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政府のTOC条約の解釈に関する質問主意書

衆議院 第193回 第361号趣旨が明らかではない ×1

提出者
民進党・無所属クラブ
提出日
2017年6月5日
内閣転送 2017年6月7日
答弁書受領日
2017年6月13日
提出から8日
答弁の項目数
1
質問 2,267字/答弁 1,325字

質問本文

平成二十九年三月二十一日、衆議院法務委員会で金田法務大臣は、「テロを含む組織犯罪を未然に防止して、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することを目的としまして、テロ等準備罪を創設するもの」と述べた上で、「三年後に迫りました東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えております。そうした中で、昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは不可欠である、この点が立法事実であります」と表明している。

他方、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のため、各国が立法作業をする際の指針とする国連の「立法ガイド」を執筆した刑事司法学者のニコス・パッサス氏は、東京新聞の取材に応え、「条約はテロ防止を目的としたものではない」と明言するとともに、六月三日にロンドン中心部で起きたテロなどを指し、「英国は長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけでは、テロの防止にはならない」と指摘した。さらに「新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならない」と述べた。

パッサス氏はこの取材の中で、テロ対策に関して、それぞれの国に異なった事情があり、まずは刑法など国内の制度や政策を活用するものだと述べ、TOC条約はあくまで各国の捜査協力を容易にするためのものであると指摘した。また、TOC条約については「組織的犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象」で、「テロは対象から除外されている」と指摘し、「非民主的な国では、政府への抗議活動を犯罪とみなす場合がある。だからイデオロギーに由来する犯罪は除外された」と、TOC条約の起草過程を踏まえつつ、「TOC条約はプライバシーの侵害につながるような捜査手法の導入を求めていない」と述べ、TOC条約を新たな政策導入の口実にしないように注意喚起を行った。

これらの見解を踏まえて、以下質問する。

一 TOC条約に関わる国連の立法ガイドを執筆したパッサス氏は、「非民主的な国では、政府への抗議活動を犯罪とみなす場合がある。だからイデオロギーに由来する犯罪は除外された」、TOC条約については「組織的犯罪集団による金銭的な利益を目的とした国際犯罪が対象」で、「テロは対象から除外されている」と指摘しているが、このような認識は政府内で共有されているのか。

二 金田法務大臣は、「三年後に迫りました東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えております。そうした中で、昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢等に鑑みますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは不可欠である」との認識を示している。他方、「昨今の国内外のテロ組織による犯罪」は、六月三日のロンドン中心部で起きたテロ事件においても、IS(イスラム国)は、「ISの派遣した戦士がロンドンで攻撃を実行した」との声明を発表するなど、イスラム過激派が関与する偏向したイデオロギーに由来するものが多くを占める。政府の「テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは不可欠である」という見解は、国際的には共有されていない日本政府の独自の考えで、本来のTOC条約の目的に合致していないのではないか。見解を示されたい。

三 パッサス氏は、テロ対策に関して、それぞれの国に異なった事情があり、まずは刑法など国内の制度や政策を活用するものだと述べ、TOC条約はあくまで各国の捜査協力を容易にするためのものであると指摘しているが、政府は刑法などの国内の制度や政策の活用をまず検討し、その上で、不可能だとの結論に至り、テロ等準備罪を新設する法案の成立しかないとの認識に至ったのか。見解を示されたい。

四 パッサス氏は、「英国は長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけでは、テロの防止にはならない」と指摘し、TOC条約の批准、ひいてはテロ等準備罪法案の成立そのものは必ずしもテロの防止にはつながらないということを示唆している。他方、金田法務大臣は、「テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは不可欠である」と述べているが、国際的には共有されていない日本政府の独自の考えで、本来のTOC条約の目的に合致していないのではないか。見解を示されたい。

五 パッサス氏は、TOC条約では「イデオロギーに由来する犯罪は除外された」と指摘しているが、参議院で審議中のテロ等準備罪法案では、「イデオロギーに由来する犯罪は除外され」ているのか。政府の見解を示されたい。

六 五に関連して、「イデオロギーに由来する犯罪は除外され」ていないとすれば、TOC条約が求めている以上のものを日本政府は準備しているのであり、テロ等準備罪法案は、国際的には共有されていない日本政府の独自の考えに基づくものであるという理解でよいか。

七 パッサス氏は、「新たな法案などの導入を正当化するために条約を利用してはならない」と指摘しているが、政府のこれまでの答弁を鑑みれば、イデオロギーに由来する犯罪は捜査や処罰の対象に含まれると解され、テロ等準備罪法案はこのようなパッサス氏の指摘に該当するのではないか。政府の見解を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から七までについて

御指摘の取材における各発言の趣旨が必ずしも明らかではないが、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)には、「イデオロギーに由来する犯罪」又はテロを本条約の全部又は一部の規定の適用対象から除外する旨を定めた規定はなく、また、本条約を採択した平成十二年の国際連合総会決議第二十五号に「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約が・・・拡大している国際的な組織犯罪とテロリストによる犯罪とのつながりとの戦いのための有効な手段であるとともに国際協力のために必要な法的枠組みとなることを強く確信」する旨の記載があること等を踏まえれば、本条約がテロを含む組織犯罪を防止し及びこれと戦うための国際協力を促進する上で重要な法的枠組みを定めるものであるとの認識は、国際的にも広く共有されているものと考えている。また、本条約第五条1は、犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪として、同条1(a)(�@)が規定する行為であって故意に行われたもの又は同条1(a)(�A)が規定する行為であって故意に行われたものの一方又は双方の犯罪化を義務付けているところ、我が国の現行の国内法制においては、同条1(a)(�A)に規定する行為が処罰の対象とはされておらず、また、ごく一部の罪に係るものを除き、同条1(a)(�@)に規定する行為も処罰の対象とはされておらず、当該義務は担保されていないことから、当該義務を誠実に履行して本条約を締結するための法整備として、現在国会で審議中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二第一項又は第二項の罪(以下「本罪」という。)を設けることが必要であると考えている。

本罪においては、本条約第五条1(a)(�@)に規定する行為の犯罪化に当たり、過去の国会における御議論を踏まえて処罰の対象を限定するために、当該犯罪化について本条約上認められているオプションである「国内法上求められるときは・・・組織的な犯罪集団が関与するもの」との要件の下で、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の規定との整合性を考慮しつつ、本条約第二条(a)において定義されている「組織的な犯罪集団」に相当する集団を我が国の国内法上適切に捉えるものとして、同法第二条第一項において定義されている「団体」のうち、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織等の「その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」を「組織的犯罪集団」と定義した上で、本罪の対象犯罪として、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮が定められている罪のうち、我が国における犯罪情勢等に照らして「組織的犯罪集団」が関与して遂行が計画されることが現実的に想定されるものを改正後組織的犯罪処罰法別表第四に掲げるなどしており、本罪の内容は、我が国が当該犯罪化の義務を誠実に履行するための法整備の在り方として適切であると考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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