ことばで探す › 衆議院 第180回
原子力防災の見直し、強化等に関する質問主意書
衆議院 第180回 第158号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1検討してまいりたい ×4
質問本文
原子力安全委員会は三月二二日に「「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方について(中間とりまとめ)」(以下、「中間とりまとめ」という)をまとめた。福島第一原発事故の反省を踏まえて原子力防災を抜本的に見直し、強化することは当然の要請であり、政府及び関係地方自治体においても必要な取り組みに着手していると承知しているが、様々な混乱や不安が生じていることも事実である。そこで、原子力防災の見直し、強化等に係る取り組みの現状及び見通し等について質問する。
一 政府は、防災指針(原子力安全委員会決定「原子力施設等の防災対策について」及びこれに代わり法定化が予定されている「原子力災害対策指針」のことをいう。以下、同じ)、国の防災基本計画、原子力災害対策マニュアル及び関係行政機関の防災業務計画等を改定する予定であると承知しているが、それぞれにつき、本年四月又は「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」が成立し施行される時に改定する内容はいかなるものであるか。前掲法案との関係でそれぞれの改定時期がどうなるのかも併せて示されたい。
二 EPZ(原子力災害対策重点区域)の見直しを受け、PAZ(予防的防護措置準備区域)及びUPZ(緊急防護措置準備区域)が導入されると承知しているが、以下の点を明らかにされたい。
1 各原発立地点毎のPAZ及びUPZの線引きについては、どのような手順により、いつ頃設定されることとなるのか。
2 防護措置の発動に必要となるEAL(緊急時活動レベル)及びOIL(運用上の介入レベル)などの事項、手順等については、いつ頃に、一に掲げた文書及び政省令の改定が行われることとなるのか。
3 モニタリング、通信をはじめ、防護措置発動を実効的に裏付けるインフラの整備はいつ頃までに完了するのか。
4 1及び2の事項等の決定以前に、防護措置の発動が必要となり得る事態が生じた場合には、いかなる基準及び手続きにより、いかなる防護措置が発動されることとなるのか。また、その際に、移行期であることによる混乱を回避することは可能であるのか。
5 「中間とりまとめ」においては、「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置」(PPA(プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域)の参考値は概ね五〇km)が検討課題として挙げられているが、一の改定においてどのような取扱いとなるのかを含め、今後、どのように具体化していくのかを示されたい。
三 関係地方自治体は、改正が予定されている原子力災害対策特別措置法(以下、「改正原災法」という)の公布後六月以内に、地域防災計画を改定することを求められていると承知しているが、以下の点を明らかにされたい。
1 政府は地域防災計画改定のガイドライン、マニュアル等を準備中であるが、いつ頃関係自治体に提示するのか。
2 現実問題として、改正原災法の施行時期に地域防災計画改定が間に合う見通しが立っているのか。把握できている範囲内で、各自治体の状況を示されたい。
3 地域防災計画の実施に必要となる資機材の整備の見通し、及び財政措置、技術支援その他の政府としての対応策を明らかにされたい。
4 避難等の措置を有効に、混乱なく実行するためには、避難道の整備など、原子力防災の範疇だけでは対応できない施策が必要となると思われる。「中間とりまとめ」も指摘しているように、一般災害対応と重なる部分もあり、原子力防災の枠組みを超えた対応が求められる。政府としては財政措置を含めどのように対応していく方針であるのか。
四 「中間とりまとめ」で提起された以下の課題については、どのように具体化していく予定であり、各地域において対応がいつ完了する見通しであるのか。
1 緊急時対応拠点と対策実行拠点の設置など、オフサイトセンターに係る事項。
2 関連法制度の検討を含む、安定ヨウ素剤の予防的服用に係る事項。
3 スクリーニングに係る事項。
4 緊急被ばく医療体制に係る事項。
五 原子力発電所の再稼働問題の要件たる「地元の理解」について、未だ政府は「地元」の範囲を明らかにしていない。一方で、地元の範囲を矮小化し、同意を求めるのは立地自治体あるいは現行EPZ程度の範囲に止めようとしているのではないかとも疑われている。そこで、以下の点につき、政府の認識を問う。
1 現行の防災指針では、EPZについて「十分に安全対策が講じられている原子力施設を対象に、あえて技術的に起こり得ないような事態までを仮定して、さらに、十分な余裕を持って示しているもの」と説明しており、二〇一一年七月二〇日の衆議院東日本大震災復興特別委員会で班目春樹原子力安全委員会委員長は「原子力安全委員会としては真摯に反省」していると答弁した。これに対して、「中間とりまとめ」では「過酷事故が起これば、深刻な事故を招くと言う潜在的危険性がある」と言明した。改めて、政府として、EPZの過小設定について反省を示されたい。
2 本年三月二七日に原子力安全委員会事務局が公表した資料においては、EPZの目安の見直しに係り、同委員会環境管理課都筑課長が「10km超では対策を要する水準にならないことについて、従来のロジックを踏襲したい」と述べ、同委員会樋口技術参与は「日本では[チェルノブイリ事故]のようなことはあり得ないと言っており、従来のスタンスを踏襲して、これからも基本的に同じスタンスで行く」と述べたことが明らかになった(以上、平成二二年一〇月一二日打合せメモに記載)。同じく、電気事業連合会は平成二三年一月一三日付文書において、「UPZを10km以上で設定した場合、その領域内に入る新たな自治体は、現状枠組みの自治体と同等程度の取扱い(交付金・補助金)を要求する可能性がある」「現状枠組み自治体と事業者と同等程度の関係構築(たとえば、安全協定、要員派遣などの緊急時対応他。)を望む可能性がある」等の「推定」を示している。三月一五日に同委員会事務局が公表した資料では原子力安全・保安院が圧力をかけたことが明らかになっており、一連の経緯により、PAZ及びUPZの導入は見送られ、原子力防災を改善する機会が失われた。福島第一原発事故時の防護措置を巡る混乱及び被害拡大に対する政府及び電事連の責任は極めて大きいと考えるが、いかなる認識か。
3 さらに、原子力安全・保安院が公表した「我が国のシビアアクシデント対応の規制上の取扱いについて」では「SA[=シビアアクシデント]を法令により規制することは……既に許認可を受けた原子炉(既存炉)の安全性の優劣に疑義が生じ、基本設計の妥当性が争われる行政訴訟上の問題が生じる可能性がある」と記されている。ようやくシビアアクシデント対策が法定化される見込みとなっているが、政府として、シビアアクシデント対策法定化を先送りしてきたことなどをどのように反省しているか。
4 一連の経緯からは、過酷事故の影響を試算し、それに照らして防護措置が必要となる範囲を設定するというロジックが顛倒し、財政負担や原発運営への影響を限定的にするためにEPZを限定し、それを正当化するために事故想定を過少にしたのではないかとの強い疑義が生じる。シビアアクシデント対策でも同様のロジックの顛倒が強く疑われる。そうであれば従来の延長線上で「地元」の範囲を考える正当性は全く失われていると考えるべきであり、原子力安全委員会が福島第一原発事故を踏まえて、事故想定を見直し、試算を行ってPAZ、UPZ、PPAの目安を提示したように、白紙から「地元」の範囲を検討する必要がある。さらに、福島事故の教訓を踏まえれば、過酷事故のシミュレーションを行って、立地点毎に事故影響の及ぶ範囲を検討し、それを「地元」とすべきである。当該範囲の自治体は事故時に、放射能被害はもちろん、生活や経済活動の制約など甚大な影響を被る可能性がある。一方的に防災対策を講じることを求められながら、再稼働を含め原発に係る重要事項に関与できないのは不当である。政府は「地元」がどこであるのかは、一義的に決められないと言うが、最低限UPZは含めるべきであり、PPAや過酷事故想定で影響が及び得る範囲の自治体も排除すべきでないと考える。以上を踏まえて、原発再稼働判断に係る「地元」の範囲又はそれを判断する基準若しくは要素に関する政府の見解を示されたい。
六 現行の原子力防災についてはその前提を含めて瑕疵があり、福島第一原発事故時には混乱と被害の拡大を招いたことに鑑みると、使用済み燃料等のリスクを踏まえ順次対応を進めることは当然としても、原子力防災の見直し、強化が文書上だけでなく、実地に完了することが原発再稼働の最低条件の一つではないか。政府の見解を求める。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「原子力災害対策指針」(以下単に「原子力災害対策指針」という。)については、今国会に提出した原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案(以下「法律案」という。)の成立後、速やかに、内閣府原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会が平成二十四年三月二十二日に取りまとめ同委員会に報告した「「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方について(中間とりまとめ)」(以下「中間取りまとめ」という。)を踏まえ、定めることとしている。その上で、御指摘の「防災基本計画、原子力災害対策マニュアル及び関係行政機関の防災業務計画等」(以下「防災基本計画等」という。)については、法律案、原子力災害対策指針、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた「中間報告」等を踏まえ修正を行うこととしている。また、これらの内容については現在検討中である。
二の1について
お尋ねについては、中間取りまとめにおいて示された予防的防護措置を準備する区域(以下「PAZ」という。)や緊急防護措置を準備する区域(以下「UPZ」という。)に関する考え方について、原子力災害対策指針に定め、その上で、防災基本計画等の修正を行った後、関係道府県において、地域防災計画を修正することにより、定められるものと承知している。なお、政府としては、関係道府県におけるPAZやUPZの具体的な範囲の検討が円滑に進められるよう、これらの範囲に係る原子力災害対策指針の考え方について、関係道府県に対して説明するとともに、原子力発電所からの放射性物質の拡散シミュレーションを行い、その結果を参考情報としてお示しする予定である。
二の2について
お尋ねについては、法律案の成立後、速やかに進めてまいりたい。
二の3について
お尋ねについて、「実効的に裏付けるインフラ」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、現時点において、平成二十四年度までに順次講ずることとしている措置として、例えば、緊急事態応急対策の拠点となる緊急事態応急対策拠点施設(以下「オフサイトセンター」という。)等における衛星回線の拡充等の通信体制の強化や関係道府県におけるモニタリングポストの追加整備を行うこととしている。
また、オフサイトセンターの立地を含めた在り方については、中間取りまとめや関係道府県等の意見を踏まえ、可能な限り早期に結論を得るべく検討を進めてまいりたい。
二の4について
お尋ねの場合においては、現行制度の枠組みで対応することとなるが、PAZの考え方を踏まえ、直ちに避難に係る指示を行うなど、可能な限りこれらの新たな考え方を取り入れた対応を行ってまいりたい。また、このような対応について、関係道府県に対して説明会等を行うことにより、仮に防護措置が発動されても現場に混乱が生じないよう努めてまいりたい。
二の5について
気体状又は粒子状の放射性物質を含んだ空気の一団の通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(以下「PPA」という。)については、中間取りまとめにおいて、「今後、・・・具体的な対応を検討していく必要がある。」とされており、法律案の成立後速やかに行うことを予定している原子力災害対策指針の策定及び防災基本計画等の修正においては、PPAに関する事項を盛り込むこととはしていないが、今後、PPAに関する事項について、可能な限り早期に結論を得るべく検討を進めてまいりたい。
三の1及び2について
お尋ねについて、関係道府県等における地域防災計画の修正に係る状況については把握していないが、当該地域防災計画の検討が円滑に進められるよう、関係道府県等が準備すべき事項等を示したガイドラインやマニュアルを示すこととしている。
三の3について
平成二十四年度においては、原子力施設等の防災対策等に係る交付金を関係道府県に対して交付することとしており、これにより、地域防災計画に沿って、順次、安定ヨウ素剤、防護服、放射線測定器等の防災資機材の整備等が行われるものと考えている。
また、関係道府県が地域防災計画を修正するために避難シミュレーション等を実施する場合には、独立行政法人原子力安全基盤機構を通じ必要な技術的支援を行うこととしている。
三の4について
お尋ねについては、中間取りまとめにおいて、「原子力災害のうち「公衆の防護」に関する対応については、避難など一般災害対応とも重なる部分がある」とされていることも踏まえ、原子力災害の特殊性を十分考慮した防災対策を検討してまいりたい。
四について
お尋ねの事項については、中間取りまとめにおいて今後検討すべき課題等が示されていることから、これらを踏まえ、可能な限り早期に結論を得るべく検討を進め、その結果を原子力災害対策指針に反映させてまいりたい。
五の1及び2について
お尋ねについては、政府としては、当時、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故のような短時間で事態が進展するシビアアクシデントが起き得ることの認識や国際的な動向を迅速に取り入れる姿勢が欠けていたことなどの問題があったと考えている。このような中で、福島第一原子力発電所の事故が発生し、それにより避難等の措置を講じた地域の範囲がEPZの範囲を超えたこと等について、真摯に受け止める必要があると考えている。今後は、こうした点を十分に反省し、いわゆる安全神話に陥らず、国際的な原子力規制の動向にも注意を払っていくことが必要と認識している。
五の3について
従来の我が国の原子力安全規制については、お尋ねのシビアアクシデント対策等を含め、国際機関等の動向や研究成果に関する情報を入手し自らの規制活動に活用する努力が十分でなかったこと等の問題があったと考えている。
政府としては、福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえ、シビアアクシデント対策に係る規制を含む法律案を今国会に提出しているところであり、法律案の成立後、当該規制を適切に実施してまいりたい。
五の4及び六について
御指摘の「原子力防災の見直し、強化が文書上だけでなく、実地に完了すること」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、原子力防災対策については、常により高い水準を目指していくことが重要であると考えており、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原子力災害対策指針に係る検討を進めるとともに、関係道府県等における地域防災計画の修正を支援するなど、我が国における原子力防災対策の強化に向けた取組を進めているところである。
こうした原子力防災対策の不断の見直しに取り組む一方で、定期検査で停止中の原子力発電所の安全性については、平成二十三年七月十一日に内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣において取りまとめた「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入等)」において、安全上重要な施設・機器等が設計上の想定を超える事象に対し、どの程度の安全裕度を有するのかという点について、欧州各国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続やルールに基づく安全評価を原子力事業者が行い、その評価結果について、経済産業省原子力安全・保安院が確認し、更に内閣府原子力安全委員会がその確認の妥当性を確認することとなっている。
これらの確認を行った上で、定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開については、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣が、住民の理解や国民の信頼が得られているかという点も踏まえ、その可否を総合的に判断していくとしており、お尋ねの「原発再稼働判断に係る「地元」の範囲又はそれらを判断する基準若しくは要素」について、具体的にお示しすることは困難であるが、住民の理解や国民の信頼が得られているかの判断に際しては、地方自治体の首長や議会の意見は、有力な根拠になると考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1検討してまいりたい ×4
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。