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大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書
衆議院 第93回 第17号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議長 福田 一 殿
大都市での経済地盤沈下地域の産業振興と中小企業対策に関する質問主意書
先に私は大都市の経済地盤沈下地域の中小企業振興について質問主意書を提出し、回答をうけとつたが、その相当部分が大都市の中小企業一般を論じたもので、残念ながら、具体的な回答を得ることができなかつた。あらためて、先の回答をふまえながら、再び質問する。
先の質問主意書でもふれたように、東京や大阪などの大都市地域では、十数年来、企業の地方転出により、産業構造上の変化と経済地盤の沈下が大きく進んでいる。とりわけ東京・城南地域(大田区、品川区)に例をとれば、工業再配置促進法による企業の地方転出や首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律などによつて、産業経済上の構造変化と経済地盤沈下がおこり、機械、金属加工、電気関連の中小下請企業とその従業員は深刻な打撃を受けている。一九六〇年代、七〇年代を通じて、大田、品川両区の工場数、製造品出荷額の伸びが、東京都全体の数値より大きく下回つていることなどはその端的な例である。
これは、「大都市からの工業分散が進みすぎて、逆に大都市の活力が無くなるという問題がある」(「経団連週報」八月十四日号)との反省があることにも一反映をみることができる。
京浜工業地帯の中心となつてきた城南地域の中小企業群は、全国的にも高い技術水準を継承し、高加工度産業として高密度の地域的集積を形成しており、この地域が生産活動を多彩に発展させ、日本の経済に重要な役割を果たしうることは明らかである。城南地域にみられるような大都市地域の中小企業が直面している困難を打開するため、しかるべき措置が講じられるべきだと考える。この見地から、以下の事項について質問する。
一 前述した東京・城南地域のような大都市の経済地盤沈下地域における中小企業の現状とその問題点について、政府の分析並びに問題意識を具体的に示されたい。
二 大都市の経済地盤沈下地域における中小企業の振興をはかるうえで、現行の諸制度を駆使するだけでは不十分と考える。とくに完成品を扱わず、機械、金属、電気関連など異業種が多種多様に集まつた地域の零細な下請けにたいしては、現在の業種別、産地別の振興対策ではカバーしきれないと考える。こうした地域の中小零細企業の振興策を政府はもつているのかどうか、もつているとすればその内容を具体的に示されたい。
三 近年、地方自治体は、工場跡地の無秩序な開発を防ぐとともに市内にとどまつて事業を続けたい中小企業の願いに応えて、従来の工場追い出し策をやめ、いわゆる住工共存とよばれる取り組みを進めているところがある。これらの取り組みは、住民の合意を前提として地域に根ざした住みよい街づくりの観点から進められる必要があるが、政府としての所見並びに政府としてすでに取り組まれているものがあれば示されたい。
四 高度化事業のなかでも工場共同利用事業制度は利用しやすい特色をもつているが、土地取得難などの理由により東京などでは利用がきわめて少ない。そこで、公有地の中小企業向け転用をはかる施策がどうしても必要と考えるがどうか。また、同制度の活用をはかるうえで、高度化資金の償還期間の延長、当初期間の償還額の軽減など同制度の拡充・強化を検討する用意はないか。
五 下請けいじめを監視する調査業務・権限は、公正取引委員会と中小企業庁の所轄となつているが、下請け代金の値引きや買いたたきなど悪質な下請けいじめが依然後を断つていないにもかかわらず、必要な立入検査の“積み残し”が出ている。監視体制の拡充が求められていると考えるが、その計画はあるか。監視体制を強化するには地方自治体もその権限をもつことができるようにすべきであり、少なくない地方自治体がそれを望んでいる。公正取引委員会は、監視業務を都道府県に委譲する方向を検討しているが、その中身は何か。そのさい、自治体の負担増にならないよう、予算や人員の面で援助を行うべきと考えるがどうか。
六 中小零細業者が、世代交替で後継者に営業を譲ろうとすれば、「相続税でつぶれる」といわれるほど重荷になつている。相続税の基礎控除を大幅に引き上げ、当面五千万円程度にしてほしい、営業のため使用中の不動産や、株式、借地権、営業権など市場性や換金性のないものを課税対象からはずしてほしい、などの要望があるが、検討の意思はないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
全国の製造業に占める東京都二十三区の出荷額、従業者数の割合は減少傾向にある。このような中にあつて、中小企業の割合は、大企業と比較して相対的に高まつている。
御指摘の城南地域(大田区、品川区)の製造業について、その出荷額の伸びをみると、昭和四十八年と昭和五十年との比較では東京都二十三区の伸びを下回つているものの、昭和五十年と昭和五十四年との比較では東京都二十三区の伸びを上回つている。業種別にみると、昭和五十年と昭和五十三年との比較における城南地域の機械器具製造業及び金属製品製造業の出荷額の伸びは、城南地域の製造業全体の伸びとほぼ同程度のものとなつている。
中小企業は、大都市地域を含め地域経済において生産活動等の面で重要な役割を果たしており、今後とも安定的な発展が図られるべきであると考える。
二について
政府は、地域中小企業対策として、従来から特定不況地域中小企業対策及び産地中小企業対策を実施してきたところである。また、昭和五十五年度においては、各都道府県で地場産業の県別実態調査等を実施しており、今後、その結果も踏まえつつ施策の充実に努めてまいりたい。
更に、各都道府県に設置されている下請企業振興協会により異業種の下請企業の共同受注体制づくりを推進しているところであり、今後ともきめ細かな下請企業対策の充実に努めてまいりたい。
三について
我が国の過密・過疎を同時に解消し、国土の均衡ある発展を図るため、工業の地方分散は促進する必要がある。このため、工業再配置政策を推進しているところであるが、これは、企業の自発的な地方立地を促進するものである。
都市内における住工共存の街づくりについては、各地方自治体が、地域の実情に応じ、住みよい街づくりの観点から対処すべきものであると考える。
四について
工場共同利用事業制度を推進する上で、用地の確保に困難が伴う場合には、公有地を活用するということも一つの方策であると考えられるが、基本的には、都道府県等の地方公共団体の自主的判断に委ねるべきものと考えられる。
現行の工場共同利用事業制度に係る償還期間の延長等については、本制度が既に優遇された制度であるので、更にその拡充・強化を図ることは困難である。
五について
公正取引委員会及び中小企業庁は、下請代金支払遅延等防止法に基づき、昭和五十四年度において約六万件の調査を行い、うち約二千四百件について改善指導等を行つたところであり、昭和五十五年度においては約七万件の調査を行うこととしている。
また、これらの職務に従事している職員は、昭和五十五年度において専任検査官三名の増員を図り、現在、公正取引委員会及び中小企業庁合わせて約百二十名であるが、必要に応じて他からも応援するという体制をとつている。
このほか、下請取引の適正化について普及啓蒙を図るなど違反行為の発生の未然防止に努めており、下請取引を公正にするため、取締り及び予防の両面にわたつて万全を期するようにしている。
都道府県への権限委譲については、下請取引の実態等を踏まえ、慎重に検討する必要があると考える。
六について
相続税の課税最低限、負担水準については、先般の税制調査会の「財政体質を改善するために税制上とるべき方策についての答申」において「見直さなければならない状況にあるとは認められない。」とされているところであり、相続税の負担を軽減する措置を講じることは、考えていない。
右答弁する。
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