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大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書

衆議院 第92回 第3号検討してまいりたい ×2

提出者
衆議院
提出日
1980年7月24日
内閣転送 1980年7月26日
答弁書受領日
1980年8月19日
提出から26日
答弁の項目数
4
質問 1,683字/答弁 2,454字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書

東京や大阪などの大都市地域では、企業の地方転出により、産業経済上の構造変化と地盤沈下が大きく進んでいる。その結果、当該地域内の中小企業はその存立を根底からおびやかされており、中小企業対策、都市政策としても、新しい対応が求められている。

東京城南地域(大田区・品川区)に例をとれば、この地域は長年、京浜工業地帯の中心となつてきたが、工業再配置促進法による企業の地方転出や、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律による首都圏既成市街区内の大型工場建設制限などのため、いま述べた産業経済上の構造変化と地盤沈下が大きく進み、機械、金属加工、電気関連の中小下請企業とその従業員は深刻な打撃を受けている。しかし、(1)城南地域の産業と中小企業群は全国的にみても群をぬく高い技術水準を継承し、それを駆使できる事業者と技術労働者を擁していること。(2)多種類の工業部門を内包した高加工度アセンブリー産業として、広範囲高密度の地域的集積を形成していること。(3)大消費地東京の一部にあり、京浜、京葉の二大工業地帯を結ぶ交通、輸送のネットワークの要を占めるなど、経済地理的にも産業立地上でも有利な条件をもつていること。このような特徴から、この地域が多彩な生産活動の発展性を内在させ重要な役割を果たしうることは明らかである。この城南地域にみられるような東京、大阪など大都市地域の中小企業が直面している困難を打開するため、しかるべき措置が講じられるべきだと考える。この見地から、以下の事項について質問する。

一 大都市地域における経済地盤の沈下が中小企業に与えている影響、その現状と問題点について、政府の現状認識はどうか。

二 現行の諸制度を駆使することだけでは、この危機を打開することは困難であると考える。例えば「特定地域産業振興法」(仮称)といつた声が強い。こうした点で特別の法及び制度が必要になつていると考えられるが、政府はその意思があるか。

三 少なくとも、実情の調査と分析、現行諸制度の見直しは、早急に着手すべきである。この点明確な答弁を求める。

四 根本的な対策について検討を加えるとともに、現行法の運用により対応できる問題については、直ちに対策を講じるべきと考えられるので、次の問題についても政府の見解をただしたい。

1 工場共同利用事業制度は、他の高度化事業と異なり利用しやすい特色があるというが、東京の場合をみると申込みゼロ、利用者ゼロである。その最大のネックは地価の高騰で土地取得困難と、将来の採算に不安があるからである。この制度が生きるような改善策を講じる考えはないか。

2 利用度が城南地域でも高い東京都立工業技術センターでは、国の補助金の増大を強く望んでいるが検討の用意があるか。

3 中小企業の技術の向上は、城南地域で切実に求められている。その声にこたえ「工業技術情報センター」(仮称)を東京特別区が設置しようとするときは、国は補助すべきだと考えるがどうか。

4 最近、電力、ガス料金引上げに伴い、下請単価が不当に引下げられる事例がおこつている。また、管理検査と称し不良品が出た場合、その責任をすべて下請中小企業にかぶせる「不当返品」が増えている。以上の二点について速やかに調査、指導すべきであると思うがどうか。

5 下請代金の法定支払期限を納品の日から三十日以内に、支払手形の期限は法定支払期限後九十日の範囲で、公正取引委員会が業種ごとに定める期間を超えないようにするなど、下請代金支払等遅延防止の強化改正が必要と思うがどうか。

6 労働災害の防止、労災患者に対する医療サービスの充実、傷痍者訓練の充実は依然として大きな課題だが、これらの施設拡充はこの十年間微々たるものである。政府は現状で十分と考えているのか。

7 雇用促進事業団が行う中小企業レクリエーションセンターの今後の建設計画及び東京城南地域について建設を考慮しているかどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

大都市地域(東京都二十三区、名古屋市及び大阪市)における製造業の全国に占める出荷額、従業者数の割合は、近年一貫して減少する傾向にある。そのような中にあつて、中小製造業の割合は出荷額、従業者数のいずれにおいても高まる傾向にある。これは、環境立地問題等から大企業を中心とする工場分散が進展したこともあり、小規模企業を中心とした中小企業の比重が相対的に高まつたためと思われる。

これを例えば東京都の中小企業についてみると、昭和五十年から昭和五十三年においては、電子機械器具製造業、一般機械器具製造業、金属製品製造業等の業種では、従業者数は漸減しているものの大企業に比べてその度合は緩やかであり、一方、出荷額は増大している。また、大都市の有する情報機能と密接な関係にある印刷業等の業種においては好調な伸びがみられる。

中小企業は、大都市地域を含め地域経済において生産活動等の面で重要な役割を果たしており、今後とも安定的な発展が図られるべきであると考える。

二について

大都市地域の中小企業に対しては、従来から、商工会議所、中小企業団体中央会等による指導、中小企業振興事業団による高度化事業に対する資金貸付け等の施策の充実に努めるとともに、地域経済振興の観点も踏まえ、産地中小企業対策臨時措置法に基づく産地振興対策を講じているところである。

今後とも都市部における中小企業の発展のため、既存施策の活用を図るとともに、必要な措置があれば検討してまいりたい。

三について

大都市地域の中小企業の実情については、統計の整備、実態調査の実施等により従来からそのは握に努めているところである。また、大都市地域の中小企業に対する施策については、その充実を図るため従来から見直しを行つてきているところである。

四について

1 工場共同利用事業制度は、昭和五十年度に創設されたものであり、昭和五十四年度末の全国の貸付け件数実績は二十五件である。

本制度においては、事業の用に供する土地、工場等の取得、造成又は設置を中小企業者の依頼に応じ、中小企業振興事業団法施行令第二条に定める市等のうち都道府県知事が適当であると認めた者が代行する方法をとつている。

東京都については、本制度の活用を図るため、昭和五十五年度において、工場等の設置等を中小企業者の依頼に応じ代行し得る者として、「特別区」を新たに加えたところである。

2 国は、都道府県(中小企業指導法施行令第二条に定める市を含む。3において同じ。)で計画され届出のあつた中小企業者に対する技術指導事業に要する経費について、予算の範囲内において、その経費の一部を補助しており、御指摘の件については、東京都から中小企業者に対する技術指導事業の実施に関する計画の届出を得た上で、検討することとしたい。

3 国は、都道府県で計画され届出のあつた中小企業者に対する技術指導事業に要する経費について、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、その経費の一部を補助することができることとなつている。

4 電気料金等の値上げに伴い、不当な下請代金の切下げ等を行わないよう、昭和五十五年三月に、公正取引委員会事務局長及び中小企業庁長官の連名で親事業者に対し要請をしたところである。また、「不当返品」については、同年四月に、不当な値引き行為、不当な返品行為及び不当な買いたたき行為に関する下請代金支払遅延等防止法の運用基準を定め、その周知徹底を図つたところである。

これらを踏まえ、今後、書面調査、立入検査等の強化により、不当な下請取引に対する取締りを一層強化してまいりたい。

5 下請代金の支払期日を給付を受領した日から起算して三十日の期間内において定めるべきものとすること並びに公正取引委員会及び中小企業庁が現在定めているいわゆる標準手形期間(繊維工業については九十日以内、その他の製造業については百二十日以内)を九十日以内にすることについては、下請事業者保護等の観点から慎重に検討してまいりたい。

6 労働災害の防止に関連する施設としては、

(一) 産業災害及び職業性疾病を防止するための研究を行う施設(産業安全研究所、産業医学総合研究所)

(二) 安全衛生教育に従事する指導員の養成及び資質の向上を図るための施設(安全衛生教育センター)

(三) 化学物質等の有害性の検査を実施するための施設(日本バイオアッセイ研究センター(建設中)、労働衛生検査センター)

(四) 労働者の健康診断等を行う施設(健康診断センター)

等がある。

労災医療を行う施設としては、都道府県労働基準局長が指定した医療機関(全国約二万箇所)のほかに、労災保険の療養施設として労災病院が全国に三十五箇所設置されており、更に現在茨城県鹿島郡に労災病院が建設されている。

このほか、労災病院が設置されていない地域を中心に、労災病院の活動を補完し、労災患者に対する医療サービスの充実を図るため、既存の病院に病棟を併設し、その運営を委託する労災委託病棟が全国に十四箇所設置されている。

リハビリテーション関係の施設としては、労災病院のリハビリテーション部門のほか、せき髄損傷者を対象とした治療から社会復帰までの一貫した施設として総合せき損センターが設置され、また、せき髄損傷者に対し、健康管理を行いながら適当な作業に従事させ自立更生を援助する労災リハビリテーション作業所が全国に八箇所設置されている。

これらの施設については、逐年充実強化を図つているところであるが、今後とも労働災害の発生状況等を考慮して必要な整備拡充に努めてまいりたい。

7 中小企業に働く勤労者の福祉の増進と雇用の安定を目的とした宿泊、保養、スポーツ及び研修のための総合施設として中小企業レクリエーションセンターが全国六箇所に設置されているところである。現在、設置計画は終了しており、したがつて、東京城南地域についての設置は考えていない。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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