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食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問主意書
衆議院 第212回 第21号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×3
質問本文
我が国の食料・農業・農村の現状は、農業者の減少・高齢化等、国内の農業・流通構造の変化に加え、世界的な食料情勢の変化や気候変動に伴い、食料安全保障上のリスクが食料・農業・農村基本法(以下「基本法」という。)制定時には想定されなかったレベルに達している。食料・農業・農村政策審議会が本年九月にまとめた答申(以下「審議会答申」という。)では、基本法における基本理念等の見直しの方向性が示されたが、審議会は、食料自給率について目標が達成されていない状況に対する十分な検証や減少し続ける農地及び農業者の確保に係る課題に真正面から取り組んでおらず、議論が十分に尽くされたとは言えない。政府は、審議会答申を受けて、基本法及び関連法令等の見直しに向けて検討を進めているが、食料安全保障上のリスクに対する政府の危機意識は極めて希薄である。
以上を踏まえ、基本法の見直しに係る政府の基本的認識について、以下、質問する。
一 農地及び農業者関係
1 我が国の農地面積は、令和四年七月時点で四百三十三万ヘクタールであり、ピーク時(昭和三十六年)の六百九万ヘクタールから三割減少している。農林水産省は、農地面積の減少は、荒廃農地と非農業用途等への転用が原因であると説明しているが、荒廃農地や非農業用途等への転用が発生する原因をどのように分析しているのか明らかにされたい。
2 現行の食料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)の参考資料「農地の見通しと確保」において、令和十二年時点で確保される農地を四百十四万ヘクタールとして、令和四年七月時点の農地面積より低い数値が掲げられているが、食料の安定的な輸入に懸念が生じている中、国内生産の増大を図る必要性が一層高まっていることを踏まえ、妥当な農地面積といえるのか、政府の認識を明らかにされたい。
3 令和三年度に実施された相続未登記農地等実態調査の結果によれば、所有者不明農地等(相続未登記農地及び相続未登記のおそれのある農地)は百二万九千百一ヘクタールで、農地面積の約二割である。政府は、平成三十年の農業経営基盤強化促進法等の一部改正等により、所有者不明農地対策を強化しているが、これらの対策についての効果及び評価を明らかにされたい。
4 審議会答申において、「引き続き、専ら農業を営む者や経営意欲のある者の経営発展を支援する観点から、離農する経営の農地の受け皿となる経営体や、規模の大小に関わらず付加価値向上を目指す経営体を育成・確保していくことが必要である。」とした上で、多様な農業人材の位置付けと農地の集積・集約化の推進等の観点から、基本法に規定されている農業に関する施策の見直しを行うべきである、としている。中小規模の経営体や農業を副業的に営む経営体を農地の受け皿とするならば、農地の集積・集約化に係るこれまでの路線を変更するものである。規模拡大推進一辺倒の農政は改められるべきであり、これまでの農地及び農業者に係る施策をどのように分析しているのか明らかにされたい。また、家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係をどのように整理した上で、基本法第二十一条(望ましい農業構造の確立)、同法第二十二条(専ら農業を営む者等による農業経営の展開)及び同法第二十三条(農地の確保及び有効利用)をどのように規定することを検討しているのか明らかにされたい。
二 基本計画及び食料自給率目標関係
1 我が国のカロリーベースの食料自給率の低迷の理由について、農林水産省は、令和四年度食料・農業・農村白書において「食生活の多様化が進み、国産で需要量を満たすことのできる米の消費が減少した一方、飼料や原料の多くを海外に依存している畜産物や油脂類等の消費が増加したことによる」と説明しているが、食生活の多様化の要因をどのように分析し、また、食生活の多様化についてどのように評価しているのか明らかにされたい。
2 基本計画において定められる食料自給率目標が達成されたことはこれまで一度もないが、その要因をどのように分析しているのか明らかにされたい。
3 審議会答申において、食料自給率に関し、「食料自給率が現行基本法の基本理念の実現をトータルとして体現する目標として、関係者の努力喚起及び政策の指針として適切であると考えられていた」としつつ、「基本理念や基本的施策について見直し、検討が必要なものが生じており、これらを踏まえると、必ずしも食料自給率だけでは直接に捉えきれないものがある」とした上で、「自給率目標は、国内生産と望ましい消費の姿に関する目標の一つ」にするとしており、基本計画における食料自給率目標を複数ある指標の一つに格下げしようとしている。基本法第十五条において、基本計画で示す指標としてどのようなものを規定することを検討しているのか明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねの「荒廃農地や非農業用途等への転用が発生する原因」については様々な要因があり、一概にお答えすることは困難であるが、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)が発生する主な要因としては、令和三年一月に農林水産省において実施した「荒廃農地対策に関する実態調査」によると、「高齢化、病気」や「労働力不足」となっており、これらにより適切な農業生産活動を行うことが困難となっていることが挙げられる。また、お尋ねの「非農業用途等への転用が発生する原因」としては、例えば、民間企業が住宅や工場を建設する場合において、土地の価格や造成の観点から農地が選好されやすいことが考えられる。
一の2について
「食料・農業・農村基本計画」(令和二年三月三十一日閣議決定。以下「基本計画」という。)において、令和十二年の農地面積を四百十四万ヘクタールと見通しているが、これは、これまでの農地面積の増減のすう勢を踏まえ、社会経済上必要な農地の転用を見込んだ上で、荒廃農地の発生防止及び解消の施策の効果について織り込んで推計したものである。この見通しでは、農地面積は令和元年の四百四十万ヘクタールから令和十二年に四百十四万ヘクタールに減少すると推計しているが、一方で、農業現場でのデジタル技術の活用等により耕地利用率(農林水産省が公表している「耕地及び作付面積統計」における耕地面積を「百」とした場合の作付(栽培)延べ面積の割合をいう。)が平成三十年の九十二パーセントから令和十二年に百四パーセントに上昇すると見込んでおり、これらを前提とした場合、基本計画において令和十二年度の食料自給率の目標として定めている四十五パーセントを達成することは可能であるため、「妥当な農地面積」であると考えている。
一の3について
令和三年度に農林水産省が実施した「相続未登記農地等の実態調査」によれば、御指摘の「相続未登記農地及び相続未登記のおそれのある農地」(以下「相続未登記農地等」という。)は合計で百二万九千百一ヘクタールとなっているが、そのほとんどは相続人等により利用又は管理が続けられており、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第三十二条第一項各号に該当する農地となっているのは、五万七千六百二十九ヘクタールに留まっている。
御指摘の「所有者不明農地対策を強化している」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、相続未登記農地等については、相続人から利用権(農業上の利用を目的とする賃借権若しくは使用貸借による権利(以下「賃借権等」という。)又は農業の経営の委託を受けることにより取得される使用及び収益を目的とする権利をいう。)の設定若しくは移転又は所有権の移転をするために必要な同意を得るに当たり、当該相続人の探索に多くの時間を要し、農業の担い手への農地集積の支障となっていたことから、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(平成三十年法律第二十三号)による改正後の農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第二十一条の二から第二十一条の四までの規定により、市町村が農用地利用集積計画(同法第十八条第一項に規定する農用地利用集積計画をいい、存続期間が二十年を超えない賃借権等の設定を農地中間管理機構が受けるものに限る。以下同じ。)を定める際、賃借権等を設定する農地のうち、その二分の一以上の共有持分を有する者を確知することができない場合には、確知できない共有持分を有する者(以下「不確知共有者」という。)の探索を行い、それでもなお当該農地について二分の一以上の共有持分を有する者を確知できないときは、市町村の定めようとする農用地利用集積計画の公示をし、これに対し不確知共有者から異議がなかったときは、当該不確知共有者が農用地利用集積計画に同意したとみなし、当該農地について賃借権等の設定を農地中間管理機構が受けることができることとされたところである。当該改正以降、不確知共有者が同意したものとみなして設定された賃借権等を含む農地中間管理権(農地中間管理事業の推進に関する法律(平成二十五年法律第百一号)第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。)が設定された相続未登記農地等の面積は、令和四年度末までに百六十八ヘクタールとなっており、相続未登記農地等の有効利用につながっているものと考えている。
一の4について
御指摘の「規模拡大推進一辺倒の農政」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号。以下「基本法」という。)及び基本計画に基づき、経営規模の大小や家族経営・法人経営の別にかかわらず、意欲的に農業経営に取り組もうとする農業の担い手を幅広く育成・確保するとともに、農業の担い手に対する農地の利用集積を推進してきた結果、多くの品目で、農業の担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を実現してきていると認識している。
また、御指摘の「家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係」の「整理」については、前述のとおり、経営規模の大小や家族経営・法人経営の別にかかわらず、意欲的に農業経営に取り組もうとする農業の担い手を幅広く育成・確保してきていることに加え、令和五年九月十一日の食料・農業・農村政策審議会の答申(以下「答申」という。)において、「離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体の役割が重要であることを踏まえ、これらの者への農地の集積・集約化を進める」及び「農業を副業的に営む経営体など多様な農業人材が一定の役割を果たすことも踏まえ、これらの者が農地の保全・管理を適正に行う」とされていることを踏まえ、現在検討を進めているところであり、基本法の規定の具体的な在り方に係るお尋ねについては、現時点でお答えする段階にない。
二の1について
お尋ねの「食生活の多様化の要因」については、基本計画において、「我が国の食生活は大きく多様化した。現代の消費者は、国内外の様々な食品についての知識を持ち、輸送網の発達によって各地で生産された食品を手軽に購入できるようになった。さらに、ライフスタイルの変化に伴って、食の簡便化志向が高まり、外食や中食も発達した。」としているところであるが、お尋ねの「食生活の多様化についてどのように評価しているのか」については、どのような食生活を営むかは、消費者の自由な選択に委ねられるべきものであり、政府としてお答えする立場にない。
二の2について
御指摘の「食料自給率目標」は、基本計画において、「食料消費見通し及び生産努力目標を前提として、諸課題が解決された場合に実現可能な水準として示す食料自給率等の目標」として設定しており、お尋ねについては、例えば、自給率の高い米穀の国内における需要が年々減少する中で、海外からの輸入に依存している飼料の利用により生産された畜産物の消費が増大していることが要因であると考えている。
二の3について
御指摘の「基本計画における食料自給率目標を複数ある指標の一つに格下げしようとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、答申において、「自給率目標は、国内生産と望ましい消費の姿に関する目標の一つとし、・・・課題の性質に応じ、新しい基本計画で整理される主要な課題に適した数値目標又は課題の内容に応じた目標も活用しながら、定期的に現状を検証する仕組みを設けることとするべき」とされていることを踏まえ、現在、その仕組みについて検討を進めているところであり、お尋ねの「基本計画で示す指標」について、現時点でお答えする段階にない。
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