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国際自然保護連合のジュゴン保全勧告決議に関する質問

参議院 第150回 第8号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2000年11月13日
内閣転送 2000年11月15日
答弁書受領日
2000年11月28日
提出から15日
答弁の項目数
4
質問 1,897字/答弁 2,155字

質問本文

国際自然保護連合のジュゴン保全勧告決議に関する質問主意書

国際自然保護連合(以下「IUCN」という。)は、二〇〇〇年十月十一日、ヨルダンの首都アンマンで開かれた総会で、名護市辺野古一帯海域を中心に生息するジュゴンと沖縄本島山原(やんばる)の森に生息するノグチゲラ、ヤンバルクイナなどの保全を求める勧告決議を採択した。その要請内容は以下のとおりである。

1 日本国政府に対し、以下のことを要請する。

(a) ジュゴンの生息場所やその周辺における軍事施設の建設に関する自発的な環境アセスメント(EIA)を、できる限り早急に完遂すること。

(b) ジュゴン個体群の更なる減少を食い止め、さらに、その回復に役立つジュゴン保全対策を、できる限り早急に実施すること。

(c) 山原の生物多様性と絶滅の恐れのある種及びジュゴンの地域個体群の保全計画をできる限り早急に作成し、これらの種とその生息地の詳細な調査研究を行うこと。

(d) 山原の「世界自然遺産」への指名を検討すること。

2 米国政府に対し、日本政府の依頼により自発的な環境アセスメントに協力することを要請する。

3 日米両国政府に対し、以下のことを要請する。

(a) 自発的な環境アセスメントの結果を考慮しながら、それに基づいてジュゴン個体群の存続を確実にするために役立つ適切な対策を講ずること。

(b) 上記1(c)で言及した調査を考慮しながら、予定されている軍事施設建設と演習に関する計画が環境へ及ぼす影響についてアセスメントを行い、それに基づいてノグチゲラ及びヤンバルクイナの生存を確実にするために役立つ適切な対策を講ずること。

私は、IUCNのジュゴン保全勧告決議を喜ぶとともに、日本政府が勧告を履行する施策を実現するよう強く求めるものである。

IUCNの勧告決議に法的拘束力はないというものの、世界最大の自然保護に関する連合体の勧告決議は国際社会の世論であり、尊重されなければならないと考える。

私は、これまでに「ジュゴンの保護に関する質問主意書」(平成十二年四月十日付け)及び「ジュゴンの生息環境保全等に関する質問主意書」(平成十二年五月一日付け)を提出し、ジュゴンの保護を図る上で必要な生息確認調査、えさ場である海草藻場の現地調査及び個体識別調査等の早急な実施を求めてきた。

これに対し政府は、「国内においては、ジュゴンの生息に関する散発的な確認報告はあるが、組織的及び継続的な調査が行われていないため、全国的な分布や生態に関する知見や資料が少なく、地域に即した効果的な調査手法の設定が困難な状況にある。このようなことから、直ちに広域的調査を行うことは困難と判断した」と答弁し、ジュゴンの生息調査に極めて消極的な態度を表明していた。

ところが、二〇〇〇年九月十八日付け沖縄タイムス及び琉球新報の各夕刊に「十月四日から開かれる国際自然保護連合の総会で、ジュゴン保護とノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全を求める勧告決議が提案されることが判明した」との報道があった。また、同年十月三日開催された「普天間代替施設協議会」で岸本建男名護市長からも調査要請があり、政府は名護市辺野古周辺海域に生息するジュゴンの予備的調査を決め、現に着手している。

私は、この予備的調査が普天間飛行場代替施設の「着工」を前提とするものではなく、ジュゴンの「保全」を前提とすることなど五項目の要請を防衛施設庁長官に行った。

予備的調査は、十月三十日から開始されたが、十一月七日には名護市嘉陽沖合約一・五キロの海域で一頭が遊泳しているのが確認された。また、翌八日にも同海域でジャンプするジュゴンの姿が報道カメラマンによって確認されている。

このようにジュゴンの生息調査や保全をめぐって、国際的にも国内的にも注目すべき動きが出てきた。今政府に求められているのは、時間をかけ、十分で適切な生息調査の実施と万全なるジュゴン保全の対策樹立である。

以下、質問する。

一 日本政府がIUCNに加盟した日時及び加盟の動機を明らかにされたい。

二 二〇〇〇年十月十一日のIUCN総会で「沖縄島のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」に関する勧告決議の採決に際し棄権した理由を明らかにされたい。

三 政府は、このIUCNの勧告決議をどのように受け止めているのか明らかにされたい。

四 政府は、IUCNの勧告決議における要請事項の1の(a)、(b)、(c)、(d)及び3の(a)、(b)について、どのような対応をとるのか、各事項ごとに具体的な方策を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

自然及び天然資源の保全に関する国際同盟(以下「IUCN」という。)は世界的な自然保護及び天然資源の持続可能な利用等を促進するために設立された団体として、これらの分野における調査研究、普及啓発、関係各方面への助言等を行っており、我が国がこれに加盟することは、我が国の環境重視の姿勢を表明することの一環として有意義であることから、我が国は国家会員として平成七年六月二十一日にIUCNに加盟した。なお、IUCNの会員には、国家会員、政府機関会員及び非政府機関会員の三種類があり、環境庁は昭和五十三年九月二十七日に政府機関会員として加盟しているところである。

二について

採択された勧告決議においては、我が国及び米国に対し、ジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの生存の確保を助けるための適当な措置を講ずることが要請されているが、政府としては、これらの動物の保護策の在り方については今後よく検討していく必要があり、勧告決議の要請に対応する措置の具体的内容を直ちに確定することが困難であることから、勧告決議の採択に際しコンセンサスに参加しなかったものである。

三について

沖縄は、亜熱帯林やサンゴ礁が分布し、地域固有の動植物が多く生息するなど、生物多様性の保全の観点から重要な地域であり、今回のIUCNの勧告決議は、沖縄の自然環境やジュゴンの保護への国際的な関心の高さの表れであると受け止めている。

四について

IUCNの勧告決議に係る政府としての考え方は、次のとおりである。

勧告一のa)

普天間飛行場の移設に係る政府方針(平成十一年十二月二十八日閣議決定。以下「政府方針」という。)において、普天間飛行場の代替施設(以下「代替施設」という。)については、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うこととしており、代替施設の建設に当たっては、環境影響評価を実施することとしている。

なお、防衛施設庁においては、この環境影響評価とは別に、ジュゴンの生息状況に係る予備的調査を実施しているところであり、その調査結果については、できるだけ早期に代替施設の基本計画の策定に必要な事項について協議する代替施設協議会に報告することとしている。

勧告一のb)

ジュゴンは、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第六十九条第一項の規定により、天然記念物に指定され、捕獲を始めとする現状変更等が規制されており、また、水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第四条第一項の規定により、採捕が禁止されているところである。

ジュゴンの保護については、関係省庁が密接に連携して取り組むべき課題と認識しており、更にいかなる対応が必要かについては、今後検討してまいりたい。

勧告一のc)

沖縄本島北部三村にまたがるやんばる地域(以下「やんばる地域」という。)は、固有種や希少種が生息する自然の豊かな地域と認識している。これまで環境庁においては、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二条第二号に規定する国立公園の指定を念頭に置き、やんばる地域の自然環境の調査を実施している。また、やんばる地域に生息するノグチゲラ及びヤンバルクイナについては、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種に指定しているほか、ノグチゲラについては、同法第四十五条に規定する保護増殖事業計画を策定している。

また、ジュゴンについては、環境庁において、分布、生物学的特徴等に関する国内外の研究論文、文献、資料等の収集調査を行うとともに、防衛施設庁において、先に述べた生息状況に係る予備的調査を実施している。

勧告一のd)

世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(平成四年条約第七号)に基づく自然遺産の世界遺産一覧表への記載には、同条約第十一条5の規定に基づき世界遺産委員会が定めた基準に照らして、その自然環境が顕著な普遍的価値を有すると認められるものであるとともに、国内法上その自然環境を保護するための措置を採ることが必要とされているところである。

現在、環境庁においては、やんばる地域において自然公園法第二条第二号に規定する国立公園の指定を行うことを念頭に置いて、調査及び検討を進めている段階であり、やんばる地域の世界遺産一覧表への記載について検討を行う段階にはないと考えている。

勧告三のa)

政府としては、政府方針において明らかにしているとおり、代替施設の建設に当たっては、環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限にとどめるための適切な対策を講ずる所存である。

勧告三のb)

北部訓練場については、その過半を返還することが日米間で合意されているが、返還される区域に所在する七か所のヘリコプター着陸帯を同訓練場の残余の区域に移設すること等が条件となっている。当該ヘリコプター着陸帯の移設等に関しては、沖縄本島北部の自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、防衛施設庁において自然環境調査等を行ったところであり、政府としては、同施設の移設等に当たっては、自然環境に与える影響を最小限にとどめるよう、適切に対処していく所存である。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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