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屋外広告物の規制に関する質問主意書

衆議院 第34回 第15号

提出者
衆議院
提出日
1960年6月13日
内閣転送 1960年6月15日
答弁書受領日
1960年6月21日
提出から8日
答弁の項目数
4
質問 2,427字/答弁 651字

質問本文

衆議院議長 ※(注)※(注)一※(注) 殿

屋外広告物の規制に関する質問主意書

一 屋外広告物法は都市の美観、風致や居住地の環境、あるいは文化財などが広告物によつて害されないように、保護することを目的とした法律であるが、この保護の名前に重点がかかり過ぎて、ややもすれば広告の取締りに行きすぎが生じ、広告の価値が軽視されるおそれが多分にある。

そこで産業や経済の発達の面での広告の役割、つまり広告の経済的価値をここで再認識する必要があると思うが、政府の見解を伺いたい。

二 次に広告のなかには風致や美観の上で、逆に役だつているものが多々ある。ことに市街地においては、プラスする面が非常に多い。たとえば東京都では、現にオリンピツク誘致のため東京の夜景を宣伝して、大いに役立てている。また外人の間ではネオンなどによる日本の夜景の評判が非常にいい。このため特に夜景を讃美した詩を寄せたイタリア人や、これを絶讃した外人旅行記などもあり、観光客の目を大いに楽しませていることは周知の通りである。

わが国は、輸出産業や観光事業を今後ますます伸ばさなければならない立場にあるが、この見地から広告取締りの行きすぎのないように、特にお願いしたいが当局の考えはどうか。

三 現在の屋外広告物法は終戦間もない昭和二十四年六月に制定されたが、その後産業や経済は急速に復興し、国民の生活様式も一変した。また広告そのものの質も技術も非常に進歩し、種類も複雑になつてきて、一律に取締るのは困難になつてきたが、当局の考えはどうか。

なお最近新聞などで、九十パーセント近くまでが違反広告である、などといわれるのも、さきほど述べた取締りの行きすぎや、こうした法の制定当時と今日の発展変化とによるものではなかろうか。この意味から屋外広告物法を再検討されてはどうか。保護育成を要する面については、今後積極的に努力して欲しいと思うが政府の考えはどうか。

四 行政も地方の末端となると、とかく中央の意向が徹底しない場合が起り得る。趣旨がゆがめられたり、誤まられたりするものも少なくない。ことに末端の窓口では、どうかすると個人的趣味や思いつき、あるいは感情とも思われるもので左右されることさえある。

ことに通達があらためて出されたりすると、末端の理事者はとかくこれに刺激されて、錯覚を起こしやすいので間違いのないようにお願いしたいが、この配慮について当局の考えはどうか。

五 さる一月四日付で出された建設次官並びに計画局長の、広告物規制強化についての通達は、これまで法律や条例で規制されているにもかかわらず、これに違反したものが多く、規定通り実施されていないので、これを是正し、これまでの規制通りに実施するにあると見て差しつかえ、ないかどうか。

つまり未制定、未規制の県は別として、すでに規制している都道府県に関する限り、現行の条例の範囲で当局は満足しているのかどうか。さらには、既存の地方自治体の条例程度で、将来ともによいかどうかを伺いたい。というのは通達の題名が『広告物の規制の強化について』とあるので、今度あらためて規定を強化し、事実上規制を強くする意味があるように受けとれるので、特にこの点念を押しておききしたい。

六 通達のなかにある『記の第二項の第一号』は、屋外広告物法第四条第一項第五号の運用であろうが、ここにある『通過』とか『望見』という言葉の内容からすると、適用地域をいくらでも広げられる危険性がある。そこでこの解釈を、例をあげて具体的に説明されたい。

これは市街地、あるいは商業地域、工業地域にも適用されるのかどうか。景色のいい山岳や湖水、海浜を背景とする市街地や商工業地域は、全国至るところにままある。富士山を背にした静岡県などはその好例であるが、これらはどの程度に扱われるのか。対照になるかどうか。

七 つぎに同じく通達の『記の第二項の第二号』の意味はどうなのか。つまり『記の前号』以外の地域でも、美観や風致の必要を認めた地域は制限地域として、広告物を許可制にし得るという意味なのかどうか。

八 右の意味だとすると、さきほどの市街地や商工業地帯がふたたび心配になつてくる。これが対照になるとすれば、広告主や広告業者への影響は非常に大きい。ひいては観光や輸出産業の振興をも阻害するものと思う。

特に後段にある『表示面積三十メートル平方以下とか、当該道路などからの隔たりや広告物相互間の隔たり百メートル以上とする』規程は、市街地の広告も野立なみとなり、事実上広告を全面的に禁止するようなものだ。したがつて今日の経済の現状や、市街地の実体にそわないものであるが、現に東京都では、今後はネオンを規制するとのうわさが出ている。これはネオンの観光的効用に逆行するものである。そこでこの規制については市街地を除外することをできるだけ早く明文化されたいと思うがどうか。

九 通達『記の第二項の第二号』は、屋外広告物法第四条第一項の第七号の適用だと思うが、これと

同様の懸念のあるのは、同じく法第四条第二項の第四号の、指定する物件についての運用に問題が残る。この物件は市街地のビルなどの屋上を利用する建設物の場合や、広告塔などを含むのかどうかである。

そこで屋外広告物法第四条第一項の第七号と、第二項の第四号の精神と内容を再確認したい。

一〇 なおネオン広告の場合など、屋外広告物法第四条第一項の規定によつて掲示できる広告塔などが、たまたま末端理事者の主観的考えで、大きさ、形態あるいは色彩を制限する場合が往々ある。これらは技術的知識を持たない理事者の独善的行政執行であり、さきの通達の精神からいつても反するものと思うがどうか、政府の所信を質したい。

なお、この対策の一つとして、審議会に技術的にわかる業界代表や学識専門家を加える必要があろうと思うが、この点もあわせてお伺いしたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

質問一、二、三及び四について

屋外広告物については、その性質上法律により一律に規制することは、必ずしも適当とは考えられないので、現行法においては一般的基準を示すにとどめ、具体的運用は地方条例にゆだねる立前をとつている。したがつて、その運用にあたつては、屋外広告物の経済的価値を考慮して法の趣旨にそうよう十分行政指導を行なう所存であり、現在のところ屋外広告物法を改正することは考えていない。

質問五、六、七及び八について

さる一月四日付の建設事務次官ならびに建設省計画局長通達は条例の制定又は改正ならびにその運用の適正化をはかるよう指示したものである。したがつて、従来よりも規制が強化される場合もありうるものと考える。

また、建設省計画局長通達中の「記の第二項」は原則として市街地の連たん区域については適用しないこととしている。なお、禁止又は制限の地域の指定にあたつては、いたずらに過大な範囲にわたることのないよう屋外広告物審議会の議を経て決定する等慎重に行なうよう指導している。

質問九について

屋外広告物法第四条第一項第七号及び第二項第四号の規定は、各地方の特殊事情により禁止又は制限の対象とする必要のあるものにつき都道府県の判断によつて、禁止制限する途を開いたものである。

質問十について

広告物の許可基準設定の際には屋外広告物審議会の議を経て決定する等慎重な取り扱いをするよう指導している。また、屋外広告物審議会の構成についても審議会の判断が公正に行なわれるよう十分指導いたしたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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