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国家戦略特区による獣医学部新設に関する質問主意書
衆議院 第195回 第89号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3
質問本文
国家戦略特区による獣医学部新設をめぐっては、今治市(加計学園側)と京都府・京都産業大学が具体的な提案をしていたが、この間、政府は二千十六年十二月下旬に、今治の提案と京都の提案を比較して、今治の提案の方が、「教員の確保の道筋が立っている」など「熟度が高い」ので今治市を選定したと国会で説明してきた(六月十三日参議院内閣委員会、山本幸三大臣答弁等)。
ところが、先日公表された大学設置・学校法人審議会の審査意見によれば、岡山理科大学獣医学部(加計学園)の設置申請に対して、一回目の審査意見(第一次)として、教員配置について「カリキュラムの実現可能性に疑義がある」と指摘する等、七つの「是正意見」をつけ、根本的に見直さなければ不認可となる「警告」の意見をつけていた。この大学設置・学校法人審議会の審査意見は、今治の提案の方について「教員の確保の道筋が立っている」故に、今治の提案を選んだという政府の答弁の根拠を崩すものと、私は考える。
そこで、国家戦略特区による獣医学部新設に関して、以下の点について伺う。
一 国家戦略特区による獣医学部新設について、政府は、事業者公募の手続に入る前の二千十六年十二月下旬の段階で、「今治市の提案」と「京都府の提案」を比較して、今治市を選んだと説明してきた。
ならば、この比較検討を行った会議の日時、名称、検討会議の構成メンバー、会議録の有無を明らかにされたい。加えて、比較検討を行った者の中には、獣医学、ライフサイエンス及び人獣共通感染症の水際対策等の知見を持った専門家が入っていたのかを明らかにされたい。
二 十二月一日の文部科学委員会で松本文明内閣府副大臣は、「京都府と今治市の比較検討にあたって、特区ワーキンググループなどの民間有識者の方々に、獣医学部の新設を一校に限らざるをえなくなる可能性があること、その場合は今治市と京都府でまず実現するかを決める必要があることを説明し、ご意見を伺った事実がございます」と答弁した。
ならば、「意見」の論点を詳細に説明されたい。
三 十二月一日の文部科学委員会で松本文明内閣府副大臣は、「京都と今治の比較をおこなうにあたって内閣府に提供された資料や情報をもとにおこなった」と答弁している。
二千十六年十二月下旬段階での「今治市の提案」と「京都府の提案」との比較に用いた資料及び情報は、「国家戦略特区のワーキンググループに提出された提案資料、同ワーキンググループでのヒアリングの内容」及び「構造改革特区で今治・加計学園側が提出していた資料」以外の「資料と情報」が存在するのか。仮に存在するならば、資料の表題及び内容等を詳細かつ具体的に明らかにされたい。
四 山本幸三大臣(当時)は本年六月十三日参議院内閣委員会の答弁で、「今治市の提案」と「京都府の提案」を比較して今治を選んだ理由として、「専任教員の確保については、今治市は専任教員を七十名確保するとしており、その確保先についても、海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等が示されており、教員の確保の道筋が立っていると言えます」と答弁されている。
しかし、公開されている「国家戦略特区のワーキンググループに提出された資料」、「ヒアリングの内容」及び「構造改革特区での今治・加計学園側の提案資料」の中には、山本大臣が答弁したような具体的な確保先についての記述は無い。一方、今治市が獣医学部新設の国家戦略特区の地域と選ばれた下で、今年一月の加計学園が提出した国家戦略特区の応募書類の中に、答弁内容と同様の人材確保先が記されている。山本大臣の「教員の確保の道筋が立っているので今治市の提案は熟度が高い」という趣旨の答弁は、応募書類を見た上で創作したのではないかと私は考えている。
「海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等」の確保先について、昨年十二月の比較検討の際に、政府は本当に知っていたのか。仮に政府が知っていたとするならば、どうやって知りえたのか。具体的に明らかにされたい。
五 今年七月に私が質問「四」の内容を内閣府に質した際、「『海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等が示されており』との答弁について、今治市への聞き取りの状況 (回答) 十二月下旬に聞き取ったものです。」との説明が内閣府からメールであった。
一方、十二月一日の文部科学委員会で松本文明内閣府副大臣は、「京都と今治の比較を行うにあたって内閣府に提供された資料や情報をもとに行った」との答弁をしており、七月の説明と矛盾している。
「京都」と「今治」の比較検討の材料として、内閣府に提供された「資料や情報」以外にも、聞き取りは行ったのか、行っていないのか。どちらの説明や答弁が正しいのか、明らかにされたい。
六 山本幸三大臣は六月十三日の参議院内閣委員会で「地元との連携については、水際対策について、今治市は、四国知事会等が要望するなど広域的な対策を強化する具体的なアクションを起こしております。他方で、京都府等は、獣医学部のある大阪府との連携が必ずしも確保されていないなど不十分と評価せざるを得なかった」と答弁している。
しかし現実には、京都産業大学は二千六年に鳥インフルエンザ研究センターを立ち上げ、関西広域連合で「鳥インフルエンザ・口蹄疫等対策専門部会」にも参加している。また大阪府をはじめ、周辺自治体の家畜防疫の会議に委員を出して協力している。大阪府との連携という点では、京都産業大学が獣医学部設置の準備段階として設けた総合生命科学部動物生命医学科や鳥インフルエンザ研究センターから、近畿ブロック病性鑑定ネットワーク協議会や動物由来感染症防疫体制強化構想検討委員会に参加している。
政府は、これらの京都産業大の実績について、昨年十二月下旬の「今治市」と「京都府」の提案比較の際に、比較の材料とはしていないとの答弁だったが、京都産業大学の実績そのものについて認識していたのか、乃至、認識していなかったのかを明らかにされたい。また、この時点で政府が認識していた「京都産業大学の水際対策についての実績」を明らかにされたい。
七 獣医学部新設の規制緩和の第一の理由として掲げられてきた、「先端ライフサイエンス」分野について、二千十六年十二月の比較検討の際に、「今治市側」と「京都府・京都産業大学側」の提案の比較はどのように行ったのか。比較検討のポイント及び結果を明らかにされたい。
八 昨年十二月下旬に今治市と京都府・京都産業大学の提案を比較する際に、政府は一方の今治市側については、国家戦略特区ワーキンググループでの提案書やヒアリングに加え、過去の構造改革特区の時の提案書内容、さらに七月の説明では十二月下旬の今治市への独自の聞き取りなどを用いたと説明してきた。他方の京都府・京都産業大学側については提案書やヒアリングを用い、京都府・京都産業大側への独自の聞き取り等は行っていない。
昨年十二月下旬に政府で行われたとされる「今治」と「京都」の提案の比較及び選考は、「公平かつ公正」に行われておらず、実際は「加計学園ありき」の選考だったのではないか。政府の見解を明らかにされたい。
九 和泉首相補佐官が、前川前文部科学次官を二回目に呼び出したのは昨年十月十七日の午後四時頃とされている。十月十七日の午前中は、国家戦略特区ワーキンググループで京都産業大学の提案に関するヒアリングが行われている。国家戦略特区を利用した獣医学部新設の申請について、京都産業大学をはずし、加計学園の手だけに渡るようにするために急ぐように示唆した疑いを私は持っている。
和泉首相補佐官は、前川前文部科学次官を二回目に呼び出した十月十七日の午後四時頃の時点で、国家戦略特区ワーキンググループで京都産業大学が具体的な提案をしていることを認識していたかを明らかにされたい。また、この時点で和泉首相補佐官は、国家戦略特区による獣医学部新設を平成三十年度開設に限れば、京都産業大学は獣医学部開設に「間に合わない」という認識が根底にあったのではないか。明確な説明を求める。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「今治市の提案」と「京都府の提案」の「比較検討」は、平成二十八年十二月下旬から年末年始にかけて、山本内閣府特命担当大臣(地方創生)(当時)と内閣府の担当者との内部の打合せにおいて行ったものであり、その際の記録は作成していない。
二から八までについて
お尋ねの「「意見」の論点」の意味するところが明らかではないため、これについてお答えすることは困難であるが、御指摘の「京都府と今治市の比較検討」に当たって、国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員及び国家戦略特区ワーキンググループの委員から御意見を伺っており、その内容については、平成二十九年六月十三日に当該有識者議員から示された「国家戦略特区 獣医学部の新設について」において、「まず「一校」ということならば、長年にわたって構造改革特区提案を続けてきたこと、四国全域で獣医学部が存在せず感染症の水際対策などの切実なニーズがあることを踏まえ、今治市が妥当であることに全く異論はなかった。」とされているところである。
また、お尋ねの「構造改革特区で今治・加計学園側が提出していた資料」及び「資料の表題及び内容等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「今治市の提案」に係る専任教員の「確保先」について知った経緯は、同年十二月七日の参議院文教科学委員会、内閣委員会連合審査会において、梶山内閣府特命担当大臣(地方創生)が「平成二十年の・・・構造改革特区提案において、獣医学先進国であるアメリカ、欧州などからも専任教員を招致するといった構想を示しております。・・・また、昨年十二月下旬に事務的に今治市から確保先を聞き取ったものであります。」と答弁し、村上内閣府地方創生推進事務局審議官が「専任教員の確保先につきましては、・・・内閣府に所属する担当者が今治市の事務職員に事務的に聞き取った」と答弁しているとおりであって、この聞き取りにより提供された情報も、同月一日の衆議院文部科学委員会において松本内閣府副大臣が述べた「内閣府に提供された資料や情報」に含まれるものであり、「七月の説明と矛盾している」との御指摘は当たらない。
さらに、お尋ねの「京都産業大学の実績そのもの」及び「獣医学部新設の規制緩和の第一の理由として掲げられてきた、「先端ライフサイエンス」分野」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「「今治」と「京都」の提案の比較及び選考」及びその比較の時点で「政府が認識していた「京都産業大学の水際対策についての実績」」については、山本内閣府特命担当大臣(地方創生)(当時)が、同年七月四日の閣議後記者会見において、獣医学部の新設については、パブリックコメントの結果や獣医師会からの要望を受けて、平成二十八年十二月二十二日の三大臣合意で一校に限ることとし、これにより、当時実質的な提案を行っていた今治市と京都府のどちらでまず実現させるかを決める必要が生じた旨及びスピーディに改革を実現するという国家戦略特別区域の性格に照らし、事業の早期実現性の観点からそれぞれの提案内容の比較を議論することとした旨を述べ、また、平成二十九年六月十三日の参議院内閣委員会において、「本年一月四日の事業者公募の手続に入る前の年末年始の段階で、今治市の提案の中に、専任教員の数、あるいは地元との連携、教育内容の各点について、事業の早期実現性という観点から京都府の提案よりも今治市の提案の方が熟度が高いと判断して、今治市において構成員公募を行うことといたしました。具体的には、専任教員の確保については、今治市は専任教員を七十名確保するとしており、その確保先についても、海外製薬企業、中央官庁のほか国際機関での経験者、あるいは国際協力機構を含めて途上国経験を持った人材等が示されており、教員の確保の道筋が立っていると言えます。地元との連携については、水際対策について、今治市は、四国知事会等が要望するなど広域的な対策を強化する具体的なアクションを起こしております。他方で、京都府等は、獣医学部のある大阪府との連携が必ずしも確保されていないなど不十分と評価せざるを得なかったということであります。また、獣医学部の設置は地域の活性化に大きく貢献する必要があることから、京都府等の提案にその具体性がない反面、今治市は、まち・ひと・しごと総合戦略等に位置付けた上で、卒業生を地元の産業動物分野に就職させるための奨学金の仕組みなどの工夫を凝らしているところであります。京都府等はライフサイエンス研究を提案しておりますが、水際対策に関する部分が薄いと。他方、今治市は、現場体験学習などを通じて卒業後に産業動物を扱う分野に進むよう誘導するとともに、畜産業のみならず、地元の水産資源を対象とした感染症対策など、地元固有の資源に着目した、より具体的な内容になっていると評価できるところであります。このように、今治市の提案は事業の早期実現が見込まれると判断したものであります。」と答弁しているとおりである。
したがって、「昨年十二月下旬に政府で行われたとされる「今治」と「京都」の提案の比較及び選考は、「公平かつ公正」に行われておらず、実際は「加計学園ありき」の選考だったのではないか」との御指摘は当たらない。
九について
和泉内閣総理大臣補佐官には、お尋ねの「昨年十月十七日の午後四時頃」の時点において、「国家戦略特区ワーキンググループで京都産業大学が具体的な提案をしていること」の認識及び「国家戦略特区による獣医学部新設を平成三十年度開設に限れば、京都産業大学は獣医学部開設に「間に合わない」という認識」はいずれもなかった。
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