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最近の防衛力増強に関する質問主意書

衆議院 第93回 第1号

提出者
衆議院
提出日
1980年9月29日
内閣転送 1980年10月1日
答弁書受領日
1980年10月14日
提出から15日
答弁の項目数
3
質問 779字/答弁 1,564字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

最近の防衛力増強に関する質問主意書

最近の防衛力増強にかかわる鈴木内閣及び防衛庁の一連の措置は、シビリアン・コントロールを無視して、なしくずし的に既成事実を積み重ね、憲法上の限界がどこにあるかを疑わしめる独走状態にある。

よつて左の事項につき、内閣の基本的見解と方針を明確にされるよう回答を求める。

一 本年度より始まつた防衛庁の「中期業務計画」は、未だ国防会議及び内閣の議を経ていない防衛庁限りの内部計画に過ぎない。たとえ「防衛の大綱」にそつた計画とはいえ、具体的には年次計画に匹敵する重要な国の防衛計画である。しかもこの防衛庁限りの内部計画に過ぎない「中期業務計画」が、あたかも国の基本計画として対米折衝の素材になり独り歩きしている事実は、シビリアン・コントロール上由々しき問題である。

1 「防衛大綱」の見直しを「中期業務計画」期間中に行うのかどうか。また「中期業務計画」終了後はどうなるのか。

2 「中期業務計画」をあらためて国防会議及び閣議に諮る必要があると思うが、この点はどうか。

二 いわゆる「オイル・ロード」防衛のため、我が国の領域外で自衛隊が他国と共同して防衛行動をとることは集団的自衛権の発動として違憲と考えられるが、内閣の見解を問う。

三 憲法前文の精神にかんがみ、少なくとも左の各項は憲法上最低限の歯止めとして堅持されるべきものと考えるが、各項目ごと特に憲法とのかかわりを明らかにした理由を附して答えられたい。

1 非核三原則の堅持

2 海外派兵の禁止

3 徴兵令及びこれに類する行為の禁止

4 武器禁輸三原則の堅持と武器禁輸措置

5 専守防衛の能力と範囲を超える攻撃専用兵器の不保持、例えば、中長距離ミサイル、航空母艦など

6 核兵器を含む国際的軍縮の推進

7 シビリアン・コントロールの厳守

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

1 政府としては、「防衛計画の大綱」に従つて防衛力の整備に努めているところであるが、現在の防衛力は、同大綱が定める水準にまだ到達していないのが現状である。したがつて、同水準の可及的速やかな達成を図ることが必要であると考えており、今直ちに「防衛計画の大綱」を改正することは考えていない。

2 昭和五十五年度から五十九年度までの主要事業等を見積つた「中期業務見積り」は、防衛庁が、既に国防会議に諮り、閣議にかけて決定した「防衛計画の大綱」に基づき、毎年度の予算概算要求等を作成するに当たり、その参考とすることを目的として作成した防衛庁限りの資料であるので、国防会議及び閣議の了承を得なかつたものである。

二について

質問が、我が国の領域外の海上交通路において、我が国以外の国に対する武力攻撃に対処するため、自衛隊が当該国と共同して武力行使をすることができるかという意味であれば、このような自衛隊の行動は、集団的自衛権の行使であり、憲法の認めているところではないと考えている。

三について

1 政府は、憲法上保有を禁じられていない核兵器を保有しないことをも含めていわゆる非核三原則を堅持しているところである。

2 「いわゆる海外派兵とは、一般的にいえば、武力行使の目的をもつて武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである」と定義づけるとすれば、このような海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。

3 徴兵令及びこれに類する行為とは、いわゆる徴兵制度をいうものと考えられるが、一般に、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であつて、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解しており、このような徴兵制度は、憲法上許されないと考えている。

4 武器の輸出については、それによつて国際紛争を助長することを避けなければならないとの政策判断の下に、政府としては、従来から、いわゆる武器輸出三原則を設定し、これに加えて、昭和五十一年二月二十七日衆議院予算委員会において、武器輸出についての政府の方針を表明し、これらの原則及び方針に基づいて、極めて慎重に対処してきているところである。政府としては、今後とも、同様に対処していく所存である。

5 政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは、憲法第九条第二項によつて禁じられていないと解しているが、性能上専ら他国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられる兵器については、これを保持することが許されないと考えている。

6 政府としては、平和憲法の理念に基づき、国際平和の実現のために、国連をはじめとする国際的な場において実現可能な措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要であるとの基本的立場から、核拡散防止と核軍縮を中心とした軍縮の進展を主張していく所存である。

7 民主主義国家においては、政治の軍事に対する優先は確保されなければならないものと考えている。

我が国の現行制度においては、国防に関する国務を含め、国政の執行を担当する最高の責任者たる内閣総理大臣及び国務大臣は、憲法上すべて文民でなければならないこととされ、また、国防に関する重要事項については国防会議の議を経ることとされており、更に国防組織たる自衛隊も法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれているのであるから、シビリアン・コントロールの原則は、貫かれているものと考えている。

政府としては、このような制度の下に自衛隊を厳格に管理しているところであり、今後ともこの点に十分配慮していく所存である。

右答弁する。

衆議院の原文

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