Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第204回

住民の視点から考えた避難計画に必要な情報に関する質問主意書

衆議院 第204回 第159号趣旨が明らかではない ×1

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2021年6月2日
内閣転送 2021年6月7日
答弁書受領日
2021年6月11日
提出から9日
答弁の項目数
8
質問 2,594字/答弁 2,753字

質問本文

原子力規制委員会は、原子力災害対策特別措置法第六条の二に基づいて、原子力事業者、国の行政機関、地方公共団体やその長などによる原子力災害予防対策、緊急時対応対策および原子力災害事後対策(以後、原子力災害対策)が円滑に実施されるための原子力災害対策指針を定めている。

原子力災害対策指針に基づいて避難計画を作るのは地方公共団体だが、東京電力福島第一原子力発電所(以後、一F)事故を経験した住民の経験が活かされているとは思えない。

そこで、以下質問する。

一 避難に必要な情報について

一F事故における住民避難で最も重要な教訓は、避難に必要な情報を住民が得られなかったことであると考える。この点について、政府の見解を明らかにされたい。

二 避難に必要な情報の考え方について

東日本大震災後に成立した津波防災地域づくりに関する法律に基づいて定める「津波防災地域づくりの推進に関する基本的な指針」では、避難に関しては、「『災害には上限がない』こと、津波災害に対する備えの必要性を多くの国民があらためて認識し、最大規模の災害が発生した場合においても避難等により『なんとしても人命を守る』という考え方で対策を講ずることの重要性、歴史と経験を後世に伝えて今後の津波対策に役立てることの重要性などが共有されつつある」としている。

「最大規模の災害が発生した場合」を考えることは、原子力災害対策指針においても採用すべきだが、実際には、原子力規制委員会の新規制基準では、原子力災害における環境への放射性物質放出の量が、最大でも一F事故の約百分の一しか想定していない。

避難計画を考える上での出発点は、最大規模の災害が発生したときに、どのような情報があれば、住民が安全に避難できるかを考えることではないか、政府の見解を明らかにされたい。

三 避難に必要な情報とは何かについて

1 原子力災害対策指針は「原子力災害とは、原子力施設の事故等に起因する放射性物質又は放射線の異常な放出により生じる被害を意味する」としているが、「異常」な放出とはどのようなレベルのことを言うのか。

2 原子力災害による被ばくを住民が避けるには、個々の住民が、最大限どこまで避難すればよいかを、予め知っておく必要があると考える。しかし、どのような場合にどのように放射性物質が放出されるかを最も具体的に予想できるのは原子力事業者であるはずである。

そこで、政府は、原子力事業者に対し、自らが設置した原子力施設で原子力災害が起きた場合に、放射性物質が拡散し得る最大限の範囲を、気象条件も考慮した最悪のケースで公開させるべきではないか。

3 新潟県の事故検証を通して、二〇一六年二月になってようやく、一F事故では、当時、東京電力社内にあった原子力災害対策マニュアルに炉心溶融の定義が書かれていたことが明らかにされた。全電源を喪失してから環境中への放射性物質の放出までの時間を想定し得たことを示している。

原子力発電所周辺に暮らす住民にとっては、原子炉に異常が起きた場合に、異常が起きた時点から環境中への放射性物質の放出が起きるまでの時間は、予め知るべき不可欠な情報ではないか、政府の見解を明らかにされたい。

4 環境中への放射性物質の放出の始まりからの経過予想は、原発五キロメートル圏内(PAZ)の住民がいつ避難を始め、三十キロメートル圏内(UPZ)の住民がいつまで屋内退避をし、いつ避難を開始したらよいかの判断に必要不可欠な情報だと考えるが、政府の考えるところを明らかにされたい。

四 情報を得る手段について

1 原子力災害が起きた場合に原発周辺住民が避難に必要な情報を得るための手段は、地方公共団体の策定する地域防災計画(避難計画)の中で、十分に整備されていると政府は考えているのか。

2 原子力災害が起き、避難する際、地域防災計画(避難計画)で予定されていた通信手段が失われ、情報途絶状態に陥った場合、住民は何ができると政府は考えているのか。

五 避難に必要な燃料について

一F事故からの避難では、避難路が渋滞し、また避難に必要なガソリンの入手が困難で無用な被ばくをした、させたとの悔しい思いや不安が多くの住民に残っている。

内閣府原子力防災の「よくある御質問」ウェブサイトには、「Q十四.ガソリンが不足した場合、どのように対応しますか」との質問に、「ガソリンなどの燃料に関しては、その物資所管官庁である経済産業省が、あらかじめ燃料の調達体制を整備し、災害時には関係事業者、関係業界団体などの協力等により、供給を確保することにしています」と回答している。しかし、ガソリンスタンドまでの供給が確保されることと、個々の利用者が調達できるかどうかは別問題である。

1 政府は、再稼働している大飯原発、高浜原発、川内原発、伊方原発の緊急時対応を確認した原子力防災会議で、経済産業省による燃料の調達体制の整備と関係事業者および関係業界団体との協力供給体制を確かめたのか。また、どのように確かめたのか。

2 政府は、右の原子力防災会議で、個々の住民が避難に必要な十分なガソリンをどこでどのように得られるのかの具体的な情報が、地域防災計画(避難計画)に含まれているかどうかを確認したのか。

3 原子力災害が起きて、どこへ行けば避難に必要なガソリンを迅速に得ることができるのかを予め周知徹底されていなければ住民は安心ができないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 避難時間シミュレーションについて

地域防災計画を策定する地方公共団体の中には、避難時間シミュレーションを行っている地域があるが、避難にかかる時間を推計しているだけで、被ばくとの関連性がない。住民が必要とするのは、どの程度被ばくするかを関連づけた被ばく時間シミュレーションではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

七 避難に必要な情報に関する公聴会等について

「原子力施設の事故等に起因する放射性物質又は放射線の異常な放出により生じる被害」を避けるために、現在の避難計画で安心を感じるかどうか、さらにどのような情報があればより安全な避難ができると感じるかについて、公聴会を開いたり、意見募集をしたりすることが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた中間報告書において、「国による避難指示等は、避難対象区域となった地方自治体全てに迅速に届かなかったばかりか、その内容も「ともかく逃げろ。」というだけに等しく、きめ細かさに欠けていた。」と指摘しており、住民への情報提供は東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の重要な教訓であると考えている。

二について

原子力災害対策指針(平成三十年原子力規制委員会告示第八号)は、御指摘の東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故のような放射性物質の大規模な放出に至る場合等も想定し、防護措置の基本的な考え方を示している。

三の1について

原子力災害対策指針に規定する「放射性物質又は放射線の異常な放出」とは、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「法」という。)第十五条第一項第一号に規定する異常な水準の放射線量の基準として原子力災害対策特別措置法施行令(平成十二年政令第百九十五号。以下「令」という。)第六条第三項各号に定める基準以上の放射線量が検出される放出を指すものであり、当該基準について、検出された放射線量の区分に応じ、それぞれ定める放射線量の基準をお示しすると、次のとおりである。

令第四条第四項第一号に規定する検出された放射線量又は令第六条第一項の放射線測定設備及び同条第二項の測定方法により検出された放射線量(これらの放射線量のいずれかが、二地点以上において又は十分間以上継続して検出された場合に限る。) 一時間当たり五マイクロシーベルト

令第四条第四項第三号イに規定する検出された放射線量 一時間当たり五ミリシーベルト

令第四条第四項第四号に規定する検出された放射線量 一時間当たり十ミリシーベルト

三の2から4までについて

原子力災害対策指針は、防護措置を迅速に実行できるよう、原子力災害対策重点区域を放射線被ばくによる重篤な確定的影響を回避し又は最小化するための予防的防護措置を準備する区域(PAZ)と確率的影響のリスクを低減するための緊急防護措置を準備する区域(UPZ)に区分し、放射性物質の放出開始前については原子力施設の放射性物質の閉じ込め機能の状態等に基づく緊急時活動レベル(EAL)に応じた防護措置を定め、放射性物質の放出後については空間放射線量率等の原則計測可能な値で表される運用上の介入レベル(OIL)に照らして区域ごとにとるべき防護措置を定めたものである。これにより、防護措置は、原子力施設の状況及びその周辺の空間放射線量率等の計測値に応じて講じられることとなっており、御指摘の「放射性物質が拡散し得る最大限の範囲を、気象条件も考慮した最悪のケース」についての情報、「原子炉に異常が起きた場合に、異常が起きた時点から環境中への放射性物質の放出が起きるまでの時間」についての情報及び「環境中への放射性物質の放出の始まりからの経過予想」は、避難において必ずしも必要ではないと考えている。

四について

内閣府は、「地域防災計画の充実に向けた今後の対応」(平成二十五年九月三日原子力防災会議決定)等に基づき、原子力発電所の所在する地域ごとに、関係府省庁、地方公共団体等を構成員等とする地域原子力防災協議会を設置している。その上で、各地域の同協議会において、地域防災計画や避難計画を含むその地域の緊急時における対応(以下「緊急時対応」という。)が、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的なものであることを確認し、同府が、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条の三の規定に基づき設置される原子力防災会議(以下単に「原子力防災会議」という。)の了承を求めるため、その結果を原子力防災会議に報告することとしている。

同協議会で緊急時対応を確認した地域の原子力災害対策重点区域に含まれる地方公共団体においては、お尋ねのような、住民等への情報伝達手段が失われるような状態になることがないよう、当該地方公共団体が作成する地域防災計画に基づき、防災行政無線、広報車、ラジオ、テレビ、携帯電話端末への電子メール(緊急速報メール)等の多様な手段を活用し、当該地方公共団体の住民等へ情報を伝達する体制を整備しているものと認識している。

五について

御指摘の「大飯原発、高浜原発、川内原発、伊方原発」が所在する地域では、それぞれの地域の緊急時対応において、関係府県及び関係市町が備蓄している燃料が不足する場合には、経済産業省は、原子力災害対策本部の要請(関係府県又は関係市町の要請を受けて行うものを含む。)を受けて、関係業界団体等に調達の要請を行うこととしている。

また、御指摘の「どこへ行けば避難に必要なガソリンを迅速に得ることができるのか」は、住民の安心に資する情報であると認識している。各地域の緊急時対応では、原子力災害対策指針に規定する施設敷地緊急事態に至った時点において、当該地域の住民はあらかじめ避難等の準備を開始することとされており、その際、政府及び地方公共団体は、当該住民等からの問合せに対応する相談窓口を設置するとともに、御指摘の「ガソリン」についての情報を含め、住民等のニーズを見極めた上で、必要な情報の収集、整理及び発信を適切に行うこととしている。

その上で、各地域の地域原子力防災協議会等において、内閣府、同省及び関係府県を含む構成員により、各地域の緊急時対応が原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、その結果が原子力防災会議に報告され、了承されており、さらに、同府のホームページ等を通じて各地域の緊急時対応を周知している。

六について

御指摘の「被ばく時間シミュレーション」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防護措置は、原子力施設の状況及びその周辺の空間放射線量率等の計測値に応じて講じられることとなっており、被ばくに関するシミュレーションを行うことは不確実性を伴うため、必ずしも必要ではないと考えている。

七について

地方公共団体は、法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十条第一項及び第四十二条第一項の規定により、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づき、地域防災計画を作成することとされており、また、防災基本計画により、避難計画を策定することとされている。このため、地域防災計画を作成し、及び避難計画を策定する責務を有する地方公共団体が、必要に応じ、これらの計画について住民等に対して説明や意見聴取を行う機会を設けるものと認識している。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2016年9月30日 逢坂 誠二(民進党・無所属クラブ) 答弁 2016年10月11日
衆議院 第192回 第27号趣旨が明らかではない ×1
提出 2017年3月27日 逢坂 誠二(民進党・無所属クラブ) 答弁 2017年4月4日
衆議院 第193回 第165号趣旨が明らかではない ×2
提出 2017年6月1日 逢坂 誠二(民進党・無所属クラブ) 答弁 2017年6月9日
提出 2011年8月22日 木村 太郎(自由民主党・無所属の会) 答弁 2011年8月30日
衆議院 第177回 第412号趣旨が明らかではない ×1

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる