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売電目的の農地転用(消滅)面積は農水省では「予測は困難」とした政府答弁書に関する質問主意書
衆議院 第180回 第137号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
一 平成二十四年二月二十八日質問(第一〇四号)「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案で再生エネルギー発電設備の整備のために何ヘクタール優良農地を無くすと予測しているのか。」との問いに対する回答は「これを予測することは困難である。」であった。これは、農地転用申請数に比例して農地が転用(消滅)されるため農地喪失面積が予測困難との事。食料・農業・農村基本計画の四百六十一万ヘクタールがこれで守れるのか。政府の見解を求める。
二 「売電目的の再生可能エネルギー発電設備の整備に必要なまとまった土地確保」を図るため「優良農地までも対象」と説明していることは、農林水産省として不適切行為である。当初は耕作放棄地のみ対象としていたが、なぜ売電用発電設備設置の土地の確保のために優良農地を農地転用(消滅)させるのか。
三 優良農地と耕作放棄地の等価交換には当然費用が発生するが、耕作放棄地の所有者に「優良農地と同じ評価農地にもどす費用」を負担させることになるが、どのような認識でいるのか、予想される手法を聞く。本来農地を守る農林水産省が「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案」により発電事業者の計画次第で農地を提供せざるを得なくなる事態が、この回答(予測は困難)で明確になった。自家使用でなく売電目的事業は、経済産業省の調達価格、調達期間等が確定するまでは、この法案を審議することは困難である。売電目的の再生可能エネルギー発電設備の整備に必要なまとまった土地確保を図るための本法案の審議を急ぐ理由は何か。
四 農林水産省の「耕作放棄地を活用した発電ポテンシャル」では、耕作放棄地のうち約十七万ヘクタールが利用可能としているが、現実問題として約十七万ヘクタールのうち原野化した土地(八・六万ヘクタール)と農地への復元が不可能な耕作放棄地(五・八万ヘクタール)は、予想される売電価格では、修復造成費用まで投資する売電事業者はいない。いわゆる不適格地である。約十七万ヘクタールのうち二・八万ヘクタールは可能性があるが、送電線の費用次第では無理であると思われる。耕作放棄地のうち約十七万ヘクタールが利用可能とし、「耕作放棄地を活用した発電ポテンシャル」を発表した農林水産省は、約十七万ヘクタールについて農林水産省として再生可能エネルギー農地利用計画を立案しようともしていないのはなぜか。野田総理として農林水産省に検討に入らせるべきと考えるが、野田総理の見解を求める。
五 本来、農林水産省は売電目的ではなく「農産物の消費及び需要拡大のため非食料分野の一次エネルギー等での利用促進」「植物工場(ハウス)での農産物の生産・加工に寄与する電気の発電装置」目的の再生可能エネルギー農地利用計画を推進すべきであるが、売電事業者のために市町村を巻き込む無計画な農地利用制度の創設には理解に苦しむ。市町村からすると、再生可能エネルギー発電特区制度を創設し、内閣府が中心となり、「所有権の移転・農地法、自然公園法、温泉法等各省庁にまたがる手続きのワンストップ化」を図るべきである。全国各市町村は、政府のエネルギー基本計画の見直し・電力会社の見直し等を見極め、そのうえで、今年七月からの電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の施行内容の継続的方向性を更に見極めなければ、全国各市町村として基本計画は立てられない。再生可能エネルギー発電特区を希望する自治体には、手続きワンストップ等現行総合特区等の法律運用範囲で、政府の方針の下、内閣府にて対応できる。経済産業省の調達価格、調達期間等が確定しない状況において、内閣府を排除してまで急いで農林水産省で行う理由は何か、政府見解を求める。
六 政府は、耕作放棄地三十九・六万ヘクタール(二〇一〇農業センサス)+原野化した土地(八・六万ヘクタール)の対策を、農林水産省に全国関係自治体と協議を始めさせ、その議事録を公開し、広く国民の協力を求めるべきである。野田総理の見解を求める。
七 「不測時の食料安全保障マニュアル」について全国の自治体、農業関係者への周知徹底を農林水産省に図らせるべきだが、野田総理の見解を求める。
八 農林水産省の発表している二〇一〇年度の耕地面積と荒廃した耕作放棄地等の農地面積は、四百八十八・五万ヘクタールである。いっぽう総務省の固定資産税の評価に係る農地の二〇一〇年度評価総地積は、五百九・三万ヘクタールである。農地面積に関して農林水産省と総務省の差は、二十・八万ヘクタールであるが、単年度の農地転用事務通知による誤差理由では説明がつかない違いである。二〇一〇年度農地面積の両省の違いの詳細な理由を政府として明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「食料・農業・農村基本計画」(平成二十二年三月三十日閣議決定。以下「基本計画」という。)において平成三十二年の農地面積を四百六十一万ヘクタールと推計しているのは、これまでの農地の増減のすう勢を踏まえ、社会経済上必要な農地の転用を見込んだ上で、耕作放棄地の再生及び発生の抑制等の施策の効果について織り込んでいるものである。今後とも、これらの施策により、基本計画に即して必要な農地の確保に支障を来すことのないよう適切に対処してまいる考えである。
二について
今通常国会に提出している「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案」(以下「法案」という。)における農林地所有権移転等促進事業は、再生可能エネルギー発電設備(法案第二条第二項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。以下同じ。)の円滑な整備と併せて農地及び林地の農林業上の効率的かつ総合的な利用の確保を図るために行うものであり、当該事業の実施により、耕作放棄地の再生を図るとともに、農業の担い手への優良農地の集約化を図ることを通じ、優良農地が確保されることとなる。
三について
優良農地と耕作放棄地の間で所有権の移転等を行う場合における耕作放棄地の農地への復元については、発電事業者がその費用を負担する場合のほか、耕作放棄地の再生のための国の予算措置を活用して行う場合等、個々の事例によりその方法が異なることが想定されるが、法案第六条第一項に基づく協議会等の場における議論の中で選択されることとなる。
また、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「特措法」という。)に基づく再生可能エネルギー電気の調達価格、調達期間等は未定であるが、先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一〇四号)一の3についてでお答えしたとおり、特措法の施行を始めとする各種施策により再生可能エネルギーの導入の拡大が見込まれるところである。このため、再生可能エネルギー発電設備の整備を行うために必要となる農地の面積については、予測することが困難であるものの、農林漁業の健全な発展に必要な農地、林地等が失われないよう、あらかじめ、農地、林地等の適切な利用調整等を行うための計画制度を設けることにより、優良農地の確保を図りながら、再生可能エネルギーの導入を促進するため、今通常国会に法案を提出した次第である。
四について
御指摘の「再生可能エネルギー農地利用計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「耕作放棄地を活用した発電ポテンシャル」は、耕作放棄地及び原野化した土地のうち、基本計画に定められた食料自給率の目標の達成のために農業生産に用いることが必要な土地を除き、最大約十七万ヘクタールの土地を再生可能エネルギー電気の発電に活用することができることを示したものであり、御指摘のような計画を立案するためのものではない。なお、実際にこれらの土地を活用して再生可能エネルギー電気の発電を行うか否かは、当該土地の自然条件、特措法に基づく再生可能エネルギー電気の調達価格、発電設備の整備に要する費用等を踏まえて発電事業者が判断するものである。
五について
基本計画に定められた食料自給率の目標の達成のためには、農地への復元が可能な耕作放棄地を農業生産に用いることが必要であるものの、一方で、農地への復元が困難な耕作放棄地については、これを有効に活用して再生可能エネルギー電気の発電を促進することにより、農山漁村の活性化に結びつけることができる。このことを踏まえ、法案は、再生可能エネルギーの導入の拡大が見込まれる中、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電を促進することにより、農山漁村の活性化を図ることを目的とするものであることから、農林漁業の発展及び農山漁村の振興を任務とし、農地の利用、保全等に関する事務をつかさどる農林水産省を中心として法案を検討し、今通常国会に法案を提出した次第である。
六について
農林水産省においては、耕作放棄地対策に係る全国説明会等を開催し、関係自治体や農業者等と意見交換を行っているほか、耕作放棄地を解消した優良事例を農林水産省ホームページに掲載する等の情報提供を行うことにより、広く国民に理解と協力を求めているところであり、引き続きこれらの取組を行っていく考えである。
七について
平成十四年三月に農林水産省が決定した「不測時の食料安全保障マニュアル」については、農林水産省ホームページ、パンフレット等により、地方自治体や農業関係者を含む国民各層に周知を図っており、今後とも、周知に努めてまいりたい。
八について
御指摘の「四百八十八・五万ヘクタール」は、農林水産省において実施している「耕地面積調査」による平成二十二年の耕地面積及び平成二十二年度の「耕作放棄地全体調査」による荒廃した耕作放棄地等の面積を合計したものと考えられる。このうち、「耕地面積調査」は、農作物の栽培を目的とする土地の面積について、農林水産省の調査により、毎年現況を把握しているものである。また、「耕作放棄地全体調査」は、「耕地面積調査」において耕地とされた土地以外の荒廃した耕作放棄地等の面積について、農林水産省が市町村等に依頼して調査を行い、その結果を集計したものである。
これに対し、御指摘の「総務省の固定資産税の評価に係る農地の二〇一〇年度評価総地積」は、固定資産税の評価のために、原則として登記簿に登記されている地積により算出しているものであり、農政を推進する観点から農林水産省において実施している調査とはその趣旨及び調査方法が大きく異なることから、御指摘のような違いが生じているものと考えられる。
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