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山原(やんばる)の自然保護に関する質問

参議院 第107回 第14号

提出者
参議院
提出日
1986年12月2日
内閣転送 1986年12月3日
答弁書受領日
1986年12月19日
提出から17日
答弁の項目数
8
質問 1,217字/答弁 1,169字

質問本文

山原(やんばる)の自然保護に関する質問主意書

山原とは、沖縄本島北部の山の多い地域を指称するものであり、行政区画としては、ほぼ、国頭(くにがみ)郡に照応する地域である。

同地域は、沖縄本島の水源地帯であり、林業やパインアップル等果樹農業の営まれているところでもある。また、同時に、国の特別天然記念物や天然記念物に指定された固有種の野生生物が数多く生息する貴重な地域であり、今や、その声価は国際的にも定まつたといえる。

ちなみに、国連環境計画(UNEP)、国際自然保護連合(IUCN)、世界野生生物基金(WWF)がまとめた「世界環境保全戦略」では、同地域は、国際的に貴重な地域で、保護地区設定の優先性の高いところとして、日本で唯一の指定地域となつている。

ところが、実情は国の特別天然記念物に指定されている一属一種の鳥、ノグチゲラをはじめ、天然記念物のヤンバルクイナ等、貴重な野生生物が、生息環境の悪化によつて、絶滅の危機に瀕しているのである。

国際的にも、保護の気運が高まつている折から、わが国の文化政策、環境政策の鼎の軽重が問われているともいえる。

よつて、以下の質問をする。

一 (1) 山原の森林面積は、全体でどれだけあるか。

(2) 右のうち、国有林、県や市町村等の公有林及び私有林の各面積とそれぞれが全体に占める割合を示されたい。

二 同地域のダムの個数とその合計湛水面積及び河川の本数とその流域面積の合計を示されたい。

三 同地域に所在する北部訓練場等の米軍基地の総面積と、それが森林面積に占める割合を示されたい。

四 同地域の環境破壊が憂慮されているが、環境破壊の原因としては、どのようなことが考えられているか。原因と思われるものの全てについて明らかにされたい。

五 同地域における森林行政は、現在、どのような方針の下に進められているか。また、今後はどう進めるべきであるか。政府の見解を示されたい。

六 (特別)天然記念物の保護については、現在、どのような対策が採られているか。また、今後はその保護策はどうあるべきか。政府の見解を示されたい。

七 世界野生生物基金(WWF)日本委員会(大来佐武郎会長)は、ノグチゲラ等の保護について、去る十月二十日、環境庁、林野庁等に対して、(イ)繁殖が現在確認されている約三千ヘクタールを含むイタジイなどの天然林約六千ヘクタールは禁伐とする、(ロ)その外側地域約一万ヘクタールも大面積皆伐を回避し、大径木を保存する、(ハ)ノグチゲラ、イシカワガエル、リュウキュウヤマガメなどの生息地である河川を保全する、などを申し入れたと報じられている。

当局は、これらの申入れに対して、どのように対応するのか。

八 また、同地域に、広大な基地を占有している駐留米軍に対しても、環境保全の上で、必然的に何らかの対応を要請することが必要となると思うが、どのような対応の要請を考えているか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

(1) 沖縄本島北部(同島の区域のうち国頭郡及び名護市の区域をいう。以下同じ。)に所在する森林面積は、全体で約五万千三百ヘクタールである。

(2) 右のうち、国有林の面積は約七千九百ヘクタール、公有林の面積は約二万七千七百ヘクタール、私有林の面積は約一万五千七百ヘクタールであり、全体の森林面積に占める割合は、国有林が十五パーセント、公有林が五十四パーセント、私有林が三十一パーセントである。

二について

沖縄本島北部の河川(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、又は準用されるものをいう。)の数及び流域面積の合計は、昭和六十一年四月三十日現在で、それぞれ三十八及び約三百三十平方キロメートルである。

また、当該河川に係るダム(基礎地盤から堤頂までの高さが十五メートル以上のものをいう。)の数及び湛水面積の合計は、昭和六十一年十二月一日現在で、それぞれ五及び約四・三平方キロメートルである。

三について

沖縄本島北部に所在する米軍の施設及び区域の土地面積は、約一万七千六百ヘクタールであり、このうち、森林面積は沖縄本島北部の森林面積の約二十八パーセントである。

四について

沖縄本島北部の環境の保全については、関係行政機関がそれぞれの立場において配慮してきているところである。

五について

沖縄本島北部は、沖縄県における中心的な林業地域であるとともに、重要な水源地域及び亜熱帯特有の動植物が豊富な地域であることにかんがみ、林業の振興と併せて、森林の有する国土の保全、水資源のかん養、自然環境の保全等の公益的機能の適正な発揮を図ることとしている。

六について

天然記念物(特別天然記念物を含む。)の保護については、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定により捕獲等の現状変更を規制するとともに、必要に応じてその生息状況等に関する調査及び給餌、保護増殖施設の設置等の保護増殖事業を実施しているところであり、今後とも継続してまいりたい。

七について

沖縄本島北部に所在する森林については、木材資源の有効利用を図るとともに、貴重な野生生物の保護等自然環境の保全等に配慮して、森林の整備に努めてまいりたい。

また、河川については、災害の発生の防止、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持が図られるよう、自然環境に及ぼす影響を考慮して、その管理を適正に行つてまいりたい。

八について

沖縄本島北部における米軍の施設及び区域の使用について、米軍は、その環境保全に対して十分な注意を払つているものと承知している。

なおかつ沖縄における日米安全保障条約に基づく米軍の駐留は、我が国の安全の確保のために不可欠なものであるところ、政府としては、米軍の運用上の所要との調整を図りつつ、今後とも環境保全に配慮してまいりたい。

参議院の原文

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