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防衛庁及び在日米軍の弾道ミサイル用新型警戒監視レーダー配備に関する質問主意書
参議院 第164回 第16号趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1
質問本文
昨年十月二十九日の日米安全保障協議委員会において合意された、在日米軍再編に関する「日米同盟・未来のための変革と再編」(以下「中間報告」という。)には、米軍の弾道ミサイル防衛(MD)用新型警戒監視レーダー「Xバンド・レーダー」の日本への配備が含まれている。これに関連して、米軍関係者は昨年十二月初め、配備先の「最有力候補地」と報じられている青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯基地の現地調査をしたと承知している。
一方、防衛庁はMD用の将来警戒管制レーダー「FPS-XX」の開発に向けて、平成十一年度から防衛庁技術研究本部第二研究所飯岡支所(千葉県旭市)において同レーダーの試作機を使用して試験・研究を進めてきた。その結果、平成十八年度から試作機の実用運転の訓練等に入るとともに、「FPS-XX」を鹿児島県・下甑島、新潟県・佐渡、青森県・大湊、沖縄県・与座岳の四か所に順次配備することにし、その施設整備等のために本年度予算案において予算措置を講じている。
在日米軍再編の「中間報告」では、在日米軍司令部が米軍横田基地に自衛隊との間で「共同統合運用調整所」を設置するとともに、現在府中市に所在する航空自衛隊航空総隊司令部が米軍横田基地に移転し、米軍第五空軍司令部と併置することによって、防空及びミサイル防衛の司令部組織間の連携を強化し、同調整所を通じて関連するセンサー情報を共有していく方向が示されている。これは、米国本土を狙う弾道ミサイルを探知し追尾する「Xバンド・レーダー」と、防衛庁が配備する「FPS-XX」のレーダー情報を日米で共有し、緊密な補完態勢を取っていく考えであると解される。
そうだとすれば、米国本土防衛のMD網に日本が組み込まれ、米国本土を狙った弾道ミサイルの監視情報を米国側に提供することによって、日本政府にとって日本国憲法が禁じている「集団的自衛権の行使」に踏み切らざるを得ない事態に陥ることが危惧される。
また、高出力の電力と強力な電波を使用する軍事用のレーダー及び通信施設に起因すると見られる周辺での電波障害が、過去多数、全国各地で起きたことを思い起こせば、本件の両レーダーによっても同様の心配を禁じえない。
よって、次のとおり質問する。
一 米軍の「Xバンド・レーダー」について
1 「Xバンド・レーダー」とは一体どのような施設なのか、その目的及び機能、規模、配置要員数等の概要をどのように承知しているのか示されたい。また、このレーダーの製造事業者並びに本体の価格及び関連施設を含めた経費の総額をどのように承知しているのか明らかにされたい。
2 「Xバンド・レーダー」が使用する電力や電波等によって周辺に電波障害を引き起こす可能性はないのか、所見を示されたい。
3 「Xバンド・レーダー」の日本への配備に向けて、米軍関係者が昨年末、青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯基地を現地調査したが、米国側が調査先にこの基地を選んだ理由をどのように承知しているか。また、日本側がこの調査を受け入れた理由についても明らかにされたい。
4 米軍が「Xバンドレーダー」を日本に配備する場合、配備先と配備時期についての最終決定はいつ行われるのか、政府の見通しを示されたい。
二 防衛庁の「FPS-XX」について
1 「FPS-XX」は、一体どのような施設なのか、その目的及び機能、規模、配置要員数等の概要を示されたい。また、このレーダーの製造事業者及び契約方法並びに本体の価格及び関連施設を含めた経費の総額を明らかにされたい。
2 「FPS-XX」が使用する電力や電波等によって周辺に電波障害を引き起こす可能性はないのか、所見を示されたい。
3 防衛庁が平成十八年度から行う「FPS-XX」の実用運転について、その計画の概要を明らかにされたい。
4 防衛庁は「FPS-XX」を鹿児島県・下甑島、新潟県・佐渡、青森県・大湊、沖縄県・与座岳の全国四か所に配備する計画であるが、これらの配備先の選定の理由を示されたい。
三 レーダー情報の共有について
1 航空自衛隊と在日米軍の共同使用となる米軍横田基地の「共同統合運用調整所」はどのような役割を果たすのか明らかにされたい。
2 弾道ミサイル監視センサーの情報を日米間で共有し、日本側が得た情報の提供に基づき、米国側が武力行使を行った場合、日本政府にとっては日本国憲法が禁じる「集団的自衛権の行使」となる事態が予想されるが、所見を示されたい。
四 配備先地方自治体等への説明及び意向把握について
「Xバンド・レーダー」の配備予定候補地への現地調査の実施及び「FPS-XX」の配備先の地方自治体関係者や住民に対する説明をどのように行ってきたのかを明らかにされたい。また、「Xバンド・レーダー」の配備予定候補地あるいは「FPS-XX」の配備先の地方自治体及び住民の意向をどのように踏まえるつもりなのか、所見を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねのXバンド・レーダー・システムは、弾道ミサイルを探知し及び追尾するための機能を備えた移動式地上設置型レーダー・システムである。このシステムは、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)のレイセオン社が開発していると承知している。お尋ねの「本体の価格」については、現時点においては承知していない。その他のお尋ねの点については、現在、合衆国と協議中であることから、お答えすることは差し控えたい。
一の2について
仮にXバンド・レーダー・システムが我が国において展開される場合には、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。
一の3について
これまでに日米間において議論した結果、我が国に向かう弾道ミサイルを迎撃する能力等を支援するとのXバンド・レーダー・システムの展開の趣旨を考慮すると、航空自衛隊車力分屯基地がXバンド・レーダー・システムを展開する有力な候補地となり得るとの共通認識を得るに至った。このため、合衆国が同分屯基地において平成十七年十二月に実施した現地調査に協力したものである。
一の4について
お尋ねの点を含む我が国に駐留する合衆国軍隊の兵力態勢の再編については、その着実かつ早期の実施を図るために、本年三月の具体案の最終的な取りまとめに向け、合衆国との協議を進めているところである。
二の1について
お尋ねのFPS-XXは、航空機等の警戒監視を行うとともに、弾道ミサイルを探知し及び追尾するための機能を備えた固定式地上設置型レーダーであり、高さ約三十メートル、幅約三十メートル、奥行約二十五メートルの規模となる予定である。また、FPS-XXについても、他の警戒管制レーダーと同様に、各レーダーサイトに配備された航空警戒管制部隊によって運用されることとなるが、その人員は、レーダーサイトごとに約二百名である。
平成十八年度予算案においては、航空自衛隊下甑島分屯基地に配備する予定のFPS-XX自体の経費及び同分屯基地ほか三分屯基地におけるFPS-XXを配備するための施設整備等に要する経費として合計約百八十四億円を計上しているところである。FPS-XX開発試作機の契約の相手方は、三菱電機株式会社であるが、平成十八年度予算案に計上しているFPS-XXの契約の方法及び相手方は、今後検討していくこととしている。
二の2について
FPS-XXを配備するに当たり、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。
二の3について
お尋ねの「平成十八年度から行う「FPS-XX」の実用運転」がいかなるものを指すのか必ずしも明らかではないが、防衛庁においては、平成十八年度に、技術研究本部第二研究所飯岡支所に所在するFPS-XX開発試作機を活用し、その運用研究を実施することを計画している。この研究においては、FPS-XXと既存のレーダーであるFPS-3改との間で弾道ミサイルの追尾の連携要領の検証等を行い、平成二十年度末に配備される予定のFPS-XX初号機を円滑に運用し得る態勢の確立を図ることとしている。
二の4について
FPS-XXについては、我が国に飛来する弾道ミサイルの効果的な探知、その配備のための用地取得の容易性、既存のレーダーの換装時期等を踏まえ、御指摘のレーダーサイトに配備することとしたものである。
三の1について
お尋ねの共同統合運用調整所は、平成十七年十月二十九日に開催された日米安全保障協議委員会で発表された文書に述べられているように、「自衛隊と在日米軍の間の連接性、調整及び相互運用性」を「不断に確保」する役割を有するものであり、その具体的な内容は、現在、日米間で協議しているところである。
三の2について
弾道ミサイル防衛に係るレーダーに関する日米間の運用面の協力の在り方の詳細については、今後日米間で調整していくこととしているが、一般論として言えば、政府は、従来から、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を合衆国軍隊に対して一般的な情報交換の一環として提供することは、実力の行使に当たらず、憲法上認められていない集団的自衛権の行使に当たらないと解してきている。
四について
Xバンド・レーダー・システムに係る合衆国による現地調査の実施については、事前に関係する地方公共団体に対して説明を行ったところであり、FPS-XXの配備については、これを予定しているレーダーサイトが所在する地方公共団体に対してFPS-XXの概要等の説明を行ったところである。
今後とも、Xバンド・レーダー・システムの展開候補地に関係する地方公共団体等及びFPS-XXの配備を予定しているレーダーサイトが所在する地方公共団体等の理解と協力が得られるように努めていく考えである。
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