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農地維持に関する質問主意書

衆議院 第22回 第3号

提出者
衆議院
提出日
1955年4月18日
内閣転送 1955年4月20日
答弁書受領日
1955年4月26日
提出から8日
答弁の項目数
1
質問 2,095字/答弁 842字

質問本文

衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿

農地維持に関する質問主意書

一 政府は、自作農創設維持のためには万全の策を講じてはいると思うが、昭和二十八年度中に自作地の移動が田においては二万五千余町歩、畑においては二万四千余町歩に及び、中でも工場敷地として使用目的変更がはなはだ多く、日本の食糧事情をますます危たいに陥しいれんとする状況であるが、これに対しいかなる措置をとりつつあるか。

また自作地の維持と工場敷地といずれを優先させるか。

二 政府は、自作農創設特別措置法に基き昭和二十二年十月農地を買収した上、売渡時期を昭和二十二年十月二日と定めて、昭和二十三年三月二日付売渡通知書を農民に交付した。この場合に自作農創設特別措置法第十二条の規定に基き買収令書に記載した買収の時期に所有権を取得し、農民は売渡通知書に記載した売渡の時期に所有権を取得することは同法第二十一条の規定に基ききわめて明りようだと思うが、それに相違なきやいかん。

三 一度所有権が政府に移転せば、政府は、所有権取得の移転登記をなし、売渡通知書交付によつて所有権が農民に移転すれば、農民に対し代金の納入をなさしめ、一時払により代金を納入した以上は農民に対しすみやかに所有権移転登記をなす義務ありと信ずるが、政府の所見いかん。

四 政府買収令書を農地所有者に交付して所有権を取得し買収代金を農地所有者に支払を完了し、農民に対し売渡通知書を交付して農民に所有権を取得せしめ、売渡代金を払込ましめ完全に農民に所有権を取得せしめたるにかかわらず、政府の所有権取得の登記もなさず、もちろん農民に対し所有権移転登記もなさず、売渡代金を納入した時よりすでに六、七年も経過した今日なおこれを放任することは政府の一大失態なりと信ずるが、政府は、この失態を認めるか。

もし認めるとせば、今ただちに所有権移転の登記をなすか。

また失態にあらずと考えうるならば、その法律的根拠いかん。

五 自作農創設特別措置法第五条八号の『収穫の著しく不定な農地』とはいかなる土地を意味するか。昭和十二年以来、昭和二十二年農地を買収されるまで一定の小作料を、一箇年も割引したこともなければ減額したこともなく収納し得た農地は『収穫著しく不定の農地』ということは出来ないと信ずるが政府の見解いかん。

六 政府が売渡通知書を交付し、売渡代金を一時払として納入せしめて以後六箇年有余を経過した昭和二十九年一月十一日に至り、某ゴム会社の工場敷地とするため『収穫の著しく不定な農地』という理由をもつて売渡を取り消すことは、自作農創設又は維持に逆行し、農民の地位を安定せしむる所以ではなく、むしろ不当の処分であると思うが、政府はかかる不当処分を容認するか、それとも不当処分たる売渡取消処分を取消し、すみやかに売渡通知書を交付した相手方に所有権移転登記をなすべきものと認むるか。

七 『収穫の著しく不定な農地』を買収しないのは自作農民保護のためであり、かかる農地は売渡すことも出来ないからである。しかるに農民自身、該農地を十数年にわたり耕作し、一定の小作料を年々とどこおりなく完納していた以上は、地主も小作人も『収穫の著しく不定な農地』とは認めず、小作人は進んで買取りを申出で、町村農地委員会、府県農地委員会はともにこれを適当として認め、知事より売渡通知書を交付し、購入代金を納入せしめて後、今なお買収登記もなさず、売渡登記もなさず、自作農創設特別措置法は廃止せられたにかかわらず、工場敷地とする目的をもつて、同法第五条の八号『収穫の著しく不定な農地』という理由で売渡を取消し(購入代金は返戻しない)たのであるが政府はこれを正当と認めるか、不当と認めるか、その法的根拠いかん。

かかる不当処分により農地を奪われた農民をいかにして救済するか。

八 購入代金を収得した後六箇年も経過して取消が出来るならば、購入者が取得時效によつて所有権を取得するまでは何時まででも取消し得ることになるが、それでは農民の地位は何時までも安定しないが、農民の地位安定の方策いかん。

九 農地を一坪も所有せざる一官吏に対し、自作農創設特別措置法第十六条、第二十条、第二十一条の規定に基き、農地を売渡した事例がある。これは自作農として農業に精進する見込は全然ないが、その売渡を正当と認めるか。もし正当ならずと認めるならば売渡を取消す意思ありや。

十 農業委員会法第四十九条で、あらかじめ都道府県知事の確認を得て取消すことの出来るのは、同法第六条の『農地の利用関係の調整』『自作農創設維持に関する事項』であつて、すでに売渡通知書を交付し、購入代金を納入せしめて後六、七年を経過し、自作農創設特別措置法は廃止せられたにかかわらず、該法第五条の八号『収穫の著しく不定な農地』たるのゆえをもつて売渡処分を取消すことは都道府県知事の確認を得たからといつて取消すことは出来ないと信ずる。都道府県知事の確認さえ得れば何時でも取消すことが出来るのか。それでは農地の安定と維持は到底望めないと信ずるが、政府の所見いかん。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 質問一の農地転用防止について

国は六箇年計画を樹立し、これが実施によつて急速な自立経済の安定を図ろうとしております。そのためには、国内において国民食糧を確保して食糧輸入による外貨負担を軽減し、国際収支の改善を図るための施策として、土地改良、開拓等の食糧増産対策の実施を図つているが、他面、既存の農地が無計画に工場敷地等に転用されることによる食糧の減産を防止する必要があります。従つて、農地の工場敷地等への転用は、厳重に統制し、国民経済再建のための緊急欠くことができない施設について農地以外に建設適地がない場合に限り必要最少限度の農地転用を認める方針であります。

二 質問二から一〇までの国の行う農地の売渡及びそれに伴う登記について

自作農創設特別措置法による買収及び売渡は、買収又は売渡の時期(所有権移転の期日)、対価等を記載した買収令書又は売渡通知書を相手方に交付して行い、その令書又は通知書に記載されたところによりそれぞれ所有権が移転することになつております。その買収又は売渡に伴う登記は、特別の事情のない限り遅滞なく、都道府県知事が職権で嘱託をすることになつております。

買収した農地は、自作農として農業に精進する見込のある者に売り渡すが、その判断は、その世帯の構成、経歴、耕作関係等諸般の事情を総合的に考慮して行います。

国が売り渡した土地については、一般的に、その売渡し処分に瑕疵があるにとどまらず、その瑕疵が売渡しを受けた者の既得権を侵害してもなお取消を行わねばならない公益上の必要性があると認められる場合には、その売渡しを取り消すことが可能でありますが、その他の場合には、その売渡しを取り消すことができないものと解しております。なお、この点については、自作農創設特別措置法が廃止された後においても、同様と解しております。

三 質問の御趣旨は、具体的事案に関連するものとも考えられますが、その具体的事案については、その実情を調査の上善処したいと思います。

右答弁する。

衆議院の原文

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