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商工ローン等の諸問題に関する質問
参議院 第146回 第1号
質問本文
商工ローン等の諸問題に関する質問主意書
ノンバンクによる中小企業向け保証人付き無担保融資の総称である、いわゆる商工ローンの貸出残高は、この数年間のうちに大幅に増加しているが、なかでも業界第二位の商工ファンドの融資残高は、平成八年から十一年までの三年間に、約八〇〇億円から約三二五〇億円へと四倍にも及ぶ急激な増加を示している。この急成長の背景には、銀行等の金融機関による貸し渋りがある。高金利で成り立つ会社はありえないにもかかわらず、中小企業が、「銀行の貸し渋り」にあい、無担保・保証人付きの商工ローンに飛びつくのも無理はなかった。商工ローンの急成長と並行して、返済をめぐる債務者、保証人とのトラブルも急増している。平成十年十二月には「日栄・商工ファンド対策弁護団」が結成される等、弁護士に相談する被害者も多くなっている。このような事態を踏まえて、以下質問する。
一、金融監督庁は、平成十一年九月三日及び十三日付けで商工ローン業界に対する行政指導を行ったとのことであるが、その趣旨、内容について明らかにされたい。また、今回の一連の行政指導によって、業界が具体的にどのような対応をとるものと期待されるのか見解を示されたい。
二、商工ローンを含む貸金業の金利を規制する法律には、利息制限法と出資法の二つある。元本が一〇〇万円以上の場合、利息制限法の上限金利は、年一五%、出資法は、年四〇・〇〇四%である。出資法には罰則規定があるが、利息制限法にはないため、多くの業者は、両金利の間であるいわゆるグレーゾーン金利での営業を行っているといわれる。それが著しい利鞘をもたらしている三〇%以上ともいわれる貸出し高金利である。このような金利のダブルスタンダードが放置されている理由は何か。その経緯を含め明らかにされたい。
三、グレーゾーン金利の見直しに関しては、第百四十五回国会に民主党より出資法等の改正案が提出される等、関係方面から様々な提案がなされているところである。これらの提案の基本的な趣旨は、出資法の上限金利の引下げや貸金業規制法第四十三条の「みなし弁済規定」の廃止を主な内容とするものであるが、政府として、どのような見解を有しているか示されたい。
四、トラブルの多発を看過することはできないが、商工ローンを含むノンバンクの社会的意義は一定程度認められるところであることは、第百四十五回国会でいわゆる「ノンバンク社債発行法」が成立を見たことで明らかである。一方、その「ノンバンク社債発行法」の採決にあたって、参議院財政・金融委員会では三項目からなる附帯決議を行っており、その第三項目では「出資法等で定められている金融業者の貸出金利の規制の在り方については、借手保護の視点も踏まえ検討すること。」となっている。この検討状況について明らかにされたい。
五、商工ローンを含むノンバンクの経済社会に占める位置の一定の必要性、長期にわたる公定歩合の超低金利等に鑑みれば、グレーゾーン金利での営業に対し、業者側・借り手側いずれも不透明感がつきまとうことは避けがたい。こうしたあいまいな状態を是正し、出資法と利息制限法の上限金利を一致させる方向での法改正が業者側・借り手側いずれにとっても望ましいと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。仮に一致させ得ないとするならば、せめて出資法における金利水準の適正性を担保するために、利息制限法の上限金利に、手数料に見合った一定の金利を上乗せした金利を出資法の上限金利として採用すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。また、借り手側の立場からは、出資法の上限金利内での更なる適正金利の追求のために、業者間の競争原理を一層働かせるべきであると考えられるが、政府の見解を示されたい。
六、日弁連は、十月二十二日の理事会で、金融監督庁に対し商工ローン業者への監督強化を求め、同問題の解決に向け、踏み込んだ対策を求める意見書を採択した。この意見書は、商工ローンに特有の制度「根保証」契約が被害を拡大させているとの認識に立ち、一定期間内ならば保証人が同契約を無条件で解約できる制度の創設を求めている。根保証契約とは、上限金額を定め、連帯保証人はその範囲内で保証するという契約である。例えば、借り主が三〇〇万円を借り、更に、その後借り主が限度枠内で追加融資を受けた場合、連帯保証人には追加融資分の返済責任も発生する。一九八三年に施行された貸金業規制法と、金融監督庁のガイドラインでは、この根保証について十分な規制がなく、貸金業者は借り主への追加融資の際、連帯保証人に対する貸付残高等の書面の交付や開示は義務付けられていない。この法律の盲点を突いて、商工ローンは、連帯保証人に高額の返済を迫っている。しかし、根保証のような極めて商業取引的色彩の強い法律関係は、日常頻繁に商取引を行っている訳ではない一般市民にとっては、よく理解するところではない。したがって、これを取引の直接当事者以外の第三者たる保証人にまで効力を及ぼすことは、一種の公序良俗違反と言うべきものと考えられる。そこで、前記の根保証契約の解約制度や、根保証の仕組みの周知義務、根保証責任の範囲の説明と明記義務、借り主に対する追加融資の際の連帯保証人への内容通知等根保証に関する規制を盛り込んだ貸金業規制法の改正も検討すべきだと思うが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
金融監督庁においては、貸金業者と債務者、保証人等とのトラブルが発生している現状等にかんがみ、財務局及び都道府県を通じるなどして、平成十一年九月に、文書により、全貸金業者等に対して、根保証を含めた契約内容を十分説明すること等、適正な業務運営の確保を要請するとともに、全国貸金業協会連合会に対して、根保証において保証人が債務残高を適宜把握できるための取組を行うこと等、貸金業務の適正化に向けての自主的な改善への取組の検討を要請したところである。
同連合会は、これらを踏まえ、同年十月に「事業者金融(商工ローン)における貸付けの正常化に関する自主規制基準」を策定したところであり、同連合会において、これを各都道府県の貸金業協会に例示し、貸金業者の指導の徹底を要請したものと承知している。
いずれにせよ、政府としては、各貸金業者において、先に文書で要請した貸金業務の適正化の徹底が図られることが肝要と考えており、今後、業界の動向を注視し、法令に基づき適切な監督に努めてまいりたい。
二について
1 金利については、民事上の規制に関する上限金利が利息制限法(昭和二十九年法律第百号)に、刑事上の規制に関する上限金利が出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号。以下「出資法」という。)に、それぞれ定められており、利息制限法については、元本が十万円未満の場合は年二割、元本が十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、元本が百万円以上の場合は年一割五分とされ(第一条第一項。ただし、損害賠償額の予定については、第四条第一項により、その二倍。)、出資法については、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合は年四十・〇〇四パーセント、その他の場合は年百九・五パーセントとされている(第五条)。
利息の契約が利息制限法の右上限を超えるときには、当該契約は、その超過部分につき無効であり、他方、出資法の右上限を超える割合の利息の契約をし、又はこれを超える割合による利息を受領する行為は犯罪を構成する。
なお、利息制限法の右上限を超えた利息を受領した場合においては、最高裁判所の判例(最高裁大法廷昭和三十九年十一月十八日判決、同大法廷昭和四十三年十一月十三日判決及び同第三小法廷昭和四十四年十一月二十五日判決)により、右上限を超える部分は残存元本への充当の対象又は不当利得として返還の対象となると解されているが、貸金業者の場合においては、貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号。以下「貸金業規制法」という。)第四十三条に特例が定められており、同条に定める条件を満たした場合には有効な利息の債務の弁済とみなすものとされている。
2 このような現行法制が定められた経緯については、昭和五十八年五月十三日に議員提案による出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第三十三号。以下「改正法」という。)及び貸金業規制法が成立する前においては、出資法上は、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合か否かにかかわらず、上限金利は一律に年百九・五パーセントとされ、民事上の効果は前記最高裁判所の判例のとおりに解されていたが、両法の成立により、金銭の貸付けを業として行う者に係る特例が設けられ、出資法の罰則の対象となる上限金利が年四十・〇〇四パーセントとされるとともに(第五条第二項。ただし、経過措置等により、改正法施行後三年間は年七十三パーセント、平成三年十月三十一日までは年五十四・七五パーセントとされた。)、利息制限法の上限金利を超える利息の支払であっても、一定の条件を満たした場合には有効な利息の債務の弁済とみなされることとなったものである(貸金業規制法第四十三条)。
このように、金利の上限が利息制限法と出資法とで別個に定められているのは、民事上の規制と刑事上の規制という相違があることによるものであり、貸金業者に係る特例が認められているのは、貸金業者に対する規制の在り方に係る立法政策の問題として国会において審議された結果であると考えている。
このような現行法制をめぐる御指摘の点については、政府としては、貸金業者への適切な監督と金融全体における貸金業の位置付け等に関する幅広い議論を踏まえ、適切に対処すべきものと考えているところであり、このような観点から、国会における御論議を注視してまいりたいと考えている。
三について
出資法における金銭の貸付けを業として行う者に係る上限金利の規制や貸金業規制法第四十三条のいわゆるみなし弁済規定をめぐっては、借り手保護の観点から上限金利を更に引き下げるべきであるとの指摘、更なる引下げはかえって闇金融の横行につながるおそれがあるとの指摘、出資法と利息制限法の上限金利を一致させるとともに、みなし弁済規定を廃止すべきであるとの指摘等があり、種々の議論があることは承知している。なお、みなし弁済規定については、貸金業規制法制定時の国会審議において、同法に規定する各種の行為規制の実効性を確保し、もって資金需要者の保護を図ろうとするものである旨、提案者から説明されたと承知している。
いずれにせよ、このような問題については、政府としては、貸金業者への適切な監督と金融全体における貸金業の位置付け等に関する幅広い議論を踏まえ、適切に対処すべきものと考えているところであり、このような観点から、国会における御論議を注視してまいりたいと考えている。
四について
出資法における金銭の貸付けを業として行う者に係る上限金利の引下げについては、先般成立した金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律(平成十一年法律第三十二号)に関する御指摘の附帯決議等を踏まえて、政府としては、関係省庁間で情報交換を行ってきたところであり、この問題については、引き続き、関係省庁間で十分連携の上、検討していく必要があると考えており、国会における御論議も注視してまいりたい。
五について
出資法における金銭の貸付けを業として行う者に係る上限金利の規制や貸金業規制法第四十三条のみなし弁済規定をめぐっては、三についてで述べたとおり、種々の議論があることは承知している。
また、貸金業規制法においては、貸金業を営もうとする者は、登録を拒否すべき場合に当たらない限り登録を受けることができ、自由な参入が認められているが、業者間の競争原理を一層働かせるべきであるとの指摘があることは承知している。
いずれにせよ、このような問題については、政府としては、貸金業者への適切な監督と金融全体における貸金業の位置付け等に関する幅広い議論を踏まえ、適切に対処すべきものと考えているところであり、このような観点から、国会における御論議を注視してまいりたいと考えている。
六について
貸金業規制法第十七条第二項においては、貸金業者は、保証契約を締結したときは、遅滞なく、貸付金額、貸付利率等の貸付けに係る契約事項を記載した書面及び当該保証契約の内容を明らかにする事項で総理府令・大蔵省令で定めるものを記載した書面を当該保証人に交付しなければならない旨規定されており、これらの書面の保証人への交付が義務付けられている。したがって、貸金業者がこれらの法令に従って適切に取引を行うならば、根保証契約の締結の際、当該保証人は、書面により保証の範囲等を知り得ることとなるものである。また、保証人は、一般に、債務者との間における固有の関係に基づき保証契約を締結したものであるから、根保証契約においても、当該保証人は、債務者の追加的な借入れ等についても債務者から知り得るものと考えられる。しかしながら、貸金業者の貸付けに係る根保証契約に関する問題として、御指摘のような法改正を検討すべきであるとの意見があることは承知している。
いずれにせよ、このような問題については、政府としては、貸金業者への適切な監督と金融全体における貸金業の位置付け等に関する幅広い議論を踏まえ、適切に対処すべきものと考えているところであり、このような観点から、国会における御論議を注視してまいりたいと考えている。
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