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GPS捜査に関する質問主意書
衆議院 第196回 第435号承知していない ×3
質問本文
最高裁判所大法廷は、平成二十九年三月十五日、裁判所の令状を取らずに衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付ける捜査は違法とする判断(「本判決」という。)を示し、GPS捜査は個人のプライバシーを侵害し得る強制捜査と明確に位置付けた。さらに最高裁は現行の令状では十分でなく憲法や刑事訴訟法に適合する新たな立法措置を講じるのが望ましいことを示した。
これに先立ち、日本弁護士連合会は、平成二十九年一月に、「警察庁は、現在、任意捜査として「移動追跡装置運用要領」に基づき実施している、GPS移動追跡装置を用いた位置情報探索捜査を直ちに中止すべきである」「GPS捜査について、捜査対象者のプライバシー権を不当に侵害することのないよう、少なくとも」「要件及び手続を法律によって定め、裁判官の厳格な審査により発付された令状の下で行われるようにすべきである」ことを指摘している。
「GPS捜査は違法とする最高裁の判断に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一九三第一三七号)(「本答弁書」という。)では、「警察庁において、平成二十九年三月十五日、全国の警察に対し、検証許可状の発付を受けて行うものを含め、移動追跡装置を取り付けて捜査対象車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう指示したところ」であるとともに、「今後、GPS捜査を行うにあたっては、最高裁判所が指摘する憲法や刑事訴訟法に適合する新たな立法が必要だと思われるが、この立法作業を開始する考えを政府は持っているのか」との問いに対し、「御指摘の判決を踏まえつつ、必要な検討を行ってまいりたい」と示された。
本答弁書が示されてから一年以上が経過し、「必要な検討」が十分になされたと思われるので、以下質問する。
一 本判決以前のGPS捜査について、
あ) そもそもGPS捜査が開始された時期(明確に時期が特定できない場合は、開始されたと推定される時期)はいつか。
い) これまでGPS捜査が行われた事案の件数はどの程度か。
う) GPS捜査に使われる移動追跡装置の契約の主体は誰か。当該官公署なのか、それともそれに所属する職員の個人名義なのか、具体的に示されたい。
え) GPS捜査に費やした経費について、これまでどの程度であったのか。公費で支出されたもの、それ以外のいわゆる私費で支出されたものについてそれぞれ示されたい。
二 一に関連して、具体的に内容を把握していない場合はその理由は何か。またその場合には今後調査を行う予定があるか。政府の見解如何。
三 平成二十九年一月、千葉県警が令状を取りGPS捜査を行ったと承知しているが、当該令状の種類と記載事項(根拠法令、目的等)を具体的に示されたい。
四 三に関連して、この千葉県警の捜査以外に令状を取ってGPS捜査を行った事例はあるのか。
五 本判決以後のGPS捜査について、
あ) 平成二十九年十二月に三重県警がGPS捜査を行ったと承知しているが事実か。
い) この三重県警以外にGPS捜査を行った事実はあるか。
六 本判決でGPS捜査は個人のプライバシーを侵害し得る強制捜査と明確に位置付け、現行の令状では十分でなく憲法や刑事訴訟法に適合する新たな立法措置が講じられることが望ましいと指摘されたことを踏まえ、本判決以後にGPS捜査によって得られた位置探索情報に関わる証拠の取り扱いについて、
あ) 現在行われている刑事裁判において、それがGPS捜査によって得られた証拠である旨を明らかにし、審理に使われないような対策を講じているのか。
い) 検察官はその証拠がGPS捜査によって得られたものであることを知る仕組みはあるのか。
う) あるとすれば、それはどのような方法によって知り得ることができるのか。
え) そのような方法がないとすれば、理由は何か。
七 本答弁書では、「御指摘の判決を踏まえつつ、必要な検討を行ってまいりたい」と示しているが、
あ) 政府はGPS捜査が現在も「有効な捜査手法」と考えているのか。
い) 今後、憲法や刑事訴訟法に適合する新たな立法措置を検討する、あるいは現在行っているのか。
う) 立法措置を検討しているとすれば、どのような事項について検討しているのか。
え) 立法措置の検討を行っていないとすれば、その理由は何か。
お) GPS捜査に関して、諸外国の状況調査や研究は行っているのか。
か) 行っているとすれば、どのような事項を調査研究しているか。
右質問する。
政府答弁書
一のあ)について
警察庁としては、都道府県警察において移動追跡装置を取り付けて行う捜査が開始された具体的な時期を把握していないが、警察庁において移動追跡装置運用要領を制定したのは、平成十八年六月三十日である。
一のい)について
警察庁において把握している限りでは、平成二十六年から平成二十八年までに都道府県警察が移動追跡装置を取り付けて行う捜査に係る事件数について、都道府県警察における事前承認の記録に基づき調査した結果、平成二十六年は二百二十三件、平成二十七年は二十二件、平成二十八年は九件である。
一のう)及びえ)について
警察庁においては、都道府県警察が使用する移動追跡装置を整備するための経費として、平成二十五年に約六十五万円を執行しており、当該整備に係る契約の主体は国である。これ以外の都道府県警察における移動追跡装置を取り付けて行う捜査に関する経費の支出及び契約の主体については、把握していない。
二について
都道府県警察における移動追跡装置を取り付けて行う捜査及び当該捜査に係る契約については、都道府県警察の判断によって行われてきたものであり、その状況について警察庁に対して逐一報告がなされるものではなく、また、当該捜査の開始された時期及び当該捜査に係る契約に関する事項について、警察庁として調査を行う予定はない。
三について
警察庁としては、千葉県警察において、移動追跡装置を取り付けて行う捜査を実施するために平成二十八年に検証許可状の発付を受けたものと承知しているが、個別の事件に関する事柄であり、当該検証許可状の記載事項についてはお答えを差し控えたい。
四について
警察庁として、千葉県警察の事例のほかに一件の事例を把握しているが、これ以上の詳細については、個別の事件に関する事柄であり、お答えを差し控えたい。
五について
警察庁としては、平成二十九年三月十五日最高裁判所大法廷判決(以下「本判決」という。)以降において、三重県警察の捜査員が捜査対象車両に移動追跡装置を取り付けて捜査を行った事案(以下「三重県事案」という。)については把握しているが、これ以外の事案については把握していない。
六について
警察庁において、平成二十九年三月十五日に、都道府県警察に対し、検証許可状の発付を受けて行うものを含め、捜査対象車両に移動追跡装置を取り付けて行う捜査を控えるよう指示しているところであり、法務省及び警察庁が把握する限り、三重県事案を除き、本判決以降、捜査対象車両に移動追跡装置を取り付けて行う捜査は実施されていないものと承知している。
七について
お尋ねについては、関係省庁において、移動追跡装置を取り付けて行う捜査に関する諸外国の法制度及びその運用状況について調査研究を行うとともに、本判決を踏まえつつ、当該捜査の有効性並びに憲法及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の諸原則に適合する制度の在り方について、必要な検討を行っているところである。
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