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教育の機会均等を守り、学生が安心して学び生活するための学生寮充実に関する質問

参議院 第100回 第20号

提出者
参議院
提出日
1983年11月21日
内閣転送 1983年11月24日
答弁書受領日
1983年11月29日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 2,001字/答弁 728字

質問本文

教育の機会均等を守り、学生が安心して学び生活するための学生寮充実に関する質問主意書

毎年の学費値上げや公共料金引き上げ、高物価によつて、高等教育の機会均等はますますおびやかされ、学生の生活はいつそう困窮化している。全日本学生寮自治会連合が今年五月に実施した「全国寮生生活実態調査」結果をみても、寮生の家庭は、年収平均三百三十万円と低所得階層者が多く、寮生の収入も月額平均五万二千円と、下宿生の収入八万六千円(昨年十月、大学生協連調査)に比べて、かなり低収入にとどまつていることがわかる。今日、学生寮は、経済的に生活困難な学生が学び生活する場として重要な役割を担つている。

ところが、政府は、近年にわかに、「負担区分の適正化」の名のもとに、国庫雇い炊婦(夫)を削減し寮食堂を廃止に至らしめたり、新設の寮については、集会所や食堂をつくらないという方針でのぞみ、ただでさえ経済的に苦しい、寮生に外食を余儀なくさせ、あるいは、朝食もとれないような事態においこんでいる。

学生寮を、学生の勉学と生活を保障する厚生施設として、また、人間形成の場として拡充するために、以下質問する。

一 国立大学の学生寮の既得権として根づいていた寮食堂の国庫雇い炊婦(夫)は、一九七九年を境に軒並み削減され、多くの寮では、寮生雇用の炊婦(夫)を置く、あるいは、生協に委託するなどして、かろうじて寮食堂を存続させているが、寮食堂廃止やむなきに至つた寮もでている。寮生が炊婦(夫)を雇用する場合、炊婦(夫)の確保や労働条件の問題など困難をきわめ、生協・民間業者への委託という形態も、採算や学生の実務負担の面で無理があるということである。政府は、炊婦(夫)の寮生雇用、業者への委託という形態を好ましいと考えているのか。好ましくないとするなら、どのような運営形態が望ましいと考えるのか。寮食堂の健全な運営のために、国庫雇い炊婦(夫)は不可欠ではないのか。

二 国立大学の学生寮には、寮のまわりに食堂がない、あつても朝食はとれない、などの地理的条件に置かれているところも少なくない。このような場合、実態に即して、新設の寮であつても寮食堂は設置できるよう柔軟に対処すべきだと考えるが、どうか。

寮食堂のない寮では、補食室を寮生全員が食事をとることを前提として広くしてほしい、寮生が学生食堂を使えるよう営業時間を長くしてほしい、などが最低限の要求としてあがつているが、どうか。

寮食堂の運営は、各大学の実態に見合つた形態を大学が決めた場合、政府はこれを最大限尊重すべきと考えるが、どうか。

三 一九六二年の学徒厚生審議会答申は、「学寮の共同生活を豊かにするためには、居室以外の共用施設が重要な役割を果たさなければならない」と、集会室、自治会室、食堂の重要性をくり返している。この答申を踏まえたうえで、一九八〇年、国立大学協会は、提言「学寮のあり方について」のなかで、さらに今日的な観点で「設備やサービスが行きとどき、良好な生活環境が確保されている状態」が求められているとしている。ところが、「新規格寮」は、寮の広さを寮生一人当たり十八平方メートル~二十平方メートルとし、集会室、自治会室、食堂を視野の外においている。学徒厚生審議会答申を待つまでもなく、青年期の学生の寮として、個々のプライバシーが守られると同時に、寮生どうしが語らい、切磋琢磨し合う場であることが求められる。

集会室や自治会室がない、寮食堂もない、ということでは、青年期の学生の「良好な生活環境」は到底保障できないと考えるが、どうか。政府は、大学が必要だとすれば、これらの施設をもうけることができるよう予算措置を講ずるべきと考えるが、どうか。

四 学生寮が本来の役割を果たすなら、入居を望む学生は極めて多いと考えるが、現在の収容定員は学生比で十二パーセント弱である。学徒厚生審議会答申は三十パーセントの収容率が望ましいとしている。今後、少なくともこれを目標として学生寮を新設していく必要があると考えるが、どうか。

前記答申は、公・私立大の寮についても国の援助が必要であり、二十五パーセントの収容率が望ましいとしている。ところが、私学助成削減によつて私大の経営は悪化し、この間、いくつかの寮が廃寮になつている。また、学費の高騰はとどまるところを知らず、学生の負担が限界にきていることは、政府の統計などが示すとおりである。この際、答申を踏まえた私大の学生寮充実のための助成の増額は急務と考えるが、どうか。

また、私大の学生のための公営アパート、インターカレッジ寮(大学のワクを越えた合同寮)などの建設が必要と考えるが、どうか。その場合、どういう設置形態が考えられるか。

五 大学院生数が増加している。院生のための独自の寮も必要になつていると考えるが、設置計画はあるのか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

国立大学の学寮の運営に要する経費については、国と寮生との負担を適切に区分する必要があるが、寮生の私生活に使用する光熱水料などの経費及び寮生の食事を調整するために必要な材料費、炊事人の手間代等食費の原価を構成する直接経費は、寮生が負担すべきものである。また、学寮に現に設置されている食堂をどのような形態で運営するかについては、学寮を管理する各国立大学がこの原則をも考慮して決定すべき事柄である。

なお、国立大学の学寮を新設し、又は建て替える場合、学寮の設置場所については、学内食堂との関連等を考慮するとともに、学寮に学生の自炊のための補食室を設け、寮生のみが利用する寮食堂は設けないこととしている。

三について

国立大学の学寮の整備については、近年における学生の多様化、学生の学寮に対する志向の変化等を踏まえ、昭和五十年度以降居室を個室とするなど施設・設備を充実し、勉学と生活のための良好な居住施設として整備してきたところである。

なお、国立大学における共同生活を豊かにするための施設については、寮生のみの施設を整備するのではなく、大学会館、合宿研修施設、課外活動共用施設及び学内食堂を整備充実しているところである。

四及び五について

国立大学の学寮の整備については、社会、経済等諸般の情勢を総合的に勘案して進めることとしているが、当面は、既設大学における老朽寮の建て替え及び新設大学における学寮の整備を行うこととしている。また、私立大学の学寮の整備については、その設置者である学校法人が、自らの責任において行うべきものである。

なお、私立大学の学寮の整備に要する資金については、日本私学振興財団が長期低利の貸付けを行つているところである。

参議院の原文

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