んでまいりたい。
二について
政府として、先の答弁書(平成二十三年八月五日内閣衆質一七七第三四五号)で述べた方針に変わりはない。なお、各国との原子力協力を進めるに当たっては、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故原因の調査の状況や原子力安全への取組等について相手国に丁寧に説明していく考えである。
三について
政府としては、普天間飛行場の移設問題について、平成二十二年五月二十八日の日米安全保障協議委員会(以下「SCC」という。)の共同発表及び本年六月二十一日のSCCの際に発表したSCC文書「在日米軍の再編の進展」(以下「平成二十二年五月二十八日の共同発表等」という。)を踏まえ、同飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を図るべく、政府の考え方を沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組む考えである。なお、お尋ねの「普天間問題に関する沖縄への窓口となる担当閣僚」を設置する方針はないが、内閣官房長官の下で、沖縄関係閣僚会合を随時開催し、関係閣僚間での認識共有を図り、政府が一体となって、同飛行場の移設問題に対処していく所存である。
四について
米国下院においては、在沖縄海兵隊のグアムへの移転(以下「グアム移転」という。)に係る予算約一億五千六百万米ドル(以下「グアム移転予算」という。)を認める形で、二千十二会計年度の国防に関する支出を授権する法案(以下「国防支出授権法案」という。)を本年五月二十六日に、二千十二会計年度の軍事建設等に関する歳出についての法案(以下「軍事建設歳出法案」という。)を同年六月十四日に、それぞれ可決し、上院においては、軍事委員会において同月十六日にグアム移転予算を全額認めない形で国防支出授権法案を可決すべきものと決するとともに、本会議において同年七月二十日にグアム移転予算を全額認めない形で軍事建設歳出法案を可決したと承知しており、今後、両院の間で最終案に向けた調整が行われるものと考えている。
このような中、本年六月二十一日に開催されたSCCの際に発表したSCC文書「在日米軍の再編の進展」においては、日米両政府の間で、平成二十二年五月二十八日の共同発表等によって補完された平成十八年五月一日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」及び第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(平成二十一年条約第三号)に従ってグアム移転を着実に実施する旨を確認しており、我が国政府としては、このようなグアム移転の米国側予算に係る同国議会の動向を引き続き注視しながら、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減するため、引き続きこれらの日米合意に従ってグアム移転を着実に実施するため米国と協力していく所存である。
五について
政府としては、お尋ねの「移設に向けた地元沖縄との合意に関する期限」を設定する考えはないが、平成二十二年五月二十八日の共同発表等を踏まえ、普天間飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を図るべく、政府の考え方を沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組む考えである。
六について
政府としては、普天間飛行場の移設問題については、政府、地元及び米国の三者が納得する解決策を見いだしていかなければならないという極めて難しい問題であるため、時間を要してきていると認識している。
同飛行場の移設問題については、我が国政府が、米国政府とも協力しつつ沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組んでいく必要があると考えている。
七について
普天間飛行場の移設問題については、平成二十二年五月二十八日の共同発表等を踏まえ、同飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を図るべく、政府の考え方を沖縄の皆様に誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組んでいるところである。また、同飛行場の代替施設に係る環境影響評価の手続については、関係法令に従い、適切に対応してまいりたい。
八について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)については、今後とも、日米同盟を更に深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場の移設問題など他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、その対応について検討する考えである。政府としては、まずは、米軍人等による事件・事故の防止、米軍機による騒音の軽減、在日米軍施設・区域における環境問題等の具体的な問題について、地元の方々の御要望を踏まえつつ、最大限の努力を行っていく考えである。
九について
野田内閣としては、大きな構想を打ち出すよりも、当面の諸課題に着実に取り組んでいくことがむしろ重要であると認識しており、「東アジア共同体構想」を否定しているわけではない。
政府として、豊かで安定したアジア・太平洋地域の実現は、我が国の平和、安定及び繁栄にとって不可欠であるとの考えの下、東南アジア諸国連合(以下「ASEAN」という。)、東アジア首脳会議、ASEAN地域フォーラム、アジア太平洋経済協力などの既存の枠組みを活用し、開かれた形で重層的な地域協力のネットワークを強化していくという従来からの方針に変わりはない。
十について
文民統制は、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものであり、我が国の現行制度においては、国防に関する国務を含め、国政の執行を担当する最高の責任者たる内閣総理大臣及び国務大臣は、憲法上全て文民でなければならないこととされ、また、国防に関する重要事項については内閣総理大臣を議長とする安全保障会議に諮らなければならないこととされており、さらに、国防組織たる自衛隊も法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれていること等により、厳格な文民統制が確保されているものと考えている。
また、お尋ねの「素人感覚が「文民統制」に良い影響を与える」との趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が、国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であり、当該発言については、本人の真意が伝わらない形で報道されたものであると考えている。
十一について
「平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成二十二年十二月十七日閣議決定。以下「新大綱」という。)においては、陸上自衛隊の編成定数を十五万四千人、常備自衛官定員を十四万七千人、即応予備自衛官員数を七千人とし、新大綱に従って定められた「中期防衛力整備計画(平成二十三年度〜平成二十七年度)」(平成二十二年十二月十七日閣議決定。以下「新中期防」という。)においては、精強性を高めるための第一線部隊の充足について、後方業務に関する新たな人事任用制度の導入に伴う人件費抑制や人員の配置転換により、人件費の追加的な負担を招かない範囲で措置することとされている。
また、新中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、将来における予見し難い事象への対応等特に必要があると認める場合に限り安全保障会議の承認を得て新中期防の計画期間中において措置できる限度額千億円を含め、二十三兆四千九百億円程度をめどとすることとされている。
国の防衛は、国家が担うべき最も基本的な施策であり、新大綱において「我が国の安全保障の目標を達成するための根幹となるのは自らが行う努力であるとの認識に基づき、・・・同盟国等とも連携しつつ、平素から国として総力を挙げて取り組む」とされていることを踏まえ、政府としては、新大綱及び新中期防に従い、自衛隊全体にわたる抜本的な効率化・合理化を行った上で、真に必要な機能に資源を選択的に集中して、人的基盤を含めた防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成することとしており、即応性や機動性等を備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築していく考えである。
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