ことばで探す › 衆議院 第193回
教育基本法の理念と教育勅語の整合性に関する質問主意書
衆議院 第193回 第93号お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×2
質問本文
教育基本法では、「日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うもので」、「この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」と謳っており、「日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立」することの必要性が示されている。
教育勅語は、明治二十三年、明治天皇が教育に関して与えた勅語であり、大日本帝国における政府の教育方針を示す文書と位置づけられる。
これらの整合性に関して疑義があるので、以下質問する。
一 教育勅語は現在法的効力を持たず、衆議院の昭和二十三年六月十九日の「教育勅語等排除に関する決議」(「本決議」という。)で、「これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである」と確認されているという理解でよいか。
二 教育勅語は、日本国憲法第九十八条でいう「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」に該当し、無効であるという理解でよいか。
三 本決議は、「詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八条の本旨に従」って、政府に教育勅語の排除を義務付けているという理解でよいか。
四 教育勅語を学校教育法上の学校で、教育のために用いることは、教育基本法でいう「日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立」などに反するのではないか。
五 教育勅語を学校教育法上の幼稚園で教材として繰り返し暗唱させ、さらには外来の見学者などにもその様子を見せることは、学校教育法第二十二条でいう「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」ことに反するのではないか。
六 教育勅語を学校教育法上の幼稚園で教材として繰り返し暗唱させ、さらには外来の見学者などにもその様子を見せることは、教育基本法第二条第五号でいう「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」に反するのではないか。
七 学校教育法上の学校の運動会で、現職の首相の名前を連呼し、「何某首相がんばれ」とその学校側が児童に言わしめる行為は、教育基本法第十四条第二項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」の規定で禁止されているのではないか。
八 学校教育法上の学校の運動会で、当時の内閣がその成立に命運を賭けていた法案に関して、「安保法制、国会通過、良かったです」とその学校側が児童に言わしめる行為は、教育基本法第十四条第二項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」の規定で禁止されている行為に該当しないのか。
九 五から八に関連して、学校教育法上の学校で、かかる不適切な教育が行われている場合、政府は何らかの是正のための指導を行うべきではないか。見解を示されたい。
十 学校教育法第二十五条でいう「幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する事項は、第二十二条及び第二十三条の規定に従い、文部科学大臣が定める」の中に、教育勅語を教材として用いることの是非は規定されているのか。あるいは日本国憲法で否定され、かつ、本決議で排除が求められるような勅語を教育に活用することの是非は、かかる条文の規定から導き出されないのか。政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
教育に関する勅語については、御指摘の「教育勅語等排除に関する決議」において、「詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである」と決議されたと承知している。
また、教育に関する勅語については、日本国憲法及び旧教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の制定等をもって、法制上の効力が喪失したと考えている。
四から九までについて
お尋ねのような行為が教育基本法(平成十八年法律第百二十号)や学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に違反するか否かについては、個別具体的な状況に即して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
その上で、一般論として、仮に、同法第一条の「幼稚園」又は「小学校」(以下これらを合わせて「学校」という。)において不適切な教育が行われている場合は、まずは、当該学校の設置者である市町村又は学校法人等において、必要に応じ、当該学校に対して適切な対応をとり、都道府県においても、必要に応じ、当該学校又は当該学校の設置者である市町村若しくは学校法人等に対して適切な対応をとることになる。また、文部科学省においては、必要に応じ、当該学校の設置者である市町村又は当該都道府県に対して適切な対応をとることになる。
十について
学校教育法第二十五条の規定に基づき文部科学大臣が定める幼稚園教育要領(平成二十年文部科学省告示第二十六号)において、お尋ねの「教育勅語を教材として用いることの是非」について定めた規定は存在しない。
また、御指摘の「かかる条文」の意味するところが必ずしも明らかでないが、お尋ねの「日本国憲法で否定され、かつ、本決議で排除が求められるような勅語を教育に活用すること」が学校教育法等の法令に違反するか否かについては、個別具体的な状況に即して判断されるべきものである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。