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政府のロッキードF一○四CーJの購入に関する質問主意書

衆議院 第33回 第3号

提出者
衆議院
提出日
1959年12月25日
内閣転送 1959年12月25日
答弁書受領日
1959年12月27日
提出から2日
答弁の項目数
0
質問 1,869字/答弁 1,900字

質問本文

衆議院議長 加※(注)鐐五※(注) 殿

政府のロッキードF一〇四C ― Jの購入に関する質問主意書

政府は、さきに国防会議において、ロッキードF一〇四C―Jを次期戦闘機として採用することに決定したが、これに対しては国会内外に強い反対があり、国民もまた、その決定については深い疑惑をいだいている。しかるに政府は、これら反対を全く無視して、しやにむに、その購入を急ぎつつあるが、かかる政府の態度は、わが国自衛防空の本旨からも、また、納税国民に対する政府の忠実なる責任的立場からも、全く逸脱せる「政治的考慮」によるものであつて、われわれは断じて承服できない。よつてわれわれは、次の諸点につき政府の見解を伺いたい。

一 現在、航空機の性能は、日進月歩の勢いをもつて向上しつつある。すなわちアメリカにおいて現在、試作中または開発計画されている爆撃機は、B58が音速の二倍、B70が音速の三倍の速力をもつ。B58はすでに試作を終り、来年度から第一線機として空軍部隊に配属され、千九百六十四年までには二百機が生産される計画となつている。またB70は、第一機の完成が三年後で、千九百六十五、六年ごろには、作戦用として配備される見込みである。かくのごとくアメリカにおける高速爆撃機の登場は、当然、ソ連においても、これが出現を予想せしむるものである。

通常戦闘機が爆撃機に有効的に対抗するには、スピードにおいて、二割の優勢が要件とされている。すなわち、B58級の爆撃機に対抗して、その攻撃を破さいするには、音速二・四倍の戦闘機でなければならぬ。しかるに、いま政府が購入せんとしつつあるロッキードF一〇四C―Jは音速二倍である。しかもこれは、五年後に生産が完了し、わが自衛隊に配備されることになる。ところが五年後には、さらに音速三倍のB70級が出現する。B58級に対してすら、すでに対抗不可能であるロッキードは、B70級に対しては、全く無能であると思うが、政府の見解はどうか。

一 政府は、ロッキード採用の理由として、日本とアメリカの地理的条件の相違を指摘し、日本に

全く適切なる機種であると主張しているが、しかし、そのアメリカの日本駐留空軍は、ロッキード機を使用せず、コンベアF一〇二を配備している。ロッキードがもし日本の地理的条件に合致しうる戦闘機であるならば、駐日米空軍もまたそれを使用するのが当然と思われるが、その点、全く明らかにされていない。これは政府の主張の矛盾を示すものである。この点に関する政府の考えを問う。

一 政府は、ロッキードF一〇四C―Jは要滑走距離として、最短八千フィートを必要とすると言明しているが、現在、わが国の飛行場で右の条件に合致するものは、千歳、松島、小牧の三飛行場にすぎない。戦略的見地よりして、このような飛行場配置で妥当であるかどうか。さらに、新飛行場の建設ないしは、現在の飛行場の拡張を政府は企図しているのかどうか、政府の見解を問う。

われわれの知るところでは、八千フィートの要滑走距離というのは、純技術的計算によるものであつて、十分なものとはいえない。右の三飛行場のみについても、そのまま使用にたえうるかどうか疑問である。政府の考えいかん。

一 ロッキードF一〇四C―Jの価格については、売り込みの当初、七十九万ドルであつたものが、戦闘機種決定後、赤城防衛庁長官の言明によれば百十五万ドルにはね上がつている。

この値上がりは、機体のいかなる部分の値上がりに由来するものであるか。また、生産工程のいかなる評価の相違に由来するものであるか。さらに、純生産費に関連のないプロフィット部分に由来するものであるか。価格の変動に関して、政府は詳細なる報告を行い、国民の前にこれを明らかにすべきである。われわれは、価格の値上がり理由について、政府の見解を伺いたい。

一 ロッキードF一〇四C―J生産にあたつて、その国産化部分について、政府は全くほおかぶりしている。政府の一方的な国産化部分の決定がなされた暁においては、その質と量とがわが国防衛産業に及ぼす影響は、まことに多大である。

われわれは、わが国経済が平和な成長をとげることを目途としているが、政府の行き当りばつたりのやり方では、軍需産業の悪拡大を軸にして、国民経済のかく乱と国民生活への圧迫を招来するおそれが大である。

よつて政府は、ロッキード生産の国産化部分の「質」と「量」とにわたる見解を明らかにすると同時に、政府の考える防衛産業対策を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 航空機の性能が逐次向上しつつあることはお説のとおりである。米国においては二マッハ級の爆撃機がようやく第一線機として配備されようとしている状況であり、さらに優速の爆撃機が出現するのにはなお相当の年月を要するものと考えられる。すなわち、わが国にF一〇四Jが装備される時期にF一〇四Jの速力よりすぐれた爆撃機が実用されることはまずないものと予想される。したがつて、F一〇四Jは今後相当期間要撃機として十分有効なものと判断する。御質問では要撃機の速力が爆撃機に対し二割の優勢が要件であるとしているが、要撃機の速力が爆撃機に対し優勢であることの望ましいことはもちろんであり、ことにわが国のように縦深性の浅い地理的条件の場合には特に速力、上昇力がすぐれていることが重要な要素である。しかしながら要撃の場合において単に爆撃機と要撃機の相対的速力についてのみ論ずることは適切でなく、航空機の速力、上昇能力のほか、とう載兵器、射撃管制装置及びその他の電子機器、地上警戒指揮組織等を総合し、これらの総合能力として判断すべきである。このような見地に立つとき、F一〇四Jを装備する時期においてたとえF一〇四Jの速力をある程度こえる爆撃機が出現しても、なお、これに対して十分対抗できるものと考える次第である。

二 日本防空のためにはその気象条件から全天候性能が絶対必要要件である。米空軍は従来全天候性のF八六Dを日本に配置していたが、先般その代替としてF一〇二を配置したものである。米本土では全天候性でしかも半自動化警戒指揮装置に対応できるF一〇六とF一〇一の新式機で防空することになり、前記の措置をとつたものと考えられる。F一〇四AやF一〇四Cはわが国で装備しようとするF一〇四Jと異なり全天候性ではないものであるので、わざわざ改造してまで日本に配備する必要がないものと考えたものと思う。

三 現在わが国にある飛行場で八千フイート以上の滑走路を有するのは千歳、松島、小牧、浜松(オーバランを含む。)のほか米駐留軍の使用しているものに三沢、板付、横田、岩国、厚木があり、他に新田原等計画中のものもあるので、配備上又は戦略上支障はない。

なお、源田調査団が実際に操縦した経験に基づきF一〇四Jは八千フイートで行動できるものと考えている。

四1 昭和三十三年八月、ロッキード社が防衛庁に提出した資料に基づくF一〇四Cの単価は、七十九万ドルであつたが、これはロッキード社独自で見積もつた価格であつて、十分に国産化条件を織り込んだものではなく、また射撃管制装置をはじめとする装備内容も今回決定をみたJ型とかなり相違した型に対する価格であつた。

この七十九万ドルの見積りに合理的な国産化条件を考慮に入れ調整すると昨年六月の国防会議に提出したとおり約百七万ドルとなる。

2 C型とJ型とでは、装備品の内容が射撃管制装置をはじめ相当変更されているほか、生産総機数が二百機から百八十機に減少したことによる固定費の割掛の差が生ずることとなる。

したがつて、1で述べた百七万ドルに上述の価格差を加味して考えると百二十万ドル程度の単価となる。これを百十五万ドル弱としたのは、国内に発生する諸経費、利益等をできる限り、節減して考えたためであつて、これらの事情を考えれば、今回の百十五万ドル弱は決して値上りではなく、むしろきわめて厳格な予算見積りであると考える。

五 わが国の防衛力は国民経済全体との均衡を配慮して規定されるものであり、したがつて、防衛産業も国民経済の健全な進展を阻害しないように産業政策全般の見地からこれを調整する必要があるが、これが他産業の技術水準の向上に資する点及び国産化により外貨を節減しうる点等を勘案してできうる限り国産する方針である。

F一〇四Jの国産計画立案にあたつては以上の趣旨に沿い、機体及び部品材料につき次のような考え方で計画した。すなわち、国産にあたつては、F八六F及びT三三の国産化により達成された関連産業の生産規模を著しく拡張することなく、将来の補給源を確保し、かつ、技術的、経済的に合理的な国産化をはかることを基本方針として、機体は二社の共同生産とし、機体部品は四十パーセント程度、その他原動機、通信機器等を国産する方針をたてている。この程度であれば、現有する設備、人員を著しく拡大することなく消化しうるものと考えられ、したがつて、国民経済をかく乱するおそれは全くないばかりか、かえつてこれら高度の機器を生産する技術の修得により、一般産業技術の水準向上のためよい刺激となることが期待される。

右答弁する。

衆議院の原文

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