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米国による広島、長崎への原爆投下及び「非核の傘」に関する質問主意書

衆議院 第212回 第28号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×5承知していない ×2

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2023年11月9日
内閣転送 2023年11月15日
答弁書受領日
2023年11月20日
提出から11日
答弁の項目数
10
質問 2,172字/答弁 1,809字

質問本文

北東アジア非核兵器地帯議員連盟は私が日本側の代表を務めている国際議員連盟である。誤った情報で戦争が起こり核兵器国の誤解やコミュニケーション不足で核が使用されるおそれがある中で、核抑止という核の傘ではなく核兵器を使わないと規定する非核兵器地帯、「非核の傘」をつくるべきである。以下、米国による広島、長崎への原爆投下及び「非核の傘」について政府の姿勢を質したい。

一 米国による広島、長崎への原爆投下について

1 米国においては、未だに、原爆は戦争を終わらせ、結果的に五十万人の米兵の命を救ったものであり、やむを得ないものであったという言説がある。そこで、以下について質問する。

(一) 米国により我が国の広島、長崎に原爆が投下された当時においても、無辜の市民、非戦闘員の殺害は、戦争の違法化と並んで、禁止されていたのではないか。米国による原爆投下は国際法違反と考えるが、政府の見解を求める。

(二) 奈良大学の高橋博子教授の資料により、昭和二十年八月十日に、大日本帝国が米国に対して、新型爆弾投下について抗議をしたという資料は当方で確認できているが、それ以外の事例を承知していない。そこで以下について明らかにされたい。

ア 昭和二十年八月十日の事例以外に日本政府が米国に対して新型爆弾投下について抗議をした事例はあるか。

イ 戦後、日本政府として一度も原爆投下について米国に抗議した事例を承知していないが、仮に一度も米国に抗議していないのであれば、それはサンフランシスコ平和条約を受け入れているからか。

2 昭和二十年九月に、マンハッタン計画の副指揮官であるファーレル准将は「残留放射能の危険を取り除くため、原爆は相当の高度で爆発させたので、広島には原爆放射能が存在し得」ないと言った。原爆被害の初期調査には、そうした米国のマンハッタン管区調査団等による被爆調査や、トルーマン大統領指令に基づき設置された原爆傷害調査委員会(ABCC)による調査がある。以下これらについて質問する。

(一) 日本政府は原爆を投下した米国によるこれらの調査結果について、当時の広島、長崎の現状、あるいは日本の「原子爆弾災害調査研究特別委員会」の調査結果である「原子爆弾災害調査報告集」等を踏まえ、米国に対し、何らかのコメント、意見、あるいは見解を申し述べたことがあるか。

(二) ABCCの調査結果が、我が国の被爆者の内部被爆や残留放射線による被爆の推定に与えた影響について、政府はどう認識しているか。

(三) 放射線物質が人体に与える影響の基準として、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告があるが、放射線の安全基準がどれだけ厳しくなったとしても、この勧告の骨格に原爆を投下した国の調査結果であるABCCのデータが用いられているというのであれば、現在の被爆診断に対する不信のみならず、放射線被爆の危険性を軽視する考えを増長させることになると思われるが、政府の見解を問う。

二 「非核の傘」について

1 日本の周りには、米国や中国、ロシア、北朝鮮など核兵器を保有する国があり、我が国ほど核に囲まれた国はほかに存在しない。そのような環境に置かれた我が国にとって必要な安全保障・外交の姿勢は、善隣友好であり、核廃絶であると考えるが、なぜ我が国は、核兵器禁止条約に参加しないのか。

2 政府は、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め」るとしているが、具体的にどのような行動をとっているのか。

3 「核兵器国と非核兵器国の橋渡し」などと唯一の戦争被爆国がいうことは、倫理的及び論理的に破綻していると考える。世界には七つの非核兵器地帯がある一方で、現在日本は米国の核の傘の下にいる。そうであれば、日本の位置する北東アジアにこそ非核の白い傘をさすことが大切であり、日本政府はそのための努力を傾注するべきではないか。政府の見解如何。

三 拡大核抑止について

1 被爆地・広島で「拡大核抑止」を説くことは許されざることだと考えるが、政府の言う「核抑止」、「拡大核抑止」とは、一体何を意味し、何を抑止するものなのか。

2 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の鈴木達治郎教授らが行った調査(どのようないきさつで核兵器が使用されうるかを検討)の結果によれば、深刻なケースとして、誤解やコミュニケーション不足、つまり相手が核を使用したとの誤解に基づく報復があるという。それにより、当事者の意図や想定を上回る核報復の危険性がありうることを考慮すれば、我が国がすべきことは、核廃絶である。政府が提唱する「核兵器国と非核兵器国を橋渡し」することは絵空事であり、互いに核で脅し合っていれば、十分なコミュニケーションなどは存在せず、「拡大核抑止」には意味がないのではないか。現に本年四月十三日、政府は、北朝鮮から発射されたミサイルが北海道に着弾すると発表したが、それは誤りであった。もし、この時、我が国が反撃能力によって、北朝鮮のミサイルに対して報復をしていたら、まさに鈴木教授のいうところの「誤解やコミュニケーションの不足」による核戦争につながった可能性もある。核を保持しない我が国における「拡大核抑止」の今後の展望についてどのように考えているか、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1の(一)について

政府としては、広島及び長崎に対する原子爆弾の投下は、極めて広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態を生じさせたものと認識している。また、政府としては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考えている。

一の1の(二)について

お尋ねの「昭和二十年八月十日の事例以外に日本政府が米国に対して新型爆弾投下について抗議をした事例はあるか」については、少なくとも、先の大戦後に、広島及び長崎に対する原子爆弾の投下について米国政府に直接抗議を行ったことは確認されていない。これ以上のことは、現時点で確認できる範囲では、具体的な状況を確認できる資料がないため、確定的にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「それはサンフランシスコ平和条約を受け入れているからか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、戦後七十年以上を経た現時点において米国に対し抗議を行うよりも、政府としては、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されるようなことがないよう、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指して、現実的かつ着実な核軍縮努力を積み重ねていくことが重要であると考える。

一の2の(一)について

お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

一の2の(二)について

御指摘の「ABCCの調査結果」及び「我が国の被爆者の内部被爆や残留放射線による被爆の推定に与えた影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原子爆弾の被爆者が受けた被ばく線量の推定については、公益財団法人放射線影響研究所の前身である原爆傷害調査委員会(以下「ABCC」という。)の調査及び研究の成果を含む様々な科学的知見を踏まえ、同研究所等により行われているものと承知している。

一の2の(三)について

御指摘の「ABCCのデータ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国際放射線防護委員会(ICRP)勧告」はABCCの調査のみならず、広島や長崎の被爆者の疫学調査を始めとする様々な科学的知見に基づくものと承知しており、「現在の被爆診断に対する不信のみならず、放射線被爆の危険性を軽視する考えを増長させることになる」との御指摘は当たらないものと考えている。

二の1について

御指摘の「核兵器禁止条約に参加」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「核兵器禁止条約」についての考え方は、令和五年十月二十六日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、いまだその出口に至る道筋は立っていない、これが現状です」と答弁しているとおりである。

二の2について

政府としては、核軍縮をめぐっては様々な立場がある中で、核兵器のない世界の実現のため、例えば、核軍縮の進展のため、我が国が平成六年以降毎年国連総会に提出し、採択されている核兵器廃絶決議に係る各国間の調整等の取組や、我が国と核軍縮・不拡散に対する志を共有する国が構成する「軍縮・不拡散イニシアティブ」における協議等の取組等を行ってきている。

二の3について

お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の1について

お尋ねの「核抑止」については、確立した定義があるとは承知していないが、一般に、核兵器の存在によりもたらされる抑止のことをいうものと承知している。

また、お尋ねの「拡大核抑止」については、確立した定義があるとは承知していないが、一般に、ある国の有する核抑止力が、他国の安全保障のために提供されることをいうものと承知している。

三の2について

お尋ねの「核を保持しない我が国における「拡大核抑止」の今後の展望」の趣旨が必ずしも明らかではないが、国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要があると考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×5承知していない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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