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いわゆる「公用車談合」の損害賠償請求に関する質問主意書
衆議院 第180回 第246号仮定の質問 ×1個別の事案 ×1
質問本文
平成21年6月23日、公正取引委員会は、国土交通省が発注する公用車の車両管理業務について、談合の疑いを認定し、独占禁止法違反で計10社に排除措置命令と課徴金納付命令等を行なった。
これを受けて国土交通省は、本年4月13日、該当企業である日本道路興運株式会社ほか計9社に対し、1366件の契約について約80億円の損害賠償請求を行なったと発表した。
上記に関し、以下、質問する。
1 損害賠償請求にあたり、「損害額(元本)」が「79億8234万4421円」と算定されているが、仮に5月16日付けで損害賠償額を払うならば、延滞金等は何円になるのか。
2 損害賠償請求においては損害の発生が認定された日から延滞金が発生するのが判例であり、平成21年の排除措置命令、課徴金納付命令等から2年10ヶ月が経過しており、その間、損害賠償請求を行なわない事で、延滞金を含む企業側の支払金額をいたずらに大きくしたとも考えられるが、なぜこの間、損害賠償請求をしてこなかったのか。
3 独占禁止法第26条2項では、損害賠償請求権は3年間の経過とともに時効消滅すると規定されている。損害額の算定に誤りがあり、実際は損害額をもっと大きく算定すべきであった事が分かった場合、その差額の請求権は時効消滅してしまうのか。
4 損害額の算定は、平成22年1月29日のいわゆる「水門談合事件」の損害賠償請求における損害額の算定と同じ算定方式を用いたものか。違うならば、どこが違うのか、また違う扱いをした理由を明らかにされたい。
5 「水門談合事件」の損害賠償請求では、談合発覚前と談合発覚後の平均落札率の差から損害額を算定している。同じ手法を用いると、平成20年度までの国交省の公用車車両管理業務の発注額は年間180億円から190億円であったとされており、これに発覚以前(95.4%)と発覚後(54.1%)の平均落札率の差を乗じ、国土交通省が国の損害を認定した平成17年度から20年度の4年度分の損害額を単純計算すると、約290億円もの損害額となる。これと比して今回の損害賠償請求額の約80億円は低過ぎるのではないか。なぜこのような請求額になっているのか。
6 そもそも国土交通省は今回の損害賠償請求額の個別の算定表を公表していない。なぜか。今後、「予算執行の情報開示充実に関する指針」(平成22年3月31日内閣官房国家戦略室)に基づき、エクセル形式で算定表の詳細を公表する予定はあるか。
7 地方整備局等が損害額を算定するにあたり、算定方式について、国土交通省本省にて何らかの基本的考え方に基づき、統一された基準を示しているものと思われるが、その基本的考え方や統一された基準を示されたい。
8 問5のように本来、賠償請求すべき額と今回の賠償請求額に乖離があるとして、損害賠償請求そのものが請求権が時効消滅する平成24年6月のわずか2ヶ月前に行なわれており、仮に算定方法に過誤があったとしても、すぐに請求権の消滅を迎えてしまう。算定方法への異議を表面化させないため、意図的に損害賠償請求の時期を時効消滅直前にしたのではないかと疑われるが、見解如何。
9 国土交通省は、平成15年4月15日の「入札契約適正化の徹底のための当面の方策について」の一環として、談合等の不正行為を行った受注者に対して、請負代金の10分の1に相当する金額を違約金として支払わせる違約金条項の創設を表明している。この「談合違約金条項」は、損害賠償請求の対象となった当該車両管理業務の契約には盛り込まれているのか。ないとすれば、その理由は何か。
10 本事案のような車両管理業務は、WTO政府調達協定の対象か対象外か。対象外であるとすればその理由を付記されたい。
11 本年4月13日の「車両管理業務談合事案における入札談合等関与行為による国の損害等に関する調査結果について」によれば、職員は、開発局・開発局の職員団体・北協連絡車管理株式会社の三者会合において、指名競争入札を導入するための「導入スケジュール」と「業者指名の考え方」を教示したとされている。WTO政府調達協定の第10条で「業者指名」が、第11条で「入札の日数」が、厳格に規定されている事から、これらは入札の重要な情報として世界的に認められていると解する事ができる。にもかかわらず、これらの重要な情報を教示した事が「故意または重過失」にあたらず、職員に損害賠償責任はない、としているのは、正当な判断と言えるのか。
12 「水門談合事件」によって生じた国の損害は、談合が受注業者のほか入札参加者、世話役事業者、職員等による共同不法行為と考えられ、かつ賠償責任者間の責任割合を算定する事は困難である事から「不真正連帯債務」であるとされている。今回の損害賠償請求にあたっても、職員を請求対象から外すのではなく、共同不法行為として「不真正連帯債務」とするのが適当ではないか。
右質問する。
政府答弁書
1について
国土交通省が発注した車両管理業務について、公正取引委員会が平成二十一年六月二十三日、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)の規定に基づき排除措置命令等を行った事案(以下「本件事案」という。)に関し、同省が談合を行っていた者に対して行った損害賠償請求について、平成二十四年五月十六日時点で発生している延滞金は、約二十・三億円である。
2、3及び8について
本件事案は千三百件以上に及ぶ契約案件に係る事案であり、本件事案に係る損害賠償請求を行うに当たり、適正な損害額を算定するため、所要の期間が必要となったためであり、御指摘のように「算定方法への異議を表面化させないため、意図的に損害賠償請求の時期を時効消滅直前にした」ということはない。また、御指摘の「賠償請求すべき額」と「今回の賠償請求額」に乖離はないと考えており、仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいが、一般に、損害賠償請求権が時効により消滅しているか否かについては、個々の事案に応じて、裁判所において判断されるものと考える。
4、5及び7について
本件事案に係る損害賠償請求の損害額については、国土交通省本省が地方整備局等に示したところにより、談合がなければ存在したであろう落札価格を算定し、これと現実の落札価格との差額を損害額とする考え方により算定したものであり、御指摘の「水門談合事件」の損害賠償請求における損害額の算定方法と同じ算定方法を用いたものである。なお、談合がなければ存在したであろう落札価格については、談合に係る契約案件と同種の相当数の入札事例を基に算定する必要があるため、本件事案に係る損害賠償請求に当たっては、独占禁止法の規定に基づく排除措置命令において談合が行われたとされていない平成二十年七月十五日以降、同省において発注した平成二十年度後半の車両管理業務に係る委託契約の際の落札率を基に算定し、損害額が約七十九・八億円となったものである。
6について
御指摘の「損害賠償請求額の個別の算定表」が具体的に何を指すかは定かではないが、損害額の算定根拠については、御指摘の「予算執行の情報開示充実に関する指針」において公表することが義務付けられているものではなく、公表していない。なお、談合を行った者等から当該算定根拠の開示を求められた場合には、必要に応じて開示してまいりたい。
9について
御指摘の「入札契約適正化の徹底のための当面の方策について」は、本件事案に係る車両管理業務の委託契約は対象としていないため、当該委託契約には、御指摘の「談合違約金条項」は盛り込んでいなかった。
10について
本件事案に係る車両管理業務については、政府調達に関する協定(平成七年条約第二十三号)附属書�T日本国付表4に掲げるサービスに該当しないものとして、同協定の適用対象外と解される。
11及び12について
本件事案のうち、国土交通省北海道開発局が発注した車両管理業務に係る事案において、同局の職員による御指摘の「導入スケジュール」及び「業者指名の考え方」についての説明は、車両管理業務に係る委託契約において指名競争入札の円滑な導入を進めるために行われたものであり、当該職員が談合への関与を意図したものとは認められず、「導入スケジュール」等を示すことによる談合の発生を予見することは困難であったと考えられることから、当該職員に損害賠償責任はないと判断し、損害賠償請求を行わなかったものである。
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