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宗教団体の政治的中立性の確保等に関する再質問主意書
衆議院 第63回 第3号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
宗教団体の政治的中立性の確保等に関する再質問主意書
三月十九日附質問主意書に対する答弁書は、質問の内容が国家及び国民の将来に関する重大なる問題を取り扱つているにもかかわらず、質問の問題としている核心につき公正なる認識を欠くのみならず、政府の見解は憲法の解釈を誤つている。
かくては宗教団体に信教の自由のほしいままなる濫用を認めることになるおそれを生ずる等、到底納得しえないものである。
よつて、ここに、重ねて政府の明確なる見解を訊したい。
一 法の目的論的解釈からすれば、信教の自由と政教分離の原則を定めた憲法第二十条の法意は、信教の自由、表現の自由等の基本的人権が国家権力によつて侵害されることを防止するとともに、宗教によつて政治が支配されることを防止することを目的としたものと解すべきである。
すなわち、このことは宗教団体が「国から授けられて正式な意味において政治上の権力を行使してはならぬ」ということだけではなく、加えて「宗教団体が、現在の議会政治機構を利用して政権を獲得し、その教義に基づき、政治上の権力を行使してはならない」ということをも定めたものであると解すべきであると考えるがどうか。
二 もとより宗教団体が、特定の政党ないし政策を支持し、一定の政治的見解を持つことは、全く自由であり、したがつて、宗教団体がこの程度の政治的活動を行なうことについては、本員もこれを否定するものではない。
しかしながら、たとえば創価学会のごとく、宗教団体が、この程度の政治的活動の範囲をこえて、その教義に基づく政治支配を企て、政権獲得をめざす政治的活動をすることについては問題があり、これはそのまま是認すべきではないと考える。
すなわち、これを是認することは、宗教団体が現在の議会政治機構を利用して政権を獲得することに道を開き、その結果として、宗教団体にその教義に基づく政治上の権力の行使を認めることになるものであるから、これは憲法の政教分離の根本精神に反し、断じて許されるべきことではないと考えるがどうか。
三 宗教法人の政治活動の自由については、その行動が憲法で保障する信教の自由および政教分離の原則に違反せず、かつ、宗教法人の本質および目的から逸脱しない限りなんらの制約を受けるものではないが、しかりとはいえ、宗教法人といえども自由の濫用は許されないところである。
およそ、宗教教義は絶対性を本質とするものであり、これに比べ民主政治は相対性を原理とするものとされている。
したがつて、この異質の両者が紛淆する時は幾多の害悪を生ずる懼れのあるものである。
憲法が政教分離の原則を定めたゆえんもまさにこの点を慎重に配慮したものと考えるべきである。
したがつて、宗教法人が政治的活動をする場合にも、それはあくまでも宗教の本義を守り、宗教法人の本質、目的を逸脱したものであつてはならない。
もし、これに反するならば、それは憲法第十二条で禁止する自由の濫用に該当するものと断ずべきである。
よつて、公務員に対する政治的行為の制限、禁止、国公立学校における政治的活動の禁止、公職選挙における虚偽の放送等、表現の自由の濫用禁止等の立法例にならい、この際、憲法第二十条と第十二条との関連において、宗教法人の行なう政治活動の限界について立法措置をとることは特に緊急を要するものと考えるので改めて所見を承りたい。
四 宗教法人がお布施又はお賽銭等の名において収得した金品を政治活動又は政治献金に充当することは、宗教法人の本質および目的に照らして明らかに不当というべきであり、いわんや税法上これを課税対象外に置くということは、立法政策上許さるべきことでない。
したがつて、憲法第二十条の政教分離の原則に則り、宗教法人が政治活動又は政治献金に充当した資金については、これを課税対象とするよう、速かに立法措置を講ずるのが至当と考えるがどうか。
五 政府は、ある国民の言論または出版に対し、他のものがいわれのない圧迫を加えるような事態があるとすれば、事案によつては、それぞれ関係法令の定めるところにしたがい、適正な措置が図られるべきであると答弁されているが、ここに今国会予算委員会において提示された創価学会をめぐるこの種の事案に対し、政府は関係法令に基づいていかなる適正な措置をとつたか。
このことについて政府答弁書にはなんら回答していない。
政府は、これらの指摘が国権の最高機関である国会において行なわれたことを改めて重視し、直ちに適切なる具体的措置をとるべきであると考えるがどうか。
六 憲法第二十一条で保障する「言論、出版、その他一切の表現の自由」について、政府はこれを保障するため、関係法令によつて適切な措置が図られるべきであるとしつつも、現行関係法令については不備はないと答えている。
しかしながら、今国会において提示されたごとき言論、出版の妨害事件については、未だなんら法的に措置されたところがない。
よつて、この際、人身保護法の例にならい、司法裁判により、迅速かつ容易にこの種の人権侵害を救済することができるよう、速かに立法措置を講ずる必要があると考えるがどうか。
七 政府は、「人権擁護機関としては、人権の侵害行為につき、調査の結果、その事実があつた場合には、事実に即し適切な処置をとることとし、このことは、宗教活動に関連して発生する
ものについても同様である」と答弁されているが、今国会予算委員会において※(注)本三郎君が指摘した人権侵犯事案について、どのような調査を行なつたか。
また、その調査の結果、どのような措置をとつたか。
政府答弁書にはなんら回答がなされていないのは、いかなる理由によるか。
右質問する。
政府答弁書
一および二 さきの答弁書においても述べたとおり、政府としては、憲法の定める政教分離の原則は、憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするため、国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨であつて、それをこえて、宗教団体または宗教団体が事実上支配する団体が、政治的活動をすることをも排除している趣旨であるとは考えていない(さきの答弁書一(2))。また、主意書は、「宗教団体が………政権獲得をめざす政治的活動をすること………は、宗教団体が現在の議会政治機構を利用して政権を獲得することに道を開き、その結果として、宗教団体にその教義に基づく政治上の権力の行使を認めることになるものであるから、これは憲法の政教分離の根本精神に反し、断じて許されるべきことではない」と述べているが、宗教団体が政権を獲得するというのは、宗教団体が、公職の候補者を推薦し、または支持した結果、これらの者が公職に就任して国政を担当するにいたることを指すものと解されるところ、仮りに、このような状態が生じたとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなつた者とは、法律的には、別個の存在であるばかりでなく、また、前述のように、当該国政を担当することとなつた者が、国権行使の面において、当該宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行なう等宗教に介入し、または関与することは、憲法が厳に禁止しているところであるから、前述の状態が生じたからといつて、直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が現出するものではなく、したがつて、前述の状態が生ずることそれ自体が、憲法に抵触するものとは解されない。とすれば、前述の意味における政権獲得をめざす政治的活動が憲法上許されないとされるべきはずがなく、その政治的活動の自由は、憲法第二十一条第一項が「集会、結社及び言論………その他一切の表現の自由」を保障している趣旨にかんがみ、尊重されるべきものと解する。
三 憲法で定める政教分離の原則の趣旨については、一および二に述べたとおりであること、また、宗教法人については、さきの答弁書においても述べたとおり、宗教法人法第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱するような場合には、所定の手続を経て、裁判所が解散を命ずることができることにかんがみ(同法第八十一条)、さらに、憲法第二十一条第一項が「集会、結社及び言論………その他一切の表現の自由」を保障している趣旨にかんがみ、宗教法人の行なう政治活動を規制する立法措置をとることには、賛成しがたい。
四 宗教法人を含め公益法人等がその設立された目的に即して活動する場合には、それに附随して収益事業を行なわない限り、法人税を課税することは適当でないであろう。
ところで、宗教法人がお布施等を収得する行為は、宗教法人本来の行為と不可分のものと考えられ、非収益事業といわざるをえない。この非収益事業の所得を政治活動または政治献金に充当した場合にかりにそれが宗教法人の設立された目的を逸脱したものとしてこれに法人税を課税することとするときは、前回の答弁書で述べたように、まず、具体的な支出が目的外の支出であるかどうかの判定がかなり困難であるとともに、ひいては課税当局が宗教法人の活動が設立目的を逸脱しているかどうか判断することを余儀なくされることになるおそれがある。したがつて、これを法人税の課税対象とするか否かについては、なお慎重な検討を要するものと考える。
五および七 今国会の予算委員会において提示された事案に関しては、捜査機関および人権擁護機関において、資材、情報の収集検討等を行ない、また、関係国会議員等に対する脅迫事件については、警察においてその捜査につとめているところであるが、右事件をのぞき、いまだ刑事事件または人権侵犯事件として立件するに至るまでの端緒をは握していない。
六 「言論、出板、その他一切の表現の自由」は、民主主義社会の基本をなすものであり、かりにも、いわれのない圧迫が加えられるようなことがあつてならないことは申すまでもないところである。ご指摘の事案において権利侵害の事実ありとすれば、その被害者については民事的救済の方途があるので、現在において、特に現行法令の改正またはあらたな立法措置を講ずる必要はないと考える。
右答弁する。
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