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福島の風評被害に関する質問主意書
衆議院 第195回 第84号お答えすることは困難 ×1
質問本文
株式会社三菱総合研究所が平成二十九年八月に東京都民千人を対象に実施したインターネット調査(以下「三菱総合研究所調査」という。)において、東京電力福島第一原発事故に伴う放射線による健康影響に関する認識について、現在の放射線被ばくで、がんの発症など後年に生じる健康障害が福島県民に発生する可能性が高いと考える人が半数以上、また、子や孫など次世代以降の福島県民に健康影響が発生する可能性が高いと考える人が約半数であったことが発表された。
また、消費者庁が定期的に実施している調査においても、福島県産食品の購入をためらう消費者は減少傾向にはあるものの、一定レベルで固定化されつつある傾向がうかがえる。
放射線に対する誤った知識や福島県の現状への理解不足は、原発避難者や福島県民に対するいじめや偏見にもつながり社会問題化した。
この間政府は、様々な取組を行ってきたが、原発事故から六年八か月を経過してなお、このように放射線に関する科学的根拠に基づく正確な情報や、福島県の放射性物質による環境汚染に関する正しい情報が国民に周知できていない現状であることを真摯に受け止め、これまでの対策を分析・検証したうえで、放射線教育や風評被害対策を抜本的に拡充する必要がある。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 三菱総合研究所調査の結果は、県内の子どもが就職や結婚の際などにいわれのない偏見や差別を受けかねないことを示すものであり、非常に深刻に受け止めなければならない。この調査結果について政府はどう受け止めているか。福島の風評被害に対する政府の現状認識は如何か。
二 依然として風評被害が続く今日の状況を踏まえ、これまでの対策を修正及び強化する必要があると考えるが、政府の検討状況は如何か。
三 風評被害対策は、各省がその所管に関係することだけを別々に実施していては効果があがらない。政府一丸となって取り組むべきものと考えるが、対応状況をうかがいたい。また、対策の実施において復興庁はどのようにリーダーシップを発揮しているのか。
四 風評被害の払拭に当たっては、放射線教育の取組の強化が重要と考える。小・中・高校の各段階での教育指導の必修化や、例えば中学校・高校の入学試験問題に放射線の知識を問う問題を採用すること等を行うべきと考えるが、検討することは可能か。もし、できないなら、その理由を明らかにされたい。
五 保健師や民生委員など地域に密着して活動する方々に放射線に関する正しい情報を発信してもらうことが有効と考えるが、取組状況は如何か。
六 現状では、風評被害払拭に向けた政府の広報活動は不十分であると考える。さらに積極的に行うべきと考えるが、今後の取組方針をうかがいたい。また、広報に当たっては、テレビやインターネットなどのメディアの活用も効果的と考えるが、政府の対応方針をうかがいたい。
七 観光業の再生も重要な課題である。福島県への外国人延べ宿泊者数、教育旅行の人数は、回復しつつあるものの、未だ震災前の状況には至っていない。政府が徹底して後押しすべきと考えるが、対応をうかがいたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「三菱総合研究所調査の結果」について、政府として論評することは差し控えるが、原子力災害に起因するいわれのない偏見や差別の解消が図られるよう、放射線による人体への影響等について、科学的知見に基づく正確な情報提供を行うことが必要であると考えている。
また、政府としては、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故による風評被害を含む影響として、福島県を始めとした被災地産品の買い控えや被災地への観光客の減少等が様々な要因により生じていると認識している。
二及び三について
政府としては、復興大臣の下、関係府省庁から成る「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)を開催し、関係府省庁が行う風評被害対策の進捗管理や課題の洗い出しを行い、風評被害対策を推進するとともに、福島県を始めとした被災地の産品や被災地への観光について、国内外における科学的知見に基づく安全性に関する正確な情報提供や正しい理解の普及等に取り組んできているところである。また、「福島復興再生基本方針」(平成二十九年六月三十日閣議決定)に即し、放射線に関する国民の理解の増進に対する関係府省庁の連携した取組を抜本的に強化するため、タスクフォースにおいて取りまとめられた風評払拭のためのリスクコミュニケーション等の戦略の下で、今後とも、政府一丸となって、風評被害の払拭に取り組む考えである。
四について
お尋ねの「小・中・高校の各段階での教育指導の必修化」については、学校の教育課程に関する事項は児童生徒の発達段階等に応じて定められるべきものであり、現在、中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)において、いずれの中学校においても理科の「エネルギー資源」に関する事項を取り扱う中で「放射線の性質と利用にも触れること」と規定しているとおりであるため、小学校、中学校及び高等学校の全てにおいて一律に放射線に関する教育を必修化することは困難であると考えている。
また、お尋ねの「中学校・高校の入学試験問題に放射線の知識を問う問題を採用すること」については、中学校及び高等学校の入学者選抜の方法等は都道府県教育委員会等入学者選抜の実施者が決定することとされていることから、入学者選抜の実施者において、学習指導要領を踏まえ適切に判断されるべきものであると考えている。
五について
お尋ねについては、平成二十九年七月にタスクフォースにおいて取りまとめられた「風評対策強化指針(平成二十九年七月追補改訂版)」に基づき、御指摘の保健師や民生委員も含め、地方公共団体職員、保健医療福祉関係者、学校関係者等を対象としたリスクコミュニケーションの推進者の養成に係る事業等を実施しているところである。
六について
二及び三についてでお答えしたとおり、放射線に関する国民の理解の増進に対する関係府省庁の連携した取組を抜本的に強化するため、タスクフォースにおいて取りまとめられた風評払拭のためのリスクコミュニケーション等の戦略の下で、今後とも、政府一丸となって、風評被害の払拭に取り組む考えであり、風評被害対策に係る情報発信に当たっては、御指摘のテレビやインターネットの活用も含め、正確で分かりやすく効果的な情報発信を行い得る媒体を用いる方針である。
七について
政府としては、「「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針」(平成二十八年三月十一日閣議決定)において「平成二十八年を「東北観光復興元年」として、観光振興に向けた力強い取組を開始する」とするとともに、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成二十八年三月三十日明日の日本を支える観光ビジョン構想会議決定)において「東北六県の外国人宿泊者数を二千二十年に百五十万人泊(二千十五年の三倍)とする」としているところである。これらを受け、外国人宿泊者数の増加のため、東北観光復興対策交付金を創設するとともに、東北観光復興プロモーション、「新しい東北」交流拡大モデル事業等による支援を行うほか、国内の教育旅行の誘致のため、福島県観光関連復興支援事業等による支援を行っているところである。政府としては、引き続き、福島県への更なる外国人観光旅客の来訪の促進や国内の教育旅行の誘致の促進を始めとした観光復興の取組を強化していく考えである。
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