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雇用促進住宅の廃止・譲渡に関する質問主意書
参議院 第163回 第13号承知していない ×4
質問本文
雇用促進住宅は、もともと炭坑離職者の就労支援を目的に一九六五年ごろに国が設置した住宅であり、現在は独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)が運営し、公共職業安定所長が認める者が利用できる住宅である。その貸与要件には、「公共職業安定所の紹介等で就職することに伴い住居を移転する」「転勤等により住居の移転を余儀なくされ、住宅に困窮している」「その他職業の安定を図るために住宅の確保を図ることが必要である」ことが挙げられている。
現在、全国に一五三一か所一四万一五二二戸に約三五万人が入居する雇用促進住宅については、機構から委託を受けて財団法人雇用振興協会(以下「協会」という。)が運営管理を行っている。しかし、二〇〇一年一二月一九日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において「移転就職者用宿舎は現に入居者がいることを踏まえた早期廃止のための方策を検討し、できるだけ早期に廃止する。」とされ、三〇年間で全住宅を売却するなどの処理方針のもとで、各地では事実上の住民追い出しなどの問題が生じている。
私は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とする憲法第二五条の立場に立脚し、借地借家法第二八条の「建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件」の中で保障されている居住権を、政府がすべての国民に保障すべきと考えており、政府に対し、全力を挙げて雇用促進住宅の三五万人住民の生活を保障するよう求めるものである。
以上の観点から、以下質問する。
一 全国の雇用促進住宅の物件ごとに所在地、物件概要、入居実態、入居者の年齢構成状況、入居者世帯の収入階層状況など具体的な現状及び整理合理化計画の全容を明らかにされたい。さらに、耐震診断、耐震補強工事の計画についても、物件ごとにその全容を明らかにされたい。
二 一九九九年三月一二日に衆議院労働委員会で日本共産党の大森猛議員の質疑に対し政府が答えた雇用促進住宅入居者の居住権の保障について、その後、政府はそれをどのように具体化しているのか。また、同年三月二三日に参議院労働・社会政策委員会で日本共産党の市田忠義議員の質疑に政府が答えた雇用促進住宅入居者の諸権利を保障する方針についても、その後、政府はそれをどのように具体化しているのか。
三 これまでに雇用促進住宅を廃止した事例があれば、それらの物件ごとに具体的経緯を説明されたい。
四 大阪府八尾市の雇用促進住宅の一つである別宮団地では、本年五月に住民説明会が開かれ、住宅から追い出されることへの住民の不安が広がっている。当該住宅の住民からは、「解体するのでなく、耐震補強して存続させてほしい。耐震調査した人は、あと二〇年はもつと言っていたのに、結果通知では八棟中七棟が補強してももたないとされているが、なぜ耐震補強しても地震に耐えられないのか、詳しく説明してほしい。」「突然、住宅を廃止するから出て行け、と言われるのでは、死刑を言い渡されたようなものだ。六〇歳から八〇歳ぐらいの人間が転居させられてバラバラになったら、認知症になってしまう。移転するなら、集団で移転できるような住宅を用意してほしい。」「政府のやり方は、納得できない。ここの住宅は、一九六八年にできたもので比較的新しいのに、なぜここを全廃するのか。高い値段で売れそうだから廃止するのではないのか。通知書には、責任者の名前も書いてない。地上げ屋と同じではないのか。」などと訴えている。また、同市内の青山団地と老原団地でも、一棟ずつ壊すことになっており、住民は今後どうすればいいのかと思い悩んでいる。
1 これらの大阪府八尾市における雇用促進住宅に関し、整理合理化計画及び耐震補強工事計画の具体的状況並びにこの件における住民説明会の経緯について、詳細に説明されたい。さらに、この件における住民要望の具体的内容とその住民要望に対する政府、機構及び協会の具体的対応方針についても説明されたい。
2 別宮団地は二〇〇八年三月末に全廃という方針と聞いているが、政府の方針を明らかにされたい。また、別宮団地について、協会大阪支所業務第二課の担当者は住民に対し「居住権の侵害はしない。二〇〇八年三月以降になっても住民を追い出すことはしない。」と回答しているが、政府もこの回答を住民に確約するのか。
3 住民を転出させるにあたり、機構は二〇万円の移転補償を行うということだが、これでは家を借りるための敷金にもならない。もっと額を増やしてほしいと住民は求めているが政府の対応方針はいかがか。
五 全国の雇用促進住宅は、炭坑離職者などのために国が建てた住宅であり、居住者は高齢化している。民間住宅は、高齢者をなかなか受け入れてくれず、出て行けといわれても居住者には出て行く先がない。月額二万一〇〇〇円(共益費を含む)のような安い家賃の住宅は公営住宅以外にないのにもかかわらず、公営住宅は競争率が高くて入れない。政府は雇用促進住宅を追い出される居住者の救済策として、どのような対応方針で臨むのか、明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
雇用促進住宅は、独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)が運営を行っているものであり、平成十七年九月三十日現在、四十七都道府県において、千五百三十四宿舎、十四万二千三百六十四戸存在しており、宿舎の所在地及び概要については、財団法人雇用振興協会(以下「協会」という。)のホームページにおいて公表されているところである。お尋ねの物件ごとの入居実態、入居者の年齢構成状況、入居者世帯の収入階層状況等の具体的な現状、整理合理化計画の全容並びに耐震診断及び耐震補強工事の具体的な計画は網羅的には把握していない。
二及び五について
御指摘の「雇用促進住宅入居者の居住権の保障」及び「雇用促進住宅入居者の諸権利を保障する方針」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、また、お尋ねの雇用促進住宅の廃止の際の入居者の救済策については、入居者と機構の間の建物賃貸借契約や借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定等に基づき機構において処理されるべきであると考えているが、雇用促進住宅の譲渡や廃止に当たって入居者の意向を聴き、説明を行うこと等の入居者への対応については、譲渡や廃止に際しての他の諸課題と併せて厚生労働省職業安定局において雇用促進住宅基本課題検討会を設置し、検討を行ったところである。機構においては、同検討会が平成十五年五月に取りまとめた報告書を踏まえ、譲渡を行う際には、所有者が変わることが入居者の権利義務に直接影響しないこと等について入居者への十分な説明を行うほか入居者の意向も聴くとともに、譲渡先が決まらず廃止する際には、建物賃貸借契約の内容が同法第三十八条に規定する定期建物賃貸借である入居者に対しては、当該契約の期間の満了とともに再契約をせずに退去を求めることとし、その他の入居者に対しては、あらかじめ数年前から当該入居者に係る雇用促進住宅の廃止予定年度を示して理解を求め、廃止予定年度が経過した場合には、解約を申し入れ、入居者の意向も聴きつつ、必要に応じて移転料や立退料を支払って他の雇用促進住宅や民間の賃貸住宅等への移転を促していると承知している。
三について
機構からは、これまでに廃止した宿舎はないが、十四か所において宿舎の一部を廃止したと聞いており、これらの物件ごとの具体的経緯については把握していない。
四の1について
機構からは、大阪府八尾市における雇用促進住宅については、耐震調査結果を踏まえ、老原宿舎の一棟においては、平成二十年三月末までに入居者に対して退去を求め、退去までの間の安全を確保するため、壁や柱に関し応急的な補強工事を実施し、他の棟については、長期的な使用を可能とするための補強工事を実施すると聞いている。また当該一棟について、住民に対する退去や工事に関する説明会が実施され、その際には、移転料の引上げや退去期間の延長についての要望があったと聞いている。住民の要望については、機構が適切に対応すべきであると考えており、本件についての機構及び協会の具体的な対応方針は把握していない。
また、同市における老原宿舎以外の雇用促進住宅に関する住民の要望についても、機構が適切に対応すべきであると考えており、当該住宅に関する整理合理化計画及び耐震補強工事計画の具体的状況、この件に関する住民説明会の経緯並びに住民の要望の具体的内容及びその要望に対する機構及び協会の具体的対応方針については把握していない。
四の2について
別宮宿舎については、機構からは、平成二十年度に廃止する予定であると聞いているが、別宮宿舎の運営は機構において適切に行われるべきであると考えており、御指摘の回答について確約する立場にない。
四の3について
雇用促進住宅に関する移転料については、入居者と機構の間の建物賃貸借契約や借地借家法の規定等に基づき機構において処理されるべきであると考えている。
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