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高度プロフェッショナル制度のリスクへの認識と辞退の手続きに関する質問主意書
衆議院 第196回 第283号お答えすることは困難 ×1承知していない ×3
質問本文
高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が平成三十年四月六日に国会に提出されました。
そこで、以下の通り質問します。
一 高度プロフェッショナル制度の対象となった労働者が、翌年度に高度プロフェッショナル制度から外れたいと希望した場合は、上司への通告だけで、必ず高度プロフェッショナル制度から外れ、一般の労働時間制度が適用される労働者に戻ることができますか。もし一般の労働時間制度の適用に戻るために何らかの条件、上司の同意などが必要ならば、どのような条件を満たせば、戻ることができますか。
二 一週間契約の有期労働者に高度プロフェッショナル制度を適用することは可能ですか。適用可能の場合、一週間の給与は、いくら以上ですか。また、一ヶ月契約の有期労働者に高度プロフェッショナル制度は適用可能ですか。適用可能の場合、一ヶ月の給与はいくら以上ですか。
三 高所得者や年収千万円以上の労働者は過労死しにくい、という調査結果はありますか。また、年収や給与と長時間労働や過労死のリスクについての調査を行ったことはありますか。もしくは、同種の調査があることを把握していますか。そして、政府として、年収や給与と長時間労働や過労死のリスクにどのような相関関係があると認識していますか。
四 年収千七十五万円以上という金額は、十年以上前のデータに基づくものとの指摘がありますが、今回の「平均年収の三倍を相当程度上回る」が年収千万円を下回る可能性はありますか。
五 高度プロフェッショナル制度は新しい制度なので、どのような主体に、どのようなニーズがあるのか、また、制度の創設を要望している具体的な者、職種などについて、調査すべきと考えますが、今までにそのような調査は行っていますか。行っているのであれば、その結果をお教え下さい。もし、まだ調査されていないなら、それはなぜですか。
六 高度プロフェッショナル制度の必要性に関し、十数人から意見を聞いたとのことですが、その対象者をどのような基準で選定しましたか。また、どのような業種の方々ですか。意見の聴取は、いつ、何人ごとに、何時間行い、それぞれどのような意見があったか示して下さい。もし示せないのであれば、恣意的に人選した可能性も否定できず、高度プロフェッショナル制度の必要性の根拠とそもそもなり得ないのではないですか。
七 高度プロフェッショナル制度は、まったく新しい制度で、海外にも同様の事例はないとの指摘もありますが、どのような問題点やリスクがあると認識していますか。
八 将来的に、政府は、裁量労働制の拡大を図るための労働基準法改正案を国会に提出する可能性がありますが、年収要件を引き下げて、対象者を拡大する改正を、この法改正に合わせて、同時に提案する可能性はありますか。あるいは全く可能性はありませんか。
九 二〇一一年度から二〇一三年度の、年収千七十五万円以上(ボーナス含む)で脳・心臓疾患と精神障害で過労死・過労自殺(未遂を含む)された方の件数と、過労死・過労自殺(未遂を含む)の全体の件数に対する各年度のそれぞれの割合を示して下さい。あわせて、二〇一四年度から二〇一六年度の、年収千七十五万円以上(ボーナス含む)で脳・心臓疾患と精神障害で過労死・過労自殺(未遂を含む)された方の件数を示して下さい。また、年収千万円以上の労働者に占める過労死事案の割合と、一般の労働者の過労死事案の割合をそれぞれお示し下さい。そしてその割合は、どちらが高いですか。
十 高度プロフェッショナル制度で過労死した労働者が、過労死認定されなかった場合も、その事案があったことは公表されますか。もし公表されなければ、高プロの危険性が顕在化せず、国民が高度プロフェッショナル制度の是非を判断できないのではないですか。
十一 高度プロフェッショナル制度から通常の労働者に戻ることを申し出た労働者は、不利益となる取り扱いはされないと保証されますか。年収が減額されたり、契約期間が短縮されたりしませんか。万一、労働者に対し、不利益となる取り扱いや対応をした場合、当該使用者にどのような罰則がありますか。また、それは法律に明記されていますか。
十二 高度プロフェッショナル制度から、自らの意思で労働者が外れたいと望めば、年度途中のみならず、次年度へ切り替わる時期においても、労働者は高度プロフェッショナル制度から外れることは、通告だけで、必ず高度プロフェッショナル制度から外れ、一般の労働時間制度が適用される労働者に戻ることができますか。もし一般の労働時間制度の適用に戻るために何らかの条件、上司の同意などが必要ならば、どのような条件を満たせば、戻ることができますか。
十三 高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者の、健康管理時間、年収、実際の労働時間、医師の面談を受けた人数等の実態は、今後、どのように把握するのですか。また、これらのような労働者の実態は、企業ごとに公表されますか。
十四 精神障害の業務起因性判断のための調査について、調査の復命日から支給決定までの平均的な期間は、どの程度ですか。もし、データがなければ、新宿労働基準監督署における、二〇一七年一月から十二月までに過労死で労災の保険の支給決定された事案について、件数と、それぞれの調査復命書の復命日と支給決定の日までの平均期間を示して下さい。
右質問する。
政府答弁書
一及び十二について
いわゆる高度プロフェッショナル制度については、労働者の同意を要件としているが、当該同意は撤回することができるものである。同意を撤回する際の手続等については、今後検討することとしている。
二について
いわゆる高度プロフェッショナル制度の適用要件は、「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」に従事し、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こと等としており、これらの要件に該当する場合に限り同制度を適用することができる。
三について
お尋ねの「高所得者や年収千万円以上の労働者は過労死しにくい、という調査結果」及び「年収や給与と長時間労働や過労死のリスクにどのような相関関係がある」かについては承知していない。また、お尋ねの「年収や給与と長時間労働や過労死のリスクについての調査」については、厚生労働省においては行っておらず、「同種の調査」があることは承知していない。
なお、いわゆる高度プロフェッショナル制度の年収要件については、労働条件に関する一定の交渉力を有していると考えられる者として「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こととしているところである。
四について
いわゆる高度プロフェッショナル制度の年収要件については、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こととしている。具体的な年収額については、平成二十七年二月に労働政策審議会において取りまとめられた今後の労働時間法制等の在り方について(建議)において、「労働基準法第十四条に基づく告示の内容(千七十五万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当である」とされているところであり、これを踏まえて労働政策審議会において議論していただき、厚生労働省令で定めることとしている。
五及び六について
いわゆる高度プロフェッショナル制度の検討過程において、研究職やコンサルタント等、専門的な職業に従事する様々な方からその御意見を伺ったところである。その御意見等の詳細については、公表を前提としたものではなく、お答えすることは差し控えたいが、いずれにしても、同制度については、労働政策審議会における公労使の議論を経て答申されたものである。
七について
いわゆる高度プロフェッショナル制度についての労働政策審議会労働条件分科会における議論において、労働者側委員から、同制度について、長時間労働となるおそれがある旨の意見があり、そのような事態が生じないよう、同制度においては、「健康管理時間・・・を把握する措置・・・を・・・使用者が講ずること」、「一年間を通じ百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を・・・使用者が与えること」、さらに、労働者の健康を確保するための措置を使用者が講ずることなど、労働者の健康を確保するための様々な措置を講ずることとしている。
八について
お尋ねの「年収要件を引き下げて、対象者を拡大する改正」は、現時点では考えていない。
九について
お尋ねについては、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)による保険給付の支給の決定に当たり、被災労働者の年収を確認していないため、把握していない。
十について
個別の過労死等事案については個人情報保護の観点から公表しないこととしている。なお、いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象労働者に係る過労死の件数の集計及び公表については、今後、検討していく考えである。
十一について
いわゆる高度プロフェッショナル制度においては、使用者は、「同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと」について決議(今国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案による改正後の労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四十一条の二第一項の規定による決議をいう。以下同じ。)をし、当該決議を行政官庁に届け出なければならないこととしており、使用者が「同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱い」をした場合には、労働基準監督機関による監督指導の対象となる。
十三について
お尋ねの「実態」については、行政官庁が、決議が届け出られたときや事業場に対して監督を実施するとき等に把握することとなる。
また、「労働者の実態は、企業ごとに公表されますか」とのお尋ねについては、現時点では未定である。
十四について
「精神障害の業務起因性判断のための調査について、調査の復命日から支給決定までの平均的な期間は、どの程度ですか」とのお尋ねについては、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、東京労働局の管轄区域内の労働基準監督署において平成二十九年度に労働者災害補償保険法による保険給付の支給の決定を行った過労死等事案の平均的な期間について申し上げれば、八・一日である。
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