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国際自然保護連合(IUCN)総会における勧告に関する質問主意書
衆議院 第161回 第61号
質問本文
タイのバンコクで開催された国際自然保護連合(IUCN)の総会、第三回世界自然保護会議においては二〇〇四年十一月二十五日、「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告が、賛成多数で採択された。
わが国は国家会員として、環境省は政府機関会員として国際自然保護連合に加盟しているが、前記勧告案は、国際自然保護連合の加盟団体であるWWFジャパン等日本の環境団体が提出したものである。
国際自然保護連合(IUCN)は、日本を含む七十九ヵ国、政府機関百十三団体、七百を超す非政府組織が加盟する世界最大の自然保護団体である。
従って、国際自然保護連合の勧告は法的拘束力はないものの、国際条約と同等の重みを持っている。沖縄と国際自然保護連合勧告との関わりでは、過去に新石垣空港建設問題で白保さんご礁の保全勧告決議がなされ、建設場所の変更につながる世論喚起になった経緯がある。
また、国際自然保護連合は二〇〇〇年ヨルダンのアンマンにおける総会で、沖縄本島海岸沿岸域に生息するジュゴンとやんばるの森に住むノグチゲラ・ヤンバルクイナの調査及びその保全計画の作成を求める勧告をおこなった事がある。
今回の国際自然保護連合総会における勧告は、ジュゴンの保護が国際社会の責務であり、沖縄の環境問題が国際社会の関心事になった事を物語っている。
政府は、今回の勧告を真摯に受け止め、現在進めているボーリング調査を直ちに中止し、ジュゴン保護の具体的な方策を講ずるべきである。
以下、質問する。
一 政府は、第三回世界自然保護会議における「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告案採択に、賛否いずれの対応をしたのか、その対応理由を明確にしたうえで明らかにされたい。
二 採択された「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告については、勧告案提出者の環境保護団体と環境省、外務省並びにコンタクト・グループとの間で調整交渉がなされたものと思われるが、文案調整の結果合意できた事項、また合意に至らなかった事項についてその理由、勧告で日米両政府に対し求められた具体的な要請事項を明確に把握した上で、同勧告に対する日本政府の見解と勧告を受けていかなる対策を講ずるのか見解を明らかにされたい。
三 政府は、今回の勧告を尊重し、現在辺野古で進められている普天間飛行場代替施設のボーリング調査を直ちに中止し、ボーリング調査とゼロ・オプション(事業の中止の選択)の検討を環境アセスメントに含めるべきと考えるが政府の見解を示されたい。
四 政府は、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護区設定と保護計画について具体的な対策を早急に講ずるべきと考えるが、見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の勧告は、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の建設及び北部訓練場ヘリコプター着陸帯(以下「ヘリコプター着陸帯」という。)の移設に係る環境影響評価につき、これらの事業の中止を含むいくつかの代替案を検討すること等を我が国政府に求める内容となっている。しかしながら、我が国政府としては、ジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保全のため、これまで様々な調査研究や対策を行い、また、これらの事業の実施に当たっては自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの方針を決定し、環境影響評価の手続に着手しているところである。このような立場を踏まえ、我が国政府は勧告の内容が受入れ可能なものとなるよう関係者と協議を行ったが調整が整わなかったため、その採択に当たって棄権したものである。
二について
国際自然保護連合総会に出席した我が国政府関係者は、勧告の内容が受入れ可能なものとなるよう勧告案提出者である環境保護団体を含む関係者と協議を行ったが、調整が整わなかった。例えば、勧告の前文において我が国政府の採っている措置等を歓迎する旨言及するとの我が国政府の提案は受け入れられたものの、勧告の本文中には、関係者の理解が得られず、我が国政府の採っている措置や考え方が反映されなかった。
勧告は、我が国政府に対して、代替施設の建設に係る環境影響評価について、事業の中止を含むいくつかの代替案を検討し、また、代替施設に係るボーリング調査(以下「本件ボーリング調査」という。)なども環境影響評価の対象とすること、ヘリコプター着陸帯の移設に係る環境影響評価について、事業の中止を含むいくつかの代替案を検討すること並びに早急にジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保護区域を設定するとともに、これらの三種の保護のための行動計画を策定することを求めている。また、勧告は、アメリカ合衆国政府に対して、沖縄において絶滅危惧種の生息地に施設を建設する際には、環境保護と種の保存のために我が国政府と協議すること及び要請があれば、我が国政府の行う環境影響評価に協力することを求めている。
我が国政府としては、これらの三種の保全のため、これまで様々な調査研究や対策を行い、また、代替施設の建設及びヘリコプター着陸帯の移設の事業の実施に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの方針を決定し、環境影響評価の手続に着手しているところである。勧告の本文中に、我が国政府の採っている措置や考え方が反映されなかったのは残念であったと考えているが、今後とも、これらの事業の実施に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う所存である。
三について
本件ボーリング調査は、普天間飛行場の移設・返還に向けて建設される代替施設の護岸の形状等を検討するために必要不可欠な調査である。
本件ボーリング調査については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項及び第三項に規定する第一種事業及び第二種事業のいずれにも該当せず、同法の規定に基づく環境影響評価を行う必要はないと考えているが、引き続き、自然環境に十分に配慮しながら実施することとしている。
また、代替施設の建設に際しては、同法の規定に基づき実施している環境影響評価を踏まえ、自然環境への影響を最小限にとどめるため必要かつ適切な対策を講じてまいりたい。
四について
ジュゴンについては、環境省において平成十三年度から生息状況等に係る調査を実施しているところであり、その結果を踏まえ、地元の理解を得ながら、必要な保護対策の検討を進めることとしている。
また、ノグチゲラ及びヤンバルクイナについては、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四十五条の規定に基づく保護増殖事業計画を定めており、当該計画に沿って種の保存に必要な保護対策を進めることとしている。
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