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ジュゴンの生息環境保全等に関する質問

参議院 第147回 第28号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
2000年5月1日
内閣転送 2000年5月8日
答弁書受領日
2000年5月19日
提出から18日
答弁の項目数
7
質問 2,182字/答弁 1,473字

質問本文

ジュゴンの生息環境保全等に関する質問主意書

沖縄県民、いや日本国民はジュゴンと“怪鳥”オスプレイのどちらを選ぶか、その決断と選択を問われている。

ジュゴンは、人魚のモデルとも言われている海牛目ジュゴン科の水性哺乳類の動物である。

一方の“怪鳥”オスプレイとは、米国海兵隊が二〇〇七年から二〇〇八年を目途に米軍普天間飛行場に配備を予定している戦闘機である。正式には、米国海兵隊垂直離着陸機MV-22オスプレイと呼ぶらしい。日米両政府は、米軍普天間飛行場の返還に合意したものの、その代替施設の移設先を沖縄県内に求め、稲嶺恵一沖縄県知事と岸本建夫名護市長は、沖縄本島名護市辺野古沿岸域への移設を条件付きながら容認することを表明している。

米軍普天間飛行場の代替施設というものの、辺野古沿岸域への移設は、現在の同飛行場の規模・機能を一層強化するもので、実質的な基地の新規建設である。しかも、移設予定地の海域は、文化財保護法で天然記念物に指定されているジュゴンの生息域である。ジュゴンを保護し、ジュゴンの生息環境を保全することは人類全体の使命であり、ウチナーンチュを始め日本国民はその責務を負っていると言わねばならない。

人間とジュゴンは、これまでも、これからも共に生き、生かされる共生の関係を保っていかなければならない。少なくともそのように自覚すべきである。だが、“怪鳥”オスプレイと人間は共存し、共生することが不可能である。よって、日本国民がジュゴンと“怪鳥”オスプレイのどちらを選ぶべきか、おのずと答えは明らかとなろう。

私は、平成十二年四月十日付けでジュゴンの保護に関する質問主意書を提出したが、これに対する政府答弁書(以下「答弁書」という。)が同月二十五日に出た。

私が、右質問主意書を提出する直前の四月五日、ジュゴンの死体が沖縄県宜野座村字宜野座の通称「キチムイ」海岸の砂浜に打ち上げられているのが発見された。国営沖縄記念公園水族館の専門職員の調査によると、ジュゴンは二百五十五センチ、体重は約二百五十キロで、成年期の雄であることが確認された。死因は不明だが、ジュゴンの生息環境の悪化等が原因では、と憂慮するものである。

さて、私の質問主意書に対する答弁書を見る限りにおいて、政府のジュゴンの保護についての姿勢は極めて消極的であると判断せざるを得ない。政府は、ジュゴンの生息環境の保全に万全の対策を講じ、ジュゴンの保護に全力を傾注すべきである。

以下質問する。

一、答弁書によると「環境庁においては、全国の藻場、干潟及びサンゴ礁の状況を把握する調査を行っている」とのことである。この調査はいかなる目的で、どれくらいの予算措置をして実施されたのか。また、調査対象の藻場はジュゴンの餌となる海草藻場なのか、さらに、沖縄本島周辺の海草藻場の価値をどのように捉えているのか明らかにされたい。

二、私は、先の質問主意書でジュゴンネットワーク沖縄や粕谷俊雄三重大学教授らの調査研究によれば、「沖縄本島東海岸域は国内で唯一のジュゴン生息地であり、生息環境を緊急に改善しないと、絶滅の可能性が高い」と指摘されていることに触れた。政府は、ジュゴンの絶滅の可能性についていかなる認識をしているか明らかにされたい。

三、答弁書によると「ジュゴンの生息確認、個体識別等を目的とした現地調査は実施していない。なお、今後の調査については、未定である」とのことである。政府は、ジュゴンの生息範囲、生息数、生息環境、保護上の問題点等の解明等を目的とした現地調査の必要性を否定するのか、それともその必要性は認めつつも、調査方法が確立されないので調査実施の態勢にないというのか、答弁の趣旨を明らかにされたい。

四、答弁書によると「環境庁においては、ジュゴンの生息状況等において、平成九年度に国内外の文献等の資料の収集」を行ったという。どのような文献、資料を収集したのか明らかにされたい。

五、ジュゴンの保護については、国際社会にあっては捕獲や採捕の禁止による保護から、それらを含む生息が確認された水域を「生息地等保護区」に指定し、総合的な保護策を講ずる考え方になっている。捕獲や採捕の禁止だけではジュゴンの保護策として不十分と考えるが、政府の対応を明らかにされたい。

六、答弁書によると「環境庁においては、沖縄本島北部三村にまたがるやんばる地域において自然公園法第二条第二号に規定する国立公園を指定することを念頭に置いて、調査及び検討を進めている段階」であるという。現在までの検討の中で出た問題点や課題、いつ頃までにどの範囲を国立公園指定するのか明らかにされたい。

七、沖縄県名護市議会は、平成十年三月三十一日、「海上ヘリ基地建設予定海域内の自然環境調査に関する要請決議」を行い、政府関係要路に(1)辺野古キャンプ・シュワーブ沖でのジュゴンと海ガメの生態調査及び周辺海域の環境調査を実施すること、(2)IUCN(国際自然保護連合)に対し、ジュゴンと海ガメの生態調査及び沖縄本島東海域の環境調査を依頼すること等を要請している。

政府は、沖縄県、名護市、あるいはNGO等から、沖縄に生息するジュゴンの調査実施を要請されているか。要請されていれば、どのように対応しているか明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

全国の藻場、干潟及びサンゴ礁の状況を把握する調査は、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第四条に基づく自然環境保全基礎調査の一環として、我が国沿岸域における生物の生息地として重要な存在である藻場、干潟及びサンゴ礁の分布状況及び消滅状況を把握することを目的として実施したものである。昭和五十三年度から二年間の調査は合計約一億四千万円、また、平成元年度から五年間の調査は合計約二億円の予算額をもって実施した。

本調査において、藻場は、水深二十メートル以浅の沿岸域に分布する面積一ヘクタール以上のすべての藻場(海草藻場を含む。以下同じ。)を対象としており、沖縄本島周辺における調査では、海草藻場が対象となっている。

なお、本調査は、全国の藻場等の分布状況及び消滅状況の把握を主な目的としたものであり、個々の藻場の価値に関する評価は行っていない。

二について

ジュゴンが絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(昭和五十五年条約第二十五号)附属書Iの掲載種であることは承知しているが、ジュゴンの日本近海における分布及び生態に関する調査研究はいまだ十分とはいえず、ジュゴンの絶滅のおそれについては、今後の知見の集積を待つ必要があると考えている。

三について

ジュゴンに関する現地調査の必要性を否定するものではないが、現時点においては、全国的な分布及び生態に関する知見や資料が少なく、地域に即した効果的な調査手法の設定が困難な状況にあるため、直ちに広域的調査を行うことは困難であるとの趣旨である。

四について

環境庁においては、ジュゴンに関する分布、生物学的特徴、捕獲等の人為的影響等に関する国内外の研究論文、雑誌、新聞記事等の収集を行ったところであり、その内訳は、国内の論文十七件、国外の論文八十五件、その他六十件である。

五について

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第三十六条においては、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域の中から生息地等保護区を指定することができる旨が規定されている。ジュゴンについては、その生息状況についての十分な知見が得られておらず、同法に基づく国内希少野生動植物種への指定は困難であり、したがって、生息地等保護区を指定することもできない。

六について

お尋ねのやんばる地域の国立公園への指定に当たっては、その自然を保護するとともに、沖縄北部地域の活性化に資することが重要であると考えており、具体的方策の検討を通じて、地元の合意形成を図っていくことが今後の課題であると考えている。

国立公園の指定時期については、沖縄に関する特別行動委員会最終報告に基づき北部訓練場の過半が返還される予定の平成十四年度末以降を目途としている。また、国立公園の区域については、返還地域を含む山岳部を中心とした地域を想定しているが、具体的な範囲については、今後、沖縄県及び地元市町村と協議しながら検討してまいりたい。

七について

平成十年四月に沖縄県名護市議会から、辺野古キャンプ・シュワブ沖におけるジュゴン及びウミガメの生態調査と周辺海域の環境調査の実施に係る要請を、また、平成十二年一月に「ジュゴンネットワーク沖縄」から、ジュゴンの生息実態の把握に関する調査の実施に係る要請を受けているところであるが、三についてで述べたとおり、直ちに広域的調査を行うことは困難と考えている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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