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山陽特殊製鋼の倒産等に関する質問主意書

衆議院 第48回 第12号

提出者
衆議院
提出日
1965年4月19日
内閣転送 1965年4月21日
答弁書受領日
1965年4月27日
提出から8日
答弁の項目数
0
質問 1,574字/答弁 1,236字

質問本文

衆議院議長 ※(注)田 中 殿

山陽特殊製鋼の倒産等に関する質問主意書

一 山陽特殊製鋼の倒産以来四十日の経過を見れば、労働者、中小企業の受けた打撃は一段と深刻になつている。

かつて荻野社長の「労資協調」政策により極端な低賃金と労働強化を押しつけられてきた労働者は、倒産に直面してその本質をはつきりとつかみ、いまや独占資本の支配と収奪に対決しようとしている。

山陽鋼の労働者は、社内預金を凍結されたばかりか、退職金はもちろん、労働者の出張旅費の立替金まで支払われないまま、物価高による生活の破たんにおびやかされている。

富士製鉄をはじめ、神戸、三菱など大銀行、三井物産など大口債権者は「会社更生法」申請直前まで担保設定に狂奔し、三井物産などは未確定の債権まで担保を押え、自己の権利を確保した上で計画的に倒産させた。そして労働者、中小企業の犠牲で「再建」し、山陽鋼の最新鋭設備を大口債権者の支配下におき、労働者に対する収奪を強めようとしている。この「再建」によつて富士製鉄をはじめ大口債権者が大きな利益を得ることは全く明らかである。

政府委員は、国会答弁で「社内預金は支払われるものではあるが、現実に金がなければ仕方がない。」として、労働者の苦しみに目をつぶつているが、政府は労働者の債権を、山陽鋼の経営を破たんさせた当の責任者である荻野一氏に対してはもちろん、富士製鉄をはじめ大口債権者に負担させるための特別の措置をとる用意はないか。

二 下請け中小企業も山陽特殊製鋼によつて極端な支払遅延と単価切下げで苦しめられてきた。にもかかわらず、「会社更生法」適用でさらに債権が棚上げされてしまつた。そして大口債権者だけは山陽鋼「再建」にあたつては「不採算部門の切捨て」による下請け整理を行ない、あるいは「現金決済」を口実に単価切下げによつて大きな利益を得ようとしている。

政府は、これら中小企業の債権に対して、これを政府が保証し、荻野一氏はもちろん、富士製鉄をはじめ大口債権者の負担によつて救済する特別の措置を講じる用意はないか。

三 政府は、しばしば下請け中小企業に対し「救済のための金融措置をとる。」ことを言明している。しかし実際には、関係銀行は割当てられた救済資金を消化するため、被害の軽微な信用と担保のある企業には要求もしないのに押しつけ融資をしようとし、反対にその力のない真に融資を望んでいる弱小企業には融資を拒んでいる。

このようなことが中小企業救済の方針であるといえるか。

四 山陽特殊製鋼の管財人となつた原田鹿太郎氏は就任のあいさつで、労働者に対し「山陽鋼の経営悪化を許した労働組合にも責任はある。市民に大きな迷惑をかけたのだから会社再建にあたつて労働者は耐え忍んでもらいたい。」といつており、「不採算部門の切捨て」を口実に首切り、「合理化」、労働強化、低賃金が必至の事態にある。

「会社更生法」はかかるやり方を容認するものであると政府は考えるかどうか。

五 銀行は新しい融資や仕事のあつせんに際し、山陽特殊製鋼の下請けである浜田運送などに対して労働者のかく首を条件にするなど圧力を加えている。

融資、仕事のあつせんにあたつてこのようなことは許されるものであるか。

そもそも「会社更生法」は、労働者、中小企業の犠牲において大企業の支配を強めるために作られ、運用されている。

わが党は、昭和二十六年この法律の審議に当たつて「この法律は下請けをはじめ広範な層を犠牲にし、日本の国民経済を軍需産業的なものに再編させ、内外独占資本に日本の企業支配を容易ならしめるものである。」と警告し、反対したが、まさにこのようなことが今日起こつている。

以上のべた諸点に対し、政府が真に労働者、中小企業の立場に立つて明確に回答することを要求する。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

山陽特殊製鋼の倒産については、政府は、同社が多数の下請等関連企業を有していること、同社の生産するレース用軸受鋼管が全国需要の九十%以上をまかなつていること等の事情にかんがみ、その生産活動の中断とこれに基づく信用不安および関連中小企業者、労働者等に与える悪影響を極力回避するよう格段の努力を重ねてきた。幸い、関係者の努力により、同社の再建は目下順調に進みつつあり、三月三十日、製鋼部門の生産も再開され、従来より操業継続中の圧延部門とともに、全体で昨年十二月のおおむね六十五%の操業率を維持しうるに至つている。

御質問の各項については、次のように考える。

一 山陽特殊製鋼原田管財人は、その就任の声明において、さしあたり組合員一人当り五万円を限度として、社内預金の払戻しを行ないたい旨、また今後とも資金手当てのつき次第その未払分を優先的に支払いたい旨を明らかにしたが、すでに部長以下の職にある者に対し一人当り十万円を限度とする払戻しがすすめられている。政府としても、同社の再建が速やかに軌道にのり、これら債務の速やかな弁済が図られるよう努力したい。

二 下請中小企業債権者の保護については、会社更生法第二百二十九条但書の規定により、更生計画において小口債権について有利な定めをすることができることとなつているが、政府としては、この規定の運用により、中小企業者の小口債権を有利に取り扱うことが可能と考えているので、更生計画の決定にあたつて関連中小企業者保護の見地から事前に通商産業省の意見を求めることを希望する旨の意見を裁判所に述べてあり、今後ともこの線に沿つて中小債権者の保護に意を用いたいと考える。

三 政府は、山陽鋼の倒産に伴つて関連中小企業が連鎖的に倒産することを極力防止するため、政府関係金融機関による資金の融通、既往貸付の条件緩和等を促すとともに、民間金融機関等に対し強くその協力を要請し、これら各金融機関においても、積極的にこれに応ずる態勢をとつているところである。政府としては、今後ともこれらの措置が、真に救済を必要とするところに適切に施されるようきめの細かい指導を進める所存である。

四 更生会社の労使関係についても、労働基準法その他の労働関係諸法の適用は排除されず、更生計画案については、労働組合等の意見を聞かなければならないこととなつていて、会社更生法は、労働に関し不当な行為を容認するものではない。

五 融資および仕事のあつせんについては、政府は、関係金融機関に対して下請企業に対する融資等に関する協力を要請するとともに、政府関係金融機関に対して下請企業に対する融資等につき厚く配慮するよう指示しており、また姫路商工会議所に設置された相談所においては仕事のあつせん等を行なつている。

これらの措置は、関連中小企業者およびその従業者の保護のために推進しているものであり、政府としては、これが、その趣旨に沿つて進められるよう努力してまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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