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円高及び原油価格の低下等に伴う差益の還元に関する質問
参議院 第104回 第37号お答えすることは困難 ×1
質問本文
円高及び原油価格の低下等に伴う差益の還元に関する質問主意書
最近における急激な円高の進行と、原油価格の低下等に伴い、これに関連する諸産業には膨大な差益が発生しており、その規模は、電気・ガス業界だけでも一兆円を超えるものとみられている。
一方、多くの公共料金は、かつての二次にわたるオイルショックを契機としたエネルギーコストの上昇を前提とした考え方に基づいた料金体系が形成されており、最近の原油価格や為替相場を前提としたコストとの間に大きな歪みが生じている。このため、需要家の間からは、円高や原油価格の低下等に伴つて発生した差益の還元を求める声が強まつている。
従つて、政府は、差益還元のための具体的な検討の実施に当たつては、エネルギーコストの低下等にもかかわらず過大な料金の負担を強いられている全需要家への還元を原則として実施するとともに、電気・ガス事業以外で円高や原油価格の低下等のメリットを享受している分野においても、消費者に対する利益の還元が適切に行われるよう指導を強めるべきである。
このような観点に立つて、以下具体的に質問する。
一 タクシー料金の引下げについて
第一次・第二次のオイルショックの際は、原油価格の暴騰による燃料費の上昇を主たる理由にして大幅な料金の値上げがなされた。
つまり、都内を例にとると初乗運賃で昭和四十七年は百七十円であつたものが、昭和五十四年には三百八十円、加算運賃も三十円から七十円と二倍以上に値上げされた。
現在は原油暴落と円高であり、逆オイルショックということから、その差益は、料金引下げで消費者に還元すべきと考えるがどうか。
二 国内航空運賃の引下げについて
タクシー料金と同様にオイルショック後の航空運賃を見ると、東京-大阪間で昭和四十七年に七千三百円であつたが、昭和五十五年には約二倍の一万四千百円になつている。当然、料金引下げを行うべきであると考えるがどうか。
三 その他の公共料金について
更に、国際航空運賃、国際通話料金、バス料金等、原油値下がりとか円高のメリットを受ける公共料金についての差益還元について、政府はどう考えているか。
四 輸入麦の標準売渡価格の改定について
食糧管理特別会計の輸入食糧管理勘定において経理されている食糧用輸入麦の標準売渡価格については、毎年十二月に決定されている。しかし、最近における円高は、六十一年度予算編成の基礎として用いられている為替レートをはるかに上回る水準であり、国際穀物相場も想定以上に低落している。
政府は、輸入麦をめぐるこのような経済事情の大きな変化に対応して、飼料用麦の政府売渡価格については、円高等のメリットが配合飼料価格により強く反映されるよう引き下げるとともに、これまで五次にわたつて引下げが実施された配合飼料価格についても、輸入コストが適正に反映されるよう指導すべきであると考えるがどうか。
更に、小麦を原料とする製品の価格引下げについてどう考えるか。
五 輸入牛肉価格について
畜産振興事業団が一元輸入を行つている牛肉については、既に策定された「円高関連対策」の一環として、全国にある約三千店の指定販売店に対する値引販売や月一回の「肉の日」を増やすことにより、円高差益の消費者への還元を行う予定といわれている。しかし、六十年度に四十億円、六十一年度には二百億円にのぼるとみられている円高差益がこの程度の措置により還元されるとは考えられない。
従つて、政府は、行政管理庁が去る五十八年一月に行つた「畜産物の生産及び流通に関する行政監察結果報告書」において指摘している事業団売渡方法の改善を含めた実効ある措置を講ずべきものと考えるがどうか。
また、先に決定をみた加工原料乳保証価格の引下げは、農家の飼料価格購入費が低下したことを強く反映したものとなつているが、基準取引価格の引下げ、乳製品指標価格の引下げという一連の措置も、末端における乳製品価格の引下げに連動しない限り、生産者に犠牲を強いる結果に終わつてしまうといわざるを得ない。
従つて、政府は円高によるメリットが最終消費者に及び、その結果として乳製品需要の拡大が図られ、限度数量の拡大を通じて生産者にもメリットが還元されるという好循環を実現するよう努力すべきであると考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
タクシー事業の運賃については、その原価のほとんどが人件費であり、燃油費の低下が運賃原価に与える影響は極めて小さいこと等から、これを引き下げることは困難な状況にあると考える。
二について
国内航空運送事業の運賃については、燃油費の動向だけではなく当該事業の収支状況等を勘案して検討すべき問題であると考える。
三について
昭和六十一年四月八日の経済対策閣僚会議において決定した総合経済対策において、電力九社及び大手ガス三社の円高等による差益については、需要者に暫定的料金引下げ等の形で還元することを決めたほか、「その他の公共料金等についても、円高、原油価格の低下及び物価の安定基調にかんがみ、可能な限りその引下げに努めるものとするが、引下げが困難なものについても、当該事業の収支状況等を勘案しつつ、料金等の長期安定、サービスの改善等を通じて円高等による差益を還元するものとする」こと等を決定したところである。
なお、国際航空運賃については、外貨建ての受取りと支払いがほぼ均衡している等の事情から、円高による差益は限られたものであるが、方向別格差縮小のための措置を講ずるよう努めることとしている。また、国際通信料金については、国際電信電話株式会社の昭和六十年度における外貨建てによる国際決済が受取り超過の状況にあり、このような状況が続く限り円高による差益は生じないが、利用者の負担軽減を図るため、遅くとも昭和六十一年九月までには料金引下げを実施するよう促進することとしている。
四について
(1) 配合飼料用麦の政府売渡価格については、最近の政府買入価格が為替相場の円高等を反映して低下していることから、その引下げを行つてきているところである。
また、配合飼料の農家渡し価格については、飼料穀物の国際価格の低下、為替相場の円高等から、昭和五十九年七月以降五回にわたり引下げが行われたところであるが、今後とも原料価格の動向等を注視するとともに、必要に応じ関係業界を指導してまいりたい。
(2) 食糧用小麦の政府売渡価格は国内産小麦及び輸入小麦のコスト価格、消費者米価との関係その他経済事情を総合的に勘案して決定することとされており、為替相場の変動等による輸入小麦の価格変動が直ちに政府売渡価格に反映する仕組みとなつていないこと、仮に昭和六十一年度に発生が見込まれる輸入小麦の為替差益を政府売渡価格を通じて消費者に還元しようとした場合、麦製品価格に及ぼす影響は極めてわずかなものであり、これを複雑多岐にわたる加工・流通段階を通じて確実に消費者に還元させることは現実的に極めて困難であること等から、食糧用小麦の為替差益の還元については、食糧用小麦の政府売渡価格の引下げで対応する状況にはないと考えている。
五について
輸入牛肉については、畜産振興事業団が、畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号。以下「法」という。)に基づき、国内の需給及び価格の動向を考慮して売り渡すこととしている。この結果生ずる差益については、法の定めるところにより、国内肉用牛生産の振興や畜産物の流通・消費の改善に充て、中長期的に生産者・消費者双方の利益に資することを基本としており、最近の急速な為替相場の円高傾向にかんがみ、今回、差益を消費者により直結する形で還元する方策をとることとしたところである。
また、乳製品価格については、昭和六十一年度のバターの安定指標価格が引き下げられたことに伴い、その販売価格を引き下げるよう乳業メーカーを指導するとともに、これらをも踏まえ、牛乳・乳製品の消費拡大策を講ずることとしている。
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