ことばで探す › 参議院 第159回
沖縄のジュゴンの保護に関する質問主意書
参議院 第159回 第33号検討してまいりたい ×1
質問本文
沖縄周辺に生息するジュゴンは、世界北限のジュゴンとして国際的にも注目されているが、個体数が減少して危機的なレベルにある。ジュゴンは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という。)の制定の際、当時の環境庁と農林水産省の覚書によって、法の指定対象から除外された。その後、二〇〇一年三月二三日の参議院予算委員会で、私の質疑に対し、当時の谷津農林水産大臣が「覚書からジュゴンを外してもよい」と答弁し、ジュゴンを種の保存法の対象にする道が開かれた。その後、「ジュゴンと藻場の広域的調査」を三年がかりで行ったが、ジュゴンはいまだに種の保存法の希少野生動植物種に指定されていない。このままでは、ジュゴンを覚書から外した趣旨がいかされず、ジュゴンの絶滅のおそれが一層深刻になることが危惧される。
よって、以下質問する。
一、ジュゴンを覚書から外したのは、ジュゴンを種の保存法の対象にするためではなかったのか。また、ジュゴンと藻場の広域的な調査は、ジュゴンを種の保存法の希少野生動植物種として、絶滅を防ぐ保護方策のための資料を得る目的で行ったのではないか。
二、閣議で決定された希少野生動植物種保存基本方針(以下「基本方針」という。)は、「国内希少野生動植物種については、その本邦における生息・生育状況が、人為の影響により存続に支障を来す事情が生じていると判断される種で、以下のいずれかに該当するものを選定する。」として、「その存続に支障を来す程度に個体数が著しく少ないか、又は著しく減少しつつあり、その存続に支障を来す事情がある種」「分布域が限定されており、かつ、生息地等の生息・生育環境の悪化により、その存続に支障を来す事情がある種」を掲げている。
広域的調査の結果、ジュゴンの生息数は極めて限られていることが確認された。ジュゴンは、種の保存法の国内希少野生動植物種に選定する要件に該当するのではないか。あるいは、広域的調査で、この要件に該当しないと判断される事実が判明したのか。
三、政府は、近く、種の保存法の国内希少野生動植物種を拡大する予定と伝えられているが、ジュゴンはその候補に入れられていない。政府は、沖縄のジュゴンについて、絶滅のおそれはないと判断しているのか。もしそうだとすれば、その根拠は何か。
四、基本方針は、「今日、野生動植物の種を圧迫している主な要因は、(中略)人間の生活域の拡大等による生息地若しくは生育地の消滅又は生息・生育環境の悪化等であり、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るためには、まず、これらの状況を改善することが必要である。」と述べている。
二〇〇三年度の広域的調査の中間報告では、名護市東海岸における米軍の軍事演習や戦闘機の騒音がジュゴンに与える影響は大きいと指摘している。また、ジュゴンが魚網に混獲される危険は依然としてなくなっていない。
米軍の演習等によるジュゴンの生息環境の悪化や魚網による混獲などの状況を改善するために、どのような措置を講じたのか。あるいは今後どのような措置を講ずる方針か。
五、基本方針は、「種を絶滅の危機から救うためには、圧迫要因を除去又は軽減するだけでなく、生物学的知見に基づき、その個体の生息又は生育に適した条件を積極的に整備し、個体数の維持・回復を図ることも必要となる。」としている。
沖縄のジュゴンについて、生息条件の積極的な整備、個体数の維持・回復のために、どのような措置を講じているか。あるいは、今後どのような措置を講ずる方針か。
六、基本方針は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存施策は、生物学的知見に立脚しつつ、時期を失うことなく適切に実施される必要がある。」と明記している。今日まで個体数を減少させてきたジュゴンは、このまま保護の時期を失すれば、絶滅のおそれはますます大きくなることが強く危惧される。一刻も早く、適切な保全策を採ることが必要であり、早急にジュゴンを種の保存法の国内希少野生動植物種に選定すべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号。以下「法」という。)の制定時において、所管省庁である当時の環境庁としては、水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第四条第一項の規定に基づき採捕の制限等の措置が講じられる水産動植物については、法第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種に選定しないこととしていた。
その後、ジュゴンについては、採捕の制限等の措置の実施のみならず、保護増殖の促進など、法に基づく総合的な保護対策を実施することが必要となっていることから、国内希少野生動植物種に選定しないこととする取扱いを改めたところである。
また、環境省において平成十三年度から平成十五年度までの間において実施した「ジュゴンと藻場の広域的調査」は、沖縄本島の周辺海域に生息するジュゴンの保護対策の検討に必要な情報やデータを収集することを目的として実施したものである。
二について
ジュゴンに関する右の調査の結果では、ジュゴンは沖縄本島の周辺海域での確認頭数が極めて少なかったことから、希少野生動植物種保存基本方針(平成四年総理府告示第二十四号)第2の1の(1)において定められた国内希少野生動植物種に選定され得る種(以下「選定対象種」という。)の要件のうち、少なくとも「その存続に支障を来す程度に個体数が著しく少ないか、又は著しく減少しつつあり、その存続に支障を来す事情がある種」に該当すると考えている。
三について
国内希少野生動植物種については、選定対象種の要件に該当すると考えられる種のうちその選定に関し関係者の理解が得られたものから順次選定し、保護のための施策を講じているところである。
本年七月に公布された絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成十六年政令第二百二十二号)において新たに国内希少野生動植物種として定められた十一の動植物種にはジュゴンは含まれていないが、これは、ジュゴンに関し絶滅のおそれがないとの判断を行ったからではなく、国内希少野生動植物種として選定するためには、その生態等保護対策の検討に必要な情報やデータを収集するとともに、関係者の理解を得る必要があることによるものである。
四について
アメリカ合衆国軍隊の演習等によるジュゴンの生息環境への影響については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条第一項に基づき設置された合同委員会の下にある環境分科委員会の枠組みを通じて、アメリカ合衆国に対し、ジュゴンの保護に関して配慮を求めているところである。
また、環境省においては、漁網によるジュゴンの混獲への対策として、ジュゴンを混獲した場合に速やかに漁網から放流又は収容する方法を「ジュゴン・レスキューマニュアル」として取りまとめ、地元関係者に対する周知に努めているところである。
五について
これまで、四についてで述べた措置を始めとする圧迫要因を除去するための措置を講じてきているところであるが、引き続き、ジュゴンの生態等に関する知見を収集し、生息条件の整備並びに個体数の維持及び回復を図るための措置を検討してまいりたい。
六について
ジュゴンについては、国内希少野生動植物種としての選定に向けて、引き続き、その生態等保護対策の検討に必要な情報やデータを収集するとともに、関係者の理解を求めてまいりたい。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。